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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
55/57

裏側

裏切り者の蛭間。彼女が裏でしていたこととは…?

ーー伝説の怪異の一角が完全顕現する…!

山形、五十嵐、柊哉、しゃくちゃんが口裂け女の調査に向かった時。蛭間はというと…


「いったかな…」


蛭間は床に裂け目を作り出し、京平が出てきた。


「やっといったの?」

「うん、だれかいるかもしれないからまだ"みさ"でお願いね?」

「わかった。じゃあ、いきますか。」


京平の狙いはこの支部に眠る憑殺刀である。

それはこの支部の還具庫の中にある。


京平と蛭間は還具庫に向かっている。


「ここ?」

「そう、ここに憑殺刀が…」


京平が扉に手をかけたところ、護符が顔を掠めた。


「!?……誰だ!」


護符が投げつけられた方向を見た。そこには早乙女教官が立っていた。


「やっぱり蛭間か…」

「やっぱり…!?みささぁ…気づかれちゃってんじゃん…」

「ごめん…まさか気づかれてるなんて…」

「そんなことより、還具庫になんのようだ?」

「俺が用事があってもいいだろ」

「どうせ憑殺刀なんだろ?」

「……………」

「沈黙を決め込むか…それは肯定ととるからな。」

「……じゃあ、俺の敵だ。」

「なんでだよ…てかこいつ誰だよ。」

「この人はわたしの前任の部長だよ。」

「は?なんでそんなやつが…」

「最近なにか怪しい動きがあるから監視カメラを仕掛けておいたんだが…正解だったな。」


早乙女は懐から大幣を取り出した。


「あんたも大幣か…」

「お前は明らかに大幣だよな。」

「じゃあ憑殺刀はあんたを倒してから貰うことにする。」

「そうか。じゃあ、やるか。」


京平は護符を早乙女に投げつけた。

早乙女は護符を避け、大幣を持ち直し、京平に切り掛かった。


京平は大幣で受け止め、吹っ飛ばした。


「ああ、ちょっと腕痛いな…」

「言い訳か?」

「当たり前だろ。今から言い訳の伏線散りばめとくわ。」

「ずる」


京平は護符を壁に投げつけた。

その護符から鎖が出てきて早乙女を縛り上げた。


「ぐっ…」

「勝負あったかな?じゃあもらってくね?」

「お前…判断が早いな。その悪癖は直した方がいいぞ?」


早乙女は鎖を引きちぎった。


「は?腕を痛めたジジイのくせにどこにそんなパワーが…」

「腕を痛めたジジイにそんなパワーがあるわけないだろバカ。」


廊下の曲がり角から足音が聞こえた。

その足音が近づいてくるにつれて京平と蛭間は全身を何かが這い回る感覚に襲われた。


「なんだ…?」


そこから出てきたのは20代くらいの巫女だった。


「巫女…?」

「ちょっと寛ちゃん!なにこれ?」

「だら姉。久しぶりの戦闘だ、力を貸してくれ。」

「そう。敵は?」

「あそこの神主だ。」


早乙女は大幣で京平を指した。


「おっけー。久々の運動といきますか。」


早乙女のオーラが大きく、恐ろしいものになった。


「なんだこれは…!」


早乙女は護符を投げつけた。


「早っ!」


京平は対応しきれずに手のひらを掠めた。

次の瞬間護符を投げつけた方向から早乙女が現れ、京平の肩を大幣で刺した。


「がっ…!」

「京平くん…!」

「遅いな。若いんだから対応しろよ。」


早乙女は護符を京平に貼り付けた。


「何をした…!」


護符から衝撃波が発生して京平を壁に叩きつける。


「ナイスパース!」


姦姦陀螺は京平の腹部に拳を喰らわした。

その時京平は護符になった。

そして廊下の奥から出てきた。


「あーいった…肩に穴あけられるとは思わなかったわ。」

「おお、護符を身代わりにするのか。」

「すごいね寛ちゃん。参考にさせてもらおうよ。」

「これが終わって生きていたら参考にしてもいいぞ。著作者は俺だからな。」

