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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
39/57

決闘

夜の高速道路で闇に紛れて首を刈る首なしライダー。

そんな中黒霧島、後藤、山形の3人は首なしライダーに決闘を申し込む…!

ーー深夜


「俺が帝国螺旋連合の特攻服を着て高速道路を走る。そして、首なしライダーを誘き出す。」

「俺は何をすればいい?」

「後藤は先輩と一緒にいろ。俺の前に首なしライダーが現れなかった時の保険としてお前はいる。」

「なるほど、俺の方に首なしライダーが現れたらそこの先輩が代わりにやってくれると。」

「そうだ。それでいいですか?」

「ああ、それでいい。」

「よし…じゃあ、作戦開始だ!」


山形は帝国螺旋連合の特攻服を羽織ってバイクに乗り高速道路を走る。


30分後、後藤と黒霧島が同じ高速道路に乗った。


(どこだ…首なしライダー。)


突然前方からバイクの音がした。


(きたか…?)


前方のバイクには白いライダースーツを身に纏ったライダーがいた。


「あんた、もしかして首ないんじゃない?」


そういうと山形はバイクのライトでライダーを照らした。

目の前のライダーの首から上はなく、帯刀もしているようだった。


「夕方はどうも…あんたのこと、探してたぜ。」


すると首なしライダーは山形に向かってきた。

山形はギリギリで避ける。


「おっと、俺はあんたについて調べたんだ。聞かせてやるよ。伝説のライダー白虎さん?」


首なしライダーのマフラー音が大きくなった気がした。


「伝説のライダーとして名を轟かせていたあんたは帝国螺旋連合、そして東京爆速軍に謀殺された。ピアノ線を仕掛けられてな。首を刎ねられたあんたは帝国螺旋連合と東京爆速軍のメンバーに復讐することにした。あんたの霊体は帝国螺旋連合と東京爆速軍に首を刎ねられた恨みだ!」


