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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
40/57

人狼ゲーム

これは、去年の冬の出来事。

ちょうど、黒霧島たちが温泉に行ってる頃の話である。


とあるマンションで連続殺人事件が起こった…

「おはよーございます。」

「おはよう。喜多方さんって結構朝強いんですね。」

「意外でした?」


喜多方は燃えるゴミを出した。


ーーディアスミール御徒町。喜多方が住んでいるマンションである。


「そうだ。喜多方さんは今夜の住民会出席しますか?」

「住民会?うーん…どうしようかな…」

「なんでですか?行きましょうよ。」

「じゃあ行きますか。高島さんは行くんですか?」

「私は毎回参加してるんで今回も行きますよ。」

「そうなんですか。すごいですね。」

「喜多方さんが来なさすぎなんですよ?ではまた今夜!」


高島は手を振った。

高島紗希たかしまさき、喜多方と同じマンションに住む大学生。


「はあー…住民会かあ…」


喜多方は住民会には行きたくなかった。ここに引っ越してきてからまだ一回も住民会に参加していないからだ。


「気まずいよなあ…」


喜多方は微妙な表情を浮かべながら支度をした。


支度を済ませた喜多方は冷蔵庫から牛乳を取り出し、ストローを刺して飲んだ。


ドアを開けると隣人も同じタイミングで家から出た。


「っす…」


喜多方は軽く会釈をする。


越智孝弘おち たかひろ、隣人である。彼は優秀なバンカーらしいが、いまいち人柄がわからない。


喜多方は人を避けるようにエレベーターを使わずに階段で降りて行った。


マンションから無事脱出した喜多方は東京支部に向かった。


「お!健人くん早いねー。」

「おはようございます。また牛乳飲んでんすか?」

「うん。うまいじゃん。」


喜多方はテンション高めに話しかけた。マンションとは大違いである。


「やっと来たか喜多方。」

「えぇ?僕が最後?」

「ああ、遅刻魔の八尺瓊がいないからな。」

「そっかあ…」

「まあまあ落ち込まないで。遅刻してないから。」

「そうですよね。」

「うん。じゃあ、やるよ。」

「「「はい!」」」


蛭間は朝礼を始めた。


「今日は任務は一件だけ。それは喜多方に行ってもらう。だから山形くんは今日は暇だね。」

「そうですか。わかりました。」

「じゃあ、喜多方は後でこっちに来てね。」

「はあい。」


喜多方は蛭間の方へ向かった。


「今日の任務の詳細だよ。確認してね。」

「はい。」


喜多方は封筒の中身を見た。


「おっけー?」

「はい。行ってきます。」

「はあい。」


喜多方は任務に出かけた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーー株式会社杉田運輸


「すみません。社長はいらっしゃいますか?」

「社長ですか…呼んできます。」


(今の人、マンションの人だな…)


