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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
54/57

誤解

いきなり首なしライダーを憑依させた雲井。

身に覚えのない罪を着せられた柊哉はどうなる…!?

ーーそして、裏切り者の正体が!

「おい…雲井やめろよ…」

「なんで…?あんたを殺したら全て解決するのに?」

「は…?何言ってんだよ…」


雲井は刀を鞘から抜いた。

雲井は刀で柊哉の首を指した。


「あんたの首、もらうわよ。」


雲井は柊哉に刀で襲いかかる。

柊哉は避けることしかできない。


「やめろよ雲井!」

「やめないわよ!」

「なんでそんなことするんだよ!」

「あんたが死ぬと全てが解決するのよ!」

「なんだよ…なんだよそれ!」

「あんたが都市伝説妖怪を具現化させて日本を滅ぼそうとしてるんでしょ!?」

「は…?」


柊哉は身に覚えのない罪を着せられているようだ。


「わたしだって…仲間を殺したくないの…!でも…でも!あんたを殺したら日本に平和が訪れるの!」


首なしライダーを憑依させた雲井からは涙が溢れ出した。


(涙…)


「だから…早く死んでよ!」


雲井はがむしゃらに刀で切り掛かってきた。


「うわっ!!」

「柊哉。いま涙が見えたよね?」

「そうだな…!」


雲井の刀を避けながらしゃくちゃんと会話している。


「首があるべき場所にないように見えるけどさ、実はあるんじゃない?」

「ないように見えるだけで攻撃は当たるということか?」

「そうだと思う。一回やってみようよ。」


柊哉は雲井の前に立ち塞がった。


「やっと戦う気になった?」

「いや。なってはないな。」

「じゃあそのままわたしに殺されて!」


雲井は柊哉の頭に狙いを定めて刀を振り下ろした。


「ここ!」


柊哉は刀を両手のひらで挟み、勢いを殺した。


「真剣白刃取り…!?」

「そして…部分憑依!!」


柊哉の両肩からしゃくちゃんの腕が生えてきた。

しゃくちゃんの腕は雲井のないように見えている頭を掴んだ。


「どうやって憑依を解くんだろう…?」

「え?わかんないの?」

「わかんないけど、一旦エネルギーを流してみる。」


しゃくちゃんは首にエネルギーを流した。


「や…やめてよ!」


雲井はじたばたと抵抗している。

その時雲井の足先のライダースーツが崩壊していく。


「こ…これ!憑依解除できてるんじゃない?」

「やめて…!私があんたを殺すの…!!」


ライダースーツの崩壊は上半身に達していく。

だんだんと雲井の見慣れた姿になっていく。


「もう少し…!頑張ってくれ!」


ライダースーツの崩壊は首の近くまで来ている。


「いや…崩壊しないで…!」


首なしライダーのない首が顕になっていく。崩壊していく闇の先には雲井の顔があった。


「ねぇ柊哉。この雲井ちゃんおかしくない?」

「こいつはずっとおかしいけど?」

「いや、目がさ。」

「目?」

「目に光が宿ってないんだよ!」

「え…?てことはどういうこと?」


しゃくちゃんは雲井を離した。


「けほっ!けほっ!……」


雲井は息を切らしている。


「大丈夫か?」


柊哉は背を低くして雲井に話しかけた。


「近づかないで!」

「柊哉、ここはわたしに任せて!」

「え?」


しゃくちゃんは雲井に近づいた。


「しゃくちゃん…?」


しゃくちゃんは雲井の頭を掴み、目を合わせた。


「な…なによ!?八尺瓊の恨みなの!?」

「……狂乱憑識!」

「え?なにしてんの?」

「雲井ちゃんの洗脳を解いたの。」


雲井はしゃくちゃんに倒れ込んだ。


「雲井ちゃん…どうしてこんなことに…」

「………しゃくちゃん。」

「目覚ましたか?」

「ごめんなさい…わたし、あんたたちに酷いことしちゃった…」


雲井は涙を込めた声で謝罪した。


「いいんだ。誤解が解けたならそれで。」

「もちろん。私たち専門学校時代からの仲でしょ?」

「ありがとう…ありがとう…!」


しゃくちゃんは雲井を抱きしめた。

しゃくちゃんの白い服が若干灰色になった。

沈む夕日は2人を照らしていた。


「てか手痛いな。」

「柊哉どうしたの?」

「真剣白刃取りした時だと思う。」

「わたし包帯あるよ?」

「まじ?巻いてくれ。」

「いいよ。じゃあ手出して。」


柊哉は血まみれの手のひらを雲井に向けた。

雲井は柊哉の手に包帯を巻いた。


「いた…」

「大丈夫?」

「大丈夫だよ…」

「ねぇ…わたしどうなるかな?」

「大丈夫。俺は何も言うつもりはないよ。」

「よかった…」

「雲井ちゃん。支部に帰ろ?そこには部長もいるからさ。」

「部長…?」

「…?どうしたんだ?」


雲井は真剣な声で言った。


「わたしさ、洗脳されてたじゃん。」

「うん。」



「それさ、蛭間部長にされたんだよね。」

「………は?」


