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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
56/57

顛末

早乙女との死闘を制した京平。次に向かう先は…?

ーー東京編終幕…!

「ついたよ。ここが本部があるビルの屋上だよ。」

「ありがとうみさ。じゃあ俺は行くから、待っといてね。」

「うん。」


京平は蛭間をおいて屋上から飛び降りた。


「たしか13階だったな…」


京平は13階の窓の下に大幣を差し込み、その上に乗り護符をガラスに貼り付けた。


「よっと…あと3秒くらいかな?」


3秒…護符は爆発を起こし、窓ガラスは粉々に砕け散った。


「なにやつ!?」


京平は大幣に飛び乗って登場した。


「よお。」

「誰だ!?」

「あんたに用はないんだ。ここにある"リンフォン"を寄越せ。」

「リンフォンだと…!?あれは渡すわけにはいかん!」

「あっそ…じゃあ、力ずくで奪うしかないな…」


京平はため息をついた。


「ため息をつきたいのはこっちだよ…なんだよお前。いきなり爆破しやがって…」


本部長もため息をついた。


「まあいいや。こいつの試し斬りも兼ねてお前を斬り殺してやる。」


京平は桐箱を取り出した。そこには"妖刀村正"と書かれていた。


「なに!?それは妖刀村正…それは早乙女が守ってるはずじゃ…」

「早乙女?あああのおっさんね。強かったよ?でもね、殺しちゃったんだ。」

「は…?殺した…?」

「そ。俺としては人なんか殺したくないんだけど…邪魔するんだったら殺しちゃうよって感じでやらせてもらってるよ。」

「そうか…俺も人を殺したくはないが、外道を見ていると異常にむしゃくしゃするんだ。それこそ殺したくなるくらいにな。まさにお前だよ…!」


本部長は顔面に血管を浮き上がらせた。


「そんなにキレるなよじじい。高血圧になるぞ?」

「心配いらん。もうなってるわ!」


京平は桐箱で本部長に殴りかかった。

本部長は避け、京平は部屋に侵入した。


「さて、試し切りと行こうか…!」

「望むところ…佐伯白山75歳。貴様に天誅を下す!」


京平は勢いよく桐箱を開けた。

しかし、中身は空だった。


「え…?なんで入ってないの?」

「バカめ!そんなものは囮に決まっているだろ!本物はここさ!」


佐伯は机の一番下の棚を開けた。そこには禍々しいオーラを纏った日本刀があった。

佐伯はそれを手に取った。


「これこそ妖刀村正。日本に古来から伝わる憑殺刀の一振りだ。」


佐伯はその切先を京平に向けた。


「この呪われた刃で貴様を切り捨てる!」

「やってみよろじじい!」


京平は護符を投げつけた。


「こんなもの!」


佐伯は刀を一振りし、護符を切り裂いた。


「なに…?これに対応できるのか?」

「舐めるなよ若造。老いてますます健在だ!」


佐伯は刀にオーラを纏わせた。


「ふっ!」


佐伯はそのまま切り掛かった。

京平は大幣で攻撃を防ぎながら隙を見つけていく。


「ここだっ!」


佐伯は大きく刀を振り下ろした。

京平は後ろに下がってやり過ごした。


「そして…!」


佐伯は刀を振り上げ、衝撃波を飛ばした。それは先ほど刀に込めたオーラを纏っていた。


京平は横に避けた。

佐伯はさらに衝撃波を飛ばす。

部屋中が衝撃波で穴だらけになった。


「こんな穴だらけにしてさ…修理代高いよ?」

「貴様の死亡保険金騙し取って修理代に当てるわ。」

「くそじじいじゃねぇか。」


京平は護符のリングを作り出し体で回し出した。


「曲芸か?」

「いや?攻撃だ。」


護符のリングは全方位に護符を飛ばした。

佐伯は刀を振り護符を切り裂いた。

しかし、京平の背後に飛んだ護符、そして横に飛んだ護符は切り裂けなかたった。


「じじい。あんたは迫り来る護符しか見なかったな。それがあんたの死因だよ!」