首なしライダーが急に止まった。


「お前さ、何か勘違いしてないか?」

「な…なにがだ?!」


首なしライダーはない首で話し出した。


「"あんたの霊体"って言ってたけど、まず霊体ってなんだよ。そんなもん俺にはねーぞ?」

「どういうことだ!?」

「まあ、兄貴にはあるかもな…」

「兄貴だと…?」

「どうなの兄貴?」


すると首の上に広がる闇の中に人の首の輪郭がはっきりと現れた。


「あるぞ…あいつのせいで、俺の霊体が崩れた…」

「お前!兄貴になんてことしてくれてたんだ!」

「お前、まさか"憑霊使い"!?」

「ああ?あー…確かそんなこと言ってたな。多分憑霊使いだ。そんなこたあどうだっていいんだよ!兄貴の体どうしてくれんだよ!」

「しらねぇな。俺はあんたの兄貴を浄霊にしにきた。知ってたとしても教えねぇ…」

「てめぇっ!」


闇の中に現れた人の首の輪郭は外側から崩れ落ちていく。崩れた破片の先には人肌が見えた。


「どうなってんだ…首が生えた?」


首なしライダーは刀を振り回しながら山形の方へ向かってくる。


「うわっ!」

「避けんなよ!」

「避けるだろ!」


山形は刀をいなしながらバイクを運転している。


「メリーさん、どうします?あんなのに勝てないっすよ。」

「相手は憑霊使いなの?」

「多分そうです。」

「この憑霊使いは姦姦陀螺とか八尺瓊みたいな憑依霊が外付けのタイプではなく、いわば"着ぐるみ"のように憑依霊を自身に取り憑かせるタイプのようね。」

「それってどうなんですか?」

「外付けタイプと違って憑依霊だけを狙って攻撃することができないから、こっちの方が戦いづらいわよ。」

「そうですか…さすがメリーさんですね!」

「ふ…ふん!当たり前でしょ……?///」

「なにぐずぐず話してんだ?」


首なしライダーはボルトを飛ばした。


「危ない!」


山形は間一髪でボルトを躱した。


「ボルトに気を取られたな!」


首なしライダーは刀を山形に振りかぶった。


「うわっ!」


山形の頬に刀傷ができた。


「ちっ!いてぇ!」


首なしライダーは山形の方へ戻ってくる


「おかわりだ!」

「同じ手に何度も引っ掛かるかってんだ!」


山形は刀を避けた。


「同じ手を何度も使うわけねーだろマヌケ!」


白いライダーは避けている山形に向かってボルトを撃ち込んだ。ボルトは山形の横腹を掠めた。


「ちっ…刺さなかったか…」

「イッテェな!」

「吠えてるだけか?おお?」


首なしライダーは山形を挑発する。


「くそ〜…メリーさん、力を貸してください!」

「いいわよ。存分に暴れなさい。」


メリーさんは山形の胸に手を当てる。

山形の全身から青白いオーラが溢れ出した。


「おおっ…あの時以上の感覚…!」


「そんなオーラ出したところで意味ないっての!」


白いライダーは刀を振り回しながら山形を追いかける。


「…そこっ!」


山形は刀に拳をぶつけた。切先は折れて飛んでいった。


「ちぃっ…!でも、まだ刃はあるぜ!」


折れた刀で山形の腕に傷をつけた。


「くそっ…!」


白いライダーは少し離れてボルトを撃った。


「あぶね!」


山形の肩を掠めた。


「メリーさん、遠距離武器ってありますか?」

「あいつが撃ってきたボルトを撃ち返せばいいじゃない。」

「なるほど!さすがです!」

「えへへ…///」


山形は車体を斜めにし、さっき撃たれたボルトを拾い上げた。


「何をしているんだ。時間稼ぎか?」

「さっきの仕返しだ!」


山形はボルトを撃ち込んだ。そのボルトは白いライダーの腹部を貫通した。


「ぐあああああ!」

「やりい!」

「このやろう!」


首なしライダーはスピードを上げて山形に向かってくる。折れた刀で山形の首を狙う。


「そこ、やっぱ狙うよな。」


山形は刀を掴み、奪い去った。


「あ…!返しやがれ!」

「こんななまくら、いらねえよ!」


山形は刀を海に放り投げた


「さあ、これで武器は無くなった。俺たちは素手だ。タイマンでもはるか?」

「バカか。俺にはまだ武器があるぜ!」


そう啖呵を切ると首なしライダーはボルトを撃ち込んだ。


「武器ってこれか?」


山形はボルトを掴んで言った。


「相手にも使える武器を使うなんてな。」

「て…てめぇ…!」

「さあ、立場が逆転したな!首なしライダー!」


山形はボルトを首なしライダーの顔に向ける。


「ここはまあ、立場の逆転とまでは行かなくても一緒な立場にでもなろうかな?」


そういうと首なしライダーはバイクからボルトを取り出し山形の顔に向けた。


2人は互いに睨み合っている。


「さあどうした?びびったか?」

「いや?あんたはなんも分かってないな。」

「なに?」

「このボルトは、こう使う!」


山形はボルトをバイクに撃ち込んだ。


バイクは首なしライダーを残して後ろに飛ばされた。


首なしライダーの背後でバイクが大きな音を立てて爆発した。


「てめえ!よくも!」


首なしライダーはボルトを撃ち返した。そのボルトは山形のバイクに撃ち込まれた。

バイクは山形を残して後ろに飛ばされた。

そして同じように大きな音を立てて爆発した。


「これで2人とも武器が無くなっちまったな…」


