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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
23/57

山奥へと続く道

地域に根付いた呪い。それはなりふり構わずに降り注ぐ災害になる…

昔むかし…この地域にある村にはとある村掟があった。その村は少子化が激しかった。だからその村の村長がある村掟を発足させた。が、それが全ての呪いの元凶だった…


ーその村掟というのは、村の女性を子供産んで育てる機械に仕立て上げようというものだった。


その村掟によって、村の女性は14歳で必ず"役目"を真っ当させられた。女性は男性に何をされても抵抗することは許されず、村人たちはそれを当たり前としていた。そして女性は子供が産まれると両目を潰された。それは、女性は出産と育児をするだけの道具であるということを意味する。望まぬ出産、そして目を潰されたことによる恐怖と怒り…

文字通り機械のような扱いを受けた女性たちの怨恨は凄まじく、その地域に現代まで居座り続ける呪いとなっている。その地域で男女が夜を共にすると目を潰された女性達の怨霊が女性の目を潰すために出てくる…


「という話がある。今回の任務はこの伝承について調べて、その時の怨霊が出てきたら浄霊するというものだ。」

「ええ…これやるんですか?」

「怖いよね、柊哉。」


柊哉としゃくちゃんはノリ気ではないようだ。


「ちなみにその怨霊にアクロバティックさらさらみたいな名前はあるんですか?」


雲井が聞いた。


「たしか"仮母女(かもめ)"だったかな?」

「鳥じゃん。」

「同音異義語だ。」

「あんたさぁ…」


雲井と黒霧島が呆れている。


「じ…じゃあ行きますか?」

「やっと行く気になった?」

「本当は行きたくないけど…」

「えー。いかないの?」


蛭間が口を挟んだ。


「そこに温泉があってすごくいい湯なのに、行かないのは勿体無いよ。ねぇ〜雲井ちゃん?」


蛭間は雲井に抱きつき頭を撫でて言った。


「なおさら行きたい!早く行こうよ!」

「えーやだって。怖いじゃん。ねぇしゃくちゃん?」

「温泉か…いいな…」


しゃくちゃんは温泉の誘惑に勝てなかった。


「ほら、しゃくちゃんも温泉に入りたいよね〜。」

「ほら、もう行くしかないんだ。早くしろ。」


黒霧島が催促する。


「わかりましたよ。行けばいいんでしょ。」

「話がわかる子。ほら、行くよ。」


柊哉は半強制的に連れてかれた。


「そう言えば、その温泉宿にはどうやって行くの?」

「車だ。」

「車〜?狭いじゃん。」

「文句言うな。普通車だから広いぞ。」

「関係ない。狭いもんは狭いの。」

「黙って乗れ。八尺瓊、お前は前だ。」

「ふーん、まあ男女を分けるのは評価してあげるわ。」

「だから黙って乗れ。」

「ちぇっ。」


黒霧島、雲井、柊哉、しゃくちゃんの4人は車で温泉宿に向かった。


「雲井、ちゃんと護符持ったか?」

「持ったわよ。舐めないでちょうだい。」

「そうか、よかったな。」


黒霧島の言葉には"どうでもいいな"という感情が滲み出ていた。


「あ!あんた今適当にあしらったわね!?」


雲井が運転席を蹴った。


「おいやめろ。ここで降ろしてもいいんだぞ?」

「はっ!やれるもんならやってみろってんだ!」

「2人仲良くていいね。」

「「仲良くない(!!)」」


黒霧島と雲井は同時に言った。


「仲良いじゃん。」

「お前も降ろしてもいいんだぞ?」

「やめてください。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ねえ、しゃくちゃん。」

「なあに?」

「八尺瓊との出会いってどんな感じだったの?」


雲井がニヤニヤしながら聞いてきた。


「えっ…えっ…そ…それは…////」


しゃくちゃんは突然そんなことを聞かれたもんだから動揺した。


「どうした?顔赤いぞ?」


雲井は笑いながらそう言った。


「もう…!揶揄わないで…!///」

「言ってくれたっていいじゃん!」

「うーん…///じ、じゃあ…」

「お!ついにきましたか!」


しゃくちゃんはゆっくりと語り出した。


「わたし物心ついた時からずっと1人だったの。両親がいなくていつも孤独だった。そんな時、一緒に遊んでくれたのが柊哉なの。」

「へぇ〜いいですなぁ〜。」


雲井はしゃくちゃんの話をおっさんみたいな反応で聞いていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「なあ、一緒に遊ぼうぜ。」