護符は細いビームを繰り出した。

それは佐伯の手の甲を貫き、佐伯は刀を落とした。


「しまった…!」


京平の後ろ側から鎖が2本飛び出し、勢いよく佐伯を壁に押し付けた。


「おっさんにはまるできかなかったけど、じじいには効くよな?」

「くそ!はなしやがれ!」


京平は縛り付けられている佐伯に向かっていった。


「じゃあなじじい。あの世で楽しくやれよ?」


京平は佐伯の心臓を大幣で突き刺した。

佐伯は口から血を吐き出し絶命した。

京平の顔に血しぶきがかかった。


「きたな…も〜…」


京平はハンカチで自分の顔を拭いた。


「みさ〜。終わったよ。」

「はーい。」


蛭間は裂け目を作り出し、出てきた。


「じゃあリンフォンを取りに行こう。」

「その前にトイレだけ寄っていい?」


京平はトイレで顔を洗った。


「リンフォンってどこにあんの?」

「さあ?わたしにもわかんない。」

「ええ?まあ適当に探そう。」



京平はリンフォンを見つけ出した。


「これか…」

「ねえ、これってただのパズルじゃない?」

「そうだよ?でも、これを完成させたらすごいことが起こるんだ。」

「へぇ〜じゃあどうするの?」

「俺は一旦アジトに帰って完成させるわ。みさは?」

「そういえば私やりたいことあった。」

「なに?」

「ついてきて。」



蛭間たちは裂け目を通った。

その先は雲井の家に繋がった。


「ここは?」

「まあついてきて。」


蛭間は寝室に入った。


「雲井ちゃん。」

「え?部長?なんでここに…?」

「私があげた人形は?」

「なんか…消えてました。」

「そう…残念だね…」

「そうですね…」

「ところでさ。雲井ちゃんに会わせたい人がいるんだけど…」

「誰ですか?」

「この人なんだけど…」


蛭間は扉を開けた。その先には京平がいた。


「なんでそんないかにも重要そうな感じで紹介すんの。」

「ごめんごめん。」

「私に何か用ですか…?」

「話しておきたいことがあってね?」

「なんですか?」

「実は…ここ最近都市伝説妖怪がよく現れてるでしょ?それって柊哉のせいなんだよ…」


京平は渦巻き模様の目で雲井を見つめた


「柊哉…八尺瓊が?」

「そう。あいつには八尺様が憑依しているんだけど、それのせいで都市伝説妖怪が現れるようになったんだ。」

「そんな…じゃあ都市伝説妖怪の発生を抑えるためには八尺瓊を殺さないといけないじゃないですか。」

「そう…そこで君にお願いしたいんだけど…」

「まさか…」

「そう、これ以上の被害を出さないためにも柊哉を殺してほしいんだ。」

「でもあいつは大切な仲間だし…」

「そうだよね…でも、時には残酷な選択をしないといけないんだよ。それが今なの。」

「それが今…」


京平は渦巻き模様の目をぐるぐると回転させながら見つめる。


「分かりました…私が殺します。」

「ごめんね…」

「いいんですよ。」

「ありがとう…」

「どうする?自分で探す?」

「自分の仕事は自分でやります。」

「わかった。」


雲井は虚な目をしながら部屋を出た。



「…………さ〜て。終わった。」

「おつかれ〜」

「俺はこれから帰るけど、みさはどうする?」

「うーん…私はまだやりたいことあるしパ〜ス。」

「はーい。じゃあねー」


京平は窓から飛び降りた。


「……さあて、ポテト買いに行こ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「山形…」


黒霧島は目を覚ました。そばにはメリーさんがいた。


「メリーさん…」

「………」


メリーさんはゆっくりと歩き出した。


「俺を責めないのか…?」

「責めないわ。わたし、あんたのこと血も涙もないやつだと思ってたけどさ。健人が言うには全然違うみたいじゃない?仲間のために涙を流し、苦しみ、仲間を殺したやつに対して怒らことができる。そんなやつのこと、わたし責めれないわ。」

