領主も税金の悩みをする
鳥の鳴く声で目覚める。窓から涼しい潮の香りがそっと吹き込む。
シオンとライリスは軽装に着替え、武器の手入れをしていた。
ベットの布団は綺麗に畳まれて置いてある。
「シオン、ライリス!おはようございます」
声をかける。
「パッチ侯、おはようございます」
「パッチでいいよ」
部屋の入り口に袋が二つと大きな斧が入った入れ物。
袋の中は騎士の鎧だ。騎士によって収納方法は違うが、装備しやすい順番に収納されている。
すぐに出れるように置いてあるようだ。
窓の外は、まだ通りの人通りは少なく、お店の開店準備をする人たちが見える。
通路や階段は綺麗に水拭きされている。
宿の姉さんが階段を掃除している。確かアリナだったか。
「あっ、おはようございます」
「食事?用意しますか?」
シオンはお願いしたようだ。
「じゃあ、用意しますね」
宿の受付横にあるテーブルに案内される。
ケイラは現地新聞を読んでいたが、立ち上がって、
「侯爵、おはようございます」
頭をさげる。
「外では、パッチで・・お願い!」
「あ、すみません」
席に座ってもらう。
「何か記事あった?」
ケイラは記事を指さし、まとめる。
レガスター卿と周辺の数名を逮捕、拘束。
隣国の介入がある可能性もあり。
新領主にパッチ侯爵。船長からの前例の無い出来事。
特に税制や人事の発表は変更は無い。
領主代理ケイラ、ジオ侯爵邸に執務室を構える。
ウインザード王都のギルド逃亡者は未だ不明。
帝国で、戒厳令を敷かれ情報が遮断されている。
東バルフェリアとウインザード王国軍が戦闘再開か。
バルフェリアからの物資要請。
以上ですね。
アリナが水を持ってきた。
「朝ごはんは?おいくら?」
シオンは赤8枚をテーブルに置く。
「グラークと酒飲み対決で勝つ人を初めて見ましたよ」
「昨日はたくさん飲んでくれたので、一品お付けしますね。歌素敵でしたわ」
ライリスの顔を見ながら、水を配る。
ライリスは顔を赤くして顔を伏せる。
「ここは、一人でやってるのか?」
シオンは気になるようだった。
「妹とやってるの!」
カウンターの奥から声が帰ってくる。
「頑張っているね」
「建物がぼろくて、いつまで、続けれるか」
食器棚から皿を取り出す。
「確かにぼろいね」
ぼろいか・・そういえば、
「レガスター卿の屋敷はどうするの?」
シオンに聞いてみた。
「どうするって、侯爵の考え次第だ」
船で生活するつもりだし、いままでそうしてきた。
「そんな領主、どこにもいないぞ!」
シオンは呟く。
「問題はあの広い屋敷をどう使うかだよ。
維持費ってかかるでしょ?」
「まあ、あの大きさだと、かなりだぞ!」
ライリスがボソッと呟いた。
「ライリスの家にしてもいいんだぞ!」
「無理無理!維持できない」
強く拒否される。
「王国の制度を利用して、ジオの屋敷の住人をレガスター屋敷に移住させて
ジオの屋敷は学校や図書館にて学び場所を拡大するのはどうでしょう?」
ケイラの提案。学校は無税だったようなことを聞いたことがある。
「それいいね!採用」
「はや」
シオンは呟く。
「それでも、かなり部屋が余るよな」
「ですね」
アリナが食事を持ってくる。
「アリナさん!
レガスター卿の屋敷の一部を使ってみない?宿として」
ご飯を置き終えた、
「え?」
アリナは固まる。
シオンがアリナの肩に手を置き、
「あの建物空き家になるの、
興味があるなら、領主の館で、交渉は彼女とお願い」
「あの、屋敷がですか?
失礼ですが、あなたは?」
とっさに、
「こちらの方は、領主代行のケイラです」
と、アリナに紹介した。
「領主代行の?」
ケイラは恥ずかしそうに下を向いた。
「失礼しました!」
アリナは顔を赤くして頭を下げる。
食事を終える頃には、宿泊客が降りて来て、アリナは忙しいく働いている。
もし、レガスター卿の屋敷を宿にできれば、
管理する必要は無くなるので税金というものを払わなくて済む。
ケイラとライリスは食事後、ジオの屋敷へそのまま向かった。
宿から出るときにアリナとあいさつをする。
「シオンはこれからどうするの?」
「え?聞いてない?」
「何を?」
「護衛を命じられている」
「誰に?」
「王女様」
昼、セインが船を持ってくる予定なので
街中を散策しながら、港まで歩くことにした。