両者の背後には大きな炎が燃え上がっている。高速道路にできたその仮設のリングはファイターの燃え盛る闘志を表しているように感じられた。


「さあ、タイマン張ろうぜ。首なしライダー!」


そういうと山形は首なしライダーに殴りかかった。


「いてえじゃねえか!」


首なしライダーは殴り返した。


「へへ…やるな。」


山形は血が混ざった痰を吐き捨てた。


「汚い。公共の場だぞ。」

「公共の場で血飛沫あげたやつが何言ってるんだ。」

「確かに…そうだったな!」


首なしライダーは山形の腹部に拳を喰らわした。


「ぐっ…まだまだ!」


山形は首なしライダーの顔面に拳をぶつける。


「!?いってぇ….」

「首がないやつは顔面を殴られることに慣れてないようだな。」


山形は首なしライダーの顔面を執拗に狙う。


「顔が効くからって狙いすぎだ。」


首なしライダーは山形の腕を掴み、蹴りを腹に入れる。

山形はアスファルトに打ち付けられた。

首なしライダーは山形の腹部を踏みつけ追い打ちをかける。


「かはっ…」

「健人!」


山形の全身から迸ってた青白いオーラが弱くなっていく。


「顔面のお返しだ。」


首なしライダーは山形の顔面に靴底を向けた。

山形はそれを避け、足首に噛み付いた。


「いって!」

「ぺっ!くっせえな!」

「勝手に噛みやがって、犬かてめえ!」


山形は首なしライダーが怯んだ隙に起き上がった。


「やり直すか?」

「もちろんだ。」


2人は互いに睨み合った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「どうする俺…いくのか?」

「行かないでどうする。お前は自分の罪を精算するために来たんだろ。」

「でもよ…怖いんだよ。死が。」

「人1人死なせたくせに自分は死が怖いのか?」

「………」

「自分勝手なやつだな。お前。」

「………そうだよな、俺、覚悟決めたわ。」

「行くのか?」

「ああ。おれはこの炎の中を突っ切る!」


後藤は燃え上がる炎に近づいた。


「山形!どうなってるんだ!?」


外から後藤が呼びかけた。


「後藤!近づくな!」

「後藤だと…?」

「そこに首なしライダーがいるのか?」


後藤は燃え上がる炎を掻き分けてリングに侵入する。その手には刀を握っていた。


「お前、その刀は…?」

「これ、あんたのだろ?」


後藤は首なしライダーに刀を向けた。

そして刀を首なしライダーに向かって投げ捨てた。


「これで俺の首を刎ねろ。」

「!?何言ってんだよ…」

「いったろ?俺は自分の犯した罪を精算するって。」

「さあ、早く首を刎ねろ。首なしライダー!」

「…………」


首なしライダーは黙っている。


「どうした?早くしろ!」

「…………」


首なしライダーは何も言わずに刀を握った。


「そうだ、さあ鞘から刀を抜け、そして俺の首を取れ!」

「……………」


首なしライダーは後藤に近づいた。


「お前はどこまでも自分勝手だな。」

「そうだな。そんな自分勝手なやつだ。死なせるべきだろ。」


首なしライダーは呆れた顔をして自分の首に刃を入れる。


「な…何をしてるんだ…俺の首を刎ねるんだよ!」

「罪の精算といって死に逃げるのか?やっぱお前はどこまでも自分勝手だ。お前は俺を二度も殺した事実を一生背負って生きろ。それが本当の"罪の精算"だ。」


そう言い残すと首なしライダーは自分の首を刎ねた。


周りの炎の燃え盛る音の中に首が落ちる音が聞こえてきた。


「………」


首なしライダーの死体から何かが剥がれ落ちる音が聞こえてくる。


「兄貴、これで良かったのかよ…」

「いいんだ。やつの目の前で死んでやったら流石に罪の意識は芽生えるはず。…俺は復讐したいんじゃない。それよりももっと上の、やつに"一生背負う罪"を植え付けることが目的だ。」

「そうだったのか…じゃあ成功だな…」

「ああ、やつが苦しみながら生きていく様を見るのが今からでも楽しみだ…」


首なしライダーは愛想笑いをしながら天に昇った。



「………後藤、これからどうするつもりだ。」

「俺は警察に出頭するよ。刑罰も、世間からのバッシングも甘んじて受け入れるさ。」

「そうか、分かった。いこう…」


後藤は山形の体を支えながら起き上がった。


「警察なら既にいるぞ。」

「え?」


炎の外でパトカーが待機していた。


「お疲れ様です。長宗我部警部。」

「おう。こいつが?」


長宗我部警部は後藤を指さしていった。


「はい。俺が白虎を…いや、"長宗我部悠星"を殺しました…」

「そうか…」


長宗我部警部は静かに手錠をかけた。


「白虎ってまさか…」

「ああ、長宗我部警部の息子さんだ。」


夏の蒸し暑い風が吹いた。その風はバイクの炎を西に向かって燃え上がらせた。それは白虎の行き先を案内するかのようだった。

長宗我部警部は息子を2人も失っているというなかなかに悲しい人生なんです。

正直適当に考えたキャラクターだったけど、愛着が湧いちゃったのかな?

首なしライダーの最期のセリフですが、これは弟を安心させるために言った嘘です。でも、本心でもあります。

嘘との割合としては8:2って感じです。カルピスかな?

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