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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
53/57

口裂け女

山形の首を刎ねた口裂け女は次に黒霧島を狙う。

ーー今、死闘が繰り広げられる…!

「鴉!」


黒霧島は掌からカラスを出した。

口裂け女はそのカラスをいとも簡単に真っ二つにした。


「化け物が…!」


口裂け女は巨大な鋏を取り出してた。


「君もあの子のようにしてあげる…」


口裂け女は山形の胴体を鋏で差した。


「それは俺のセリフだ。」


黒霧島は足元から蜘蛛を這い出させた。

あたり一面が蜘蛛になっていく。


「こんなことをしてなにになるのかなぁ?」


口裂け女は黒霧島との距離を一瞬で詰めた。

黒霧島の首元に鋏の先端を当てた。


「ばいばい。」


口裂け女は黒霧島の首を鋏で突き刺した。

黒霧島は蜘蛛になって分解された。


「鴉!」


背後から黒霧島はカラスを発射した。

カラスは口裂け女の腕を掠めた。


「チッ!外したか…」

「痛い…痛いよ…」

「散々人を殺してきたくせにけが如きで騒ぐな。」


黒霧島はカラスと共に近づき、忠犬ハチ公の首をぶん投げた。


「カラスちゃんをいっぱい出しても意味ないよ?」


口裂け女は鋏を大剣に変化させて薙ぎ払った。


「なるほど…刃物の形を変えれるのか…?」

「そうだよ…?」


カラスを薙ぎ払った口裂け女は大剣を斧に変形させて黒霧島に向かって投げつけた。斧は忠犬ハチ公の首をかちわりながら黒霧島に向かってくる。


「うわっ!」


黒霧島は蜘蛛で勢いを相殺して斧を左手で掴んだ。


「投げつけたのが間違いだったな、ブス。」

「掴むのも間違いだよ?」


しだいに斧は剣に変形した。


「いたっ…」


斧を強く握りしめていた黒霧島はとっさに離した。

黒霧島の手のひらは血で染まっていた。


「手を離していても変形できるのか…?」

「そういうこと☆」


口裂け女は黒霧島にさっと近づいて腹部に蹴りを入れた。


「がっ…」

「わたしの…返してもらうよ?」


口裂け女は落ちている剣を拾った。

黒霧島は蜘蛛の波で口裂け女を包み込んだ。


「そんなことしても無駄だよ…?」


荒ぶる蜘蛛の波の隙間から口裂け女がレイピアで突撃してきた。

黒霧島は右手のひらでレイピアを受け止めた。


「やばい…!」

「目まで到達しちゃうよ?」


口裂け女はレイピアを差し込んだ。

黒霧島は蜘蛛を尖らせて口裂け女の手のひらを貫いた。


「あぶな…!」

「くそう…」

「蜘蛛!腕を貫け!」


蜘蛛の波は口裂け女の腕を貫いた。


「鴉!追撃しろ!」


カラスは口裂け女の腹部に向かって嘴を向けた。


「カラスちゃん達の対処は簡単だよー?」


口裂け女はレイピアでカラスを蹂躙し、全てを真っ二つにした。


「鴉に気を取られたなあブス!」


黒霧島は口裂け女を蜘蛛の波で押し流した。


「痛いよ…痛いよ…」


蜘蛛は口裂け女の体を蝕んだ。


「痛い…やめてーー」


蜘蛛の波の中から大きな爆発が起こった。


「なにっ!?」


波の中心から順々に蜘蛛が消滅していく。


「こいつ…!まじで…」

「苦しかったよ…」


口裂け女は白い吐息を漏らしながら立ちすくんだ。

黒霧島は割と万全、口裂け女は身体中を蜘蛛に蝕まれていてボロボロである。


「もう…苦しかったんだから…覚悟してね?」


口裂け女は黒霧島の近づいて顔面を切り裂いた。


「ちっ…!」


黒霧島の左目に切り傷ができた。


「目…潰れちゃったね?」

「く…蜘蛛!」


口裂け女はナイフを投げつけて黒霧島の手を潰した。


「ぐああああ!」

「手を潰されたら印が結べないでしょ?」


口裂け女は黒霧島の右肩を刀で貫いた。

さらに左腕を切り刻み、左肩を貫いた。


「くそ…!」


黒霧島はポケットを漁り、小銭を発見した。

そして、それを口裂け女に向かって投げつけた。


「ほら、拾ってこいよ。」

「100円…!」


口裂け女は横目で100円を掴んでポケットに入れた。


「なんでだよ…」

「100円ありがとう…じゃあ、殺すね?」


