表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
35/57

真っ赤な雨

蒸し暑い梅雨の季節。日本に雨が降り注ぐ。

ーー赤い血を含みながら…

ーーある蒸し暑い雨の日


「"では次のニュースです。今朝、渋谷駅前に男性の遺体が確認されました。警察によればその遺体には片腕がなく、口元がナイフのようなもので裂かれていたとのことです。警察はーー"」


「へぇ〜。こわいね。」

「そうですね…。」

「まあ人間というものはいつか死ぬんだから、そんなに怖がるなよ。」

「はぁ…黎くんには恐怖というものがないのかなぁ。」


喜多方が呆れたように言った。


「でも…先輩は死なないんですよね?」

「は?何言ってるんだお前。死ぬに決まってるだろ。」

「え…でも…」

「人間というものはいつか死ぬ、これが世界の理だ。それとも俺が人じゃないとでも言うのか?」

「え…そんなこと…」

「だったらそんな馬鹿なこと言うのはやめろ。」


黒霧島は雲井の腕を払って言った。

雲井はそれに抵抗して腕を首に巻きつけた。


「何やってるんだ。離せ、暑いだろ。」

「いや…先輩死なないで…」

「無理だな。死ぬ時は死ぬ、この事実は受け止めるべきだ。」

「私にはできない…死んでほしくないもん…」


黒霧島を拘束する雲井の力が強くなっていく。


「暑い、離れろ。」


黒霧島は必死に対抗する。そんな2人を横目に喜多方は呑気に飯を探す。


「ねえねえ、カップラーメンとかない?お腹減ったんだけど。」


現在12時半。腹が減る頃である。


「多分昨日で無くなったと思います。」

「えー。じゃあ飯抜きじゃん。」

「そういう時の伝統的な手段があるでしょ?」


蛭間が口を挟んできた。


「えー。僕負けるんで嫌ですよ。」

「参加しない奴は強制的に負けだよ。」

「はー…やればいいんでしょ。」

「なんですかその伝統的な手段って。」


柊哉が疑問を投げかけた。


「"おつかいじゃんけん"だよ。」

「おつかいじゃんけん?」

「そう。負けた2人がおつかいに出かけるの。」

「この雨の中ですか?」

「そう。さあ、やるわよ。そこの2人も、あと五十嵐もね。」


五十嵐が仮眠室から出てきた。


「おれもすか。」

「当たり前でしょ?はい、やるよ。」

「黒霧島、位置につけ。」

「しょうがないなあ…」


全員位置に着いた。


「「「「「「最初はグー!」」」」」」


全員に緊張が走る


「「「「「「じゃんけんぽん!!」」」」」」



「わ…私が負けた…」

「よっしゃ!部長行ってきてください!」


喜多方のテンションが露骨に上がる。


「もう1人は…?」

「…私です…」

「雲井ちゃん…!一緒にいきましょう?」

「はい…じゃあね先輩…」


雲井は残念そうに蛭間に連れられて行った。



「雲井ってなんで急にあんなんになったんですかね。」

「俺が聞きたい。」

「まえ言ったじゃん。あのドッキリのせいで先輩を失うのが怖くなったんだって。」


しゃくちゃんが答えた。


「それにしても、態度が急変しすぎだろ。」

「そうですよね。前はツンツンしてたのに。」

「ツンデレって言うのじゃないの?」

「いや〜それにしてもいきなりツンがなくなりすぎじゃないですか?変ですよ。」

「なにか"外的要因"が働いてるとでも?」

「ねえねえ。部長に何買ってきてもらうかメールしようよ。」


呑気な喜多方は会話をやめて割り込んだ。


「そうですね。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「こいつら…好き勝手言いやがって…」

「まあまあ、負けたんですから買いましょうよ。」

「そうだね…」


蒸し暑い雨の中、2人は傘をさしながら横に並び歩いていた。


ーースーパーマーケット


「カップラーメン5個にカップ焼きそば7個?こいつらカップ麺食い過ぎだって。」

「あはは……コーヒー豆?コーヒーってそんなに減り早いんですか?」

「いや?コーヒーは黒霧島しか飲まないよ?」

「先輩のか…」

「なに?そんなに黒霧島のことが好きなの?」

「え?……いやそんなこと…」

「全く、嘘が下手ね。」

「いや、本当です…よく考えてみたら別に先輩に対して恋愛感情的なのはなくて、先輩を失うことだけが恐ろしいんです…」

「それを恋愛感情って言うんじゃないの?ほら、コーヒー豆はここだよ。」

「よーし…1番高いの買っちゃお!」

「それ経費でないよ。」

