首なしライダー
ある夏の夜。ある道路で首なし死体が発見された。
それは白いライダースーツを着ていた。
ーーその日から、白いライダースーツを着た首のないライダーが目撃されるようになった…
深夜の道路でのバイクの音には2種類ある。
一つ目は暴走族だ。バイクを魔改造していて、マフラー音がとても大きい。彼らは改造したマフラー音を吹かしながら町中を徘徊する。
二つ目…そのバイクは魔改造はされておらず音も暴走族と比べるととても静かである。
しかし、問題はバイク本体ではなくライダーの方だ。
ーーそのライダーは自分の首を探して彷徨っている…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…というわけで、君たちの中でバイクに乗れる人はいるかな?」
「はい!俺乗れます!」
山形が勢いよく手を上げた。
「おっ!山形くんいいね!他は?」
部屋に沈黙が訪れた。聞こえてくるのはヒソヒソと話す声だけだ。
「黎くんいえよ〜。」
「なんでだよ。」
「免許あるじゃん。」
「バイク持ってないんだよ。」
「バイクくらい貸してやるよ。」
「五十嵐…お前余計なことを…」
「じゃあいいじゃん。黎くんでさ。」
「やだよ、第一俺は運転が苦手なんだよ。」
「なんで、車得意じゃん。」
「車と一緒にすんな。」
「そこの君たち、なにかあるかな?」
蛭間が3人を名指して呼んだ。
「え…なんでも…」
「黎くんがバイク乗れるらしいで〜す。」
「お!黒霧島君お願いできる?」
「いやですけど…」
「えーなんで?」
「俺バイクないんすよ。」
「じゃあ仕方ないか…山形君1人でいける?」
「そうですね…仕方ないです。」
山形は少し寂しそうに言った。
「うわ、健人君かわいそ〜。」
「知るかよそんなの…」
「先輩行ってくれないんすか?」
「行かないぞ。」
「なんでですか?」
「その方がお前の成長に繋がるだろ。」
「ええー。何かあった時どうするんすか。」
終わらなそうな議論に蛭間が鶴の一声を発した。
「じゃあ、今回は基本山形君が1人でいいかな?」
「基本?」
「そう。何かあったら黒霧島が出る。これでどう?」
「いいですね。それで行きましょう。」
「おい待て、よくないぞ。」
「はい。それでけってーい。じゃあいってらっしゃーい。」
「おいおい…部長?」
「なに?」
「俺は嫌ですよ?」
「何がそんなに嫌なの?」
「いや今日は…暑いですし?」
「めんどくさいんでしょ?」
「……………いや、そんなことは。」
「めんどくさいんだ?」
「めんどくさくないし。」
「あっそ。どんだけ屁理屈並べても行ってもらうから。諦めて黒霧島よ。」
「サウダージかよ。…もう諦めますよ。」
「おっ。よろしくね。」
諦めた黒霧島は山形に同行することを承諾した。
「よろしくお願いします。黒霧島先輩!」
「ああ、よろしく。」
こうして歪な二人組結成された。
山形はメリーさんに話しかけた。
「メリーさん、今回はフランス人形の方でお願いします。」
「えー、あれ気に入ってたのに…」
「しょうがないですよ。今回は小ぶりな方じゃないとダメですから。」
「むぅ〜…」
フランス人形は頬を膨らませて不機嫌な感じを醸し出した。
「そんな顔をしてもダメです。さあ、行きますよ。」
「もー…」
フランス人形は腕を引っ張られ付いていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ところで、首なしライダーってなんでいるんですかね?」
「首なしライダーね…結構有名だな。俺が聞いたことあるのは、"設置されたピアノ線か落下物かで首を刎ねられたライダーがその首を探している"みたいな話だな。」
「なるほど…なんかそういう話あるか聞いてみますか?」
「そうだな…暴走族にでも聞いてみよう。」
「暴走族?そんなのどこで見つけるんですか?」
「警察へ行く。」
「けいさつ?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
警視庁
「長宗我部警部、ちょっと今いいですか?」
「どうした?」
「来客です。」
「誰だ?」
「民俗怪異対策課の人です。」
「そう。じゃあ面談室に呼べ。」
ーー面談室
「誰かと思ったらお前か、てっきり蛭間かと。」
「部長がよかったですか?」
「まあそりゃあな。」
「そうですか。では、本題に参らせてもらいます。」
「はい。」
(すげぇ淡々としてるな。)
黒霧島と長宗我部は話を始めた。
「単刀直入にお聞きします。ここら辺で有名な暴走族っていますか?」
