実践演習【後編】
大学病院で実践演習中の6人。しかし、この大学病院はなにやら危険なようで…
山形と竜飛は苦戦を強いられていた。それは相手が子供だからである。第一子供の強い感情ってなんだよって感じである。
「おい。どうする?」
「そんな時に資料を見るんじゃないんですか?」
「確かにそれもそうだな。」
山形は資料に目を通す。
(この子供達には病院内で亡くなった子供の他に、病院内で行方不明になった子供達も含まれている。)
「病院内で行方不明?どういうことですか?」
「わかんねぇよ…ただ、この病院、予想以上にヤバそうだぜ…」
「なんでそんなところで実践演習をさせたんでしょうかね…?」
「さあな。とりあえず、これが終わったらあの教官をぶん殴ることは確定したってことだ。」
「オニイチャンタチ…ナニシテルノ?…」
不意に後ろから霊に話しかけられた。2人はおどろいたが、平静を保ってこう言った。
「なんだガキ。俺たちのことがそんなに気になるか?」
「オニイチャンタチ……ココハアブナイヨ……」
「ソウダヨ……ココニイタラ……ミドリノオネエサンガクルヨ……」
「緑のお姉さん?なんだそいつ」
謎の人物の登場に疑問を提示する山形
「フクハフツウノオネエサンナンダケド、カラダガミドリナンダヨ…………」
「なんだよその化け物は……」
「もしかして、君たちはそのお姉さんに何かされたの?」
「ソウダヨ………ボクタチ…………コロサレタノ………」
「なんだって!おい!緑のお姉さんってなんだ?」
「僕ですか?うーん。予想ですけど、多分ナース服を着たゾンビ。所謂ゾンビ看護師ってやつかと。」
「ゾンビ看護師?そんなやつがいんのか?」
「ソノオネエサン……イスヲウンテンシテタ……」
「椅子を運転?車椅子のことか?」
「ボクタチ……コワクテソトデレナイノ……ダカラアソンデ?……」
「え….?」
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柊哉としゃくちゃんは霧峰と別れた後、404号室へ向かった。
「404号室ってどこなの?」
「ここの最奥だ。」
「げっ。遠いじゃん」
「もう少しだから。」
「しょうがないなぁ…アイス一個で検討してあげる」
「1番安いやつでいい?」
「氷菓じゃなくてラクトアイスね。」
「はいはい。バニラアイスな。」
「よっしゃ!」
そんなこんなで404号室についた。窓から覗くと衝撃的な光景を目の当たりにした。
「首吊り…!」
なんと首吊り死体である。
「見た感じまだ若い、柊哉くらいだね。」
「死体を俺で例えないで?」
「ごめん」
柊哉は資料で404号室を調べた。
(この病室には、首吊りの霊がでる。その霊は全身の肉が削ぎ落とされたような痕がある。)
「かわいそうに…」
(おそらく誰かに殺された。)
「なるほど…」
「いくの?」
「行ってみないとわからないだろ。」
「ほんとは?」
「すごく怖い。でも行かないとだろ。」
「そうだよね…」
2人は恐る恐る病室の扉を開けた。部屋は冬場のような寒さをしていた。2人が部屋に足を踏み入れた瞬間、首吊り死体が2人の方は向いた。
「イタイ……クルシイ………」
覚悟を決めた柊哉は真剣な眼差しで首吊り死体を見つめ、こう言った。
「お前は、殺されたんだ。首を絞められてな。そしておそらくその後首を吊られて肉を削ぎ落とされた。」
「チガウ…………イタイ…………」
「違うだと!?」
「ソウダ…………オレハクビヲシメラレテシンダノデハナイ……………ニクヲソギオトサレテシンダノダ。」
「そんな…なんてひどいことを…」
「お前は誰に殺されたんだ?」
「タントウノ……………"カンゴシ"ダ…………」
「看護師!?」
「柊哉。何か聞こえない?」
「何かってなんだよ。」
「それにほら、雰囲気も少し…」
「なんだって………………は!?」
確かに何か聞こえてくる。そして雰囲気も少し澱んできている。何かとは何か。それは車椅子を転がす音だ。
「ア…アアア…"ヤツ"ガキヤガッタ………」
「まさか例の看護師!?」
次第に車椅子の音が大きくなってくる。2人は勇気を出して振り返った。そこには車椅子を転がしながらこちらに近づいてくる看護師がいた。しかし、その看護師の顔色、というか肌の色が人間のものとは違う。明らかに腐っている。
「貴方たちは誰ですか?勝手に人の病室に入ったらダメでしょう…?」
キィー、キィー、という音を響かせながらこちらに近づく。
「どうしようどうしよう…」
「落ち着け。まずはやつの正体を掴むことだ。」
「おいあんた!ここの担当の看護師の名前は?」
「………"モリシタ"………"シホ"……………」
「誰だそいつ…?」
「もしかしたら資料に…!」
「病室から出てゆきなさい!!」
車椅子のスピードが上がった!