「え」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2人は買い物を終えて帰路についていた。


「重い…部長変わってください…」

「いいわよ。」


雲井は蛭間に荷物を手渡した。

その時、雲井は変な人を見つけた。

その人は真っ赤な傘をさし、真っ赤なレインコートを着て、真っ赤なブーツを履いた真っ赤っかな人だった。


「なんですかあれ?」


雲井はある真っ赤っかな人を指差した。


「さあ?わかんない。」

「!?こっちみてますよ…」


真っ赤っかな人は2人の方を見ていた。


「「…………!」」


真っ赤っかな人は唐突に雲井の目の前に現れた。

真っ赤っかな人は赤く充血した目で雲井を見つめた。


雲井はおぼついた指先で護符にエネルギーを込めた。

護符は赤く発光した。


その時真っ赤っかな人は何もなかったかのように後ろを振り向き去って行った。


蛭間には何もできなかった。


「び…びっくりした…なんだったんですかあれ?」

「さあ…気味が悪いね。早く帰ろう。」

「は…はい…」


2人は足早で支部に帰ってきた。


「お!帰ってきた!」


喜多方は嬉しそうに言った。


「なんか疲れてないか?」

「ああ…息も上がっているな。」


柊哉と五十嵐は2人の変化に気づいた。


「ああ…帰り道で変なやつを見てな。」

「全身が真っ赤だったの。」

「なんだそいつ?不審者か?」

「多分…そうかも…」

「いや、そいつはおそらく"まっかっかさん"ってやつだ。」


黒霧島が遠くから話しかけた。


「なんですかそれ?またおふざけですか?」


柊哉はアクロバティックさらさらを思い出しながら言った。


「いや、れっきとした霊だ。基本目があった奴は死ぬ。しかし、赤いものを持っていたら生還できる。そんな奴だ。」

「え…私危なかった…?」


雲井は冷や汗をかいた。


「お前、赤いものを持ってないのにどうやって…?」

「護符が赤く光ったんです。」

「なるほどな…お前、命拾いしたな。」

「よかった…二度と先輩に会えなくなると思った…」


雲井は黒霧島に勢いよく抱きついた。


「はあ…またか。」

「雲井ちゃん。買ったもの冷蔵庫に入れるよ。」

「はーい。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーー大雨の浅草。


「ねぇ…わたし、"キレイ"?」

「へっ…?き、キレイだと思いますよ?」

「これでも…?」


女性はマスクを取り、左右に裂けた口元を顕にした。


「ひっ…」


男性はあまりに残酷な見た目に腰を抜かした。

女性はナタを取り出し、男性に斬りかかる。

男性はその場に倒れ込んだ。女性はその男性の肩に刃を入れ、切り裂いた。


「ぐわああああ…!」


女性は痛みに悶える男性の口元にも刃を入れ、自分と同じ傷跡を残した。



「おぉ…ひどいなぁ。」


その現場を京平は目撃していた。

女性は京平の方を振り向いた。


「ねぇ…わたし、"キレイ"?」

「ああ、キレイだ。赤がよく似合う素敵な女性だ。」


京平は優しい口調でそう言った。


「え…?ほんとう…?」

「ああ本当さ。あなたはきれいだよ。」

「嬉しい…」


その女性は京平の方へ近づいた。


「そんな素敵なあなた、俺と"友達"にならないか?」

「いいの?」

「いいもなにも、こっちがお願いしてるんだ。いいに決まっているだろう。」

「…そうだよね。はい…喜んで。」

「よかった。嬉しいなぁ…ねぇ、これ俺からお近づきのプレゼント。よかったらつけて。」


京平は仮面を手渡した。その仮面は白く無機質なマスクで、口元がなく、顔も半分しか隠せない。


「これ?」

「そう…これだよ。いらかった?」

「いや…嬉しい。ありがとう…」

「いえいえ、どうも。これから家に帰るんだけど、一緒に来る?」

「いいんですか?」

「いいよ?」

「じゃあ…お言葉に甘えて…」


雨の中京平は女性と一緒に傘をさした。


そんな様子をまっかっかさんは見ていた。

まっかっかさんは京平のすぐそばに来た。


「なんだ君は。邪魔をしないでもらおうか。」


京平はまっかっかさんに護符を貼り付けた。

まっかっかさんは赤い塵になって消えた。


「さあ…いこうか。」

「……うん。」


雨の降る街中に2人は消えて行った。

こういうところのカップ麺って経費で落ちるんじゃないの?まあ想像上の組織だからなんとでも言えるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