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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
31/57

イヌゲッチュ

人面犬を捕まえるために対策を練った3人。捕獲任務に出動する。

ーー仲間をやられたら犬は集団で襲いかかる…!

「デ、デートですか?」

「だめ?」

「デ…ええ?任務中だし…」


山形は突然のカミングアウトに困惑しながらもなんとかして言葉を捻り出そうとしている。


「任務っていう定ならいいんじゃない?」

「ほら、あいつもそう言ってるしさ。」

「ええ…?部長?」

「ただし、喜多方は同行させるよ。」

「ええ〜。健人とだけがいい〜」

「それだと任務じゃないでしょ?」

「ケチだなぁ…」

「なにかいったかな?メリーちゃん?」

「いや…なんでもないです。」


メリーさんの背筋に凍りついたものが走った。


「じゃあ、任務再開ね。いってらっしゃい。」


メリーさんはいやいやながら3人で出かけた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「いいかい?作戦は変わらない。僕がかんひもで捕まえてケージに入れる。ケージを持つ人がメリーさんになるだけだ。わかった?」

「犬に噛まれても問題ないわたしがケージを持つのね。」

「うん。そうだよ。じゃあ行こうか。」

「どこに行くんですか?」

「まずは1番目撃情報が多い"秋葉原"から行こうか。」


〜秋葉原〜


「秋葉原っていっても広いですよね?」

「僕行ったことないからわかんないわ。」

「ええ?どうします?」

「まあなんか路地裏にいるんじゃない?」


キラキラとしたコンセプトカフェの大群を抜け、3人は路地裏に向かった。


「さあ…犬いるかなあ…」


その時奥から音がした。音のする方に向かってみると、そこにはゴミ箱を漁る犬の姿があった。


「あれって…」

「いや、まだわからない。よく観察して。」


ゴミ箱を漁りおえた犬がこちらへ顔を向けた。



その顔はとても犬のものとは思えなかった。それはまるで人間の、俗にいうおじさんの顔をしていた。


「あんちゃんら。何見てんだ?」


人面犬は3人に語りかけた。


「人面犬って喋るんですか?」

「そうみたいだね…」


喜多方はかんひもを装着して手を人面犬に向けた。


「ごめんなさい!!」


喜多方の腕から無数の髪の毛が生えてくる。


「おっ!?なんだ?」


人面犬が呆気に取られていると、髪の毛に捕まった。


「おい!はなしやがれ!」

「メリーさんお願い。」

「はーい。」


メリーさんはケージの蓋を開けた。そして人面犬を入れた。


「おい!出せよ!」

「先輩、捕まえた人面犬どうしますか?」

「一旦支部に送ろう。部長に連絡する。」


喜多方は昼間にメッセージを送った。

2分後、アスファルトが裂け、その穴から蛭間が出てきた。


「つかまえたんだね。じゃあ、こいつはわたしで預かる。」

「お願いします。」


蛭間はケージを持ってアスファルトの隙間に消えた。


「さて、次も探しましょう。」


3人は捜索を再開した。外は次第に暗くなっていく。秋葉原に光り輝くネオンの主張が激しくなってきている。


ネオンの光が差し込む中、2匹目の犬を見つけた。


「さあ…どうだ!?」


喜多方は後ろから髪の毛で掴んだ。その犬の顔には、若い大学生くらいの人間の顔をしていた。


「ちょっと!女の子にいきなり触らないでよ!?」


どうやら女性らしい。


「すみません。…ではメリーさんお願いします。」

「はーい。」


メリーさんはケージに人面犬を入れた。


