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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
滋賀編【前編】
63/67

合流

ヤマノケを浄化した3人は支部に帰ってきた。その時大津支部からの呼び出しが…!

翌日の午前10時ごろ、3人は帰ってきた。


「おはようございま〜す!」


竜飛は勢いよく扉を開けた。


「え?ちょっと破廉恥やん…」


ソファで悠悟とあやめが横並びに寝ていた。その2人には服がなく、素肌が丸見えだった。


「起きてください。」


柊哉は悠悟の頭をしばいた。それに気づいた悠悟は目を覚ました。


「うーん…なんなん…」


悠悟は目を擦りながら見開いた。


「え!?」

「はやく服着てください…」


柊哉は半ば呆れながら言った。


「あ…あ…どうしよ…あやめ…」

「ん〜…ゆーくん…なに?」


あやめも目を覚ました。そしてこの状況をすぐさま飲み込んだ。


「キャー!!エッチやめて!」

「どっちがエッチなんだよ…」


柊哉はため息をつき、紙コップに水を注ぐ。


「2人とも早く服を着てください。」

「わ…わかった…」


2人はそそくさと部屋に入っていった。


「まったく…」

「あはは…保護者みたいだね。」

「やめて?」


数十分後、2人が部屋から出てきた。


「長かったですね。」

「風呂入ってたからな。」

「その先には何があるんですか…」


その時電話がかかってきた。

悠悟は電話をとった。


「はい、はい。……またですか?……はい、分かりました。」


「なんですか?」

「大津に来いって。」

「え〜またなの?」

「今度は君たちも一緒にって。」


悠悟は柊哉の方を見ながら言った。


「俺たちも?」

「そうらしいで?」

「ねえうちらおととい行ったばっかじゃない?」

「しゃーない。…で、今日はあやめが運転して。」

「え〜!!」

「おととい俺運転したやん。」

「むぅ〜…」


あやめは不機嫌そうに頬を膨らませた。


「そんなんしても無駄。」

「や〜や!うち疲れたもん!」


あやめは悠悟の胸部を叩き、駄々をこねた。


「いいやん1時間くらい。」

「よくないし!」

「運転してくれたらなんでもいうこと聞くで?」

「ほんま?」

「ほんまほんま。」

「う〜…」

「………絶対やで?」

「絶対。」


悠悟は曇りなき眼であやめを見つめる。


「………しゃーないなぁ…運転したるわ。」

「よっし。」

「今からですか?」

「いや?夕方から。」

「そうですか…これからどうしますか?」

「ご飯食べよう。」

「みんなでですか?」

「せっかくやしみんなで食べようや。」


…


お昼ご飯を食べ終わった5人は大津支部に向かって出発した。


「聞きたいんですけど、どうして先輩はこんな感じなんですか?」


柊哉はあやめに聞いた。悠悟はすでに寝ていた。


「え〜…話すと長くなんで?」

「いいですよ。聞かせてください。」

「おっけ〜…あのね…」


あやめは前方から近づいてくる"なにか"が迫ってくることに気づいた。


「ごめん。この話なしね。」

「ええ?なんでですか。」

「話す余裕なんてないからや。」


あやめはハンドル大きく右に回した。


「うわっ!なんですかいきなり!」


車内が大きく揺れた。


「うーん…ちょっとなに…?………痛っ!」


悠悟は大きく頭を車にぶつけた。


「あやめ?」

「ごめんねゆーくん。」

「なんかあったん?」

「前方からなにかが…」

「えぇ??」


悠悟は後ろを振り向いた。

後ろから猛スピードで迫ってくる何かがあった。


「あれね。」


悠悟は怪人アンサーにプロンプトを打ち込んだ。


「いいやん。あやめ左だ!」

「おっけー!」


あやめはハンドルを大きく左に回した。

猛スピードで迫ってくるなにかをかわした。


「ちょっとどうしよう…」

「八尺瓊、後ろみてくれん?」

「後ろですか?」


柊哉は後ろを見た。そこには猛スピードで迫ってくるなにかの姿があった。


「あれですか?」

「多分そうやわ。姿みてくれん?」

「あんな早いのなんて見れないですよ。」

「憑依霊の力でみえんの?」

「そんな能力ないですよ。」

「ええ〜先輩こそ双眼鏡とかないんですか?」

「ああ!その手があったやん。」


悠悟は怪人アンサーにプロンプトを打ち込んだ。


「ありがとうな。」


悠悟は双眼鏡を柊哉にわたした。

双眼鏡を覗き込むと猛スピードで迫ってくるなにかの正体がわかった。


それは腰の曲がった老婆であった。


「!?」

「なんや?」

「ババアが…ババアが猛スピードで…!」

「ババアが?…なるほど、"ターボばばあ"ってやつか。」

「ターボばばあ…?部長も真剣な時にふざけるんですか?」

