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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
44/57

あんなこと

事件のことを思い出させるように置かれた長浜の生首。それを皮切りに増えていく謎。"あんなこと"とは?

ーーそして今夜。新たな被害者が…

「はあ…無くなったと思った矢先にこれか…」


喜多方はため息をついた。


「被害者は長浜恭介さん28歳。首から下がまだ見つかっていないため、死因の究明には至っていません。」

「そうか。ありがとう。」

「今度はなんですか!?」


石野が階段から猛スピードで降りてきた。


「あっ…恭介!!」


石野は膝から崩れ落ちた。


「嘘だろ…恭介…!」

「治?どうかした…?」


後ろからゆっくりと国枝が降りてきた。


「有莉沙ぁ…恭介が…」

「え?恭介くんが…なに?」


国枝は長浜の生首を見た。


「えっ!?…あ…あ…いや…」


国枝は腰を抜かしてしまった。

石野は国枝の頭を抱きしめることしかできなかった。


「失礼ですが、お二人は長浜さんとはどのようなご関係で?」

「幼馴染です。」

「幼馴染?」

「はい…小さい時から一緒でした…」


国枝が泣きそうな声でそう答えた。


「長浜の部屋はどこだ?」

「305号室です。」

「よし。行くぞ。マスターキー…はないのか…」


このマンションのマスターキーは管理人の殺害後なくなっていた。


「スペアキーなら。」

「よし!では行こう!」



305号室


長宗我部警部は鍵を閉めた。


「ん?」

「あの、警部。今鍵閉めました。」

「え?ああ、すまん。」


長宗我部警部は改めて鍵を開けた。


(鍵がかかっていなかった…?)


警察は部屋に侵入した。その部屋は薄暗く、カーテンも閉まっていた。


「寝てたのか…?」


警察は寝室に着いた。


ベッドには異様な膨らみができていた。


「おい。布団捲るぞ?」

「はい。」


長宗我部警部は布団を大きくめくった。


ベッドの上で首のない長浜恭介が仰向けで寝ていた。


「うおお!びっくりした…」

「首から下ですかね…?」

「おそらくな。ん…これおかしくないか?」

「何がです?」

「だって、首から上がなくて切られてるのにベッドには血が付いていないだろ。」

「確かに…てことは、どこか別の場所で首を切ったということになりますね。」

「そうだな…この部屋をもう少し見てみよう。」


警察は305号室を見て回った。

しかし、血痕らしきものは見つからなかった。


「どうだった?」

「いえ、なにも。」



長宗我部警部はこれまでの情報を喜多方に渡した。


「なるほど…となると、犯人はマスターキーを盗んだ。そして、そのマスターキーで長浜さんの部屋に侵入…殺害後、首を切り落とし晒した。」

「あと、被害者の額にこんなのが貼られててな。」


長宗我部警部はカードを見せた。人狼ゲームのカードだった。


「また人狼ゲームのカード…」

「人狼か…」


そのカードは"裏切り者"のカードだった。


「今度は裏切り者…でも、長浜さんはゲームに参加していないのになぜ…?」

「こうは考えられないか?」


長宗我部警部は推理を披露する。


「最初の2人がたまたま人狼ゲームに参加していた。だから、人狼ゲームが現実で行われているように見せかけるようにした。そして今回のこの事件にも人狼ゲームの要素を取り入れたかった。だから、そのカードを額に貼り付けた。どう?」

