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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
滋賀編【前編】
59/67

妖怪

高島支部に配属された柊哉としゃくちゃん。

そこでの二人の自由奔放な仕事ぶりに困惑を覚える。

ーーその裏で京平はリンフォンを完成させる…!

「うーん…わかんないなぁ…」

「京平やったろか?」

「やってくれ。」


京平は赤いマントの男にリンフォンを手渡した。


「京平くんには難しいんかな?」

「うん。ちょっと俺には難しいみたい。」


蛭間はポテトを食べながらパズルを解く様子を見ている。


「いいんちゃう?ほら。」

「おお。いい感じやん。」

「できた?」

「いや?もうちょい待ってや。」


赤いマントの男は集中しながらリンフォンを解いていく。


「お!きたで!」

「おお!……これはなんの形なん?」

「多分"鷹"ちゃうか…?」

「鷹…?」


その時、リンフォンは光を発した。


「うわっ!びっくりした…」

「え?なになに?なにが起こったん。」

「これで、"妖怪"の封印が解けた…」

「妖怪?京平くんなにそれ?」

「妖怪ってのは、大昔、平安時代とか江戸時代とかにおける怪異みたいなものなんだ。」

「なるほど…それをリンフォンに封印していたんやね。」

「そういうことだな。」

「で、封印を解くことに意味が…?」

「いや、ないぞ?」

「ないんかい。」

「まあ次のステージに向かうときに仕方なく解放してしまった感じだし。」

「ああ…まあ…しゃーないか…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日…高島支部では、


「おはよー」

「おはようございます。」

「あれ?部長は?」

「ゆーくんならまだ寝てんで。」

「そうですか…」


あやめは眠い目を擦りながら洗面所へ向かった。


10時過ぎ、悠悟が部屋から出てきた。


「おはようございます。」

「ああ….おはよう」


ガサガサに掠れた声で挨拶をしてきた。


「あの…ここって朝礼とかないんですか?」

「ないで。そんなんやっても時間の無駄やし…」


冷蔵庫を開けながら悠悟は答えた。

悠悟はコーヒー牛乳を取り出し、コップに注いだ。


「朝は食べないんですか…?」

「俺はブランチはやからな…」

「ブランチ…?」

「朝ごはんと昼ごはんを融合したやつやで。」

「へぇ〜…」


その時電話が鳴った。悠悟は電話をとった。


「はい。…はい。…はいわかりました…はい。」

「なんだったんですか?」

「近頃なにやらやばいやつが姿を現しているらしい。」

「やばいやつ?」

「俺たちが戦ってきたのは霊体があってそれにマイナスのエネルギーが詰め込んであるようなやつやろ?」

「そうですね。」

「それがな、そのやばいやつってのは、マイナスのエネルギーの塊やねん。」

「………つまりどういうことですか?」

「つまり、今までのやつは霊体とマイナスのエネルギーは別々だったやろ。しかし、そのやばいやつは霊体とマイナスのエネルギーが一緒やねん。」

「え…?それって…?」

「マイナスのエネルギーが一個体として存在できるくらいにまで強大なものになっているということやな。」

「それってやばいじゃないですか。」

「そのやばいやつの名前はなんていうの?」

「"妖怪"や。」

「「「妖怪…」」」

「妖怪か…」

「ああ、やから気をつけろって話。」


悠悟はコップのコーヒー牛乳を飲み干した。


「で、どうするんですか?」

「俺?」

「はい。」

「俺は頭痛いしもう一回寝るわ。」

「「えぇ…」」


悠悟はまた部屋に戻った。


「部長はいつもあんな感じなんですか?」


柊哉はあやめに問いかけた。


「ゆーくんは頭痛持ちだからさ。あんまり言わないであげて?」


あやめは部屋のドアに手をかけた


「あやめさんも寝るんですか?」

「うん、ゆーくんが寝るって言ってたから。」

「別にねやんでもいいじゃないですか。」


竜飛が否定した。