「柊哉!前!」
「わっ!横に逃げるぞ!」
2人は咄嗟に横に避けた。しかしそんなものはその場しのぎにしか過ぎない。その看護師はもちろん追いかけてくる。
「とにかく逃げるぞ。」
「うん!」
2人は必死で看護師から逃げた。逃げてる途中で霧峰にあった。
「どうした?そんなに焦って。」
「いいところにいた。霧峰、"モリシタシホ"っていう看護師を調べてくれ。」
「なんでだよ?」
「頼む。黙って調べてくれ。」
「おう、わかった。」
その尋常じゃない焦り具合から何か特別な理由があるのだと霧峰は察した。
霧峰に頼み事をし、2人は必死で逃げた。そして端のトイレに辿り着いた。2人はトイレの個室に隠れた。スマホのライトで手元を照らし、資料を漁った。スマホには一件の通知。外から車椅子の音が聞こえてくる。どうやら看護師はここに気づいたようだ
「これも違う…これも違う…これか…?」
手に取った資料は地下駐車場の霊の資料。そこには医者と浮気をした看護師の名前が載ってあった。そこに書かれていた名前は………!
「みいつけた。」
トイレの上からあの看護師が覗き込む。
「うわ〜。見つかっちゃったか〜。でもな。俺らも見つけたぜ。あんたの正体をな!」
「まず、あんたはある医者と不倫関係にあった。しかし、その医者の奥さんに不倫現場に突撃されて、医者が刺し殺された。そして奥さんも自害した。人が死ぬ場面を目撃したあんたは死ぬことに対してひどく恐怖するようになった。そして不老不死を目指すようになった。その方法が"カニバリズム"。つまり食人だ。若者の肉を食べて不老不死になろうとした。その標的になったのが404号室の彼だ。お前は彼の肉を削ぎ落として食べたんだ。そしてお前が次に目をつけたのが子供だ。子供は若いとかいうレベルじゃないからな。お前の目的にぴったりだ。だからこの病院は子供の失踪事件が多発している。しかし皮肉なことに、そんな食人を続けた結果精神が崩壊した。不老不死を追求するあまりお前は錯乱状態に陥り死んだ!その不老不死を求め続ける崇高な探究心こそがお前の霊体だ!」
「ふふふふふ…生意気なガキね…貴方も私の目的のために死んでもらうわ。」
「はっ。もう死んでるやつが不老不死だなんて笑わせるな。」
柊哉はドアを蹴破ってトイレから脱出する。
「逃げることしかできないのかな?ふふふ……恐怖をたっぷり与えた後にゆっくりと食べてあげる…」
2人は来た道を戻る。看護師は原型をとどめていないが、エネルギーの強さ的には先ほどと対して変わらないようだ。
「ねぇ。どうする?私たち武器ないよ?」
「しゃくちゃんが攻撃するんじゃないの?」
「どうやって?近接攻撃なんて怖くてできないよ…」
「遠距離から攻撃か…霧峰呼ぶか。」
「おいどうした!なんだこいつは!」
「ちょうどいいところに来た!」
霧峰がナイスタイミングで合流した。
「霧峰。後ろのやつにショットガンで攻撃できるか?」
「まあ…できんことはないけど?」
「やってくれないか?」
「わかった。」
霧峰は急に振り向き看護師にショットガンを放つ。
「うっ…そんなもの!効かないんだから!」
「なんか全然聞いてる素振りないぞ?」
「次は足を狙え!」
「わかった!」
「貴方から先に食べちゃうわ!」
飛びかかる寸前看護師の足にショットガンを放った。
「うっ…お前よくも私の綺麗な足を!」
「次は肩だ!」
「おうよ!」
動けない看護師の肩にショットガンを撃つ。
「ああ!くそガキ!」
「いまだ!畳み掛ける!」
「待って、私がやる。」
しゃくちゃんが名乗り出る。
「じゃあ2人でやるか?」
「いや。1人でやらせて。私はこいつを許せないから!」
