王女
ドスン!
ヴァクーは座り込んだ。
セインは頭を掻きながらブリッジの端まで移動してヴァクーの方を見る。
「遠い先祖の話じゃが・・」
「今は砂漠のような黄色い星になった我らの故郷」
「この星のように綺麗な星だったぞうじゃ」
「だが、ミウスと名乗る者たちが現れて、この星に置き去りにしたらしい」
ナルは目を閉じ手を胸に当てる。
「見上げる我らの星がみるみる腐り、あの戦争が始まって、帰れなくなった」
ヴァクーは顔を上げナルを見る。
「だから反対じゃ!」
「船もこのまま引き返すのだ!」
ヴァクーは床を叩いた。
ナルがヴァクーの横に立ち
「どんなことがあっても信じることです」
「私たちが信じるものがあるのです」
ヴァクーは顔をしかめ、
「信じるじゃと?」
ナルは頷き、
「過去にどんなことがあったかは知っています」
「それらを乗り越えて進むのです!」
「いま、生きているのは導きがあったからです」
「皆の協力が必要なのです!」
風が吹き込む。
「私は、ウインザード王国、王女ナル・ウインザード」
「さあ、いこう!」
手を差し出す。
ナルに光が当たり輝いてみえる。
セインは直立不動になっている。
族長デュリス、トュリスは膝をついて胸に手を当てている。
「いやじゃわい」
ふんっ横を向いた。
「頑固じじいだな」
腕を組んで俯く。
「そうと決まったら準備よ!」
サーリャがヴァクーに何かを投げる。
片手で受け取る。
酒筒だ。
「吞むわよね」
「あとで飲むわい」
ミウス教
この世界の宗教の一つ、ラナロ教から分かれた宗教で竜を崇めている。
白いローブに赤い宗教文字が書かれている。
ワイトポイントに聖都があった。ミウスの代理人がミウス言葉を伝えていた。
竜石戦争では竜とミウス教徒は共に戦い、月を破壊した。
破片が帝国に直撃した報復としてワイトポイントが征服され帝国の首都となった。
ミウスを信仰する人は少数で、今はウインザード王国の一部だけがミウスを信仰し代理人がいると伝えられている。




