ライリスの斧
「侯爵!」
ケイラが前に出て塞ぐ。
「領主代行って聞いてませんよ!」
「君なら出来る、ナル王女から聞かなかった?」
「詳しいことは後で・・って言われたの」
笑う王女が目に浮かんだ。
「でも、なんかずるいです!」
いきなりケイラの声が大きくなった。
「え?」
「領主を任されたのに領主をしないで私に・・・」
「確かに、そのとおり・・」
「すみません」
目を逸らす。
「いや、俺の方が悪いと思っている。
だけど、素人の俺がやって良くなる訳がない。
ケイラのような知識のある人に任せるのが良いと考えたんだ」
「普通の人だったら、喜んでやりたいんじゃないかな」
ケイラはボソッと呟いた。
「俺はただの船乗りだから・・普通じゃないと思うよ。
ナル王女はケイラを選んだ。
ケイラには悪いけど、将来、ジオの息子のルアードに、ここを任せれればと考えている。
ジオ侯爵の罪はルアードには関係ないからね」
安心したのか、少しだけケイラの表情が柔らかくなった。
家に帰る子供達と一緒に街へ向かう。
ライリスに子供が群がる。大きい斧を振る姿が見たいと子供達の熱い視線に負けて、
ブン!
力いっぱい振り抜く。
「スゲー!」
「かっこいい!!」
大きな体で、大きな武器を扱う騎士を見て子供達は歓声を上げる。
ドヤ顔をする、ライリスの斧の中身はスカスカ!とは、言えない。
シオンに子供達が駅まで競争だ
「勝ったら、騎士団に入れてね!」
子供達がシオンを挑発している。
「騎士を舐めるな!」
鎧を脱ぎ軽装になる。
横に並んで、同時に走り出す。
俺とライリスはシオンの鎧を抱えて後を追う。重いぞ!
駅に着くと子供達はいなかった。
シオンは駅の階段に座り込んでいた。
「入隊希望者を確保したぞ」
とだけ呟く。
乗合馬車から子供達の声がする。シオンは手を振る。
駅から乗合馬車が走っているので、遠い村からでも通うことができる。
いろんな都市を見てきたが、かなり治安が良い街だと感じた。
何度か、この街に積み荷を届けたことがあるが、街中心部に入るのは初めてだ。
現在はバルフェリアとの交易は行われていないが、
ゼクーノル王国
ラナト国
グレンヘイレン国
ツアィ国
との貿易によって街は栄えている。
駅から岬の方へ真っすぐに道が伸びている。
お店からは良いにおいがして買い物客が列をつくる。
建物の間には、天幕が張られているので、雨が降っても濡れずに買い物ができる。
煙が立ち昇る、肉のいい香りの店があったので、角魔獣タウロスの串刺し肉を4本買う。4本で赤2枚は安い。