「これ終わったら寝るわ。」

「じゃあ永遠に寝かせてやるぞ。」

「あっそう?」


早乙女は腕から蛇を出した。

京平は蛇を大幣で切り刻んだ。


「まじ?」

「いたた…」


姦姦陀螺は腕に傷を負った。


「………あんた、"憑霊使い"だな?」

「あーあ、バレちゃったね…どうする寛ちゃん?」

「どうしようかな…?」

「憑霊使いなんだな…?柊哉みたいな感じね。OK。」

「柊哉…?お前八尺瓊を知ってるのか?」

「あんた…なんで知っている?」

「なんたって俺があいつに憑霊使いのあれこれを教えたからな。」

「はえーあいつの師匠ね…これは手強そうだなぁ…」


京平は肩を回し、気合を入れた。


「だら姉、あれはいつやる?」

「今すぐにでもいいけど、もう少し消耗させてからがいいかな。」

「わかった。」

「よーし、やるぞ!」


京平は早乙女をじっと見つめた。

その時京平の瞳が渦巻き模様になった。


「なんだそれは…?」

「一応言っとくかあ…これは俺が契約した霊の力だ。」


早乙女の視界が歪み出した。


「"くねくね"って知ってるだろ?そいつだよ。」

「くそ…視界が悪い!」

「視界がくねくねしだしたよなぁ…?もうあんたは終わり。俺に洗脳されるの。」

「だら姉!」

「任せて!」


姦姦陀螺は早乙女の目を見た。


「狂乱憑識!」

「うおお…!直った!」

「へぇ…狂乱憑識で直るんだ…でもそれってさ、リスクがあるよね?」

「……よく知ってるな。」

「まあね。狂乱憑識を使いすぎると憑依霊の霊体が曖昧になって弱くなる。だから、その隙を狙う!」


京平は姦姦陀螺に向かって護符を投げつけた。


「あぶない!」


早乙女は護符で相殺した。


「庇うよなぁ!?」


京平は早乙女に向かって飛びかかった。

早乙女と姦姦陀螺はアイコンタクトをとった。


「狂乱憑識!」


姦姦陀螺は腕を蛇に変形させ、その口からエネルギー弾を飛ばした。


「ぐわああ…!」


京平は吹き飛ばされた。


「危なかった…ありがとうだら姉。」

「いいの。…寛ちゃん来るよ?」


砂埃の中から京平は姿を現した。


「あーいってぇ…でも、狂乱憑識を二回も使ったな?やばいんじゃないの?」

「問題ない。ここでかたをつけるからな。」


早乙女は京平の目を見た。


(この感じ…使ってくるな…)


京平は嫌な雰囲気を感じ取った。


(ならば、使わせて憑依霊を潰すまでだ。)


「狂乱憑識!」


(やはり使ってくるか!)


早乙女と姦姦陀螺は数を増やした。両者10人ずつ。合わせて20人である。


「やっば…流石に多すぎるだろうが…!」


(しかし、憑依霊の方は霊体がボロボロだ。)


早乙女と姦姦陀螺はそれぞれ大幣を持ち、一斉に京平に襲いかかる。

京平は襲いかかってくる集団を掻い潜り、確実に一体ずつ姦姦陀螺を潰して回った。



「もう限界か?」


姦姦陀螺の霊体はほぼ崩壊している。

早乙女の方も息が上がっているようだ。


「疲れたな…だら姉、回復してくれ。」

「しょうがないなぁ…」


姦姦陀螺はエネルギーを分け与え、早乙女を回復させた。


「憑依霊のエネルギーを使ってまで回復するのか?」

「俺を心配してくれるのか?」

「ああ、どうして死ににいくようなことをしてしまうのかなって心配になっちゃった。」

「はっ…優しいなお前。でも心配はいらない。」

「なぜだ…?」

「だって、だら姉はすぐに回復するからな。」

「それはどういう…?」

「こういうことだ…!」


姦姦陀螺と早乙女のオーラが一体化していく。


「は…なんだこれ…早く止めないと…!」


京平は早乙女の方に向かって足を動かした。しかし、全く動かない。


「くそ…!動きやがれ!」

「これの副産物で金縛りができるんだ。残念だったな。」


早乙女と姦姦陀螺のオーラが一体化した。



ーそれは姦姦陀螺の完全顕現を意味する…!


