サーリャ誘拐事件
ギルド入ると、女性が奥から、よろよろと出てきた。
額から血を流している。
「トリア!?」
「レ・レノ?」
「どうした?」
「サーリャが攫われた」
「え?」
ギルドの奥の部屋に入ると、椅子が散乱していた。
トュリスは鼻をおさえてながら、
「人のにおい追える」
裏口のほうにトュリスが走る。
「頼む!」
「わかった」
建物から出て、裏道を行くと、港の警備柵が壊され、馬車の軌跡が残っている。
トュリスは街中を縫うように走る。露店の果物が散乱したりしていたので、ここを通ったのは間違いないだろう。
後ろを振り返ると、付いてきているはずの、セイン、ヴァクー、オルドが見えない。
トュリスの追跡は正確だった。
港を挟んだ反対側の商店街の裏道を入った所だった。
「ここ」
酒場のような建物の前で、立ち止まる。
危険だからここで待てと言う。
ドアを蹴り破る。
室内には男たち数人が見える。
サーリャが男に担がれていたのを見て、怒りを抑えきれなくなった。
何かをしたのは分かる、気が付けば、その場にいた者達はケガをしていた。
俺も突き飛ばされて、壁に頭を打って気持ちが悪い。目の前がクルクル回っている。
とにかく、サーリャは無事でよかった。
騎士も数名駆けつけてくれたようだ。
港で見かけた騎士に事情を話した。名前は思い出せない。
「侯爵様がこんな汚い場所にいらっしゃるとは・・」
シオンがやって来て、事情を再度聞かれた。
ナルとの食事にはもう間に合わない。ナルへ伝えて欲しいとお願いする。
シオンは部下に指示をだしていたので、伝えてくれたと思う。
シオンは片腕になった男を尋問している。
男は、ドエルという人物より、ギルドから寄港帳簿を奪えと依頼を受けた。
裏口から進入して、耳長女が持っていると。
シオンの話では、ここは、街で殺人や恐喝など汚いことをしているブラックギルドだった。
サーリャがやってきて、
「突き飛ばしてごめんね」
横に座る。
耳や腕、足が赤くなって痛いだろう。
さすって落ち着かせようとする。
「いいよ、もう大丈夫」
「それならいい」
室内を見ながら
「なんでこうなったのだろう」
サーリャがつぶやく。
「わからない・・シオンがドエルっていう男がどうかって」
「ドエル?」
「ん?」
「ギルドの支部長だよ」
シオンを呼び、ドエルがギルドの支部長だという事を伝える。
「ブラーノ!!ギルドでドエルという男を拘束しろ!支部長だ!」
再度シオンが拘束したブラックギルドの一味を尋問する。
「他に知っていることは無いか?隠すともう一本腕をもらうぞ!」
「・・・・」
「すぐに、憲兵隊が来る」
男の顔が引きつった。
サーリャとトュリスは先に船に帰るようで、騎士が船まで、送ってくれると聞いて安心した。
しばらくして、馬車が出発する音がした。
ブラックギルドの男の話だと寄港帳簿が目当てで、今夜、中央駅でグラステナという人物に渡す予定だったという。
シオンは外にいる騎士、憲兵から三人を選んで、拘束した男たちの服を着させる。
着替え中に兵士と打ち合わせをする。




