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ドラゴンルート  作者: 56GEN


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18/69

世界が終わる

竜は城壁内で丸まって動こうとはしなかった。

湖畔に草原が見える。停泊場所には手ごろな場所だ。

船首を古代都市へ向けて停泊することにした。

丘を挟んでの古代都市、森の頂上と見晴台の高さが同じ高度まで下げ

船首をさらに下げて船首にとりついているデトウドを引き離す。



ヴァクーがレバーを操作。

草原と湖面の三か所にアンカーを打ち込む。


固定されるとセインはブリッジから急いで出て行った。

いつも使っているハンモックはサーリャが使っているらしい。



今日は地上に降りずに空中で待機。


町長のベンスと族長デュリスの三人で話をすることにした。

肝が据わった男で話を腕を組んで最後まで聞いてくれて、理解してくれたが、

ミウスの王女の話は信じていないようだった。



「光の守護者の教えが我らの導き」



ラナロにしてもミウスにしても宗教って本当によくわからない。

宗教対立があった時代ではないが、この狭い船内で対立されたら困るので、

王女が竜石を捨てまくったおかげであの爆発で済んだということを強調しておいた。


「勇気のあるお方ですな」

町長との話は終わり避難民に話をするという。

同席はしなくてもいいということなので、別れてブリッジへ向かう。


階段を上ると、通路の角にセインが立っていたのでナルの場所を聞く。

「ナル王女殿下は見晴台にいらっしゃいます!」

即答・・


「騎士になったみたいだな」

セインは顎を上げ咳払いをする。

「当然だ!」

胸を張る。

「俺は今まで王女と同じ船に乗ったことがない!!」


みんな、そうだろ・・


「今、俺は!専属の近衛騎士みたいなものだ!」

セインは恥ずかしそうに顔を赤くした。


「ふ~ん、騎士様」

サーリャだ、

通り過ぎるときにセインに一言つぶやく。

「ナルを困らせると殴るわよ」


「ナル王女殿下は立派な方です!わたしがお守りいたします!」

姿勢を正す。


「はぁ・・」

ため息をつきセインを見てブリッジに入っていった。




セインに敬礼をして階段を上る。



王女には、どんな風に声をかければいいのだろうか・・


階段を上るとナルが目を閉じて星空を見上げていた。


銀色に輝く髪が月明りで輝いていた。


「王女殿下」


ナルが振り向き目が合う。


「明日の早朝に出発」


「昼前には古代都市に入れると族長が申しております。

同行するのは、私と道案内の族長です。」


「わかりました」

静かに、うつむいた。


階段を引き返そうとしたとき、

「船長ありがとう」

寂しそうな声がする。


「だけど、わたし・・・

みんなを巻き込んでしまって申し訳ないと思っているんだ」

髪の毛がふわっと揺れ、王女の声では無く女の子の言葉だった。



「いや・いいんだ

あの月のように星が壊れないようにしてくれたんだろ?」


「役に立ったのかはわかりません。結果、私たちは生きている」

砕けた月を見上げ。


「で、

竜は何て言ってたんだ?」


ナルは一呼吸おいて、

「世界が終わる」


空を指さして、

「信じる道を進め・・・」



「かなりざっくりですね」


「ふふっ、そうね」

緊張がとけたのか笑顔になった。


「船長!それと・・・

王女殿下って言うのは

この船では禁止にしますよ」


笑顔を隠したいのか怒ったような表情になる。




-*-パッチの船室-*-


「ここじゃ!」

オルドとヴァクーは胡坐をかいてお互い向き合って木彫りの駒を動かすラミという陣取りゲームを楽しんでいる。

オルドが盤面を見つめ、鉄兜のコンコン叩いている指を止める。

「その手は予想済みだ!くらえ!」

ヴァクーの顔を覗き込む。


「おぬしは、詰めがあまいのぉ」

ゆっくりと駒を置く・・


