表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
50/57

霊跡

ある夏の雨の日、喜多方も殺されてしまった…悲しみに暮れる黒霧島と五十嵐。

そして、302号室の隠しカメラには…!

「おい…返事しろよ…喜多方!」


黒霧島は喜多方の体を揺らしている。

非常にも雨は死体に打ちつけている。


「先輩…?」


雲井は後ろからやってきた。


「雲井!119番!」

「え…?」

「黒霧島…」

「大丈夫だからな…喜多方。今、雲井ば救急車を…」

「黒霧島!!」


辺りが静まり返った。雨が激しくアスファルトを打ちつける。


「もう無理だ……喜多方は死んだんだ…」


黒霧島は手を止めた。血を洗い流したある水流はまだ流れている。


「先輩…?」


雲井が黒霧島に近づいた。

蛭間は雲井の肩を叩いた。


「??」


蛭間は首を振り、雲井を連れて戻った。



「部長?先輩達は?」


山形が聞いた。


「………」


蛭間は下を向き黙っている。雨の湿気で部屋の中がどんよりとしていた。


そんな中、黒霧島と五十嵐は袋を担いでやってきた。


「先ぱ…」


ソファから身を乗り出して聞こうとする山形の肩を蛭間は抑えて止めた。


「なんですか。」

「今は話しかけるな。それがあいつらのためだよ。」

「……はい。」


その時玄関の方から人がやってきた。


「すんまへーん!昨日のカメラなんですけどー!」


相川であった。


「すみません今は…」

「山形、対応して。」

「え…でも…」

「私たちは私情を仕事に持ち出してはいけないの。わかった?」

「…わかりました。では、行きましょう。」

「まって、八尺瓊くんと雲井ちゃんも。」

「え…?私は…」

「いいから早く。」


蛭間は雲井の背中を押して山形について行かせた。

この日、柊哉としゃくちゃんはまだ一言も喋っていない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


302号室。


「これですか?」

「そうそうそれ。」

「確認しますね。」


4人はカメラを覗き込んだ。


「ちなみに昨日は霊障ありましたか?」

「あったで。めちゃめちゃ。」

「それはどこから?」

「箪笥の中からですわ。」

「箪笥の中…」


映像内のタンスが開いた。


4人は息を飲み込んだ。


中から人が出てきた。真っ赤なワンピースを着た女性であった。


「なんだこいつ…」

「相川さん。こいつに見覚えは?」

「あらへんよ。だれなこいつ。」


その時その女性は正面を向いた。その顔は奇妙なものだった。


「うわ!なんなんこいつ!口が裂けとるがな!」

「口が裂けた女か…」

「それって…"口裂け女"とちゃうか!?」

「まさか…」

「もしかして、このマンションで起きた連続殺人も…口裂け女の仕業なんちゃうか!?」


相川は全身を震わせながらそう言った。


「連続殺人?それはもう解決したんじゃないんですか?」

「いいや。まだ解決しとらん。」

「え?でも…」

「確かに解決したやつはあんで?処刑法で人を殺してたやつや。ただ、もう一つの事件がまだ解決しとらん。」

「その事件って…?」

「マンションの住民が刺殺されとった事件や。」

「刺殺…高島さんと同じ…」

「そら住民全員にアリバイがあるわけや。最初っから住民の中に犯人はおらんのやから…」


相川の顔色は次第に悪くなっていった。


「相川さん…あなた何かを知ってますよね…?」


柊哉は突然口を開き、静かな声で言った。


「急になんだ?ずっと黙ってると思ったら…」

「……どしたん?急にそないなこと聞いてきて。」


相川は顔色が悪いなりに平静を装って言った。


「どうして全員にアリバイがあるって知ってるんですか?そう言うのって警察しか知らないのんじゃ?」


柊哉は山形の静止を気に留めずにさらに言った。


「……しくったなぁ。そうよなぁパンピーが知るわけないもんなぁ…」

「それってどう言うことですか…!」

「ほんまに秘密にしとってな?ここのみんなだけに言うで?」


相川は人差し指を口の前に持っていって言った。



「俺、実は警察やねん。」

「「「「…………」」」」

「で、今は停職中なんやけど、裏からこっそり情報もらっててん。俺の部下からな?」

「…………それだけ!?」


山形は激しく驚いた。


「それだけてなんやねんな。違法やで?警察がパンピーに情報流すのって。本来やったら懲戒免職や。」

「いや、言い方的に犯人かなって。」