彼女は秋本美雪あきもと みゆき。505号室の住民である。言い忘れていたが、喜多方は308号室である。


「ご案内します。」

「よろしくお願いします。」


喜多方は秋本に社長室に案内された。


「お!本日はよろしくお願いします。」


社長は快く挨拶をした。


「よろしくお願いします。」

「社長の杉田です。早速だけど、いいですか?」

「構いません。どちらですか?」

「3階のトイレなんですけど…」


喜多方は杉田社長と例のトイレに向かった。


「ここなんですけど…」


喜多方は明らかに不穏なオーラを感じ取った。


「これは…ちょっと使用不可にした方がいいですね。」

「?どうしてです。」

「ここのトイレ、あまり使う人はいないのですか?」

「ええ、基本ここは使われません。」

「なら良かったです。このトイレを慢性的に使うと多分その内呪われます。」

「え…?」


杉田社長の額に冷や汗が出た。


「一旦使用不可にしてください。私が原因を究明します。」

「よろしくお願いします。」


喜多方はトイレに入った。重苦しい空気を感じながら違和感の元を探った。


「ここか…?」


喜多方は排水溝に長い髪の毛が絡まっているのを発見した。


「汚いなあ…」


喜多方はゴム手袋をつけて髪の毛を引っこ抜いた。


「いつまで続くんだよ…」


その髪の毛は引っこ抜いても終わりが見えない。


3分後、その髪の毛は全て引っこ抜かれた。


「なが…これはまずいかもな。」


喜多方はかんひもを腕につけ、腕から髪の毛を伸ばして確認した。


「ん…?何かに当たった?」

「イタイ…」

「うわっ!」


排水溝から女性が出てきた。髪の毛全体に汚れがついた汚らしい見た目をしていた。


「な…なんだ!?」


杉田社長が入ってきた。


「社長!危ないです!」

「あ…お前…真名美か?」

「シャチョウ…?」

「その声、真名美だな…」

「ヨカッタ…ゲンキソウデ…」

「どういうことですか?」


喜多方は杉田社長に質問した。


「彼女とは恋人だった。でも、事故によって亡くなってしまったんだ。」

「デモ、コウヤッテマタアエタ…」

「ああ。嬉しいよ。」

「ワタシモウレシイ…」


真名美の体が崩壊していく。


「真名美…?どうした?」

「霊が浄化されていっています。安心してください。これで真名美さんは成仏します。」


喜多方はわかりやすく説明した。


「そうですか…ありがとうございます…」


社長は涙ぐみ感謝を伝えた。


「バイバイ…シャチョウ…」


真名美は手を振り塵と化した



仕事も終わり、喜多方はマンションに帰ろうとしていた。


「喜多方さん?奇遇ですね?」

「なんだ、高島さんですか。」

「なんだってなんですか。今夜の住民会、頼みますよ。」

(あー、そんなのもあったな…)


喜多方は顔を引き攣った


「住民会は今夜20時から一階の会議室で行います。絶対来てくださいね?絶対ですよ?」

「あー、わかりましたよ。行きますから。」

「来なくても呼びに行きますから。」

「ええ…ちょっとそれはやめてほしいかな…」


高島の強引な勧誘に喜多方はどう足掻いても住民会に行かなくてはいけなくなった。


ーー20時、喜多方の部屋のインターホンが鳴った。


「はい。」

「"喜多方さん、住民会行きますよ〜"」


喜多方は無言でインターホンを切った。そして、ドアを開けた。


「来ましたね…じゃあ、行きましょう。」


高島は喜多方の腕を引っ張り連れて行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


一階会議室。


「すみません遅れました…」


高島が申し訳なさそうに言った。


「1分遅刻だ。」

「まあまあ、少しくらいはいいじゃないですか。」

「この一分は大切だぞ。」


厳格そうなおじさんが遅刻を咎め、それをおばさんが宥めていた。


「まあまあ、早くしましょうよ。」

「おれ、ねむいんだけど…」

「そうですね…今日は喜多方さんもいらっしゃるんですね。」

「ああ、まあ…はい。」


喜多方は気まずそうに返事した。


「じゃあ、住民会を始めましょう。今日は今月の清掃についてです。清掃を担当する人を決めたいと思います。」

「管理人さんがやるんじゃないんですか?」


喜多方は高島に耳打ちをした。


「このマンション特有のルールで、各フロアの清掃はそのフロアに住んでいる人がやるんです。」

「へぇー。変わってますね。」


「じゃあ、3階の掃除担当は高島さんでいいですか?」

「わたし?まあいいですよ?」

「まあいいですよってなんだよそれ。」

「ちょっとやめましょうよ坂口さん。」


坂口貞治さかぐち じょうじ。厳格そうなおじさんである。203号室の住民だ。


「紗希ちゃんだって言葉遣いを間違えることだってありますよ。」

「正岡さん、こいつに甘すぎるんじゃないか?」

「いや…そんなことは…」


正岡裕子まさおか ゆうこ。高島を妙に庇うおばさんである。208号室の住民だ。


「じゃあ、二階の清掃は正岡さんでいいですか?」

「はい。」

「じゃあ、次は四階の清掃ですが…美雪ちゃん、お願いできる?」

「はい…まあ、頑張ります…」


(今日仕事で見た人だ…)


