ナルの涙
ナルが
---ヴァクーさん、見晴台にお酒がありましたよ
ナルが
---船長さん、サーリャさんが見晴台へ、来てねといってましたよ
ナルが
---セインさん、見晴台でまっててもらっていい?
え?ナルにいわれた?
なんでお前らいるん?
さけは?
ナルさんは?
三人顔を合わせる。
ガチャン!
下の扉がロックされる音がする。
「「開かない!!」」
「こんな狭い所で男三人監禁かよ!」
「だから、今すぐウインザードに行くのよ!」
ナルは扉越しに叫んでいる。
「だして!」
「酒は~」
「ナルかっこいい!」
扉前をサーリャ通り過ぎる。
「うるさい人達ね・・・」
ナルはサーリャに
「今すぐウインザードに行くのよ!」
机をたたいて詰め寄る。
ナルの頭をなでて
「いけないのわかってるよね」
「このボロをみてごらん!」
「船尾が骨組みの露出状態」
「傾斜している状態」
「外の景色が全然変わらない」
「わ・わかっているのよ」
ナルはしょんぼりしてサーリャの服を引く。
「でも・・」
「でもじゃない」
「でも・・」
とうとう、ナルの目から涙があふれる。
サーリャはナルを抱える
しばらくして
「ごめん・・ね」
鼻をすすりながら扉へ向かい手をかける。
サーリャが手を止める。
出す必要はないわよ!
「「「「なんで!?」」」」
ナルは振り返り、窓越しに三人はサーリャを見る。
サーリャは真顔だった。
「だって、静かだよね」
「「「「え?」」」」
二人は耳を澄ませる。
----だせよーーー!!!----
----酒はどこじゃ!!!----
----ナルさん!!!----
ドンドンドン!!
扉が揺れる。
バン!!
サーリャは扉を叩く。
ナルはぽかんと口を開けた。
三人は固まった。
サーリャは腕を組んで
「出したらうるさい」
「・・・」
「すごくうるさい」
「・・・」
ナルは思わず吹き出して笑っている。
笑った。
初めて見た。
年相応の少女の笑顔だった。
「ふふっ」
「でしょ?」
「少しだけ、このままでいいかも」
「舵、扱える?」
「大丈夫」
操舵を握ると、ナルの表情は真面目になる。
「最短でウインザードへ向かって」
ドンドンドン!!
「オルド!!どこいったー」
「ナルさーーん!!」
「酒!!」
ナルはまた笑顔になる。
サーリャはあきれ顔で肩をすくめる。
「やっぱり、もう少し閉じ込めておきましょ」




