サーリャの膝枕
族長デュリスの家で夜を明かすことにした。
今後、どうしようか・・
ナルを送る。
デュリスに聞いてみる。
「子供が成人したときは何かする?」
「お子様がいるのですか?」
いやいや、
「ナルが成人したんだ」
「ナル様のことでしたか
成人したことを村全体で祝うことですね。他の村へ旅に出る者もいるが」
オルドを向く。
「俺のところは家族単位で祝うことが多いな」
「パッチはどうなの」
答えれない。
「船に一人でいたからそんなのなかった・・と思う」
「ナル様を祝うなら、共に祝おう」
「ありがとう」
問題は、魔法だ。
魔法使える人いるの?
なんで使えなくなった。
・・・・
考えるのやめよう・・
横になって火を眺める。
「おるど、起きてる?」
「寝てる」
「あの船どうするの?」
「修理して飛ばしてみたいぜ」
「どうやってだすの?」
「考えてない」
「だよね」
「おう」
何言っても返事が返ってこなくなった。
いびきがうるさい。
早朝、霧の中、船までたどり着いた。
トュリスがハンモックで寝て、床にはセインがごろ寝していた。
デュリスがトュリスに村に帰るか聞いているが
「セインと一緒にいる」
目を擦りながら呟く。
デュリスが寂しそうに船を下りて村へ帰る。
地下都市のイーターの時からトュリスはセインのそばから離れなくなったか。
船を港跡につけた時には昼を過ぎていたが、船首にたっぷりデトウドの木をひっかけてきたので、人が集まってきた。
すぐに船首のデトウドの木の解体が始まった。
オルドと二人で地下都市へ入っていく
入り口から風が中へ入っていくので煙は大丈夫だろう。
燃えカスが散乱しており、焦げた跡が壁に残っている。
すぐに明るい大空間に入ると、いたるところに、イーターの死体が散乱している。
「こんなにいたのか」
見つけた船の中にもイーターが転がっていた。
「定期的に駆除しないとだめだな」
イーターを足で転がしながら呟く。
動力パイプがあったので拾って持って帰る。
「どうじゃ?切れるか?」
ヴァクーがのこぎりを作ったようで技師に試させていた。
港のすぐ脇で炉を作って金属を溶かし、型に流し込んで鍋を作ったり、熱した金属を叩いてナイフをつくったりして、鍛冶屋みたいなことをやっている。
「うーん、いまいちじゃな」
のこぎりのことか?お酒のことか?どっちだ。
サーリャはギルドのようなものを作っている。
屋根付きの廃墟で魔獣から採れた毛皮やイーターの液、木材などを保管して、島から持ってきた寄港帳簿に在庫を書き込んでいる。
ナルは食堂の手伝いや子供達の相手をして過ごしているようだ。
セインはトュリスと魔獣の狩りに出かけた。
数日経過して
ギルドを中心に、食堂、鍛冶場、武器店、住居、学校、水浴び場などが次々と出来て町のようになっていた。
船を修理していると、町長がやってきた。
「全員ここに残ることにするよ・・」
「獣族の友もこの地に留まることを許していただいた」
「バラバラになると探す方が大変だろうし」
船にあった荷物も運び出すそうだ。
動力パイプもすべて繋げた。圧力のテストも完了して、いつでも行けるようになっている。
ヴァクー、セイン、オルド、ナル、サーリャを集めて話をすることにした。
明日の朝、ナルを送る為、出発する
ナルを送れば、ナルとは簡単に会えなくなる
ギルドに避難者がいることを報告する
危険な旅になる可能性もある
ここに戻ってくるので、一緒に行く必要はない
それぞれ、無言で解散した。
夕方、住人は城跡の方に歩いていく。
夜、竜のいた広場で皆が集まった。
船から降りてくるナルは綺麗な姿になっている。
セインに耳打ちをする。
「ナル綺麗だ」
「当たり前だ!王女殿下だぞ!」
セインとトュリスは仲良く手をつないでいる。
族長デュリスとセイン、トュリス、町長と俺とサーリャで広場まで案内する。
門をくぐると中にいた人達から、
「「「「「ナルさん誕生日おめでとう!」」」」」
花びらが舞い歓声が湧き起こった。
ナルはびっくりした表情を見せたが、笑顔になった。
ランタンが沢山、ロープで吊るされていて光の星空のように輝いている。
広場の中央にはグレファロの丸焼きが置かれ、肉料理や野菜料理、魚が並んでいた。
獣族の村の住人や湖の反対側の部族の住人も来ていた。
ヴァクー特製のお酒に人が群がっている。
すでに酔っ払い、何人か倒れているのが見える。
音楽を弾く者もいれば、歌うものもいる。セインはトュリスと踊っている。あいつ、踊れたんだ。
腕力比べのようなこともやっている。勝ち抜けで今はデュリスの相手を求めているようだった。
イーターの化粧液の周りには女性が集まっている。
警備担当の獣人と交代する。
ナルの言葉に耳を傾ける人からは笑い声が聞こえてくる。
大きい歓声がおきた。デュリスが腕力比べでセインを負かせたようだった。親の力すごい。
船での生活だけだった頃と比べれば、この環境も悪く無い。
「おつかれさん」
サーリャが飲み物を持ってきてくれた。
いい香りがする。一口飲んでみる。
「おいしい・・」
「でしょ!」
これなら毎日飲みたいくらいだ。
果物の味が濃くて美味しい。
あっという間に空になった。
あれ?空が見える。頭がいたい・・
「どうした!!」
ヴァクーの声がする。
「一気に飲んだみたいで・・・倒れた」
サーリャの顔が下から・・星も見える。
「ちびちびっと呑まんとダメじゃわい」
ヴァクー、お前の酒か・・・
サーリャありがとう、膝、柔らかい。




