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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
22/57

ドラゴンスレイヤー

地獄の業火で全てを焼き尽くすドラゴン。

ーそんな怪物に対抗するのは?

今宵、大怪獣バトルが勃発する…!

「ドラゴンを倒すっていってもどうやって倒すんだ?」

「先輩知ってますか?」

「俺が質問してるんだけど。」


雲井が五十嵐に突っかかった。


「ドラゴン、竜って蜈蚣が弱点なんですよ。」

「そうなの?雲井ちゃんは物知りね。」


蛭間は雲井の頭を撫でてそういった。


「えへへ…」

「で?資料にはとても大きいって書いてあるけど?その辺の蜈蚣じゃ厳しいだろ。」

「めっちゃでかい蜈蚣を呼ぶんですよ。」

「めっちゃでかい蜈蚣?」

「そうです。そいつは"黒長さん"っていう降霊術で呼べるんです。」

「なるほど、そいつとドラゴンを戦わせようってわけだ。」

「そうです。だから、"わざと"降霊術を失敗させます。」

「失敗?成功したら出てくるんじゃないのか?」

「この降霊術は成功したら願いが叶うけど、失敗したら誰かが扉をこじ開けようとしてくるんです。」

「その"扉をこじ開けようとしてくるやつ"が蜈蚣ってわけね。いいじゃん、それで行こう。」


五十嵐は計画を練る。


「雲井が"黒長さん"を行う→例の話をする→黒長さんを失敗する→ドラゴンが来る→蜈蚣を部屋に入れる→蜈蚣とドラゴンを戦わせる」

「計画はこれでいいな?」

「はい。」


雲井は内容を理解した。


「で、蜈蚣とドラゴンが戦ってる時に雲井を守る役がいるな。」

「そうですね…誰が適任なんですか?」

「喜多方だ。」

「喜多方さん?」

「そうだ。あいつのかんひも。

ー髪の毛を操る還具で雲井を髪の毛で包み込んで守るって感じだ。」

「なるほど、喜多方先輩は今どこに?」

「ぐっすりとおやすみ中だ。起こしてあげるなよ。」

「じゃあ計画はどうしますか?」

「明日、喜多方に伝える。今日はもう遅いから帰りなさい。」


五十嵐は雲井を帰らせた。その後、五十嵐は2人を置いて帰った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日。