「ちょっと誘拐!?いくらわたしが可愛いからって勘弁してよ!」

「ごめんね。私たちも仕事なの。」

「おっ。つかまえた?」


タイミングよく蛭間が出てきた。


「はい。お願いします。」

「おっけー。」


蛭間はケージと共にアスファルトにできた闇に消えた。


「ふう…確か秋葉原での目撃情報は2件だったよね。」

「そうでしたね。次行きますか?」

「そうしようか。」


3人はネオンが光り輝く街へと戻ってきた。


そこには、不自然なくらい人気が少なかった。もう暗くなっているが、それにしても不自然であった。街にはネオンだけが虚空を照らしていた。


「なんか人少なくない?」

「なんか怖いですね。」


昼間の活気に満ちた人々はなく、静かに闇に消えたコンセプトカフェやホビーショップしかなかった。


「ねえ…なにあれ?」


メリーさんが何かに気づいた。

それはネオンで照らされた何かの影だった。その影は横に広がっていて、何かが大量に集まっているようだった。その影達はこちらに向かってくる。



ネオンに照らし出されたのは大量の人の顔面だった。

しかし、その顔面達はなぜか低いところに位置していた。それはなぜか。


ーー胴体が犬だからだ。


「うわっ!なんだあれは!?」


人面犬の群れがこちらへ向かってくる。人面犬は一斉に喋り出して何をいっているか聞き取れない。3人は逃げることしかできなかった。


「仲間…」

「俺たちの仲間を…」

「返せ」「返せ」「返せ」

「やばい、みんな逃げるよ!」


喜多方が先導した。


「ちょっとなによこれ!」

「わかりません。何かが奴らの逆鱗に触れたのかもしれません。」

「私たちが捕獲してるから…!?」

「それは全然あるよね。仲間に危害を加えられて怒らない人なんていないよ。」

「そうですよね…」


喜多方はスマホを操作しながら走っている。


「あんた、余裕そうね。」

「いやいや、スマホを操作しながらって難しいんだよ?」

「スマホを操作しなければいいんじゃない?」

「操作しなければいけないんだよ。」

「あんま喋ると体力削られますよ。」

「そうだね。」


それから3人は一言も話さずにただ逃げることだけに必死になった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ん?喜多方からメール…」

「何が来たんですか?」


黒霧島が問いかける。雲井は嫉妬を込めた目線を送る。


「なんか、デカめの檻が欲しいんだって。」

「デカめって?」

「とにかくでかいの。プレハブ小屋並みのものだって。」

「そんなの都合よくあるわけないでしょう。」

「うーん…そうだよねぇ…」

「"本部"に問いかけてみたらどうですか?」

「そうだね。やってみよう。」


蛭間は本部とやらに電話をかけた。


「ねえ先輩。本部ってなんですか?」

「本部って言ったら本部だろ。民俗怪異対策課の1番上。ここは東京"支部"だろ?そりゃ本部だってあるだろ。」

「そりゃそうですね。先輩?今日泊まってもいいですか?」

「無理だけど。流れに任せても無駄だ。」

「えー…先輩の家行きたいなあ…」

「くんな。」


蛭間は電話を終えたようだった。


「どうでした?」

「なんとかやってみるって。じゃあわたし行ってくるから。」

「はい。」


蛭間は床を裂かせてその中に飛び込んだ。


「先輩。なにか飲み物入りますか?」

「コーヒーをくれ。」

「はい。」


雲井はコーヒーを淹れにいった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その頃秋葉原では3人が必死に人面犬から逃げていた。


「先輩もう限界ですよ。」

「部長もうちょっとなはずだけど…」

「はやくしてよ…!