「そうか…」


黒霧島はゆっくりと目を閉じた。


「ちょっと、死なないでよね。健人のことを自分が殺したって思ってるなら健人の分までちゃんと生き、そして涙を流しなさい。それがあんたができる贖罪よ。」


その言葉を最後に黒霧島の記憶がない。

気づいた時には病院のベッドの上だった。


「目ぇ覚めたか?」

「五十嵐…山形は…」

「残念ながら…あと、雲井も…」

「雲井が…!?」

「ああ、蛭間に真っ二つにされちまった。」

「蛭間…やはりか…」

「幸いすぐに五億年ボタンを押させたが、生きるか死ぬかはわからない。」

「そうか…」


黒霧島は布団を被った。


「蛭間は…?」

「逃げられた…八尺瓊が見つけたんだが、不意を突かれて雲井がやられた。」

「なるほどな…」

「最後に、これが何気に一番悲しいお知らせだが…」

「なんだ…?」



「東京支部は"解体"されることになった。」

「は…なんで?」

「構成員二名が死亡、1人が重症、そして部長が裏切り者ときた。流石に役満だ。」

「まあ…そうか…ところで、俺たちは飛ばされるのか?」

「ああ、行き先は後日言い渡される。」

「そうか…」

「今はゆっくり休んでろ。」



「ねぇこれ難しいよ〜」


天叢雲のアジトにて、京平はリンフォンを解いていた。


「まあ貸してみ?」


京平からリンフォンを奪い取ったのは赤いマントを羽織った男だった。

男は慣れた手つきでリンフォンを解いた。


「うおお!すげぇ!」

「さすがだな。」

「いやいや。それほどでもないって。…で、次はどうすんの?」

「次の行程はまた今度。」

「残念やなぁ…結構楽しいのに。」

「ところでさ、この後関西戻るんやけど、一緒にくる人いる?」

「わたし…いこうかな。」


そう言ったのは蛭間だった。


「おお、ついてきてくれるんか?」

「うん。わたしも会いたい人がおるしな。」

「もういくの?」

「おん。もういかなチケットが無いねん。」

「あらら。それは大変だ。では気をつけてな。」

「わかってるわ。」


赤いマントの男と蛭間はアジトを後にした。



後日、柊哉のもとに黒霧島が訪ねてきた。


「八尺瓊、本部から呼び出した。

「本部?」

「ああ。おそらく異動先のことだろう。」

「そうか…東京支部解体ですもんね。」

「ああ。いくぞ。」


黒霧島と柊哉、そしてしゃくちゃんは本部に向かった。そこにはすでに五十嵐もいた。


「五十嵐来てたのか。」

「ああ。でも肝心の本部長がいないがな。」


その時後ろの扉が開いた。


「あー…悪いね遅れちゃって。」

「教官!?本部長になったんですか?」

「ああ。あの事件の時佐伯さんが亡くなってね。その後任だ。」

「そうですか…」

「では、早速異動先を伝える。」

「相変わらず早いですね…」

「まず、黒霧島、そして五十嵐は北海道支部に異動だ。」

「北海道…」

「ああ、これからの季節寒いぞ?」

「これは大変だな…」

「次に八尺瓊、お前は高島支部に異動だ。」


柊哉は何も言えなかった。


「………どこですか?」

「だから高島支部だと言っているだろ。」

「それはどこにあるんですか…?」

「高島支部だから高島市だろ。」

「だからそれはどこに…?」

「"滋賀県"だ。」

「滋賀県〜!?」


柊哉はたいそう驚いた。黒霧島、五十嵐が北海道に異動されたなら自分もある程度の都市部に異動だと思っていたからだ。


「ああ。滋賀も寒いぞ?防寒着を持っていけ。」

「ええ…滋賀って…滋賀ってさ…何があるの?」

「琵琶湖があるじゃ無いか。」

「他は…?」

「………比叡山。」

「山じゃないですか!自然しかないんですか!」

「しょうがないだろ。決定事項なんだから。」

「も〜…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


高島支部。もうすでに転勤してくる人たちの情報は伝わっていた。


その支部には男が1人と女が1人ずつ勤務している。


「なあこの"八尺瓊"?ってやつ憑霊使いらしいで?」


男は女に話しかけた。

女は男の首筋を甘噛みしながら話を聞いている。


「珍しいね。今時憑依霊って。」

「な。どうしょかな…」

「なにが?」

「いや…あれやん?」

「あれ?」

「俺ら憑霊使いおらんやん?だからどうするかなって。」

「ああ〜….新人やもんねこの子ら。」

「そうか新人か…新人やのに悲惨な事件に巻き込まれたんやな……てか膝いたないん?すわりいや。」

「いたいから座る。」


女は男の横に座った。

男は女の首に左腕を回した。

女は男の左手の人差し指を咥えた。


「ふーん…こいつの憑依霊がなかなかすごいらしいな。」


男は指を咥えられていることを気にせずに話す。


「どんなの?」

「それが次のページやな。」


男は資料をじっくりと読んでいる。


「あれらしいで?部分憑依も狂乱憑識もできるみたいやで?」

「えーやるやん。その子ら。」

「なぁ。」


男は資料の中に気になるものを見つけた。


「なあこれ見て?」

「ん?」


女は口から指を離し、男の顔に近づいた。

そのまま女は男の首に腕を巻きつけた。


「これさ、ここ。八尺様やって。」

「八尺様って有名なやつ?」


女は男の耳元で囁き声で話した。


「たぶんそうちゃう?」

「え?確かそれってさ、"あれ"だよね。」

「そうそう。だからすごいよねって話。」

「ふーん…」


女は男の耳のふちを舌でなぞりだした。


「え…なあこれさ。」

「なあに?」

「これは俺の持論になるんだけどさ。」

「うん。」

「この書き方みて?」

「これ?」

「そうこれ。この書き方的さ。八尺様って"神"として崇められているんとちゃう?」

「なにそれ?でも八尺様って有名な怪異でしょ?」

「そうよなぁ…怪異が神として崇められるなんておかしいよなぁ…」


男はため息をついた。

女は舌を耳の穴に入れた。


「つぎいく?」

「いこうよ。」


男は資料をめくった。


「こいつは…え?」

「どしたん?」

「こいつ還具がいるらしいわ。」

「え?でもさ、うち。」

「うん。ないな。還具。」

「えーどうすんの?」

「どうしよう…めんどくさい…」

「まあ来るまでには時間あるしゆっくり考えよ?今日はいつも通りに過ごそうよ。」

「せやな…」

最後の2人は次編で登場します。先行公開ってやつです。結構描写が際どくてヒヤヒヤしてます。

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