ディビニティ
朝が来た。どうやって船に帰ったのか記憶にない。
船の前はお祭り騒ぎになっている。
ヴァクーはギルド技師と酒を飲みあっている。
昨日から飲み続けているんだ、どんなに酒に強いんだ?
セインはデュリスとトュリスと一緒にいて船を見上げている。
サーリャはギルド職員と技師と話をしている。
あんなに人でいっぱいだった船室1も船室2も何もない。
掃除されていて綺麗になっている。
獣人や見送りに来てくれた人たちに挨拶をして、最後に町長と握手を交わし階段を上る。
ハッチを閉めて手袋を外し水場で顔を洗い気合を入れる。
ブリッジへ上がる途中、階段にナルがいた。
「さあ、いこう!」
差し出された手を掴む。ナルに光が当たり輝いてみえる。
ナルの顔が少し赤くなった。
俺の心もなぜか熱くなってきた。
ナルの引っ張る手は力強く感じた。
ブリッジに入るとナルは外へ出ていき手を振っている。
流石、王家の人だ。
頭を掻きながら、動力パイプの接続などを確認していく。
久しぶりに一人で起動か・・できるか・・
セインのいたハンモックを見ながら思い出す。
圧力計を見ていじくっていたオルドを思い出す。
ギルド技師の腕もいいがヴァクーの腕は一流だったな・・
計器がすべて正常に動作している。
何か忘れていることはないか再チェック。手袋をはめて、
「大丈夫だな」
「忘れ物があるぞ」
そそ、いつもヴァクーは言う。
「バランサー入ってないな」
そうだ、忘れてた。セインありがとう。
「無視か?俺たちを忘れんな」
後ろを振り向くと・・
ヴァクー、セイン、オルド、サーリャ、トュリス!?
みんながいた。
え?なんでいるの?
荷物を床に置くオルド。
「俺は、単なる宿無しだ。よろしく。わはは」
「ナルを一人にできないわ。私もついていく」
耳を赤くしながら
「なんかおもしろいし」
サーリャはナルのところへ走る。
「あいつなりに、思うところがあるのじゃ」
ヴァクーは肩を叩いて外へでる。
「壊れる船をほっとけないだろ」
「「ウインザードにいったら何があるかわからんよ!?」」
「気にすんな!」
ヴァクーは振り向き、腕を出してきたので腕を重ねる。
セインはハンモックに飛び乗り寝る。
「ナル姫に手をだすなよ!」
壁を向いてつぶやく。
「だすか!!」
「ねるな」
トュリスは!?
「パパにはちゃんと言ってある、大丈夫!」
え?同行をゆるしたの?なんで?
でも、なんか嬉しい。
外に出てサーリャの隣で手を振る
「ディビニティ」
「ん?」
「船の名前だ」
以前船の名前を知りたがっていたので教える。
「え?そんな名前だったの?」
「名前は?」
「それは、秘密だ!」
ヴァクー、ナル、サーリャ、オルド、トュリスが右弦甲板に出て手を振っている。
「いくぞ!落ちるなよ!」
上昇しながら右旋回
全員ブリッジに入った。
推進を半分手前まで入れる。
「うぉスゲー加速!」
オルドがびっくりしている。
あっという間に下層雲を突き抜ける。
まだ、いける。
ちょ・・・
まった・・・
すぐにウインザードだぞ!
まだ、いけるぞ!
上層雲も突き抜け水平飛行になる。
雲を引いている
ナル、トュリス、サーリャは窓の外を前のめりになって見ている。
「鳥になった気分」
雲の切れ間から地上が輝いて見える。
両腕が熱い
船と一体化しているような感覚だ。
パチーン!
何かが破裂する音がした。
「ごめん!」
「なにが?」
「調子乗って飛ばしたら」
「パイプ裂けたかも・・」
「あんた、やっぱりバカ!」
「やれやれだぜ」
「まったくだ」
ヴァクーは道具箱を手に取った。