突然前方に蛭間が現れた。


「みんな、待たせたね。」

「待たせすぎです…じゃあ、頼みました。」

「はいよ。」


蛭間は吠え散らかしている人面犬の前に立った。

少し足に力を入れると、アスファルトに亀裂が走り、それは巨大な裂け目となった。その裂け目は人面犬の群れ全体を堕とせる大きさになった。


瞬く間に人面犬は裂け目に吸い込まれていく。


「……すごいですね…」


山形は驚きすぎて声が出なかった。


「じゃあ、わたしはこれから行くところがあるから。」


そういうと、蛭間もまた裂け目に吸い込まれた。


「…帰ろうか。」

「そうですね。帰りましょう、メリーさん。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー本部ー


「わるいね。なんだかしんないけど、君たちのことが欲しいらしい。」


「なんだよそれ!」「ふざけんな!ここから出せ!」


人面犬たちは喚きながら抵抗する。


「じゃあ、そういうことで、ばいばい。」


そういうと蛭間は冷たくドアを閉めて出ていった。


ーー本部長室


「本部長、こいつらを一体何か使うんですか?」

「…そうだな、君には言っておこうかな。」


本部長は重い口を開けた。


「そいつらはな、我々の"ペット"だ。」

「ペット?」

「ああ。1匹ずつウイルスのチェックを行い、しっかりシャワーを浴びせ、ここで飼う。」

「犬ってな…躾けると噛まないんだよ。」


本部長はねったらとした口調でいった。


「そんなこと…信じられません。」

「まあそうだろうな。信じられんだろう。霊をペットとして飼うなんて今までやったことのないことだ。」

「それってなんのために行うんですか?」

「…それは、"無害な霊"を作るためだよ。」

「無害な霊?」

「そうだ。霊はもともといるだけで人間に害を与える。しかし、その霊が人間に害を与えなくなったら?」

「…霊を恐れることはなくなる?」

「そう。そして、霊によって苦しむ人も出なくなる。素晴らしいと思わないかね?」

「いや…しかし…」

「なんだね?私に楯突くというのかな?」


本部長は鋭い眼光を蛭間に送った。


「い…いえ、そんなことはありません。」

「そうだろうそうだろう。」

「はい…」


(もうこいつの相手は勘弁したいね…)


蛭間は嫌な顔を必死に隠しながら話を聞いた。


「そういうことだから。じゃあ、帰りなさい。」

「はい、では失礼します。」


蛭間は本部長室をでて、深呼吸をして帰路についた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ペットにするんだって。人面犬。」

「へぇ…」

「寛ちゃん予想外れたね。」

「いや…なんかこいつ嘘ついてるよね。」

「ええ…?ついてないと思うけどなあ…」

「考えてもみろよ。ペットって。嫌でしょ顔が人のペットなんて。」

「まあ…?」

「だから嘘なの。明らかに。」

「じゃあさ、そうだとして、寛ちゃんは何に使うと思うの?」

「そりゃ兵器でしょう。調教した人面犬を敵に向かわせる。これよ。」

「うーん…」

「だら姉は何がそんなに不服なの?」

「いやだってわざわざ人面犬を使わなくてもいいじゃん。自分でやったらさ。」

「それはさ、違うじゃん。」

「なにが?」

「人一人と犬大量だったら後者の方が怖いよ?」

「そうだけどさ…恐怖を与えても敵は倒せないよ?」

「犬と人で追い込むんだよ。犬に恐怖したうちに人が倒す。」

「まあロジックとしてはいい線入ってると思う。でも、人間には使えるけど霊には使えないよね。」

「…………」

「寛ちゃん?」

「なんだようるさいなあ。」

「論破されて悔しいんだ?」

「黙っとけよ。」

「あ!そんな口の書き方する人はお仕置きだよ?」

「やめてってそれ。もう歳だから辛いんだって。」

「寛ちゃんか生意気言うからでしょ?」

「はあ…もうやだ…」

「そんなこと言ってもダーメ。連れてくから〜。」

「いやーやめて…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あれ?黎くん寝ちゃったの?」

「はい。だからわたしが家まで送ります。」

「そう。気をつけてね。」

「山形、わたし明日多分来ないから、よろしくね。」

「え?」


雲井にすれ違いざまに言われた。山形は十分に理解できずに去っていった。


「?まあいいや、メリーさん。体どうしますか?」

「…今日はこのまま。」

題名はサルゲッチュのパロディです。

サルゲッチュってさるをゲッチュするゲームなんですか?

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