コトッ


しばらくして、

「うぐぐ!やられたぁぁ」

オルドが盤面をひっくり返す。

「昔からあまいのぉ」

ヴァクーは酒筒を差し出す。



「いいんか?」

オルドは酒筒を受け取る。


「ん?」


「王女の件」

自分のコップに注ぎながら呟く。


ヴァクーは酒の入ったコップを回しながら、

「わしゃ。過去の事に囚われすぎかと思ったわい

やったことは許されん。

じゃが、、、あんな目をして言われるとな・・

よわくなったわい」



「そうか・・」


「明日になれば、わすれているがのぅ」

ヴァクーは一気に飲み干した。


「そうだな!がははっ」

オルドも飲み干す。



ガチャッ!

「パッチいる?」

今では、男部屋となってしまった俺の部屋にサーリャが顔を出す。


「あっ!オルドもいるのね

やっぱりいいわ、やーめた」


「ちっ」


干からびた鎧虫をひっこめる。

「おぬしは悪い奴じゃのぉ」







夜の見張りの時間だ。ヴァクーからの交代だ。

廊下を進むとセインは壁にもたれたまま剣を抱えて眠っている。

族長は壁に寄りかかるように寝ている。

女性の部屋の中からガリガリっと音がする。


近くに竜がいるからということで交代に見張ることにした。

ここからじゃ竜は見えないし、襲ってきてもなにもできないだろう・・

黒い尖った山の麓に竜がいる。正直、竜と遭遇するまでは何も気にすることはなかった存在だ。

船で追いつかれる、引っ掛かれることもなかった。

だが、あの竜は違った。



見晴台に上ると湖面を照らす砕けた月が見える。

静かに浮かぶ月、誰もが知っているはずの破壊の歴史を学んだ記憶がない。知らなかった。

辺りが急に暗くなる。


上空に黒い塊が浮いている。浮遊島だ。


この大きい湖はエルセンドラが浮かんだときにできたらしい。

飛竜石が多い場所は土地ごと浮上することがあり珍しいことではない。

湖底をあされは飛竜石を採ることはできるのだろうか・・

落下した島の破片に含まれているのだろうか・・・




この船も飛竜石を使って浮いている。

竜石と反応させれば汚染される。

除去するか交換するかになる。

空を飛ぶのは簡単じゃない。



山から光の筋が伸びだし、山の麓から雲の塊が迫ってくる。

周囲が明るくなってきた。

もう、見張りはいいだろう。


一番下の階層へ降り、下部の見渡し場に入って周囲を確認する。

安全が一番だ。

廊下で寝ている人も多く、何人かとあいさつを交わした。

酒場のマスターもすでに起きていて、街の女性と朝食の準備に忙しい。

船が傾くことを伝えておく。鍋からこぼれたら台無しだ。

オルドとヴァクーの兜が大きくて鍋に丁度良かったが火が通らないので断念したこともあった。それなりに分担してうまくまとまっているのは町長ベンスのおかげだ。





町長も起きていたので船を下ろすことを伝えると警備担当の男二人にも早速指示をだしていた。



セインは壁にもたれたまま眠っている。

騎士はお寝坊なようだ。ヴァクーの部屋は女性の部屋として使っていて、すでに起きているようだ。

中からガリガリと音がしている。木でも食べてるのかな・・。


ブリッジに入って船を降下させる準備をする。



バルブを少しずつ緩めていくと船体のいたるところから白い煙が放出され、

船は静かに下降していく。


バリバリバリ


デトウドの枝や幹が割れる音がする。

夜はそのままにしてあったのでかなり固くなっている。


ガコンッと船底が地上に当たる音がして船が傾斜する。


バランサーが無いからしょうがない・・

パイプの転がる音や金属音がしばらく続いた。


ブリッジから出ると、女子部屋の前でセインが直立していた。

欠伸をして目をこすって眠そうだ。


「ごくろうさま!」

敬礼して前を通る。


そろそろ、飽きる頃かな?



ハッチを開けて階段を設置すると

警備担当の男二人が階段の下に降りて周囲を警戒するため配置についた。

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