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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
43/57

忌み数

事件は起こらず、新学期を迎えようとしていた。

住民の大半は冬の事件のことなんか忘れていた。

ーーその油断につけ込んで、人狼は狩りを行う…

あの日から大きな事件もなく、新学期を迎えようとしていた。


「もう4月か…」


喜多方は平穏な日々には満足できていなかった。

あの事件の犯人は未だ捕まっていないからだ。


「このまま何も起こらないといいんですけど…」

「てか…いつまでここにいるの?」

「事件の犯人が捕まるまでは…1人は嫌なんです。」

「そう。じゃあ、僕は仕事行くからね。」

「あの…今日は3限からなんで、もう少しだけ一緒に…いて欲しいです…」


高島は喜多方の腕を組み、そう願った。


「昼からね。りょーかい。」


喜多方は蛭間にメールをした。


(そう言えば、エレベーターの監視カメラのデータって撮ったのかな…?)


喜多方は長宗我部警部にメールをした。


「どうかしたんですか?」

「いや、なんでもない。仕事のことだよ。仕事。」

「あの…あんまり無理しないでくださいね?」

「ん?無理はしてないけど?」

「事件のこと調べてるんですよね?」

「ん…?な、なんで?」


喜多方は冷や汗をかきながら質問した


「私見ちゃったんです。長宗我部って人からのメール。その人って警部さんですよね?」

「…………」


喜多方は黙っていた。


「はぁ〜…紗希ちゃんが心苦しそうだったから黙ってたんだけど…バレちゃった?」


喜多方は沈黙を破りゆっくりと話し出した。


「バレちゃったとか…私は、一郎さんに何かある方が心苦しくなります!」


高島は頬を膨らませて言った。


「ごめんごめん。僕牛乳飲むけど、何か飲む?」

「私も同じやつ欲しいです!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


警視庁


(ん…喜多方からメール。)


「"突然すみません。例の日のエレベーターの監視カメラの動画ってありますか?"」


「監視カメラの動画なんてないけどなぁ…」


長宗我部警部はメールを打ち返した



喜多方は長宗我部警部からのメールの通知を聞いた。


「"ないぞ。あと、もう少しで俺もそっち行くからお前も一緒に来い。石野のとこに行く。"」


(1人で行けばいいのに… )