「暴走族?ここらでいったらなあ…"帝国螺旋連合"かな?」
「帝国螺旋連合?」
「そうそう。ちょっとふざけた名前だけど、大規模な暴走族だ。そこに行けば何か情報は得られるだろう。」
「で、そいつらはどこに?」
「東京港にある第五コンテナだ。そこで集会が行われていると言われている。」
「なるほど、わかりました。」
「何かは聞くつもりはないが、まあ頑張れよ。」
「ありがとうございます。」
2人は警視庁を後にした。
「警察を検索エンジン代わりにしてよかったんですか?」
「まあいいんじゃないか?あっちも俺らにヤマ丸投げすることあるし。」
「まあそうですね。テケテケとかそうでしたし。」
山形もこれからは警察を雑に扱うことを心に誓った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
東京港第五コンテナ
そこでは帝国螺旋連合が集会を開いていた。
「どうよ俺のマフラー。イカしてるだろ?」
「おめぇのもイカしてるけど、俺のも中々だぜ?」
そんな話をしている中、コンテナのドアが大きな音を立てて開いた。
「お前らが帝国螺旋連合か?」
山形が大きな声を張り上げて言った。
「なんだお前?サツか?」
「ちがう。俺はあんたらに話を聞きに来ただけだ。」
そんな山形に1人、ガンつけながら近づいてくるやつがいた。
「おめぇに話すことなんてなんもねぇよ…
…って!お前山形か?」
「え?うぇぇ!?後藤!久しぶりだな!」
山形は突然の再会に情けない声が出た。
「あんた…こんなのまで友達なの?」
「ああ、中学からの友達だよ。」
「山形お前人形が趣味なのか?」
「いや、これは仕事の関係で…」
「へぇ…ずいぶん変わった仕事に就いてるんだな。」
「へへ…まあ?その仕事で聞きたいことがあるんだ。」
「おうそうか。ダチの頼みなら聞いてやるさ。お前らもいいよな?」
後藤はみんなに問いかけた。
「総長がいいならいいですよ。」
「よっしゃあ!入れ!」
「先輩入っていいって。」
「おう、そうか。」
ドアの陰から黒霧島も出てきた。
「こいつは?」
「職場の先輩だ。」
「そうですか。よろしくっす!」
「ああ…」
(帰りたいな…)
黒霧島は無愛想に挨拶をした。
「ちょっと無愛想すぎないか?」
「まあまあ、そういうところも先輩だから。」
「お前、ほんと中学から変わらねぇな。」
「まあな?」
2人は奥の方に案内された。薄汚いソファに座らされた2人は錆びついた汚ねぇドラム缶の上に写真があることに気づいた。
「さあ、何が聞きたいんだ?なんでも聞いてくれ。」
「ああ。後藤さ、首なしライダーって知ってる?」
「…………ああ、知ってるさ。」
後藤はなにか含みのある沈黙を挟みいった。
「その感じだと、なにかあったのか?」
黒霧島が聞いた。
「実は…その首なしライダーにダチが殺られてよ。」
「…そうか。それは辛かったな。」
「で、その人は?」
「こいつだよ。白井って言ってな、とにかくバイクが好きなやつだった。」
後藤は写真の真ん中に写っている人を指さした。
「え…白井が?」
「お前、白井を知ってるのか?」
「ああ、白井は俺の幼馴染だからな。」
山形は悲しい声でいった。
「そうだったか…」
「ああ、中学校に上がるときに引っ越しちまって、今頃何してるかなって思ってたら…もうこの世にいねえなんてな。」
「……」
山形の瞳には水でできた膜が張られた。
「残酷な話だが、それを乗り越えないとダメだ。」
黒霧島は厳しく山形に言った。
「わかってますよ。白井のためにも、この事件、絶対解決して見せます!」
「よし。それでいい。」
「後藤、白井が殺される前に何か聞かなかったか?」
「たしか、白井が殺される前にメールをしててよ。これなんだけど。」
後藤は山形にスマホを見せた。
「これは?」
そこには写真があった。
「首なしライダーの写真だ。白井は変なライダーがいるから写真送るわって言ってたな。」
「先輩、おかしいですね。」
「ああ、これは変だな。」
「何がおかしいんだ?」
後藤は会話に割り込んで質問した。
「なあ後藤。この首なしライダーって"霊"だと思うか?」
山形は逆に後藤に質問した。
「当たり前だろ。首がない状態でバイクを運転なんてできるわけがない。」
「そうか…いいか後藤、よく聞けよ。」
「なんだ…?」
…
「首なしライダーは…」
「"霊"じゃなくて"人"かもしれない。」
最近投稿できてなくてすみません…
ところで、この話は銀狼怪奇ファイルの首なしライダーの事件っぽく作りたいですね。