覚悟を決めたしゃくちゃんが看護師に立ち向かう。
「貴方が私のご飯かしら。」
「いいえ。その逆よ。格の違いを見せてあげる。」
「私が足と腕を撃たれたからってイキってるだけじゃなくて?」
「ならその足と腕をさっさと治せ、その上で叩き潰す。」
「下に出てみたら、好き勝手言ってくれるじゃない。いいわ。治してあげる。」
「さっさとしろ。私は待つのが嫌いなの。」
しゃくちゃんの挑発に看護師の方も乗ってきた。
「よせ!それ以上は…」
「柊哉は黙ってて。これは私の戦いなの。」
「…………」
これまでみたことがないしゃくちゃんのオーラに柊哉は立ち尽くすしかなかった。
「もう治ったかしら。」
「もうちょっと……ああ…治ったわよ!」
看護師が不意打ちを仕掛ける。しゃくちゃんは余裕で躱す。
「ふっ…薄汚い女。やっぱり格が違うわね。」
「小手調べは終わったわ。全力で行かせてもらうから!」
看護師はメスを取り出して斬りかかる。しゃくちゃんはするりと躱していくが、端に追い詰められてしまった。
(しまった…!)
「そっちは壁よ間抜けさん?」
壁に追い詰められたしゃくちゃんの喉元に看護師はメスを突きつける。
「終わりね。」
「あんたがね!」
しゃくちゃんの声色が変わった。一気に男声になった。そして背も高くなっていく。名前のまんまの身長、八尺へと伸びていった。
「な、なによこれ…!」
「ぽぽぽぽぽ……!」
しゃくちゃんは看護師の首元を掴み、エネルギーを流し込んだ。看護師は一瞬で0に還ってしまった。
(こ…こえええええ!)
霧峰と柊哉はかなり引いた。
看護師を0に還したしゃくちゃんは元の身長に戻った。
「はあ‥疲れた…柊哉?明日アイス2個買って?」
「は、はいわかりました。」
「???どうしたの。」
「いや、なんでもない。」
「!?誰だ?」
霧峰は後ろから近づくものに気づいた。そいつは首に縄がかかっている大学生だった。
「あ!404号室の!」
「あいつをやっつけてくれてありがとうございます。これで俺も成仏できそうです。」
そう言い残すと彼は0に還っていった。
「そう言えば、山形と竜飛は?」
「みにいくか。」
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「ネェ………ミドリノオネエサン……コロサレタ?」
「え?なんでわかったんだ?」
「ナンカ……カラダガフワフワシダシタ………ダカラ」
「浄霊の合図ですよ!ゾンビ看護師がいなくなったんです!」
「そうか!お前らよかったな!」
「ウン……アリガトウ……バイバイ……」
「じゃあな!二度と戻ってくんなよ!」
「バイバイ!」
0に還る子供たちを山形と竜飛は見送った。その直後柊哉たちが入ってきた。
「お前たち無事か?」
「お前らか?ゾンビ看護師ってのをやったのは。」
「ああ、そうだ。」
「すごいです!」
「でしょ?すごいでしょ?」
「そう言えば雲井のやつは一緒じゃないのか?」
「帰りに拾うか。」
「そうしよう。」
5人は地下一階の地下駐車場に向かった。
「おい、起きろ。」
霧峰が東京観光の恨みと言わんばかりに頬をはたく。
「うーん…」
「起きやがったか…」
「霧峰…おぶって…」
「はあ?ついに歩くことを忘れたか。」
「私は疲れたの…」
「ちっ…しょうがないな…」
霧峰は軽々と雲井を持ち上げておんぶした。
「ありがと〜。やっぱ降霊術は連続で使うもんじゃなわね。」
これにて実践演習は終わった。しかし、まだ確かめることがある。それを確かめるために6人は今から今から教官を詰めに行く。
題名変えました。覚えやすくなったんじゃないですか。




