高島支部
東京支部解体後、高島支部に異動が決まった柊哉としゃくちゃん。そこで懐かしい再会をする。
滋賀県高島市。滋賀県の市の中では一番広い面積を持つ。しかし、その大半は自然である。一面に広がる田園風景、聳え立つ山々、そして琵琶湖に流れる安曇川。自然豊かな滋賀県の中でも特に自然が豊かである。そんなところにも、民俗怪異対策課の支部は存在する。
「ここが高島市…」
「なんか伊佐波村思い出すね。」
「そうだな…」
2人は支部がある場所に向かった。そこはなんの変哲もない小学校だった。
「ここのどこに支部が…?」
「あれ?八尺瓊さん?」
懐かしい声がした。
「え?竜飛じゃん!久しぶり!」
「お久しぶりです!もしかして八尺瓊さんも?」
「ああ、俺もこの支部に来たんだ。」
「そうだったんですか。」
「なあ、支部の場所わかる?」
「いや?わかりません。」
「そうか…じゃあ一緒に探そう。」
3人は支部を探し回った。
「どこにもないですね…」
「はぁ〜…ちょっと休憩…」
しゃくちゃんは石像の台座に腰掛けた。
その石像は高島市出身の儒学者、"中江藤樹"の石像だった。
しゃくちゃんが腰掛けた途端、スイッチが起動し、中江藤樹の石像が地面に沈んでいった。そして、その穴の中にトンネルがあった。
「もしかして…ここ?」
「じゃない?」
トンネルから橋がかかっている。3人はそこに飛び降りた。
「この先?」
「そうだな。行こう。」
3人はトンネルの先を進んでいく。
「なんか、新しい建物の匂いするね。」
「ね。新築かな?」
3人はドアの前についた。
「この先か…?」
「開けますよ?」
「おう。」
竜飛は鉄製の厳重なドアを開けた。
その先には厳格そうな男性と、そのそばに立っている女性の姿があった。
(かっけ〜…)
(かわい〜…!)
その2人はまさに美男美女であった。
「君たちか。新人は。」
「は…はい。」
「俺がこの支部の部長"鳥海悠悟だ。よろしく頼む。」
かしこまった口調でそういった。まるで柊哉たちのことを問い詰めてる様な口調だった。
「私は淡津あやめ。よろしく。」
「「「よ…よろしくお願いします。」」」
3人はそんな彼らの態度に萎縮している。
「おそらく君たちはこの地に慣れていないだろう。散歩でもしてきたまえ。」
「は…はい。」
(いきなり追放…ここ異世界?)
「では、失礼します…」
3人はさっき入ってきたドアから出て行った。
…
「はぁ〜緊張したよ〜。」
「おつかれ〜…頭痛いから寝ていい?」
「え〜…えっちしたかったのに…」
悠悟はソファに横になった。
「ああごめん、水と薬とってきてくれん?」
「いいよ?」
あやめは部長の机の中に入っている薬を取り出した。
「はい水、薬。」
「ありがとう…」
悠悟は起き上がって薬を飲んだ。
その隙にあやめは机の下に潜り込んだ。
「ばあっ!」
「なあに?」
「えへへ…」
あやめは悠悟の上に座り、接吻をかわした。
その時ドアが開く音がした。
「「あっ」」
「何やってるんですか?」
ドアの先には竜飛がいた。2人は同時にドアの方を見た。
「あの〜このことはどうかもう1人には…」
「見てますよ。」
「「え?」」
竜飛の奥から柊哉としゃくちゃんが出てきた。
「見ちゃいました…」
「はぁ〜…バレちゃったか…」
「どういうことですか?」
「いやだってこんな感じな上司って嫌やん?だから厳格な感じで行こうかなって思ってさ。」
「そうなんですね…?」
「そうなの。だからさ、散歩してきてくれない?」
「それってえっちしたいだけですよね。」
「そうやけど?」
(えぇ…)
「えー俺は寝たいんやけど…」
「なんで〜えっちしないの〜?」
「頭痛いし寝させて。」
「むぅ〜…しょうがないなぁ…じゃあ一緒に寝よ?」
「じゃあそれで。てなわけで、散歩にでもどうぞ?」
(俺たちは何を見せられているのだろうか…)
2人は横の部屋に入っていった。立ち入り禁止の看板がかけてある扉だ。
「じゃあ俺たちは散歩いく?」
「う…うん。」
3人は再び散歩に出かけた。
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その頃3人は支部の外は出ていた。
「なあ竜飛、お前免許持ってるか?」
「持ってますよ?」
「おお!でかした!」
「よかった僕の車乗っていきます?」
「ありがとう!まじで助かった!」
3人は車に乗り込んだ。
「で、どこいく?」
「「………」」
「行くとこないですね…」
車内に沈黙が流れた。
「…車はやめよう。散歩しよう。」
「そうしましょう…」
3人は車を降りてあたりを散策した。
「しっかしなんもないところだなぁ〜」
「それが逆にいいんやないの?」
