交易する
ナルは楽しそうに舵を握っている。
セインも楽しそうだ。
ナルにブリッジの操作を教えている。
歳が近いのかお兄さんをやりたいのか・・・
雪がなくなり、森林地帯に入った。
島の残骸が多い。
大きな川があったので川沿いに下っていくことにした。
デトウド
船に枝が絡みつく
枝が伸び縮みする木魔獣だ
普通より大きい木があったら
それと思えと言われるくらい有名で
縄張りに入ったものを何でも襲う習性がある。
これで4体目だ。
船に4体ぶら下がっている。
根の先は柔らかくておいしい蜜が詰まっている。
土が無いとすぐに干からびて死んでしまう。
「すこし右」
セインはナルに指示を出している
「やった!5体目」
ゴゴゴ!
森を引きずり地面をえぐる音がする。
かなりの大物だ・・
夕方--
河が広くなった丘の横に停泊することにした。
普段は水に浮かべた方が水平な状態を維持できるが
破損した部分から水没する可能性があるからだ。
周囲を交代で警戒しながら
船前方にくっついたデトウドを引っ張り
斧で幹を切ったり、エルセンドラの街の人と総出で行った。
水分が抜けた枝は、油分を含んでいるのでよく長く燃え、焚火やたいまつにも使える。
デトウドは森の万能素材ともいわれており
食料
建築資材
薬
に加工することができる。
あと2体か・・・
セインが船の見晴台で周囲を警戒していた時、
草むらをかき分けるすじがあるのに気が付く。
「注意しろ!」
見晴台の縁につかまり指を指して叫ぶ。
草むらから最初に出てきたのは肩に荷物を担いだオルドだった。
「わるい・わるい!警戒させちまったか?わはは」
街の警備団員は顔を見合うが、剣を再度構える。
「ちょ・・まってくれ!大丈夫だ!客人だ」
剣に手を当てる。
オルドの後ろから姿を現す。数人。
森の住人だ。
ナルと同じような顔立ちをしている。
木の棒の先に野獣の牙を括り付けていて、
角や骨で作った装飾をまとっている。
俺とそんなに変わらない。
ここは彼らの縄張りだった。
好戦的な部族でなくて良かった。
船についている2体のデトウドを渡し、無断進入したことをお詫びした。
デュリスという名前で、テリス・エンパールという部族の長だった。
爆発後に、大量の島の破片が落ちてきて、デドウドの移動が起きて困っていた。
エルセンドラ町長と長老の会談は長く続いた。
テリス村への移住は断られる。
余裕がないそうだ。
その代わり、古代都市に滞在する許可を得ることができた。
古代都市は、エルセンドラ湖のそばにあって、部族が移住する前にはすでに放棄されていた。
デトウドの住処になっていたが最近、違う魔獣が住み着いたらしく、できれば退治してほしいと。
黒い崖が目立つ高い山が目印だそうだ。
「デトウドと、その、魔獣を退治しないといけないってことか・・」
おかえり、オルド
「ぎゃぁぁぁ」
「あんた!何もってんのよ!」
ドスンと持っているものを下ろす。
足が100本あるでかい鎧虫だ。
「これがなかなかうまいのよ
これ一匹で1000人分は賄えるぞ!」
「これを食べるの?」
「当たり前だ!」
足を一本引きちぎり、
「これくえ!」
差し出すが、顔をそむける。
外に出るのはやめるわ
「こんなのどこにでもいるぞ」
「いないだろ誰が見てもわかるだろ」
「寝るときに枕の下見てみな。わっはは!」
掃除好きのサーリャさん
--夜
ちらっ
サーリャが枕をずらす。
ちらっ
敷物をめくる。
ちらっ
寝ているナルをずらす。
ちらっ
切断した動力パイプの中を見る。
コロコロコロ
サーリャが部屋の置物をずらしたりしている。
パイプがナルの頭に当たる。
「なにしてんの!?」
ナルは起き上がり眠い目をこする。
「鎧虫退治」
「あ~・・あれね・・時々見るよね
怖いの?」
「気持ち悪い・・」
「おいしかったなぁ、あの足」
ナルは欠伸をしてサーリャを見ると顔が青い。
「うげ・・」
「なれるよ」
ナルは横になる。おやすみ・・
「あれは無理・・」
「ん?」
枕のしたがガサゴソしている。
ゆっくり枕を持ち上げる。
「ぎゃーーーー!!」
「敵?」
パッチは剣を取る。
「なんじゃ!」
ヴァクーは斧。
「大丈夫だって」
ナルは寝たまま。
「ナルちゃん」
セインは夢の中。
サーリャが部屋を指さして
「いた!いたいたいたいた!!」
「なにが?」
「鎧虫ぃぃぃぃ!!」
「・・・・」
「わっははは!」
オルドだけ笑っている。
「あいつうるさい!!」
「一日何回も叫んでる」
「お前だろ」
「違う」




