ドラウレックとの闘い
魔獣というやつだ・・・後方へじわじわと回りこもうとしている。
それに合わせて、俺とオルドも船の方へさがる。
避難してくる人の方に行かないように注意を引き付ける。
「ドラウレックだ、牙に注意しな!」
海のにおいと牙から垂れるよだれ。
「左側の3体、まかせた!」
こんなところで剣を振りかざすことになるとは・・
タイミングをはかったかのよう向かってくる。
奴らの狙いはオルドか。
右に掛けている鞘から「われに勝利を」と、おまじないを唱え、剣を抜く。
剣を下に構え砂をすくってばらまく。
そのまま両手に持ち替えて上からドラウレックを振り落とす。
さらに、返しでもう一頭を胸を切り裂く。
最後は、砂で見失って、混乱しているやつを突き刺す。
オルドは、首に剣を指している所だったが、
剣を持つ腕にもう一頭の牙が食い込んでいたが
首を鷲掴みにして腹をガントレットで突き刺す。
傷を負った1頭が船の方へ駆け出す。
避難してきた親子、子供に、狙いを変えたようだ。
小走りに船へ走り出す親子。
「しまった・・・・」
船の階段で避難者を誘導していた耳長が
親子に向かって叫んでいる。
階段のスロープをうまく使って着地
魔獣と親子の間に入り込む、
耳長を避けて飛び上がったところを
下から短剣で突き刺した。
速い動き。
服についた砂を払い
女の子の頭をなでて声をかけている。
こっちをちらっと見て、
「褒めてあげようと思ったけど甘かったわね」
鞘に短剣をしまう。
「姉貴!助かったぜ!わっはは」
サーリャが剣をつかえるとは驚きだった。
オルドの傷の手当てもしてもらう。
船内には350人くらいはいるだろうか。
こんなに人が乗ったことは今までなかった。
あとは、竜に見つからないよう願うだけだ。
広いはずのブリッジはオルドたちがいるので妙に狭い。
ランプを持って、自分の船のように勝手に操舵盤や計器を触りまわしている。
「触るなよ!」
「壊れているからいいだろ」
「この赤い線は?」
「ここまでなら回せる印だよ」
「ここまで回せるんか!!」
セインは気にせず、いつものハンモックで寝ている。
通信装置からサーリャとヴァクーの声がする。
「ね~いつなおんの?ね~ね~」
「おい!どっかいけ!じゃま!」
「パッチ!聞いてる?」
「おぃ!」
放置しておこう。
その時、ブリッジの扉がゆっくり開いた。
白いローブの女の子、少女がランプの明かりを頼りに、ふらつきながら入ってくる。
顔色がよくない。
「逃げないと・・・島が・・」
言葉を絞り出すように喋る。
「島がどうなるんだ?」
オルドが少女を支える。
「消える」
「「消える?」」
セインを叩き起こして、少女をハンモックに寝かせる。
うるさいコンビが部屋に入ってくる。
「こいつ、うるさくて邪魔!」
ヴァクーが何かを言おうとしたが、空気を読んだようだ。
少女が天井を見ながら続ける。
「わ・私たちは失敗した。止めようとした」
「何を」
「竜石崩壊」
ヴァクーは声を張り上げる。
「お前たち!またそれをする気か!!」
少女は言葉を詰まらせた。
セインは少女に水筒から水を少しだけ飲ませて、背中をさすっている。
「止めようとしたと言ってた」
少女に詰め寄ろうとしたので止めるが怒りをあらわにして。
「その結果があれだ」
空を指さす。
そこには、破壊された月。
それをここでするのか
「望んでいる人たちがいるの」
「狂ってやがる」
「パッチ!やばいぜ」
「ここに来るまでにかなりの竜石を捨てたけど
この島を破壊する量はあると思うの」
==閃光==
==閃光==
昼間のような閃光が走る。
山が吹き飛ぶ・・山が落ちる・・
衝撃波!
みんなつかまれ!!
木や砂、岩が船体にぶち当たる。
船が山の方に傾く・・水没する!
水没する感じがしない・・
窓からのぞくと海がない。
地面が割れて水が落ちた!?
振動が激しい。家くらいの岩が降ってくる。
岩が家を押しつぶす。
ガツン
左弦後部見張り窓からの様子を見たオルド
「左バランサーに岩・・海に水が無いぞ!」
サーリャとハンモックの女の子を落ちないように支える。
セインも気にかけるようにしている。
ーー俺の船が・・・家が・・・ーー
船が下に落ちる感覚が何度もする。
体が浮く、船体に岩が当たる音がする。
船首が下方向を向いている。
「落下してる」
セインかオルドが翼を展開した。
落下する感覚が速度が緩くなるが、高度柱の値がみるみる下がる。
真っ暗になって視界が効かない。
ランプの照らす明かりだけだ。
風を切る音や砂や岩の当たる音がするだけだ。
分厚い雲を抜ける視界が開け、山岳地が広がる。
あの谷部へ滑らせれるか?
迫る雪山の尾根の一部にくぼんだ所が見える。
「たぶん、届く」
セインはうなづく。
---みんなどこかにつかっまれ!---
ガリッ
尾根に軽く接触。
ドスンッ!!
激しく雪原に衝突して滑落。
滑落中に一段下がる感覚がした。
「下側後部装甲破損」
オルドが左弦後部見張り窓に張り付いている。
そんなの飾りだ!!
「あとは船次第!」
「左後部装甲板が飛んだ」
それも飾りいらん!
心の中ではそろそろやばい状況だと感じる。
「セイン!左後アンカー」
ロックを外して引っ張る。
ダンっ!何かに乗り上げた。
島の破片だ。
「バランサーが飛んだぞ!」
左前に荷重がかかり右後ろが滑り出す。
--後で回収
ガラガラっとアンカーを引く音がする。
岩にひっかかり鎖が張るが、岩が掘り起こされて外れてしまう。
速度が落ち船首が90度ターンしたところで停止した。
さすが、うまい着陸だったのでセインをねぎらう。
船の滑った跡を左弦後部見張り窓から眺める。
「下部装甲持ってかれたな・・」
「だな・・」
「骨だけになったな・・」
「だな・・」
「雪かきでもしてくるか・・」
「だな・・」
「けが人の確認もお願い・・」
「だな・・」