「いやほんまやぞ。」

「まじ?」

「まじ。…やばいことになったなぁ…」

「なんでですか?」

「ターボばばあに追いつかれると事故に遭うねん。」

「それやばいじゃないですか。」

「いやほんまに。」

「やばい!くるぞ!」


あやめはハンドルを大きく右に回した。

ターボばばあをかわした。


「よしっ!こちら側にきたんなら攻撃できる!」


悠悟はハンドガンでターボばばあを撃った。

ターボばばあは大きくこけた。


「効くっぽいわ。」

「どうするんですか?」

「攻撃をつづけんで。」


再度ターボばばあが迫り来る。悠悟はハンドガンで応戦する。


「これ当たってんの?八尺瓊、双眼鏡でみてくれん?」

「みますね。」


柊哉は双眼鏡でターボばばあを見た。


「微妙っすね…」

「うーん…どうしょかな…」


そんなことを言っている間にもターボばばあ迫り来る。悠悟はまたハンドガンで応戦した。


「あらら、弾ないなった。」


悠悟はハンドガンを怪人アンサーに戻した。

そして怪人アンサーにプロンプトを打ち込もうとした。


「"5025年の天気は?"」

「うわ…きた…!」

「部長?」

「あやめ、少しスピード落として。」

「ゆーくんどうして?ターボばばあに追いつかれるよ?」

「いや、それでいいねん。」

「うーん…わかった。」


あやめはスピードを落とした。ターボばばあは車に迫ってくる。


「ねえゆーくん!来てるよ!?」

「いいから。」


明らかに足音が聞こえてきた。


「ちょっと!!足音が聞こえてきてるよ!」

「もう少しやから…」


柊哉は窓の外を見た。ターボばばあはもうすぐそこにきている。


「先輩!すぐそこに!」

「よ〜し!あやめ!窓開けて!」

「うん!」


あやめは窓を開けた。その時ターボばばあが飛びのってきた。


「殺したちゃる!」


ターボばばあがあやめの首に向けて手を伸ばした。


「あやめ!伏せろ!」

「ええ?」


あやめは咄嗟に前屈みになった。


「天気は…晴れ!」

「"不正解です"」


悠悟はスマホの画面をターボばばあに向けた。

スマホの画面の中から白い腕が生えてきた。

その腕はあやめの上を通りターボばばあの首根っこを掴んだ。


「ぎゃっ…」


首根っこを掴まれたターボばばあはスマホの画面に吸い込まれた。


「ぎゃああああああああああ…」


…


「先輩、今のは?」

「この怪人アンサー。たまに質問してくることがあんねんけど、その問いかけに不正解やった場合スマホの中に吸い込まれんねん。」

「こわ〜…」

「そういうことね。そやったら最初から言ってや。」

「ごめんって…」

「別にええねんで?大津に行ったら償ってくれたらさ。」

「………おっけー。」

「ゆーくん不服そうだね?」

「いや…別に?俺が勝手なこと言ったのが悪いし…」

「わかってんのやったらええんやで?」

「はい…」


悠悟は悲しげな目をしながら眠りについた。


…


悠悟が眠りから覚めた頃、すでに坂本に着いていた。


「ここが坂本。大津支部がある街よ。」

「へぇ〜…なんか坂多いですね。」

「まあここは比叡山の麓やから。」

「なるほど…」

「うーん…いま何時?」

「今は18時半くらいかな?」

「ありがとう…じゃあ支部行くで。」


5人は車から降りた。


「どこですか?」

「ここや。」

「駐輪場?」

「すみませんマウンテンバイクにマカロニサラダトッピングでお願いします。」

「はーい。」

「なんですかこれ。」

「まあみとけや。」


その時後ろの壁が動き出した。


「こちらになります。」

「ありがとうございまーす。」

「ね?」

「古典的…」


5人は中に入った。


「ようやっときたか。待ってたで!」


勅使河原が出迎えてくれた。


「遅い!電話したの10時過ぎやけど?」

「まあ予定でもあったんちゃうの。」

「そんなんあるわけないやろ!?」

「そんなきれんとって。」

「チッ…」


千里はマッチでタバコに火をつけた。


「喫煙所で吸ってや。」

「うるさいなぁ…」


千里は喫煙所に向かった。


「………あんなんやけどいいやつやから嫌いにならんでな。」

「先輩は優しいんですね。」

「まあ?」

「で、何の用で呼んだんすか?」


悠悟が質問をする。


「そうそう。今日君らに来てもらったんわなぁ、調査のためやねん。」

「そらそやろ…」

「その調査とは…」


5人は息を呑んだ。


「ーー"学校の七不思議"や!」

「おお!本格的ですね!」

「七不思議なんは分かりましたけど、どこの学校ですか?」

「そこの上の、"延暦寺高校"や。」

「「…!?」」


悠悟とあやめが反応した。


「そこ…俺の母校やん…」

「まじ?」

「まじ。」

「あやめもやな?」

「うん。」

「あれ?そやったっけ?」