「え?」

「なあいいだろ?今日は友達がいなくて暇なんだ。」

「あ…あの。何して遊ぶ?」

「じゃあ公園行こうぜ!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「出会い方はしょうもない出会い方だったけど、その日はとても楽しかったの。それから柊哉は友達がいない時だけだったけど私も遊んでくれた。その時がとても楽しかったの。気づいたら柊哉のことを目で追っていて、自分の恋心にも気づいた。」

「おうおう。それで?」


雲井のボルテージが上がっていく。


「でも、小学校を卒業した時くらいかな。柊哉が都会の方に出て行っちゃったの。」

「え?あんたさ…」

「ぅえ?なに?」


寝起きの柊哉には何が何だかわからなかった。


「その日から私の心にはポッカリ穴が空いていた。何をしても楽しくなかったの。私は柊哉を求めてるのに柊哉は全然帰ってこないし、もし帰ってきていても私のことなんて覚えてないんだろうって。そんなことをばっかり考えていたの。」

「まじか…ごめんなしゃくちゃん。」


柊哉は話を聞くうちに申し訳なくなってきた。


「いいの。今はこうやって一緒にいるし。私、柊哉に覚えてるか聞いた時に"覚えてる"って言ってくれて本当に嬉しかったんだよ?」

「そうか?なんか照れるな…」


柊哉は密かに赤面した。


「ねえねえ。あんた達ってさ、カップル?」


雲井がニヤニヤしながら聞いた。カーナビに存在しない道が一瞬だけ写った。


「うーん…どうなんだろうな。付き合ってるとか超えてるよな。」

「そうだよね。私たち一心同体だしさ。」

「じゃあさ、"そういうこと"ってしたの?」


雲井がさらに口角を上げて言った。その時サイドミラーに手形が着いた。


「え?//ちょっとやめてよ!!」

「えー?それってどうなんだろうな。だって俺はしゃくちゃんで、しゃくちゃんは俺なんだし。そこで"そういうこと"をするっていうのはなんか変な感覚じゃない?」

「ちょっと柊哉まで!///」


真剣に考察する柊哉にしゃくちゃんの顔は赤くなる一方である。柊哉の視界の端っこに女性の顔が写り込んだ気がする。そこで黒霧島は考察を話す。


「そこまで違和感はないんじゃないか?一心同体といっても憑霊使いというのは完全に半分こしあっているわけではないだろ?」

「なに?そういう会話になったら話に入ってきたわね。」

「黙れ雲井。運転に支障をきたすだろ。」

「照れ隠しか〜?恥ずかしがんなって〜」

「チッ…クソガキ。鬱陶しいな…」

「ちょっとやめてよ。冗談じゃん。揶揄っただけよ。そんなにマジにならないで?」

「…まあ俺は憑霊使いじゃないしそういうことはよくわからないけど?」


黒霧島は怒りを抑えて平常心を保っている。雲井はガチで黒霧島を怒らせたことに萎縮している。そんな中絞り出すようにしゃくちゃんに質問する。


「じ…じゃあさ、しゃくちゃんは"そういうこと"したい?」

「え!?///結局その話に戻るの?///」

「まあまあ聞くだけだからさ〜。」


雲井がしつこく問い詰める。鳥達が一斉に木から飛び立った。


「えっ…えっと…そ、そりゃ…したいけど…」


最後の方になるに連れて言葉が弱くなっていった。

黒霧島は山奥に謎の気配を感じた。


「いいな〜。私も昔、いい感じだったんだけどなぁ〜」

「え?そんな相手いるのか?」

「失礼ね。いるわよ。」

「誰だよ?」

「"霧峰"よ。」

「「ああ〜…」」


懐かしい名前に柊哉としゃくちゃんは懐かしい気持ちと説明できない納得感を得た。カーナビの色が一瞬だけ夜仕様に変わった。


「なんか少しわかる気がする…」

「あいつ、せっかく東京観光に連れて行ったのに…」

「北海道で元気にやってるさ。」

「いいとこまで行ったのに北海道なんかに行かされて…はあ〜。また探すしかないわね…」

「いるじゃん。お前の前に。」


柊哉は右側から鋭い視線を感じた。その奥からも視線を感じる。


「………や、やっぱ何もない。」

「そうよね。よかった。てかまだなの?いつまで山道走ってるの?」

「もうすぐだ。あと8分ってとこだ。」

「やっとか…」

「温泉楽しみね。しゃくちゃん。」

「うん!!」


カーナビが目的地に着いたことを知らせてくれた。


"目的地周辺デス。運転オ疲レ様デシタ"


一瞬だけ声が変わったような気がした…


謎の気配と一緒に4人は目的地の温泉宿に着いた。

車のリアガラスには手形はびっしりと付いていた。

温泉マークって湾曲書いてへにょへにょから変わったって聞いたけどそれ以外の温泉マークって見たことないよね。

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