大津支部
河童を退治した柊哉と竜飛。一方悠悟とあやめは大津支部に呼び出されて…!
翌日。
「おはようございます。」
「おはよー。」
「部長は?」
「寝てるよ。」
「そうですか…」
「体どう?」
「痛いですよ?」
「そうよねぇ…今日は無理そうかな。」
「ちょっと無理そうですね…」
「だよねぇ…じゃあ今日は君たち二人は何もしなくていいよ。」
「あの、労災おりますか?」
「大津支部に問い合わせてみないとわかんないなあ…」
「じゃあ…」
「めんどいし〜…」
「「えぇ〜…」」
…
11時過ぎ、悠悟が部屋から出てきた。
悠悟は頭を抑えていた。
「頭痛ですか?」
「ああちょっとな…」
「だいぶ痛そうですけどね。」
「おまえがいうん?」
全身包帯まみれの柊哉が心配している。こんなに自分を客観視できない人は初めて見た。と悠悟は思った。
悠悟はそのままウォーターサーバーまで歩いた。
そして紙コップに水を汲んだ。
そのまま椅子に座り、デスクの棚から薬を取り出し飲んだ。
「眠そうですね。」
「ほんまに眠い。このまま寝れるわ。」
「またですか。」
「いや…起きなあかんな…」
悠悟は重い腰を上げた。その時足の指をデスクの角にぶつけた。悠悟はそのまま倒れ込んだ。、
「いった…」
「大丈夫…?」
あやめが肩を持ち、椅子に座らせた。
「コーヒー淹れてくるから目ぇ覚ましてね?」
「ありがとう…」
悠悟は椅子に深く腰掛け、目を擦りながらリラックスしている。
(なんでこんな人が部長なんだろう…)
「はい、コーヒー。」
「ありがとう…」
悠悟はシュガーとミルクを入れてコーヒーを口にした。
「痛みは引いた?」
「まだ若干残ってる…」
「じきに引いてくるよ。」
あやめは悠悟の頭を撫で、トレイを戻しにいった。
その後をしゃくちゃんは付いて行った。
「あれ?どしたん?」
「あやめさん。どうしてあの人が部長なんですか?」
「どうしてって?」
「どう考えてもあやめさんの方が向いてるじゃないですか。」
「うーん…そうかなぁ。うちはゆーくんの方が向いてると思うなぁ。」
「どうしてですか?」
「あの子、あんなんだけど強いねんで?」
「そうなんですか…?」
「そうや?信じられん?」
「信じられないです…でも、強いのと部長は関係なくないですか?」
「そうやけど…正直うちもなんでゆーくんが部長なんかはよーわかってへんねん。」
「なんでですか?」
「大津支部の先輩達がきめはったことやし…」
あやめはドアを開け、給湯室を後にした。
「あれ?なんも持ってないの?」
「うん。」
「まじでなんでいったん。」
あやめは悠悟に近づいた。
「どう?治った?」
「だいぶましになったな。」
「よかった…」
あやめは悠悟の頭を胸に寄せて撫でた。
「なあ、暇ちゃう?」
「暇。」
「どっかいかへん?」
「どっかって。どこかあんの?」
「うーん…大津市やったら割とあるけどなぁ…」
「あかんで君ら。今日はここでお留守番や。」
胸に顔を埋め、籠ったような声で言った。
「えーなんでですか。」
「今日は俺ら出かけんねん。支部には誰か一人残っておくってルールがあるやろ?だから今日は君らはここ。」
「そんなルールあんの?」
「あんで。知らんの?」
「知らなかった。」
「ええ〜なんもしらんやん。」
竜飛は呆れた声で言った。
「デートなのに11時起きなんですね。」
「デートちゃうよ。」
「そうですか。」
「デートやろ。」
「デートちゃう!」
「デートちゃうの…?」
あやめは甘い声で囁いた。
「もうなんでもええよ…」
「やったぁ…えへへ…」
あやめは悠悟をさらに押しつけた。
「さ。着替えよ?」
あやめは悠悟の肩を持ち、腕を組んで部屋に入って行った。
「やっぱりデートだよな?」
「なんでもいいって言ってたしデートなんちゃう?」
「確かに。」
「なあなんか食わん?」
「なんかって?この辺なんかあんの?」
「ほら、昨日食ってたやん。」
「ああ、ハンバーガー?」
「そうそう。」
「いいな〜…食べるか。」
その時二人が部屋から出てきた。二人とも整った格好をしていた。
「じゃあ、お留守番よろしくね?」
「はい。」
二人は支部を後にした。
…
支部から出た二人はありえないものを見た。
小学校の近くにある沼地。そこに学校ほどの大きさのカエルが鎮座していたのだ。
「なあ、あれなんや?」
「きゃっ…!なにあれ?」
「気づかれたらやばそうやな…」
2人はゆっくりと駐車場へと向かった。
校庭を抜けた時、カエルがコチラを見た。
「やばっ…気づかれたか…?」
カエルは2人を睨んでいる。
カエルは舌を伸ばしてきた。
「うわっ!」
2人は間一髪のところを避けた。