「なるほど…面白い推察ですね。」

「お!わかる?」


そこに警官が来た。


「警部。司法解剖の結果が出ました。」

「おう。どうだった?」

「死因は胸を刺されたことによる出血死。死亡推定時刻は10時30分ごろだそうです。」

「10時半といえばおれがこのマンションに向かった頃だな…ありがとう。」

「では…。」

「10時半か…俺が紗希ちゃんといい雰囲気になってた頃だな…」


喜多方は頬を赤く染めてそう言った。


「お前なぁ…。…そういえば、そいつは?」

「ああ、紗希ちゃんは大学に行かせました。死体ばっか見てると気が滅入っちゃいますしね。しかも、今回のは少し刺激が強いし。」

「まあ、お前なりの配慮といったところか?」

「そんなとこです。」


その時エレベーターの音がした。


「いやー頼人くんつよいわー!あそこで国士するふつう?」

「いやあれは俺の運が良かった…あ。」


エレベーターから磯野刑事と長谷川大悟が出てきた。


「磯野、何をしていた。」

「いやー調査を…」

「国士無双…」

「え?」

「お前、国士無双あがったのか?」

「いやー、あれはすごかった…いや…なんでも。」

「お前、始末書な。」

「えー!勘弁してくださいよ!」

「最近休みが多いと思ったら麻雀か。」

「すんません!始末書だけは!」

「無理。書くんだ。ほら、行くぞ。」


磯野刑事は長宗我部警部に連れて行かれた。


「………ワイなんかやった?」

「いえ…なんかやったのは磯野刑事の方ですよ。」

「せやんな…」

「ところで、今日の10時半ごろは何を?」

「え?ワイでっか?ワイは8時半から今まで麻雀ですわ。頼人くんも一緒に。」

「それって他に誰か一緒にやってませんでした?」

「ああ…それやったら、他にも彩葉、相川さん、後それから…今津くんも一緒にやってたなぁ…」

「そうですか…ありがとうございます。」


喜多方はエレベーターで自分の部屋に戻った。今日も支部にはいかないことにした。


「はぁー…僕も始末書書かされるなぁ…」


3階に着いたら、喧嘩が行われていた。

それは、真坂さんと国枝さんの喧嘩だった。


「あなたが恭介くんを殺したんでしょ!?」

「ちょっと!?変なこと言わないで!」

「あなたが…あなたのせいで!」


国枝は真坂の胸ぐらを掴み壁に押しつけた。


「有莉沙落ち着け!そんなことしてもなんの解決にもならないだろ!」

「私の気分が晴れるの!」


国枝は石野の腕を振り払い真坂をかばんで殴りつけた。


「国枝さん落ち着いて!」


喜多方は国枝を手首を掴んだ。


「ちょっと…なんなんですか?」

「あいつが!恭介くんを殺したの!」

「え…!?」

「違う!誤解よ誤解。」

「あんたがあんなことしなかったら!恭介くんだって死ななかった!」

「おい有莉沙…その話は…」

「なんでよ!」

「一旦部屋に戻ろう。な?」


石野は国枝を宥めながらエレベーターに乗った。


「すみません…」

「いえいえ。大丈夫ですか?」

「はい。」

「あの…"あんなこと"ってなんのことですか?」

「あなたには関係のないことですよ?」


真坂は声色を急に変えた。


「え…」

「…では、失礼します。」


真坂はそそくさと階段を降りていった。


「なんだ…?あんなこと…?」


考え事をしながら部屋に戻った。

喜多方は冷蔵庫を開けた。


「牛乳切らしてんな…」


喜多方は財布を持った。そして、コンビニに行くことにした。


喜多方はドアを開けた。


「びっくりした!気をつけろ!」


帽子をかぶってサングラスをした女性に声を荒げられた。


「すみません…」

「ちっ…ったく…」


(こんわ〜…あんな人とは関わりたくないなぁ…)


喜多方はエレベーターに向かった。

その中にはさっきの女性もいた。

(うわ、なんでいるの?もー…いらんって、)


するとその女性がキツイ口調で話しかけてきた。


「ねぇ。あんた。」

「…僕でしょうか。」

「あんた以外に誰がいんのよ。」

「すみません。」

「はぁ…で、あんたストーカー?」

「は?」


喜多方は呆気に取られた


(誰がお前なんかストーキングするんだよ。)


「そういうのはやめて。まじキモイから。」

「すみません…まずあなた誰ですか?」

「は?つまらない言い訳はやめろ。」


女性は追い詰めるように言った


「いやあの本当に知らなくて…」


喜多方は同行者の男性の方をチラチラ見た。

男性は気まずそうに謝った


「あんた知らないの?"西川結衣"だよ?わたし。」

「えっちょっとそれは…」

「誰ですか?」

「あー、あの。すみません。気にしないでください。ちょっと…」


女性は男性につれていかれた。


エレベーターは一階についた。


「言動には気をつけろよ。」

「だってストーカーかもしれないじゃん!」

「ストーカーだったら顔とか隠すだろ。」

「隠さねえだろ!」


女性と男性は言い争っていた。その隙に喜多方はコンビニに向かった。



「ありがとうございましたー。」


喜多方はパックの牛乳を買い占め、自宅に帰った。

時刻は17時。夕暮れ時であった。



「ただいま帰りました。」

「おかえり紗希ちゃん。」


喜多方はパックの牛乳を飲みながら出迎えた。


「一郎さん仕事行きました?」

「あー…うん。行ったよ。」


高島は手を握った。


「今日は仕事おサボりしちゃいましたね?」

「また癖でてた?」

「はい。わかりやすい癖ですよ?」

「そうなの?僕にはわかんないなぁ…」


喜多方がそういうと、高島は指を甘噛みした。


「…ご飯冷めちゃうよ?」

「冷めたらレンジで温めたらいいんですよ?」


喜多方は高島の頭を撫でた。


「紗希ちゃんって指噛むの好きだよね。」

「よくわかりましたね。」


そういうと高島は喜多方の牛乳を奪い飲んだ。


「あ…僕の牛乳…」

「ごめんなさい…飲んじゃいました…」

「いいよ。その借りは他ので返してもらうから。」


喜多方のレンズのなかの高島が拡大していった。


その時インターホンを連打する音が聞こえた。


「なんだよ。いいところだってのに。」


喜多方はドアを開けた。そこには隣人の越智の姿があった。


「あの…どうかしました?」


越智は階段の方を指差した。

エレベーターが下に向かっている。


喜多方は恐る恐る階段の下を見た。


ーーそこには頸動脈を切られた坂口の死体があった…

プロローグ手直ししました。前の方が好きだった人はカクヨムの方であります。

ちゃっかり宣伝していくスタイル。なんかカクヨムの方あんまみてくれないししょうがないね。

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