柊哉の時が止まった。


「正確には、蛭間部長のお友達がしたんだよ。」

「友達?」

「そう、なんか部長はなんらかのサークル?に入ってるらしくて、その友達が。」

「友達?どんなやつだ?」


柊哉はしゃくちゃんと雲井に抱えられながら聞いた。

3人はゆっくりと支部に向かっている。


「神主の格好をした人だったかな。」

「神主だって…!?」


柊哉は嫌な予感がよぎった。


「そいつ、お面つけてなかったか?」

「うん。天狗のお面だった。」

「まさか…!雲井!そのサークルの名前わかるか?」

「確か、"天叢雲あまのむらくも"だったかな?」

「天叢雲…」


3人は支部の近くまで来た。


「もうすぐ支部だよ。休憩しようよ。」

「ああ…」


3人はゆっくりと自動販売機に向かっていく。


「………うわっ!」


突然柊哉の右肩を支えている力が失われた。


「え…」


そこには裂け目に飲み込まれていく雲井が見えた。


「雲井!」


雲井の体が半分落下している最中に裂け目が閉まった。


「雲井ちゃん!」


しゃくちゃんは雲井に駆け寄った。

雲井の下半身が上から降ってきた。


「え…なんで…わたしの下半身…」


柊哉は膝から崩れ落ち、しゃくちゃんは泣いていた。


「雲井…!」


その時前方から足音が聞こえた。



「ごめんね八尺瓊君。わたし、これなの。」


柊哉は前方を確認した。そこには蛭間の姿があった。

蛭間は懐から狐の仮面を取り出し、頭につけた。


「仮面…!まさか!」


柊哉の嫌な予感は的中した。


「そんな…部長どうして…?」

「私たちの情報を八尺瓊くんに言っちゃったから悪いのよ?」

「なんでそんなことするんだよ…!」


柊哉は蛭間を睨みつけた。しかし、柊哉はとっさに我を取り戻した。


「浄霊師は秘密主義なの。早乙女さんに習わなかったかな?」

「部長…確認します。その仮面はなんですか?」

「八尺瓊君さ。仮面をつけた神主の格好をした人あったことあるんじゃない?」

「!?……京平か!」

「やっぱ京平くんに会ったんだね。」

「あんた!京平の仲間か!」

「そう。雲井ちゃんから聞いたと思うけど、京平くんの友達だよ。」

「天叢雲ってやつか?」

「そこまで知られちゃったのか…はぁ…」


蛭間はため息をついてフライドポテトを頬張った。


「ポテトなんか食いやがって…ふざけるな!」


柊哉は蛭間に殴りかかった。


「うわあ!やめてよ…」


蛭間は柊哉の足元に隙間を作り出した。

柊哉はビルの横から現れた。


「くそ!」

「八尺瓊!これはどう言うことだ!」

「五十嵐先輩!部長が!」


後ろから五十嵐がやってきた。


「雲井!大丈夫か!?」

「五十嵐先輩…?」

「あんま喋るな!ほら、このボタン押せ。」


雲井は五億年ボタンを押した。


「五億年ボタン…!」

「あーあ…ちょっと喋りすぎちゃったかな〜?」

「八尺瓊。説明しろ。」


五十嵐が雲井の上半身と下半身を抱えて言った。


「わたしから説明するよ。」

「あんたは黙っとけ!」

「雲井ちゃんをこうしたのはわたし。」


蛭間は柊哉の静止を振り切って話はじめた。


「実はわたし、君たちの敵なの。ごめんね?」

「そうだな。」

「五十嵐先輩知ってたんですか?」

「ああ、黒霧島が教えてくれた。」

「黒霧島…あの子どうして…?」

「八尺瓊、上半身を持ってくれ。」

「え…はい。」


五十嵐は雲井の上半身を手渡し、スマホを取り出して読み上げた。


「実は冬ごろから黒霧島と影で話しててな。そこであいつが掴んだことをお前たちに教えてやろう。」


五十嵐は深呼吸を一度して読み上げる。


「まず伊佐波村での出来事。草薙京平が大幣を振るって地面に裂け目を作ったな。」

「はい。」

「その裂け目から感じ取られる霊跡。それがあんたのものに似ていた点。」

「ああ…そうね。また怒られちゃう…」


蛭間はしょんぼりとした。


「次に不知火の時、支部に草薙京平が侵入してきただろ。」

「え…?なぜそれを?」

「それを手引きしたのがあんた。」


五十嵐は蛭間を指差した。


「なんでそれもわかっちゃうの?」

「そして、雲井に日本人形をあげたのもあんた。」

「日本人形?」

「ああ、感情を増幅させる日本人形だ。」

「そんなものが…」

「そうね。もう、全部バレてたのね。」


蛭間は残念そうな顔をしてポテトを食べ終わった。


「もう…京平くんに激しくお仕置きされちゃう…」

「どうする?あんたを告訴してもいいんだぞ?」


五十嵐は鋭い眼光で蛭間を睨みつけた。


「べつにしたら?だってもう本部長はいないしさ。」

「え…?なんだって?」

「じゃあ、そう言うことだから、ばいばーい。」


蛭間は手を振りながら隙間に消えていった。

また作品名変えました。どうやったら新規読者が増えるかを模索している最中なんです。

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