「これさ、うちが言ったって言わんで欲しいんやけど…ゆーくんはトラウマを抱えてて、たまに夢にトラウマが現れんねん。そんときにうちが近くにいてあげないと…」

「いてあげないと…なんなんですか…」

「"ゆーくん死んじゃうかもしれんの"」


その場にはなんとも言えない空気が流れた。ただ、確かに言えることは、重苦しいということだけだ。


「し、死んじゃうって…」

「ゆーくんはトラウマのせいで一人になることを極端に恐れるの。それこそ死にたくなるくらいに。やから悪夢を見たときにはうちが近くにいてあげへんと…」


そう言い残すとあやめは部屋の中に入って行った。


「………なかなか重いんだな、あの二人。」

「な…」


空気を読まずにしゃくちゃんの腹の音がなった。


「えへへ…//」

「もう〜…なんか食べに行こうか?」

「ええやん。行きましょう。」


3人は昼食を食べに行った。


…


「ゆーくん一人で大丈夫やった?」

「あやめの声が聞こえてきてたからいけたで…」

「それはよかった…薬は?」

「飲んだ。だからもう寝るだけ…」

「そーなん。おやすみ…」


悠悟は布団に入り寝た。

あやめも一緒の布団に入った。


「あやめ…」


悠悟はあやめに抱きついた。

しっかりとした睡眠が取れそうである。


…


3人はファミレスに行った。


「なに食べる?」

「ステーキセットかな…」

「じゃあ俺もおんなじのにしよ。竜飛は?」

「僕はハンバーグセットにします。」

「決まったな?」


柊哉は呼び鈴を押した。


「ご注文お伺いします。」

「ステーキセット2つとハンバーグセット1つで。」

「以上でよろしいですか?」

「はい。」

「ご注文繰り返させていただきます。ステーキセットがおふたつ、ハンバーグセットがおひとつでお間違えないでしょうか?」

「はい。」

「かしこまりました。スープバーは向かって右側にございます。では失礼します。」


店員は去って行った。


…


スープも各自取り、注文の品も届いて食べている頃、他の席から気になる噂を聞いた。


「ねぇ…最近安曇川で"河童"がでるの。」

「河童?」


「河童にあったら逃げるのよ。尻子玉取られるからね。」

「なにそれー」


「河童だって…」

「河童って…あの?」

「そうだよね。」

「もしかして、今朝言ってた妖怪なんじゃないですか?」

「ああ…あるかもね。」

「聞き込みする?」

「したほうがいいんじゃない?」


3人は昼食を食べ終わると、小学校へと向かった。


「すみません…ちょっと聞きたいことがあるんですけど…」

「誰ですか?」

「まあ…警察ってことでいいですか」

「いやよくないやろ。」

「まあまあ、私服警察ですやん。」

「じゃあ警察手帳は?」

「………」

「まぁあええですやん。そない堅いこと言うなや。」


竜飛は強引に入って行った。


「ち…ちゃっと…!」

「すみませーん…」


3人は侵入に成功した。


「なんのようなんですか?」

「いや…先生と話せたらなって…」

「では、水江をお呼びします。」


数分後、おじさんがやってきた。


「教頭の水江です。」

「よろしくお願いします。」


3人はかしこまってお辞儀をした。


「なんや。礼儀正しそうやんけ。聞いてた話とちゃうなぁ〜。」

「単刀直入にお聞きします。最近、"河童"の話が広まってますよね?」

「ああ…せやなぁ〜…」

「その話、詳しく聞かせてください。」

「河童って言うても想像上の存在やで?川に現れて子供の尻子玉を狙うとか言われとるけどそんなん嘘に決まっとるがな。」

「でも、最近よく言われてますよね?」

「そやねん。それが不思議やねん。河童なんてわしが子供の頃に流行った話やし。」

「その当時はどんな話が流行ってたんですか?」

「今流行ってる話と変わらんで?真っ赤な河童が尻子玉をねろとるゆうはやしや。」

「真っ赤?」

「せやで?河童と言ったら真っ赤やがな。」

「そ…そうですか。ありがとうございました。」


3人は疑問を抱きつつ小学校を後にした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ブラックバスしか釣れへんやんけ…」


