家に帰って入浴をする
南諸島を飛び越え、海上をひたすら南東方向へ進む。
「パッチ、ここは?」
「このままいけば、南極海域だぞ?」
南極海域は気圧が高く下降気流が回転して降りてくる場所だ。
それを取り囲むかのように暖流からのエネルギーを受け雲が発達して飛行が困難な地域が広がる。
小さい島々が見えてくる。
そのうちの一つの四角い島が目的地だ。
「パッチ!ここは?」
ヴァクーも初めてだったな。俺の家だ。
よく考えてみれば、他人を連れてきたことは無い。
まだ、動けばいいのだが・・
到着前にランタンを灯す。
島から鳥の群れが飛び立つ。
四角い島に穴があり船を進入させ、停止すると、浮島にあったようなアームで船が固定される。
ヴァクーにランタンを持ってもらう。
「それは?あぁ竜石か」
箱の中には竜石が詰まっている。
「爆発しないよね」
サーリャが不安の表情を見せるが、この船の何倍の量があって爆発するので大丈夫だ。
接続された橋を渡ると、機械が動き出して船を修理し始める。
「どうなっておるのだ?」
「まほー?」
仕組みは全くわからないが、船を入れると、外装甲など破損したところが修理される。
小さい頃は、明るかったような気がするが、今では暗くなってしまい、ランタンなしでは歩けない。
「誰かいるの?」
人は、もういない。気が付いたときは一人だった。
「不思議な場所ね」
地下都市の船があった場所に似ていたので、二人に聞いてみた。
「そうね。似ているね。こっちの方が綺麗ね、イーターはいないでしょうね」
いたとしても、島にいる鳥が食べてくれるから繁殖はしない。
壁にある取っ手を引くと穴があるので竜石を流し込む。
ゴロゴロ
と落ちていく音がする。
サーリャは壁に掛かっている釣り竿が気になっている。
ここには、雷魚や剣魚、生でも食べれる赤魚、泥くさい平魚等が豊富に獲れる。
この通路の端まで行って海に垂らせばすぐだ。
ヴァクーは船を見ている。アームが壊れた外壁装甲を固定して、別のアームが固定具を外していく。
外壁装甲が船体から切り離され、奥の部屋に入って、中から打音が響く。
機械の音がうるさいので、屋上へ行くことにした。階段を何度か折り返しドアを開けると、
屋上は明るくガラス張りになっていて、
黄色い実をつけるもの、
甘い香りがする赤い実、
様々な植物、果実がなっている。
赤い実をとって二人に渡す。
名前は知らないけど、とにかく美味しいのだ。
船で育てようと思って、苗を持ち出したが、赤い実だけ全て枯れてしまった。
「うまいぞ、酒があればもっと・・」
少しだけ齧る。
「ほんと、みずみずしくて、おいしいね」
ここの植物は竜石の付着物質で成長しているので、
定期的に竜石を持ってくることにしている。
「あっ光玉草!」
サーリャが光玉草の育てている場所に走って行く。
「こんなに、あるの初めて見た」
群生していても密集することは無いらしい。
「この実うまいぞ!」
ヴァクーが茶色の木の実を食べている。食べ過ぎると鼻から出血することを言っておく。
箱から土を取り出して、木や植物の根元に盛って、
落ち葉や、落ちてしまった果実を箱に入れる。
いろんなものを食べながら、ヴァクーもサーリャも手伝ってくれたので早く終わった。
階段の横に俺の部屋がある。何もない。窓の外は海しか見えない。
「なんにもないね~船のパッチの部屋と同じだね」
サーリャはつまらなそうに部屋の中を覗く。隣の部屋も開けてみている。
「この部屋はなに?」
その部屋はお風呂だった。部屋の半分から奥は水を張る場所。
「え?お風呂?水に入る用?」
少し水を流すと茶色の水が出てくるが、しばらくすると透明になって、暖かい水が出てくる。
海水をろ過してるので真水だ。
入りたいというので、お湯をはることにした。
「大きい窓だけど大丈夫?」
「平気!!だって海しか見えないし」
落下した果物を入れるとさらに香りを楽しめるので入れてあげる。
ヴァクーがズボンを下ろし始めると、
「一番に入るの、わたし」
ヴァクーは追い出される。
「覗いたら、殺すわよ」
釘を刺される。
「最近、騒がなくなったな」
そうだな・・・今回、ヴァクーは叩かれていない。慣れたか?
サーリャが出てきて、
ヴァクーが入れ替わり入っていく。
中で、一人で騒いでいる。
ヴァクーがお風呂から出てきた。
「果物、最高じゃ!お肌すべすべ!」
輝いて見えた。
また、しばらく帰ってこないので、綺麗に掃除をする。
「酒は木にならんのか?」
どうしても酒を飲みたいのか・・そんなもの見たことがない。
竜石をいれていた箱に、果実などを詰めて船に戻ることにした。
機械は止まっていて、修理は完了しているようだった。
壊れた、外装甲も元通りになってバランサーもついている。
船に戻ると動力が始動し、接続が解除されて出発できる状態になる。
場所は秘密ね!
「だいぶ、航路から離れているし
誰も、こないでしょ」
そうなのね。