口裂け女は刀をレイピアに変え、黒霧島の腹部を滅多刺しにした。そして蹴りを喰らわした。


黒霧島は山形の胴体の隣に落ちた。


「はあ…俺も死ぬのか…」


黒霧島は山形の胴体を見つめながらそう言った。

口裂け女は靴音を大きく立てながらゆっくりと歩み寄った。


「さあ、君もあの子と一緒なところに送ってあげる。」


黒霧島は山形の胴体を掴み、蜘蛛を少しずつ這わせる。


「こうなったら、"これ"を使うしなないかな…」


黒霧島の袖口から出てくる蜘蛛が山形の切られた首から体内に入り込んでいく。


「さあて…首を切り落としちゃおうかな…?」


口裂け女はレイピアを刀に変形させながらゆっくりと黒霧島にちかづいてくる。それに伴いだんだんと空が暗くなっていく。


「か…カラス…」


黒霧島はゆっくりと印を組み、カラスを二羽出した。

そのカラスは他のカラスより一回り大きく、番いで飛び回るカラスである。


「さあて、ころそ。」


口裂け女は大きく飛び上がり、黒霧島の首に刀を向けた。


その時山形の死体を番いのカラスがついばむ。


「死んで…!」


口裂け女は黒霧島に向かって落下してきた。

黒霧島は間一髪で横に避けた。


「避けないでよ!」


口裂け女は黒霧島の首をもう一回狙った。


「あぶな。」

「もう…切先刺すのは難しいなぁ。」


口裂け女は刀を横に向けて再び黒霧島の首を狙った。


「今度こそ…死んで!」


口裂け女は黒霧島の首に刃を下ろした。



その時口裂け女は横に大きく吹っ飛んだ。


「はあ…間に合ったな…」


口裂け女を吹っ飛ばしたのは黒い人の形をしたモノだった。


「なに…これ…?」


それは大量の蜘蛛が人を形どったものだった。


「"ジンカン"だ。」


ジンカンは口裂け女に殴りかかった。

「こいつも首を切ったら殺せるかな…?」


口裂け女は大きく飛び上がり、鋏で首をちょんぎった。


「ふふふふふ…死んだ…」


首を切ったはずの鋏は何かを切った感触はなかった。


「え…?どうして首を切らないの?」

「お前がさっき切ったんだろ?」

「え…?じゃあこれって?」


ジンカンはカラスがついばんだ死体に蜘蛛を取り憑かせた存在。その姿はカラスがついばんだ死体に引っ張られる。


ジンカンは口裂け女の顔面を殴りつけた。

口裂け女は大剣を大きく振り回し、ジンカンの左腕を切り落とした。


「腕…切り落とせるんだ。じゃあ…もういっこも…」


口裂け女はジンカンの右腕を大剣で指した。



その時、口裂け女の胸部から刃が出てきた。


「え…?なに?」

「お前には喜多方と同じ目に遭ってもらう…!」


黒霧島は口裂け女の背後から心臓は刀を突き刺した。


「そして…!」


ジンカンは口裂け女の顔面を掴んだ。切り落とした左腕の蜘蛛を剣の形に変形させた。


「え…やめて…やめて…!」


口裂け女の抵抗も虚しく、ジンカンは口裂け女の首を切り裂いた。口裂け女の首は淋しい音を立てて地面に転がり落ちた。黒霧島は口裂け女の胴体にお札を貼り付けた。それは"悪鬼滅殺"のお札。浄霊をするためのものではなく、霊を殺す"除霊"のお札だ。


「な…なんで…君浄霊師でしょ…?浄霊してよ…!」

「勘違いするな。てめぇみたいなゴミを浄化する価値なんかねえよ。」


刎ねられた口裂け女の首を黒霧島は持ち上げた。

そしてその首をハチ公前の木に刀で刺した。

その首にも悪鬼滅殺の札を貼り付けた。


口裂け女の下半身から黒く変色していく。


「わたし…どうなるの?」

「さあな…そのまま消えてなくなるんじゃないか?」

「い…いやよ…!」

「無理だな。お前はそのまま地獄に堕ちろ。」



口裂け女との戦闘に勝利した黒霧島は限界を迎えていた。

そのうち黒霧島は血を吐きその場に倒れ込んだ。


フランス人形は首を切られた死体の元でうずくまっていた。


「けんと〜…なんで…死んじゃったの…」

「うぅ…」


(はあ…また俺のせいで人が…あそこで山形1人にさせなければ…)


黒霧島は後悔の中、意識が沈んでいった。

ジンカンは死体があることによって顕現することができます。あんまり便利にしちゃうとおもんないからね。

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