買い物は財布の中身との戦い
昼頃に、セインが船を持ってくる予定で
街中を散策しながら、港まで歩くことにした。
子供達とすれ違う。学校に通う子ども達だ。
エモット書店?朝から開いている。
子供達が、学校で使うものを扱っているようで、店内に数人子供が見える。
中に入ると店内壁一面に本が並んでいる。
魔法関連の書物が無いか探してみたが見つからない。
「魔法? そんな本は扱ったことは無いなあ」
店主を困らせてしまった。
=空中戦闘教本翼機対応 レビニス著第3巻=
=図解操船技術改=
本に目がとまる。
最高の操縦者と言われたレビニスの著書。
こ・・・これは・・・手を伸ばす。
右手は伸びないが左手が・・本へ伸びていく。
「珍しい本だよ!お目が高い
それ2冊で、黒2枚だよ!兄さん!」
黒2枚か・・・・気は確かか・・・
・・・・・
・・・
・・
だいぶ悩んで、買った。
背に腹は変えられない。こんな時に使うのがお金だ!
もう、次来たら、無い。と言い聞かせる。
街情報冊子もつけてくれた。
=エルディン街案内8 著ルアード=
ジオの息子か・・・
書店から出るとシオンは武器店の前で並ぶ武器を見ながら待っていた。
「失われた魔法?聞いたことないよ」
シオンは首を傾ける。
エルディン街案内によると、エモット書店は、様々な本を取り扱い、掘り出し物が見つかることもある。
そのとおりだった。
シオンは隣の店頭に置いてある、白い鎧を眺めている。
街案内ではグラーク装甲店。グラーク・・あいつか!
鎧を発注するならここ一択です。ただし、女性は要注意。
「おっ、昨日の・・ねーちゃん」
店からグラークが出てきた。
「酒飲みの兄貴は?」
シオンの持っている袋を見て、
「その鎧はここでは暑いだろ、わしの鎧はおすすめじゃぞ!」
店頭の鎧を叩きながら説明する。
「海の魔獣の甲羅を使っている、暑さ寒さ対策は完璧でな、しかもじゃ!軽量で動きやすい」
「レッドベアや鮫の牙くらいでは引き裂けない強さがある」
「もっとバストアップで!敵味方の男を魅了できるぞい!」
シオンの胸の辺りを触り出す。
バコン!
「触るな!!」
「隅々測らんと作れんじゃろ!!」
ただのエロ親父ってことか・・
シオンは持っていた鎧の入った袋を置いて、
「これと同じ大きさのを作ってくれ!」
「色はどれにするか?」
白色の素材を使ったものは、性能が格段に違うようで、値段も飛んでいた。
「白がいい・・かわいい」
え?かわいい?鎧にかわいいってあるのか?。
シオンに、白い鎧と、新たに軽装を買うことにした。
早速、軽装に着替える。
「どれ、手伝ってやろう!」
一緒に、着替え室に入ろうとするが、締め出される。
「どうだ?」
「似合っている」
ヴァクーが言ってた通り、姉妹そろって美人だ。出る所は出ている。
シオンに合う服を選ぶグラークの目も流石だ。変態だが。
完成は20日ほどかかるので完成した頃を見て取りに来ることになった。
代金を支払い、お店を後にする。黒4枚は高い・・が護衛してくれるから安いか。
隣りは帽子を売っているお店だった。
白い帽子など、様々な帽子が店頭に並んでいる。
石材店や食品店などが立ち並ぶ。
良いにおいが漂い出した。
少し、先の店から煙が昇っている。
昼前なのに、行列ができていたので並ぶことにした。
街案内によると、タギ串焼き店で、ゲテモノ近海魚を細かく切り刻み、
練ったものを串に巻きつけ、甘いタレにピリ辛の木の実を剃った物をまぶして
焼けば、口の中を魅惑の深海へ攫うほどの衝撃の味と書かれている。
前の四人組のうち、二人のしっぽが揺れている。
帽子をかぶっていて、前が見えにくい。
ここは天幕が無くて、建物の間から光が射すので暑い。
シオンにも帽子を買ってあげれば良かったかな。
焼いているものに目が釘付けで、早く食べたいのだろう。
前のお客の会計が終わったようだ。
四人組とすれ違う時に目が合う。
サーリャ、ナル、トュリス、ゼネルだった。
「可愛い服ね」
サーリャがシオンの服を見て褒める。
「買ってもらった」
シオンは恥ずかしそうに答える。
「護衛してくれているし」
「ふ〜ん」
サーリャは何か考えている。
「においに釣られて買っちゃった!」
袋には50本くらい入っている。そんなに食べるの?
ナルは恥ずかしそうに顔を赤くした。
「いらっしゃい!何本?」
焼いている串から煙が出ていて涎が出る。
シオンは10本くらい行けると言うので20本、買う。
海辺には、ヴァクー、セインもいた。
ヴァクーが手を挙げている。
シオンを見て、
「薄着もいいのお」
いやらしい目をしている。
ヴァクーの頭に拳が下りる。
「そうだ、この服、グラークっていう店で買ったんだけど」
「ああ・・さっき店の前を通ったんじゃ
ん?その、なんだ?なんで?」
昨日の夜のことを話した。
「そうか・・・ありがとな・・」
「今度、顔出してみるか」
見当たらないオルドは、エルセンドラの地下都市船が気になるようで別行動だ。
「姫様、こんなところにいて」
「大丈夫です。私は・・」
「王都にいる方が危険かもしれないってことですか?」
「そ・そうです」
それより、ナルは袋の中の本が気になるようだ。
「それはなに?」
「操縦の教本だよ」
ナルに渡すと
「わかりやすい!」
「でしょ!この著者の本、なかなか手に入らなくてね
部屋の引き出しに他にもあるから、読みたいときに読んでみるといい」
本を返してもらい、袋に入れる。
「ナル!船を」
サーリャがナルの肩を叩く。
「そうだ!船を見せなきゃ!」
ナルが手を引っ張る。
一階は変わりなし・・倉庫の奥に酒樽が・・・10本も。しっかりと船体に固定されて、日付の札が架けられている。
二階の避難民がいた手前側の大きい部屋が細かく仕切られていて個室になっていた。
手前からトュリス、ゼネル、サーリャ、オルド、空室、ナル、空室、大部屋の順になっている。
個室は狭いがベットが壁に跳ね上げて固定することができ、広く使うことができるように設計されている。
大人数対応できる厨房が備え付けられて、引き出しには調理器具が収納され、飛び出してこないようにロック機能もあって安全だ。
三階は奥の部屋の水浴びができる部屋が、鍵付き脱衣所付きの個室になっていて安心して使えるようになっている。
ブリッジの天井に小さい可愛らしい人形がぶら下がっていたり・・・
ん?ゼネル、サーリャの部屋に加えてナルの部屋がある?
「それは、」
「王族から抜けたの・・」
「「「「え?」」」」
「王女じゃなくなった?ってこと」
「そんな簡単にできるの?」
「母上、女王陛下には、もう」
シオンは何も言わなかった。知っていたのか・・
だから、ナルは女王にならなかったのか・・
ナルは何を考えているのだ?わからない。