「おはよーみんな。」


蛭間が挨拶をする。


「「「「おはようございます」」」」


雲井、喜多方、五十嵐、黒霧島は挨拶を返した。


「五十嵐、昨日の計画はどうしたの?」

「ああそうだった。喜多方、後で話がある。」

「おっけー。」

「俺は?」

「きみは任務だよ。」

「そうですか。」


こんな感じで、淡々と朝礼は終わった。朝礼後、五十嵐は喜多方を呼び出した。


「喜多方、実は今日一連の連続放火事件を解決するんだ。」

「おお、それはすごい。…で?それに僕が関係してるの?」

「そうだ。この作戦は雲井が主軸だ。あいつの降霊術を使う。その関係で雲井を守る必要が出てきた。それにお前を使いたい。」

「なるほど、かんひもか。いいよ、僕はどうすればいいの?」

「お前は髪の毛で雲井と儀式を守ってほしい。あと、やつを呼び寄せるために話もしてほしい。」

「わかった。場所は?」

「磯野刑事に頼んでプレハブ小屋を借りた。あいつの家は金持ちだからな。」

「そうなんだ。それはどこに?」

「"軽井沢"だ。」

「遠いね。」

「ああ、だから今から向かう。」

「おっけー準備するわ。」


喜多方は出発準備に取り掛かる。


「雲井、喜多方。準備はいいな?」

「OKです!」

「いいよ!」

「では出発だ!」


3人は車に乗って軽井沢に向かった。


「雲井、お前蜈蚣とドラゴンを戦わせるけど残った方はどうするんだ?」

「う〜ん。喜多方先輩倒せますか?」

「まあ…やってみるけど、幽依ちゃんも手伝ってね?」

「…わかりました。では"こっくりさん"でも呼びます。」

「そう。わかった。…ちょっとごめんサービスエリア寄ってくれない?」

「どうしたんですか?」

「吐きそう…」


3人はサービスエリアに寄った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

軽井沢。


「五十嵐さん。どうも。」

「おう。こちら、磯野刑事だ。」

「初めまして。雲井です。」

「よろしく。」

「で…プレハブ小屋はどこだ?」

「アレです。」

「ありがとう。どうする?もうやるか?」

「なんか食べたいです。」


雲井が意見を出す。それに喜多方も同調する。


「僕もお腹が減ったなぁ…」

「じゃあそばでも食いにいこうか。」

「いいねー!」


3人はそばを食べにいった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

警視庁


「長宗我部警部。磯野刑事今日はいらっしゃらないんですか?」

「ああ、なんか実家に用があるからって。」

「そうですか…確認したいことがあったのに。」

「なんだ?俺に話してみろ。」

「あの、黒沢村ってあったじゃないですか。」

「ああ、あの廃村だろ。」

「あそこに最近人がいるみたいな通報が来るんですよ。」

「そんなわけないだろう。だってあそこの村人は1人を除いて皆殺されたのだから。」

「でもなんか人がいるらしいですよ?」

「ええ〜?絶対おかしいって。」

「ほんとに通報があったんですよ。」

「ほんと?」

「ほんとです。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昼ごはんから帰ってきた3人は早速準備に取り掛かる。


「まず何をするんだ?」

「まずはこのノートパソコンの画面を真っ暗にします。」


雲井は設定を変更して背景画像を真っ黒にした。


「次は?」

「グループメッセージの部屋を作ってください。」

「おっけー。」


喜多方はグループ部屋に雲井と五十嵐を招待した。


「入った?」

「入りました。」

「次は?」

「特にはないですね。」

「では行ってこい。」


2人を送って五十嵐は磯野刑事の家に向かった。


プレハブ小屋ー


「ドアと窓閉めてください。」

「わかった。」


喜多方はドアと窓を全て閉めた。


「閉めたよ。」

「"じゃあパソコンを開いてくれ。"」


五十嵐は無線で指示を出している。雲井はパソコンを開いて、そこでメッセージアプリを開いた。そしてメッセージを打った。


ゆい

「黒長さん黒長さんお待ちしております。」


「打った?」

「はい。」

「じゃあ、話するね。」


喜多方は火竜そばの話を始めた。


「ねえ幽依ちゃん。"火竜そば"って知ってる?」


喜多方はメッセージを打ちながら聞いた。


「なんですかそれ?」

「なんか、その話を聞いた人のところにきて炎を放つらしいよ。」

「へぇ〜。」

「怖いよね。」

「…でもそれって嘘ですよね?」

「そうだよね。だって"火竜そば"並び替えたら"うそばかりゅ"…嘘ばかり言うだし。」


すると、窓の外から巨大な翼で羽ばたくような音が聞こえてきた。


(きたな…!)