「アホなこと言わんとってな。そんなん、俺サイコパスやがな!自分が殺した奴の恋人にカメラ"設置してや〜"なんて言うの!」


山形はあることに気づいた。


「…?高島殺しも同一犯なんですか?」

「そや?まだ解決してへん正岡殺し、坂口殺しと同一犯。そしてそれの犯人が…多分この口裂け女っちゅーわけや。」

「どうしてそこまで…?」


雲井が質問した。


「いや、まだわからんで?君らが照合せな。霊の仕業やったら跡が残ってるはずや。」

「跡?」

「ほらー…なんやっけ。堆積…やのうて…」

「霊跡ですか?」

「そうそうそれそれ!それが正岡と坂口、そして高島から出たらもう口裂け女やな。」

「なるほど!その手がありましたね。」


柊哉は何かを思いついたようだ。


「八尺瓊。お前今日変だぞ?」

「喜多方先輩を殺した奴だ。絶対に許すわけにはいかないんだ。」

「「!?」」



「うそ…なんで…」

「……やっぱり亡くなってたのか…。」


山形と雲井は下を向いた。薄暗い部屋には外の光すら差し込まない。


「え…?喜多方くん死んだん…?」

「ええ。多分、同じやつに殺されました…」

「………そうか。またこのマンションから被害者が…」

「ねぇ。八尺瓊はなんで知ってるの?部長があんなにもひた隠しにしてたじゃない。」


雲井は柊哉に質問した。柊哉は悲しげに口を開けて答えた。


「……俺、しゃくちゃんと一心同体だからさ、霊の力みたいなの使えるんだ。その中に、人間をオーラで見分けるっていう力があって…喜多方先輩からは独特なオーラが出ていたんだ。」

「独特な?」

「外側は明るい橙色なんだけど、内側は暗い紫色だったんだ。で、あの人彼女いただろ?だから最近内側も橙色になっててさ。まあ、近くにいるだけではっきりと存在がわかるんだわ。でも、それが今日はなかった…なかったって言うか、"消えた"んだ。」

「…消えた?」


山形がさらに聞く。


「玄関の外側で独特なオーラが消えるのを感じ取ったんだ…だから、亡くなってしまったんだなって…」

「そうだったのか…」


2人は下を向きながら聞いていた。静かに話す柊哉のBGMとして、雨が降り注がれている音が聞こえる。


「だから、絶対犯人は許すことができない。」

「そうだな!行こうぜ!雲井!」

「え…?うん!」


そうして3人は302号室を去った。


「で、どこ行くんだ?」

「警視庁だ!」

「お前も警察パシるタイプかよ…」



警視庁


「長宗我部警部!お客さんです。」

「誰だ?」

「民俗怪異対策課の人たちです。」

「喜多方か…?とおせ。」

「はい。」


ー応接室


「なんだ、お前たちか。てっきり喜多方かと…」

「あの…これ、いっていいかわかんないんですけど…」


柊哉は重い口を開けて言った。


「なんだ?誰にも言わないから言ってみろ?」

「喜多方先輩、亡くなりました…」


長宗我部警部は湯呑みを手から滑り落とした。

テーブルには緑茶がばら撒かれ、濡れた。


「嘘だよな…?」

「ほんとうです…」

「そうか…」


長宗我部警部は顔を手で覆い、肘を机に置いた。


「そのことで、聞きたいことがあるんですけど、正岡さん、坂口さん、高島さんの死体の写真を見せてもらえますか?」

「そんなのを見て何になる?」

「霊跡ってやつを探します。」

「れいせき?」

「霊が何かをするときにつく跡です。確か写真にも写ったはずなんですけど…」

「そうな。なら、見せてやる。」


長宗我部警部は応接室を出た。


「喜多方先輩ってそんなに長宗我部警部と関わりがあったんですかね…」

「先輩が住んでたマンションで起きた連続殺人事件のときによく関わってたみたいだよ?」

「ふーん…」



長宗我部警部が写真を持って帰ってきた。


「これが写真だ。どうだ?見えるか?」


柊哉は写真を凝視した。


「……あ!」

「どうした!?」

「この傷口の近くに見えます!」

「霊跡か?」

「はい!」


柊哉はさらに写真を凝視した。

「これも…これも!全てに同じような霊跡があります!」

「そうか!…で。何がわかったんだ?」

「つまり、正岡さん、坂口さん、高島さんは同じ霊に殺されたということです!」

喜多方が死んでしまいました。まあ急に主役回来たから察しのいい人は察したと思います。49話で主要キャラ死んでしまいましたが、あと1話耐えてたら記念すべき50話で死亡というインパクトを与えられたんですけどね。すこしもったいないです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