「で、一階はいつも通り私が行います。」


猿飛牧子さるとび まきここのマンションの管理人である。


「これで問題ないですか?」


管理人はホワイトボードを指差した。そこには、


一階、猿飛

二階、正岡

三階、高島

四階、秋本


と書かれていた。


沈黙が流れた。それは承認の意味を込めていた。


「…はい!それでは、今回は…」

「あの、今回喜多方さんが初めて来てくれたんだから、みんなでゲームでもしない?」

「おお、それはいいですね。」


眠たいと言っていた男性が目を大きく見開いた。

今津明人いまず あきひと、503号室の住民だ。


「人狼ゲームでもして、親交を深めましょう!」


管理人は棚から人狼ゲームを取り出し、カードをシャッフルし配った。


「皆さん、ルールはわかりますね?」

「もちろんわかるさ。」

「では、役職を見てください。」


喜多方の役職は預言者だった。


参加人数は喜多方を入れて7人である。


「夜になりました。役職を確認します。みなさん。目を伏せてください。」


管理人を除く全員が目を伏せた。


「人狼の人は目を開けてください。」



全員の役職確認が終わった。役職の内訳は以下の通り


人狼 1人

市民 2人

預言者 1人

ボディガード 1人

妖狐 1人

司会者 1人


「朝になりました。それでは議論を始めてください。」


管理人はタイマーをセットした。


「すみません、いいですか?」


喜多方はさっそく切り込んだ。


「なんですか?」

「わたし、預言者です。」

「おお。他は?」



「いないみたいですね。喜多方さんが預言者でみんなはいいですか?」


今津が仕切った。


「はい、夜になりました。みなさん目をふせてください。」


全員目を伏せた。


「人狼の人は目を開けてください。では、襲う人を指さしてください。」


人狼は喜多方を指差した。


「はい…では、預言者の人は目を開けてください。では、今夜占う人を指さしてください。」


喜多方は今津を指さした。


「はい…この人はこれです。」


管理人は村人を表すハンドサインをした。


「はい…では、ボディガードの人は目を開けてください。では、今夜守る人を指さしてください。」


ボディガードは喜多方を指さした。


「はい…朝が来ました。みなさん目を開けてください。今夜の犠牲者は今津さんでした。それでは議論を始めてください。」


「まじかー。」

今津は残念そうに言った。


「はい、私は今津さんを占いました。」

「どうでした?」


秋本が聞いた。


「村人でした。」

「村人…」


高島が意味深にそう呟いた。


「どうする?今回から追放できるけど、今のところ怪しい人はいないぞ?」


坂口がそう言った。


「怪しい人ならいましたよ。」


喜多方はそう言った。


「それって誰ですか?」


正岡が質問した。


「高島さんです。」

「え?私?」

「さっき、なにか呟いてましたよね?それは自分が思っていた結果にならかなったからではないですか?」

「ちょっと待ってください。そんなことは…」


高島が焦りながら喜多方を誤魔化そうとする。


「まあ、それだけでは難しいですよね。でも、私的には高島さんが怪しいということは伝えておきます。」


その時タイマーがなった。


「それでは、追放する人を指さしてください。」


喜多方→高島

坂口→高島

正岡→喜多方

高島→喜多方

秋本→高島


「高島を追放します。」



「人狼が追放されたので村人の勝利です。」

「おお!喜多方人狼上手いですね!」


今津が拍手をして言った。


「仕事上細かいところに気づくんですよね…」

「喜多方には勝てないなぁ…」


高島はぐったりしながら言った。


「では、これで住民会は終わります。ありがとうございました!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーー翌日、この日は少し早めに出発した。


すると偶然高島と一緒になった。


「喜多方さん!奇遇ですね。」

「そうですね…」


喜多方はエレベーターのボタンを押し、高島と一緒に待っていた。


「ねえ、なんですかあの張り紙…」


高島はエレベーター前の掲示板の張り紙を指さした。


その紙は画鋲で貼り付けられている。


「今夜の"犠牲者"は…?」


おそらく名前が入るであろうところだけ村人のカードが貼り付けられていて読めなくなっている。


「とってみます…?」

「取ってみよう…」


喜多方は画鋲からカードを外した。カードの先には正岡裕子と書かれていた。


「なんだよこれ…」

「誰かのイタズラですかね…」

「それにしても、悪質でしょ…」


そうこうしているうちにエレベーターが到着した。


ーー正岡裕子の死体を乗せて…

あなたの番ですみたい話です。

架空のマンション名を作るのは難しいね。

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