釣り人はブラックバスでパンパンのバケツを持って釣り場を移動した。

そして釣り糸を垂らした。


「………ん?引っかかった!」


釣竿はしなっている。今にもぱきっと折れそうである。


「こら大物やで!?」


釣り人はおおきく振りかぶって釣り上げた。


「うわっ!!」


釣り人は甲羅のついた生き物を釣り上げた。

その生き物はバケツの中のブラックバスをいきなり食い荒らした。


「は…?」


その生き物は釣り人の方を見た。

釣り人はゆっくり後退していき、草むらに身を隠し、その隙に逃げ出した。


その生き物の体は真っ赤だった…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「たいへんやぁ…!」

「なんやなんや!?」

「河童がでよった!」

「河童?ほんまかいな。」

「ほんまやほんま。川で魚釣っとったら出てきよったんや!」

「ええ〜?信用できんなぁ…」

「ほんまやって!」

「じゃあ、霊媒師さんのとこ行ったら?」

「霊媒師?」

「学校のよえもんさんの像のところに座ったらいけるで。」

「なんやねんそれ。その話の方が信用できんわ。」

「ほんまやねんて。」

「ほんまやな?いくで?」

「おう、いってきいや。」


釣り人は小学校に向かった。

そして中江藤樹の石像の土台に座った。

すると像が動き出した。


「うわっ!ほんまやった!」


釣り人はそのまま支部へと向かった。


…


その頃悠悟は昼飯を食べていた。


「これにもコーヒー牛乳なん?」

「ええやん。コーヒー牛乳うまいで?」

「うまいけどやなぁ…」


その時ドアが開いた。


「霊媒師さんですか?」

「霊媒師ではないけど…どしたん?」

「"河童"…"河童"がでたんや!」

「河童…?」

「そうや。甲羅があって、赤くて、魚食べとった!」

「赤?河童って緑とちゃうん?」

「俺が見たのは赤かってん!」

「赤い河童ねぇ…まあ話は聞きますから、一旦そこに腰掛けといてください。」


悠悟は釣り人をソファに座らせた。

タイミングよく柊哉たちも帰ってきた。


「部長!赤い河童です!」

「今その話をちょうどしとるとこや。」

「赤い河童を見たんですか?」

「正確にはこの人が見たらしいんやわ。」

「どこでですか?」

「安曇川や。そこで釣りしたった時に見た。…正確には釣ったと言った方が正しいやろな。」

「釣った?釣り餌は?」

「ただの餌やで?魚釣る時の虫や。」

「河童が虫に食いつくとは思えないな…」


柊哉は深く考え込んだ。


「安曇川に行ったら何かわかるかもしれません。」

「ええ…?俺もう安曇川にはいきたくないで?」

「やって。行きたくない人を無理やり行かせるわけにはいかんやろ?」

「うーん…どうしよう。」

「僕が一緒に行きますよ。」


竜飛が名乗り出た。


「お!竜飛くん!やってくれるか?」

「はい!」

「頼もしいやん。じゃあ任せたで?」

「はい!」

「あんたはどうすんの?」

「俺?」

「そうや?」

「一緒なら…」

「おお。じゃあ、4人でいってらっしゃーい。」


悠悟は4人を送り出した。


…


お茶を汲みに行っていたあやめが帰ってきた。


「あれ?ゆーくん来客は?」

「八尺瓊といったで?」

「あれそうなん。じゃあええわ。」


あやめは悠悟に手を重ねた。


「じゃあさ、昨日の続きしよ?」

「俺まだ飯食ってない…」

「うそ?」

「まじ。」

「そういやうちも食べてない…」

「そうなん。」

「「………」」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


3人は安曇川についた


「ここ?」

「せや。ここにおったんや。」

「おらんけどなぁ…」

「じゃあ…あの、名前は?」

「"梅村"って呼んでくれたらええで。」

「じゃあ梅村、さっきと同じように釣りしてくれ。」

「わかった。」


梅村は釣り糸を垂らした。

釣果を待っている間。しゃくちゃんは何かを感じ取った。


「………?」

「どうしたの?」

「なんか見られてる気がする…」

「どこから?」

「あの茂み…」


しゃくちゃんは川の先にある茂みを指差した。


「あそこから?」

「うん…」

「ちょっと行ってみる…?」

「そうしようかな…」


柊哉は梅村に話しかけた。


「ちょっと俺たち対岸の茂み行ってくるわ。」

「え?ちょっと…!」

「まあ竜飛もいるしさ。」

「こいつけ?頼らないって。」

「ちょい待て!どう言うことやそれは!」

「だからちょっと待っといて。」

「ええ…」

「ええは僕のセリフやろ。待て待て。」


柊哉はズボンの裾をあげ、川を渡って行った。


「ちょっと視線が強くなったよ…」

「すぐそこかな…」


柊哉は茂みを分け入った。


「ちょ…きてるって…」

「やばいやばい…」


何かがコソコソと奥に逃げ込む音がした。

柊哉はすぐに追いかけた。


「誰だあんたら!」

「あ…」

「ほらバレたやん。」

「それはお前が見とるからやんけ。」

「は?俺のせい?」


それらはごちゃごちゃと口論をしている。


「って…あんたら"河童"か?」

「そうだけど…?」

「河童って人を襲うんじゃ…?」


しゃくちゃんは質問した。


「それをするのは一部の河童やね。」

「一部の河童?」

「ああ、集団に馴染めなかった河童は生き物を襲って食べるんや。」

「集団に馴染めなかったって…?」


さらにしゃくちゃんが質問した。


「河童にも社会があってな。その社会に適応できなかったやつ、または罪を犯した河童がおるんや。」

「それはどんな河童なんだ?」

「ーー"全身を赤く染めた河童"やな。」

実は滋賀編の話の下書きは割とあって書き進めてるんやけど、最近の下書きと比べるとあやめと悠悟の絡みがキツすぎる。特にゆーくん呼びがキツイ。まあファンタジーやしな。現実ではないししゃーない。

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