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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
21/67

ドラゴンフレア

知ってはいけない話を聞いたものを"竜"は地獄の業火で焼き払う。

長宗我部警部が帰ってから10分ほど経って蛭間と雲井が帰ってきた。


「部長。これ、長宗我部警部からです。」

「長宗我部警部?」

「はい、なにやら最近頻発している発火元が不明の火災についての資料のようです。」

「ああ、なんかよく聞くよな。で、なんでうちに?」

「一応警視庁でも調べてるんですけど、霊の仕業かもしれないのでうちでも調べろということらしいです。」

「へぇ〜。資料見せて。」

「はい。では、失礼します。」


五十嵐は蛭間に資料を手渡して仮眠室へ向かった。

仮眠室には静かに寝ている黒霧島と喜多方がいる。


「こいつら気持ちよく寝やがって…俺も寝るか…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「今日は調理実習ですよ。」

「何を作るんですか?」

「今日はジャーマンポテトを作ります。」

「まずは具材を切ってください。」

「具材はじゃがいも、玉ねぎ、ベーコンです。」


…


「ねぇねぇ。火竜そばって知ってる?」

「なにそれ?知らなーい。」

「なんか、話を聞いた人の元に来るらしいよ。」

「えー怖いよ…」

「でも、それってさ。嘘だよね。」

「なんで?」

「だって"火竜そば"並び替えると"うそばかりゅ"。」

「"嘘ばかり言う"だ!」

「だから嘘だよ。」

「橋本くんすごーい。」


外から巨大な翼で羽ばたくような音が聞こえる。

突然左側から爆発音が聞こえた。


「きゃー!なに!?」

「コンロが爆発した!」

「皆さん、落ち着いて。逃げください!」

「きゃー!」

「はやくして!」


コンロの爆発で出た炎がガス管のガスを刺激する。爆発は連鎖して起こった。2、3、4、…たちまち全てのコンロが爆発した。


「こら!何やってるの!早く逃げなさい!」

「あ…」


10分後、家庭科室は全焼した。そこには巨大な翼を持った生物の影が残っていた。ジャーマンポテトの匂いはなく、焦げ臭い匂いだけが充満していた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「長宗我部警部。またです。」


刑事が長宗我部警部に話しかけた。


「また火災か…」

「はい。今度は"鷹翔小学校"です。」

「小学校か…ちょっと行ってくる。」

「どこにです?」

「民俗怪異対策課だ。」


…


長宗我部警部はまた東京支部に向かった。


「蛭間。帰ってるか?」

「どうしたの?また火災?」

「そうだ。今度は小学校だ。」

「小学校…」

「これが資料だ。」


長宗我部警部は資料を手渡した。


「確認をお願いする。」

「わかりました。」


蛭間は仮眠室に向かった。


「五十嵐〜いる〜?」


返事がない


「寝てるの〜?」


五十嵐はベッドで横になっている。


「ほら、起きて。」


蛭間は五十嵐の頬を叩いた。


「う…うーん。なんだ…?」

「おきて。また火災だよ。」

「んー。また火災ですか?」

「そう。さっ、資料だよ。」


五十嵐は寝起きのモヤがかかった瞳で資料を見た。


「鷹翔小学校か…やっぱり話に鍵があるな。」

「なんでそう思うの?」

「小学生の時、そういう怖い話ってすぐ広まりましたよね?おそらく、会話をすると火災が起こるんです。これで火災が起きた四つの建物に共通点が見えてきました。」

「なにか特定のコミュニティがある施設…?」

「おそらくそういうことかと。…寝ていいですか?」

「ああ…ごめんね?」


五十嵐は再び眠りについた。


「はあ〜。寝ちゃった…ねえ雲井ちゃん?お話ししましょう?」

「いきなりどうしたんですか?」

「暇なの。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

警視庁、取調室。


「なにか最近流行ってる話ってあるかな?」

「磯野刑事。なんでそんな事を聞くんですか?」

「しょうもない話でもいいから聞けっていうのが長宗我部警部の教えなんだよ。」


磯野(いその)刑事が答えた。


「うーん。最近流行ってる話?」

「そうそう。聞かせてほしいな?」

「"火竜そば"、かな?」

「火竜そば?」

「そう。話を聞いた人に来るらしいの。」

「へぇ〜。怖い話だね。」


磯野刑事は話半分に聞いていた。

横で聞いていた長宗我部警部は外の違和感に気づいた。


(…なんだ?この音は。)


外から聞こえるのは翼を羽ばたかせたような音だった。そして、体温が上がっていくのを感じた。それが何を意味するのか、長宗我部警部はすぐわかった。


「それってどんな話かわかる?」

「磯野。その子を連れて逃げろ。」

「なんでですか?」

「窓の外を見てみろ。」

「!?そ、外に影…!」

「え〜なに?うわ〜!ドラゴンだ!」


その瞬間、窓のガラスが粉砕した。外の空気と共に火炎が取調室に入ってきた。室内は一瞬にして高温になった。


「早く逃げろ!」

「はい!」


磯野刑事は子供と警官を連れて逃げた。


長宗我部警部は取調室に残っている。


「何してるんですか!?早く逃げないと…」

「俺は限界までここに残る。早くいけ。」

「…!くそ…」


磯野刑事は2人を連れて逃げていった。


長宗我部警部は窓の外を見ている。巨大な翼にゴツゴツした皮膚、そして鋭い歯に爪。まさに西洋のドラゴンである。


(ドラゴン…こいつが火災の原因か。)


長宗我部警部はスマホで撮影した。そばに火が近づいてくる。間一髪のところで取調室から逃げた。


ー取調室は全焼した。


「長宗我部警部。なにかわかったことは?」


磯野刑事が質問する。


「わかったことは、おそらく特定の話をすると火災が発生すること。そして、火災の原因が"西洋のドラゴン"であることだ。」

「西洋のドラゴン…?」

「そう。ドラゴンが炎を放って火災を発生させている。お前も見ただろ。」

「確かに、俺も見ました。」

「….俺はまた民俗怪異対策課にいく。」

「またですか?」

「情報を共有しないといけないだろう。では行く。」


長宗我部警部はまた怪異対策課に向かった。


「蛭間、いるか?」

「なに?また来たの?もう…一度に来てよ。」

「悪いな。でも今日は変なことがよく起こるんだ。」

「で?なに?」

「めんどくさいし、この資料に全て書いてあるから見といてくれ。」

「え?」

「それじゃあな」


長宗我部警部は逃げるように帰っていった。


「はあ…なによまったく。」

「大変ですね。」

「本当よ。五十嵐に伝えないと…」


蛭間は仮眠室に向かった。


「五十嵐、まただよ。」

「起きてますよ。資料を見せてください。」


蛭間は資料を手渡した。


「…取調室で火災。その時、取調べを受けていた子供が"例の話"をした。」

「例の話?」

「一応言わないほうがいいです。」

「秘密主義ね…」

「その話をしている時、窓の外にドラゴンの影が見えた…やはり、話をした人の元にそのドラゴンが来るんだ。」

「間違いないの?それ。」


蛭間が質問する。


「長宗我部警部含めて3人が目撃してるから間違いないと思います。」

「へぇ〜ドラゴンねぇ…」


雲井が興味深そうに資料を覗き込んだ。


「こいつを浄霊するにはどうしたらいいのかな…?」

「ドラゴンとなれば難しいですよ。」

「私、ドラゴンを倒せると思いますよ。」

「「ええ?」」


あまりに突飛な事を言うもんだから2人は顔を見合わせた。

ドラゴンってカッコいいよね。小さい時めっちゃ好きだったこと思い出した。

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