「そうなんかな〜…」
3人が歩いていると、一つの空き家を見つけた。
「なあしゃくちゃん、この空き家なんか変じゃないか?」
「これ?」
「そう、すごく嫌なオーラが宿っているというか…」
「そうですかね…?」
「ちょっと入ってみようよ。」
「ええ?待ってください!」
柊哉としゃくちゃんは空き家に入って行った。
その家は1階建てで、焼杉で作られた一軒家である。
天井からは光が差し込んでおり、屋根がまともに機能していないことがわかる。ガラスは割れ、柱にはシロアリが食い荒らした跡があり、なにか強い衝撃が来たらすぐに崩れそうな建物であった。
玄関から広間に出ると、そこには箪笥があった。その箪笥はボロボロだが、家に比べるとそんなことはなく、普通の家にあっても不思議ではないくらいのボロさであった。家に侵入してすぐにリビングと思われる部屋があった。
「それ、この箪笥開けてみようよ。」
「これですか?」
「なにか面白いものがあるかもよ。」
柊哉は箪笥を思い切り開けた。
中から日本人形が大量に出てきた。
「うわっ!」
溢れ出た日本人形は箪笥のそばに転がり落ちた。
「なんなんだよこれ…」
「ねぇ…奥になにかあるよ?」
「どれ…?」
柊哉は注意深く箪笥の奥を見た。そこには甕があった。
「なんだあれ…?」
「のぞいてみる?」
「ちょっと!なんでそんなに躊躇がないんですか!」
「まあいいじゃん。」
柊哉はそっと甕を取り出して中を覗いた。
そこに見えたのはなにかの液体に浸してある髪の毛と人間の指だった。
「ゆ…指!」
「ほら言ったやん!やばいって!」
「なにかの事件かもしれない。もっと探そう。」
「なんでやねんな…」
柊哉は台所まできた。
台所にはゴキブリが湧いており、シンク周りにゴキブリのコロニーができていた。
「うわきもっ!」
「この冷蔵庫とかも…」
柊哉は有無も言わさず冷蔵庫を開けた。
そこには蛇や蛙、蜈蚣の死体があった。
冷蔵庫の中からは耐えられないほどの悪臭がしている。
「は…?この家の人はなにがしたいんだ…?」
「さあ…?」
「さあ、最後は風呂場だな…」
「風呂場…」
3人は風呂場に移動した。
「開けるぞ…!」
「うん…!」
ここまでくると竜飛も乗り気である。
柊哉は勢いよく風呂場のドアを開けた。
…
風呂場には男性がいた。
その男性は風呂桶を見ていた。
その風呂桶は蛇、蛙、蜈蚣や蜘蛛などの毒虫でいっぱいになっていた。
「これは…!?」
「こ…蠱毒や…」
「蠱毒…?」
「ああ、毒虫同士で戦わせ、最強の毒虫を決める。その毒虫で呪詛をする、古代中国から伝わる呪術や。」
「そんなものが…なんでこんなところに…」
男性はこちらを見た。
「やばい…気づかれた…?」
男性はおもむろに自分の指をノコギリで切り落とし風呂桶の中に入れた。
そして、ノコギリを3人の方に向けた。
「次は…お前らのはらわたや…」
3人は恐れ慄いた。そして本能のままに逃げ出した。
男性はノコギリを床に引き摺りながら向かってくる。
「どっちだっけ…?」
「右だろ?」
右は台所、いきどまりである。
「あかん!行き止まりや!」
「次はこっちだ!」
広間に出た。出口はもうすぐだ。
ノコギリを引きずる音が大きくなってくる。
「出口や…!早よ開けて!」
「なんだこれ…立て付けが悪くて開かない!」
「なんでや…!」
「しゃくちゃん…!力を貸して!」
「え?」
「いいから!」
男性はもうすぐそばまで来ている。
しゃくちゃんは巨大化し、ドアを蹴破った。
3人は蹴破ったドアから逃げ出した。そして必死に支部まで戻ってきた。
そこにはソファに寝ころんでいる悠悟とその上に乗っかっているあやめがいた。
「どしたん?」
「いや…ちょっと…空き家に入っていたら人に追われて…」
「空き家?」
「はい。あのすぐそばにある焼杉の空き家あるじゃないですか…」
「なんなんそれ?あやめ知ってる?」
「なにそれ?うち知らないなぁ…」
「「え?」」
「じゃあ、さっきまで俺たちはどこにいたんだ…?」
「さあね。でも、脱出できたんやしいいんちゃう?別に異常ないし。」
「ほんとですか?」
「ああ。俺が見た感じはなんもなさそうやけどな。異世界人特有のオーラも出てないし。」
「そうですか…よかった…」
柊哉は息を切らしながらソファに座った。
「どうする?今夜はここに泊まる?」
「そうします…ちょっと外怖いです。」
「そうよなぁ…そおしい?」
「竜飛くんは?」
「僕もそうします…」
今日は全員支部に泊まった。
お久しぶりです。雷鳥です。ということで、滋賀編スタートです。前は9月とか言ってた気がしますが、前倒ししました。そして悲報です。滋賀編からは週一投稿にしたいと思います。