「そうっすよ。」

「………そう言えば先輩は怒ってないんですね。」

「まあ?そんなことで怒らへんよ。」

「でももう一人の方怒ってたじゃないですか。」

「あれはあかんからあんま気にしてんといて。」


悠悟が勅使河原の話に割って入った。


「おい…誰があかんって?」


勅使河原の背後から怒りに燃えた千里が現れた。


「いうてみいやゴルァ!!」


千里は悠悟の胸ぐらを掴み、ヤニ臭い息で追い詰めた。


「目の前のヤニ臭いお前じゃ。」


悠悟はニヤリと笑い、挑発した。


「ああ!?いてまうぞワレェ!」

「ヤニ臭え口閉じろやこのボケ!」


悠悟は胸ぐらをを掴み返した。


「よっしゃ決めた。今から殺す!」

「ゆーくん落ち着いて。」

「ちょっと2人ともやめて。」


勅使河原とあやめが肩を掴んで止めようとする。


「「うるせぇ!黙ってろ!」」


2人は同時に威圧すると取っ組み合いを始めた。


すぐさま勅使河原は2人に鉄拳制裁を下す。


…


「反省した?」


悠悟と千里は互いにそっぽを向いている。


「はぁ…今日の夜ご飯はみんなで食べようと思ってたけど、君らがこんなんなら無理そうやな。」

「え…あたい楽しみにしてたのに…」


急に振り向き、上目遣いで勅使河原の目を見た。


「酒入って喧嘩したら店に迷惑がかかるでしょ?」

「でも…!あたい新人くんとお話ししたいし…」


千里は下を向き、涙を交えた声で答えた。


「だめ。悠悟と喧嘩しちゃうでしょ?」

「やあ…!しないから!」


千里は勅使河原の大きな腹に抱きついて懇願した。


「絶対喧嘩しないからぁ…」


ついに千里は泣き出した。


「泣いてもだめや。」

「だっで…みんなでだべたい…」


悠悟は呆れた顔をした。


「俺はいいっすよ別に。行かんでも。」


悠悟はため息混じりに言った。


「悠悟…いいんか?」

「俺らもう一緒に食べてるし、八尺瓊たちも先輩のこと知りたいやろうしな。」

「そうか…じゃあ行こう。」

「ほんと!?わーい!」

「行くからさ、悠悟にごめんなさいしよっか。」


勅使河原は千里の頭を撫でながら言った。


「……ごめんなさい。」

「俺こそごめんなさい。」

「………よし、じゃあ行こう!悠悟準備して。」


勅使河原が手を叩いた。


「俺もすか?」

「当たり前やろ?1人だけバフるわけないやん。」

「流石っす!」


…



高島支部の5人と大津支部の2人は合流した。

その後、居酒屋で食事を済ませた後、七不思議の調査のためもう一度支部に集まった。


「で、なんで七不思議の調査なんかするん?放課後の魔術師とかおるんか?」

「放課後の魔術師もおらんし、7つの呪いもふりかからんで。」

「じゃななんで?」

「昨日かな…一昨日やったかな…1人の生徒が行方不明になったんや。」

「それと七不思議とは全く関係なくないすか?」

「その生徒がおらんなってから、学校に変なやつらが現れるようになったそうや。」

「変な奴ら?」

「まあおそらく霊やな。情報によると、体操のブリッヂをしながら追いかけてくる男子生徒がいたらしい。」

「怖いですね…」

「で、その話を年配の先生に聞いたところ、昔その学校で流行った七不思議の中にいるらしいねん。そのブリッヂ野郎が。」

「なるほど…つまり、昔流行って七不思議に対する恐怖心が今になって霊体を成したわけですね?」

「おお、柊哉ええやん。」

「あざっす。」


柊哉はヘコヘコと頭を下げた。


「つまりはただの霊やん。」

「そう。だが、七不思議。あと6体おんなじようなのがおるっちゅーわけやな。」

「そうやん…やば。」

「せや。この任務はやばい。心してかかるんや。」

「「「「「はい!」」」」」


みんなが一斉に任務の準備に取り掛かった。

その陰で、千里はしゃくちゃんを連れて行った。


「しゃくちゃんさぁ…変なこと聞いていい?」

「?なんですか?」

「君って…"神"なんちゃう?」

「え?神?どうしてですか?」

「いや〜…なんかそう感じてやな…」

「勘ですか…?」

「勘やねんけど…あたいって巫女やねんか?やからわかるっていうか…」

「なるほど…実は私にもよくわからないんです。自分では霊だと思っています。柊哉に憑依しているし。でも、千里さんは神だと思うんですよね?」

「せやな…なんか、あたいに近い気がするんよな…」

「そうですか…実は私にも少し思うところがあるんですけど…」

「それってなんなん?」

「私って"八尺様"じゃないですか?」

「そやな。自分でもいうてたし、悠悟や柊哉もいうてたな。」

「でも、おかしくないですか?怪異、霊に対して"様"って。敬称ですよ?」

「"霊に対して使うわけないですよね…?"」

千里なぁ…最初ちょっと変やな…

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