「ゆーくんどうしよう…」
「戦うしかないんちゃう?」
そういうと悠悟はポケットからスマホを取り出した。
悠悟はアプリケーションを起動した。
「怪人アンサー、ハンドガンを出して。」
スマホの画面の中からハンドガンが出てきた。
「行こう。」
「うん…」
2人は沼地へと近づいた。
カエルは2人に対して舌を伸ばしてこうげきする。
2人は難なくかわしながら沼地へと進んでいく。
…
「ようやっとついた…覚悟せえよ!カエル野郎!」
悠悟はカエルの脳天に向けてハンドガンを撃った。
強靭なカエルの皮膚は銃弾を跳ね返した。
「は?硬すぎやろが。」
カエルは長い舌を振り回し攻撃する。
2人は走りながら避ける。
カエルの舌は周りの木々を薙ぎ払い、2人を追いかけまわす。
2人はなんとかして草むらに隠れた。
「あやめ、あれ持ってる?」
「持ってんで。」
「ようやった。じゃあ、それ使うわ。」
「なにするん?」
「まあ俺の指示に従えや。」
…
カエルは長い舌を振り回して2人を探っていた。
その時あやめが草むらから出てきた。
カエルはあやめを見つけると舌を巻きつけた。
そしてそのまま飲み込んだ。
あやめは食道に挟まれ身動きが取れなくなっている。カエルの体内から生成される毒素はあやめの体を徐々に溶かしていく。
その時草むらから双眼鏡の先端が飛び出た。
「飲み込んだな…」
悠悟の作戦は非常にシンプルなものだった。
まず、悠悟の怪人アンサーでC4爆弾を大量に生成する。
次にあやめのクローンに全てのC4爆弾をくっつける。
最後にカエルに飲み込ませる。
…という作戦である。正直飲み込むかどうかはやってみないとわからない。しかし、舌で攻撃してくるから舌だけでも破壊することはできるだろう。
…
「かかったなまぬけ!」
悠悟は起爆スイッチを押した。
カエルの口の中から煙が立ち込める。
次の瞬間…!カエルの腹が急激に膨らみ、内側から破裂した。カエルは木っ端微塵となり四方八方に飛び散った。
「よっしゃ!やったであやめ!」
悠悟は勢いよく草むらから飛び出した。しかし、カエルを倒したのにも関わらずあやめは不機嫌そうな顔をしている。
「………どしたん?」
「うちのクローン…飲み込まれた…」
「………」
「見てて悲しかった…」
「あの…それは…ごめん…」
「爆発もした!木っ端微塵に砕け散った!」
「ごめんって……」
「謝罪はいいから…態度で示してよ…」
「態度?土下座でもなんでも…」
「そんなんいらん…」
「え?ちょっと…」
悠悟はいきなり草むらに引き摺り込まれた。
そしてあやめに押し倒された。
「いくらクローンでも、うちはうちなの…大切に扱ってや…」
あやめは涙を浮かべながらそう言った。
悠悟は降り注ぐ涙を真摯に受け止めた。
「ご…ごめっ…んっ!」
悠悟の視覚・嗅覚・味覚があやめに支配された。味蕾はあやめの舌の味を認識し、鼻腔にはあやめの匂いが充満した。
「はぁ…はぁ……ここでやんの…?」
「態度で見せてって言ったやん…」
「いや、せめて車で…」
「や…ここでやんの…」
「ねえ…虫とかおるからさ…車でしよ?」
「やあ…」
「も〜…」
悠悟はゆっくりと起き上がった。
「してくれるん?」
悠悟はあやめの脚を持ち、全身を両手で支えた。
そしてそのまま車まで戻って行った。
「なあ…機嫌なおしてや…」
「うちのこと大切に思ってへんのや…」
「そんなことないって…」
「じゃあなんであの時にせんかったん?」
「あそこは虫が多いやん。だからあやめが虫に刺されないようにしたんやん…」
「言い訳…」
「ちゃうよ…」
「うちは別にあそこでも良かったで?」
「………」
「やのにゆーくんが無理やり車まで連れてったやん…」
悠悟に我慢の限界が訪れた。
「も〜!話してても埒あかんわ!」
悠悟は突然助手席に体を乗り上げた。
「こーすればええんやろ?」
悠悟はあやめの顔を抑え、激しく口付けを交わした。
「どや?」
「とってつけたようなキスなんかいらんねん…」
「そうか…じゃあもうええわ。クリーナーかけるから汚れても構わんし。」
悠悟は助手席の方に移動し、抱擁をしながら再度口付けを交わし、リクライニングを倒した。
「やあ…ゆーくん嫌い…」
「じゃあもう一回好きになってもらうまでや。」
…
「ちょっとおそない?」
「まあなんかトラブルちゃうの?」
「いやだって2時間動いてないで?」
「うーん…どうやろな?」
「3時には来いってゆうたのにさ…はぁ…」
…
「もうええか?」
「うん…//」
悠悟はエンジンをかけながらあやめの頭を撫でた。
「えへへ…//ゆーくんだいすき…//」
「じゃあいくで?」
「や…まってよ…」
