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ドラゴンルート  作者: 56GEN


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22/69

水浴びしたいサーリャさん

外は暗くなっていて、昼に食事した屋根のある建物に身を寄せることにした。

デュリスは素早く焚き火を用意してくれた。


みんな、疲れ果てたようにぼんやり火を眺めている。


「これからどうするの?」

俺の顔を覗き込むサーリャ。


「船を直さないとナルを送れないし

それにはイーターを駆除しないといけない」

木の棒で火をいじくる。


「ここに船を持ってくるしかないな」

セインは天井を見ながら呟く。


「あの船はもうダメ?」

サーリャはあの船が気になるようだ。


「動く可能性もあるな」

オルドは目を閉じながらぼやく。


「今動いている船を直した方が早いわね」



「明日は、船に戻り、ここに船を運ぶ」

「そうしよう!」

デュリスは部屋の隅に移動して座りトュリスが追いかけ横に座って横になった。

そういえば気になる事があった。

木の棒を焚火に投げ入れ、

「ナル」

「なに?」

「竜に話す前に、竜の目の前に人・・男が立ってなかった?」

デュリスは目を瞑り腕を組み替えた。

「え?」

「いや、消えたけど・・・」

「私、ひとりだったよ」

「え?・・俺、変なこと言った?」

「ええ」

「イーターの針が刺さったか?」

疲れて、何を言っているのか自分でもわからない。

変人と思われたか?確かに見えたんだけどな・・


「服洗ってくる」

建物から出て角を曲がると通り沿いに小さい用水路があり、ゆっくり水が流れている。

靴を脱いで縁に腰掛け上着を脱いで泥を濯ぐ。

シャツまでドロドロだった。

シャツも脱いで泥を濯ぐ。

デトウドの根を引き抜いで服に練り込むと泡が立つ。

ついでに用水に頭と上半身を突っ込んで洗う。

汗や土でベトベトだったので、すごく気持ちが良い。

身体をシャツで拭いて、シャツを枝にかける。

「船長!」

振り返るとセインだった。

泥だらけのブーツを手に持っている。

隣に座り用水に両足を入れて気持ちよさそうにしている。

「さっきは、剣ありがとう」

「いやいや、流石だ!と思ったよ」

俺のシャツで足とブーツを拭きだす。

「あっ」

それ、俺のシャツ。

セインはシャツを悪いの一言も言わずに、投げ返して立ち去った。


再度、水でシャツを洗う。

「わしらも水浴びしてくる」

ヴァクーとオルドだ。

「男はそんな小さいところで水浴びしちゃぁいけねえぜ、わはは」

「そうだな」

「少し行ったところに広い用水路あったよな」



「いいなあ、、男は・・」

サーリャだ。

「水浴びできて・・・」

「そう?」

「そうに決まってるでしょ!

私もベトベトだよ・・」

「足だけでも洗えば気持ち楽になるかもよ」

「そうだね」

サーリャは靴を脱いでズボンを膝上あたりまで捲る。

白くてきれいな足だ。隣に座って、

「あ〜ひんやりして気持ちいいね〜」

水を蹴る音だけがする。

「いつになったら、水浴びできるんだろう」

「ヴァクーとオルドの所で水浴びしてきなよ」

「え? いやよ・・」

水面を見ながら呟く。

「それだったら、船に戻るまで我慢するしかないな」

「え?

あるの?」

「ある」

「最初に言ってよ〜」

満面の笑みで肩を押してくる。

ブリッジのある階の奥の部屋は、天井が透明で、あたかいので野菜や果物を育てている。

雪原への着陸で散乱したままになっているが、その部屋で、洗濯や水浴びができる。

「使う水は自分で補充するなら使える」

「ん〜〜楽しみ!」

干してあるシャツを掴んで足を拭き出す。

「あ」

それ、俺のシャツです。



「「うわああ」」

オルド、ヴァクーの悲鳴がする。

建物の間から素っ裸な二人が飛び出してきた。

「「ぎゃああぁぁぁ」」

サーリャが叫び後ろに隠れる。

立ち上がり、剣を握る。

二人は足元に滑り込み、もがき苦しんでいた。

よく見ると二人の背中に緑色のおおきな貝が数個付いている。

剣で突いても外れない。

騒ぎを聞きつけ、集まる。

「まて、無理に外すな!皮膚を持っていかれるぞ!」

デュリスはヴァクーの横に片膝をついて、落ちていた石を拾って貝をたたき始めた。

数回叩くと貝が割れて中から柔らかい透明なものが出てきた。

透明なものを摘み上げると簡単にヴァクーの背中から外すことができた。

同じようにして、オルドについていた貝を外す。

「これは、貝つき虫だ!焼いたら美味しいぞ!」

死んだ貝の殻を棲家にして生息し、死んだ魚や汚いものに群がり水を綺麗にする習性もあるようだ。

生で食べるのは絶対にダメと念を押される。


全部で8匹。デュリスは石を焚き火に入れてその上に貝つき虫を並べる。

手のひらくらいあったものが、拳の大きさまで小さくなっていい匂いが漂い出した。

枝に刺したものを受け取り、食べてみると柔らかくて美味しい。

「あら、意外といけるわね」

サーリャは珍しく手を出す。


「美味しいわ」

ナルもおいしそうに食べる。


「あ〜ひどい目にあったぜ・・・」

オルドとヴァクーが帰ってきた。

ボリボリ描きながら焚き火の前で背中を見せてくれた。

赤い円が付いていて痛そうだった。

しばらく、痛みと痒みが続くそうだ。



ウォォオオン!



遠い所で獣の鳴き声がする。

デュリスの耳がビクビクと反応する。

「お父さんいくの?」

トュリスが目をこすりながら聞く。

「ああ」

デュリスはナルの前に立ち片膝をついて

「私は、村に戻ります。代わりの者が来ますので・・」

デュリスは立ち上がりトュリスに手を振り部屋から出て地面を蹴ると、

隣の建物の上にいて目で追えなくなった。

ナルはトュリスの横に座って

「お父さん、すごいね」

「うん」

朝、霧が晴れていく。

遠くの雪山が綺麗に見える。



デュリスの代わりにやってきた獣族のルルテスとエルテスは水辺で魚を捕っている。

ルルテスは女性で身長はオルドと同じくらい高い。

朝、霧の中から現れた時は男性かと思ったくらいだ。

毛並みはしっとりとして全体的に青い。

腕が太くて腕には長い牙がくくりつけられている。

エルテスは彼女の息子で、トュリスと同じくらいの年齢だ。

村で何かあったようで、族長が呼び出されたわけだ。

この辺りには、湖を挟んだ反対側にも獣族の村があって、その村から来たと言っている。部族同士の交流が盛んなようだ。

「おはよっ」

一番最初に起きてきたのはサーリャだ。

「見張りご苦労さん

早く、船に帰りたい」

両手を伸ばして背伸びする。

エルテスが大きい魚を両手に抱えて嬉しそうに歩いてきた。

「大きい魚だね〜」

サーリャがしゃがんでエルテスを見る。

「捕まえた!みんなで食べる」

少し照れながら答えてルルテスの後ろへ隠れる。

ルルテスはその魚を持って石の上に置き、魚の口の中に棒を突っ込む。腕に括ってある牙を一本引き抜き、魚に切り込みを入れ焚き火の横にさす。


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