喜多方はすこし嫌そうな顔をした。


「どうしました?」

「いや?なんでもない…」


喜多方の目が泳いだ。高島は喜多方の頬両手で掴み、目線を合わせた。


「なんでもないことないですよね?一郎さんは嘘をつくと目が泳ぐんですよ?」


高島は微笑みながら言った。


「なんでバレるのかねぇ…長宗我部警部がここに来る。なんか、石野さんに会いに行くらしい。」

「石野さん…ですか。」

「そう。508号室の。」

「着実に号室も覚えてるんですね。偉いです。」


高島は喜多方の頭を撫でた。


「えー?嬉しいこと言ってくれるじゃん!」


喜多方は高島を優しく押し倒し、顔面を撫で回した。


「あはは…くすぐったいです…」


微笑みつつ、高島は喜多方の親指を甘噛みした。


「ん?」


喜多方が優しく聞き返した。

それに呼応するように高島は喜多方の親指を舌でなぞった。


「んふふ…//」


その時インターホンがなった。


「ああもうびっくりしたぁ!」

「長宗我部警部ですかね?」

「出てくるわ。」


インターホンの映像には長宗我部警部が写っていた。

喜多方はドアを開けた。


「なんですか、今いい雰囲気だったのに…」

「俺が来るって言ったのにいい範囲になるなよな。」

「まあ…それはそうですね。」

「じゃあ、行くぞ。」

「はい。」


2人は部屋を後にした。


508号室


「すみませーん。石野さん?」


喜多方はインターホンを押した。


「はい?なんですか?」


石野はドアを開けた。


「あのー、こういう者なんですけど。」


長宗我部警部は警察手帳を見せた。


「け…警察?」

「はい。実は、このマンションについていくつか聞きたいことがありまして。」

「は…はい。そうですか。」


石野は明らかに動揺しながら言う


「どうぞ、家の中で話しましょう。」


石野は冷や汗をかきながら3人を招き入れた。



「で…聞きたいことって?」

「はい。このマンションの設計についてです。」

「設計?」

「はい。このマンションの部屋番号にはN04号室が無いですよね。そして、40N号室がない。それはなぜですか?」

「ああ…俺、"4"って嫌いなんですよ。」

「嫌い?それはなぜ。ただの数字ですよ?」


長宗我部警部はさらに聞いた


「いやいや、4って"し"じゃないですか。なんか、怖くないですか?だって"死"の同音異義語ですよ?」

「そうですか…」


長宗我部警部は呆れるように言った。


「まあ、そう思うのも無理はないですね。4は昔から

"忌み数"で縁起が悪いイメージが文化としてありますから。」

「詳しいんですね。」

「仕事上こういうのには精通しているんだ。」

「そうだよな。警察の方がなんか変な目で見てくるけど、普通だよな?」


石野が不安そうに聞いてきた。


「まあ、そうですね。」

「でも、4階はあるじゃないですか。」

「"5階"です。"5階"!」

「?私何か勘違いしていますか?」

「ちがうよ!five!fiveに階段の"階"!」

「ああ、5階ですか。」

「そうだよ。このマンションには4階なんてないの。」

「そうですか…では、次です。」

「まだあるんですか…」


石野は疲れたような声で言った。


「なぜこのマンションには監視カメラがないんでしょうか。」

「ああー…それは、俺の怠慢ですね…」

「怠慢?」

「そうです。だって、監視カメラって高いじゃん?だから後でいいかなって…」

「その怠慢のせいで殺人事件の捜査が進まないんですよ。」

「そんなこと言ったって…高いもんは高いの!それに金銭管理は俺の仕事じゃないし…」


石野は言葉が最後になるにつれて声が小さくなっていく。


「はあ〜…じゃあこれからも監視カメラは設置しないんですか?」

「徴収した家賃が貯まったら…いつの日か…」

「そうですか。喜多方、これからは家賃多めに払え。」

「ええ…無理。」


長宗我部警部のとんでもない無茶振りを喜多方は軽くいなした。


「それから…」

「まだあるんすか!勘弁してください!」

「いやいや、ラストですから。」

「ラスト?」

「ラスト。ファイナルラスト。」

「そうですか。なんですか?」

「このマンションはまだ新しいから空き部屋がありますよね。」

「はい。そうですね。それが何か?」

「その空き部屋ですが…N07号室だけは全てが空き部屋なんですけど、これには何か意図が?」


石野の顔色が悪くなった。


「いや…たまたまじゃないですかね?」


石野の声がうわずった。


「たまたま…?」

「そうそう。たまたま。」

「そうですか…でも…」

「もういいでしょ!?帰ってください!」


石野は何かを隠すように3人を追い出した。


「………追い出されちゃいましたね…」

「ああ、あいつ、何かを隠してたな。」

「はい。明らかにおかしいですね。…ところで、今何時ですか?」

「今は11時32分だな。」

「紗希ちゃん大学は…?」

「あ!やばいです!一郎さん行きましょう!」

「え…ああ、そうだね。」


高島と喜多方は急いでエレベーターに向かった。


「早く…!」

「ちょっと待ってよ…」


喜多方の足が止まった。それは、目に映ったあまりに衝撃的な情報を処理するために脳がフル稼働しているからだ。


「一郎さん…?」

「振り返るな!」

「え?」


喜多方はゆっくり高島に近づき目元を隠した。


「え?ちょっと見えないです。」

「見るな。」


喜多方の口調は荒くなった。


「え?え?何があるんですか?」


喜多方は長宗我部警部にメールを送った。


「いい?紗希ちゃん?」

「…?はい…」

「このまま外に出よう。」

「え?」


喜多方は高島の肩を掴みゆっくりと外に出た。そして、右に曲がった。


「なんなんですかいきなり!」

「悪く思わないでね?紗希ちゃんはこのまま大学に向かって。」

「一郎さんは?」

「俺はちょっと忘れ物したから。」

「え…?でも1人は怖い…」

「大丈夫…昼だから。しかも、人混みだし。」


喜多方は高島のデコにキスをして送り出した。



「なんなんだよ…またかよ…」


掲示板に貼られた貼り紙にはこう書かれていた。


「今日処刑されたのは、長浜恭介さんでした。」


生首という証拠品を添えて…


プロローグ書き換えたいんよね。流石に1000字くらいの話9個はきついわ。

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