「なに?まだあんの?」
「ゆーくんぎゅーして…//」
「ええ今?」
「いいやんして…」
あやめは運転座席に乗り出し、悠悟に抱きついた。
「あやめ?運転できひんのやけど。」
「ゆーくんあったかい…ずっとこのままがいいなぁ…//」
「なぁ。運転できひんからさ、ちょっと横にズレてくれへん?」
「いいよ〜//」
あやめは少し横にズレると、悠悟の首筋を舐めた。
「運転中はやめてな?」
「えーしゃあないなぁ…」
「じゃあ今度こそいくで?」
2人はやっとこさ出発した。
竜飛と柊哉、しゃくちゃんは今までの時間でハンバーガーをお持ち帰りし、食べ終わっていた。
…
高島から車を走らせて1時間、大津市についた。
ここは坂本さかもと。そびえたつ比叡山の麓に形成された街は激しい傾斜が特徴的である。
そんな街にも、当然支部は存在する。
「確かここよな…?」
「多分ね…」
京阪電車石山坂本線。終着駅の坂本比叡山口駅。その側にある駐輪場。そこに支部は存在する。
「すんませーん。」
「はい。」
「マウンテンバイクにマカロニサラダトッピングでお願いします。」
「わかりました…」
駐輪場の改札のおじさんはスイッチを押した。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
駅のホームの側面に隙間が開いた。そこからは風が吹き抜けている。
2人はその中は入って行った。
「懐かしいなぁ…」
狭い入り口を抜けるとすぐに廊下が現れた。
その奥には高島支部と同じような厳重な鉄扉があった。
「おもっ…」
重い鉄の扉を開けると、人が2人待っていた。
「やっときたん?」
「おつかれ〜」
優しそうな体型をした男性と目つきがきつい女性とが出迎えた。
優しような体型をした男性は勅使河原政大。体型に負けじと性格も優しい人である。
目つきの悪い女性は秋雨千里。巫女装束を纏っている。しかしヤニ臭く、髪の毛も染めている。
「で、説明してや。ちゃんとホワイトボードも買ったから。」
「はい。では、まずは…」
悠悟はマーカーを手に取り、ホワイトボードに書きながら説明した。
悠悟たちが呼ばれたわけは、妖怪についてわかりやすく伝えるためである。
…
「……といった感じっすね…」
「なるほど…これは早急に手を打たないとやな…」
「もっとはよ教えてくれたらよかったのにな。」
「なに?文句あんの?」
「いや〜?」
千里は挑発的な態度で返事した。
「悠悟。今日は泊まってくん?」
「そうっすね…めんどいんでね。ホテル泊まりますわ。」
「そうなん。気をつけてな。」
「ちす。」
2人は支部を後にした。そしてそのまま車に乗り込んだ。
「せや。あの子らにメールせなな。」
「ああせやった。」
「"もし誰か来たら君たちで対応しといてな〜"」
…
「今日はここで車中泊しよう。遥〜起きてる〜?」
返事はない。
「起きてへんか…」
その時車の外から声がした。
「テン……ソウ……メツ……テン……ソウ……メツ……」
「なんやこの声は…」
男性は窓の外を見た。そこには全身が白く、首がない化け物がいた。顔は人間で例えるところの胸部についており、ニタニタと笑っていた。腕は細長く、強靭な脚が一本生えていた。
その怪物は腕をぶんぶんと振り回したながら遥に近づいていく。
「な…なんだありゃ…」
男性は恐怖で体が震えてきた。
その怪物は遥の目の前まで来た。ガラス越しに遙を見ている。
「おい!てめぇ!遥から離れやがれ!」
男性が恐怖に打ち勝ち大声を張り上げた。
その途端怪物は消えた。
「はあ…消えたか…?」
男性は安堵のため息を漏らした。
ーーしかし、数秒後男性はまた恐怖心が芽生える。
「テン……ソウ……メツ……テン……ソウ……メツ……」
先ほどと同じ声がした。
「は………?なんでまた…?」
男性は窓の外を見た。あの怪物はいなかった。
しかし、依然として例の声は聞こえてくる。
その声の在処を知った時男性は絶望した。
男性はおもむろに後ろを振り向いた。
ーーそこには先ほどの怪物と同じようにニタニタと笑いながらぶつぶつと何かを呪文のように呟く遥の姿があった…
「テン……ソウ……メツ……テン……ソウ……メツ……」
正直悠悟とあやめのエロシーンってキモいんやけど、それっていうのは現実的な関係性ではなくてあくまでファンタジー的な関係性やから許して欲しいってのはあるよね。でも自分で書いててもキモいと思うのはどうかと思うけどな。なんでこんな設定にしたんやっていうと、こういうシチュエーションが俺の癖に刺さるからですね。なんかすごく抱きついてくるみたいなね。どんだけ愛に飢えてんねんな。俺が一番妖怪やろ。