「"喜多方、メッセージを送ってくれ"」

喜多方はメッセージを送った。


喜多方

「黒長さん黒長さんゆいちゃんが呼んでいます」


メッセージを送った時、窓の外に巨大な炎が見えた。


「幽依ちゃん!行くよ!」

「お願いします!」


雲井はパソコンの画面を見た。儀式は失敗した。

雲井は蜈蚣が這い回るような感覚に襲われる。同時に手元に蜈蚣が現れる幻覚が見えた。


「うっわ…きもちわる…」


プレハブ小屋のドアをこじ開けようとする音も聞こえてきた。それと同時に、プレハブ小屋の窓ガラスは爆ぜ、炎が室内に侵入してきた。


ーその時姿を現した。…爬虫類のような目、強靭な爪、そして硬そうな皮膚。例のドラゴンである。


そのドラゴンは部屋に入ってきた。


「開けるよ!」


こじ開けられそうなドアを喜多方が開いた。そのドアから無数の足が見えた。


すぐさま逃げて喜多方はかんひもを取り付けた。そして、かんひもを付けた方の腕を上に翳した。すると、腕から飛び出た髪の毛はドーム状に広がって2人を包み込んだ。


ドアからは蜈蚣、窓からはドラゴンが入ってくる。遠くで見ていた五十嵐はその様子を見た。


「やべぇ…地獄絵図だなこりゃ…」


喜多方と雲井は髪の毛に守られながらコックリさんの紙を広げた。


その頃外では蜈蚣とドラゴンが戦っていた。巨大な羽ばたきと蜈蚣が壁を這い回る音が聞こえてくる。ドラゴンの咆哮は窓ガラスを全て破壊する。


ドラゴンは爪で蜈蚣を攻撃する。蜈蚣の硬い外骨格がそれを受け止める。蜈蚣は反撃に毒牙で喰らいつく。

ドラゴンは苦し紛れにブレスで対抗する。蜈蚣が焦げた匂いが充満した。ドラゴンは蜈蚣の神経毒でやられてしまったが、ドラゴンも蜈蚣の胴体を噛みちぎる。

ドラゴンに毒が回る。尻尾はもう溶け落ちてしまった。ドラゴンはプレハブ小屋の屋根を突き破った。蜈蚣もそれに呼応するように壁を破壊して外に出た。ドラゴンは空から炎を吐いて攻撃する。蜈蚣はするすると炎を避ける。毒で溶けた翼はドラゴンを地面へと向かわせる。蜈蚣はドラゴンに飛びかかる。そんな蜈蚣をドラゴンは爪で切り裂いた。しかし、蜈蚣は腹部に足を絡ませて毒を注入する。そんな蜈蚣をドラゴンはブレスで燃やし、足が離れたところを叩き落とした。そして強靭な爪で腹部に追い打ちをかける。蜈蚣に爪が深く突き刺さる。蜈蚣が弱々しく叫ぶ。そんな蜈蚣にドラゴンはブレスを放ち焼き払う。ドラゴンの方も毒で限界が来ている。そんなドラゴンの首元に蜈蚣が足を絡ませて毒を注入した。ドラゴンも蜈蚣を噛み砕いて抵抗する。ドラゴンは毒で体が半分溶けていた。それでも蜈蚣の頭部を噛み砕こうと牙を押し込んだ。


その隙に2人はコックリさんを始めた。雲井は気持ちの悪い感覚が走ったまま10円玉に指を置いた。


「「コックリさん、コックリさん。おいでください。もしおいでになられたら"はい"にお進みください。」」


10円玉は"はい"に移動した。依然として雲井は気持ちの悪い感覚に侵されている。


「こっくりさん。今外で蜈蚣とドラゴンが戦ってます。その残った方を倒すために力を貸してほしいのですが、お願いできますか?」


雲井はコックリさんに聞いた。10円玉は動き出した。雲井の指が這い回る感覚でプルプル震え出した。



「ありがとうございます。」

「もしドラゴンが残ったらどうするんですか?」

喜多方が聞いた。



「無理ですか?」

雲井が再度質問する。



「そうですか…」

「こっくりさんって意外とラフに話すんだね。」


喜多方が雲井に聞いた。



「そうなんですか。ところでコックリさんはなんの動物なんですか?」


喜多方がコックリさんに質問する。



「へぇ〜そうなんですね。」


コックリさんに質問していると、外での戦闘が終わったようだ。喜多方は髪の毛を少し解除した。そこにはプレハブ小屋はなく、ドラゴンの骨とその死肉を喰らっている蜈蚣だけがいた。喜多方はすぐに髪の毛を戻すとコックリさんに報告した。


「コックリさんコックリさん。蜈蚣が残りました。」



「何分で着きますか?」

雲井が聞いた。



「ありがとうございます。では、待ってます。」


10円玉は"はい"に止まった。


「先輩コックリさんと仲良くなりましたね。」

「ね。意外と話しやすくて驚いたよ。」


2分後、窓の方からイタチの鳴き声がした。

喜多方は髪の毛を戻した。そこには蜈蚣を食べている巨大なイタチがいた。


「コックリさんですか?」

「そうだよ。」

「美味しいですか?」

「毒があるから微妙かな。でも、毒がないところはうまいよ。」

「そうなんですか。毒はどうするんですか?」

「その辺に吐いとくわ。ペッ!」


イタチは唾を捨てるように毒を吐き出した。


「うわきたな!」

「自然に還るからいいんだよ。」

「ええ…」

「私コックリさん初めて見たかも…」

「ああ、君が幽依ちゃんか。よろしくね。」

「よ…よろしくお願いします。」

「ごちそうさま。じゃあね。」


蜈蚣を食べ終わったコックリさんは去って行った。雲井の気持ちの悪い感覚は消え去った。


「…帰る?」

「そ…そうですね。」


雲井の人生で1番任務感のない任務だった。

軽井沢に住んでみたいよね。夏でも暑くないんでしょ?いいなあ〜。

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