そこに早乙女とあの巫女の姿はなく、代わりに腕が6本、下半身が大蛇の巫女の姿があった。瞳孔は鋭く、舌は銛のように尖っていた。


「ば…化け物が!」

「化け物で結構。お前を殺すためなら人の姿さえ捨てるわ。」

「くそ…!ここまでか…!」

「お前があの口裂け女を世に放ったんだろ?なら親玉を潰すまでだ。」

「口裂け女…ああ、あいつは陽動だ。ここでの動きがバレないようにするな。」

「仲間を切るか…」

「勘違いするな。あいつは必ず生きて帰ってくる。あんたらみたいな雑魚には負けんよ。」

「仲間を信じてるからこその陽動ということか。」

「そうだ。腐っても浄霊師なんでね。」

「素晴らしいな。では、敬意を込めてお前を殺すことにしよう。」

「殺すことには変わらないのね…」


姦姦陀螺はエネルギー弾を六つ生成して京平に向けて放つ。


京平は飛んでかわした。しかし、エネルギー弾は追尾式であった。


「ついてくるなよ!」


京平は苦し紛れにエネルギー弾に護符を貼り付けて相殺した。


「あっぶな…」

「今のをいなせるとは…やはり素晴らしいな。」

「褒め言葉ありがとう。一瞬で蹴りをつけるから覚悟しとけ。」


大幣で姦姦陀螺を指してそう言った。


京平は大幣に神楽すずをつけた。


「神楽すず?舞うのか?」

「なわけねーだろ。」


京平は大幣を大きくさせ、姦姦陀螺に切り掛かった。

姦姦陀螺はするすると攻撃を避ける。


「大きくすると攻撃に当たりやすいぞ?」


姦姦陀螺は上の二本の腕で印を結び、ビームを放った。それは大幣にぶつかり、京平は大幣を落としてしまった。


「しまっ…!」


姦姦陀螺は真ん中の二本の腕で印を結び、腕から巨大な蛇を召喚した。その蛇は京平を飲み込んだ。


「京平くん!」

「さて、どうなるかな?」



「くそ…飲み込まれちまった…」


京平はポケットを漁り護符を探している。


「あった…これをこことここに貼るか…」


京平は護符を貼り、端っこで縮こまった。


数秒後、護符は爆発を起こし、蛇の食道を破壊した。


「痛っ…」


京平は唾液まみれになりながら出てきた。


「くせえことに幽閉しやがって!」

「いや避けろよ。」

「うるせぇ!」


京平は神楽すずを鳴らした。その音波で天井は崩壊した。


「あ…やば。早く逃げないと…」

「逃がすかよ!」


京平は壁に護符を大量に投げつけた。

それから巨大な鎖が出現し、姦姦陀螺を縛り上げた。


「くっそ…!」

「はい、いっちょあがり!」

「舐めるなよ!こんな陳腐な鎖、引きちぎってやる!」


姦姦陀螺は鎖を引きちぎった。

それと同時に瓦礫が天井から降ってきた。


「あらら。間に合わなかったか…」


姦姦陀螺は瓦礫に押し潰された。砂埃は辺りを隠した。


「おーい、生きてますかー?」


砂埃がなくなったので、京平は瓦礫に近づいた。

そのとき瓦礫が動き出した。


「油断したな!」


姦姦陀螺は瓦礫を押し除け、京平の心臓を大幣で突き刺した。


「あ…あーまじか…」



その時京平の体は大量の護符に変化した。


「は…?」

「油断したな?姦姦陀螺さん?」


大量の護符は姦姦陀螺の身体中に貼りついた。


「おやすみ。」


大量の護符は大爆発を起こした。還具庫前の廊下は粉々に砕けちり、跡形もなくなった。

瓦礫の上には燃え盛る蛇の死体があった。


「終わった…?」


物陰から見ていた蛭間がひょっこりと顔を出した。


「終わったよ。じゃあ、もらってくよ。」


京平は還具庫に入り、憑殺刀が入った桐箱を手に取った。


「これが憑殺刀か…」

「さあ、次はどこにいくの?」

「もちろん、本部に乗り込む!」

「おっけー。本部ね?」


蛭間は裂け目を作り出した。2人はその中へ入っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あいたたた…」


焼けこげた蛇の皮の中から早乙女が出てきた。


「寛ちゃん大丈夫?」

「いたた…腰やった…」

「家帰ったら湿布貼ろ?」

「そうしよう…」

「で、寛ちゃん。」

「なに?」

「手ぇ抜いたよね?」

「え?なんで?」

「あんな見え見えの罠になんで引っかかるのよ?」

「ええ?」

「一回見たじゃん!おんなじの!」

「あー…そうだっけ?」

「あ!とぼけるつもり?」

「だって…疲れたし…それに…」

「言い訳は聞かない!寛ちゃんだったらあいつ殺せてたじゃん!」

「でももう歳で体中痛いしさ…」

「もう!帰ったらお仕置きだよ?」

「えーやだよ…腰やってるし、しかも歳だし…」

「寛ちゃんが手ぇ抜くからでしょ?ほら、行くよ?」

「いやああああ…お仕置きだけは勘弁して…」


早乙女は巫女に腕を引っ張られながら家に帰った。

その後、腰を痛めているのにもかかわらずお仕置きは実行された。

京平は早乙女が手を抜いていなかったら"おそらく"倒せました。歳のことを考えると戦闘中に体をいわすという負け筋はありますが、それを引かない限り倒せます。まあ早乙女は最強キャラなんです。だからこの先の展開のために本気を出させませんでした。が、普通に早乙女がここで殺さなかったことはやらかしです。何を言いたいかというと、早乙女は今後の展開のための犠牲になったのだ…ということです。悲しいね。なので、早乙女を恨むのはやめてあげてください。

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