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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
20/57

ファイアドラゴン

平穏な日々に現れた地獄の業火は知るもの全てを焼き尽くす…

秋と冬の境目。この日は浄霊の仕事が多かった。柊哉に山形、雲井にさらには部長までもが任務に出ていた。2人は任務の帰り、ビジネスホテルにいた。


「ねぇ黎くん。"火竜そば"って知ってる?」

「なんだそれ。」

「なんかその話を聞くと聞いた人の元に現れて炎のブレスを放つんだって。」

「かりゅうって"火竜"か。コンソメの話しかと思った。」

「"顆粒"じゃないよ。"火竜"だよ。」

「でもそれってどうせ嘘なんだろ?」

「嘘だよ。だってほら、かりゅうそば。並べ替えると…」

「"うそばかりゅ"…"嘘ばかり言う"か…つまらんな。」

「しょうもない話だよね。」

「無理やりだよな。火竜って、ファンタジーかよ。」


ビールを飲みながらこんな話をしていた。アルコールが回って来たので2人は寝た。


深夜、喜多方がトイレを済まして出てきた時だった。


ー窓から赤い光が見えた。

そして窓の外で何かが羽ばたいている音が聞こえた…

しかも窓の方に向かっていくと熱気が感じる。


ー窓の外を見てみると、燃え盛る炎が見えた。


炎の勢いは凄まじかった。


窓のガラスが爆ぜる。


そして炎は部屋に侵食する。


部屋はあっという間に赤く染まった。その炎の中に巨大な翼を持った何かが羽ばたいているのが見えた。


「黎くん黎くん!起きて!逃げるよ!」

「なんだよ…」

「はやくはやく!」

「待て…スマホを…」


黒霧島はスマホを握りしめて部屋の外へ出た。そのスマホで喜多方は消防署に連絡を入れた。すぐに消防車が来たので被害は最小限で済んだ。それは火が部屋から出なかったからだ。


「で?火災の原因は?火の不始末とか?」

「いえ、僕たちは2人ともタバコは吸いません。」

「何か発火するもの。例えばモバイルバッテリーとかは?」

「いえ。持ってません。」

「ええ〜。原因不明じゃん。もういいよ帰って。」


2人は消防士に帰宅を促された。


「はぁ〜、びっくりしたね。」

「一体なんだったんだ?」

「多分、昨日のあの話だよ。」

「ああ、顆粒コンソメな。」

「そう。それでいい。多分その話をしたから火災が起きたんだよ。」

「マジかよ…お前のせいじゃん。」

「え」


2人は東京支部に帰ってきた。


「2人とも大丈夫〜?」


蛭間が心配した。


「なんとか…」

「まあ今日は休みなさい。」


蛭間は2人を仮眠室に連れて行った。


「部長。なんでこいつら…」

「なんか変なことに巻き込まれたみたいなの。寝かせてあげて?」

「そうですか…」


五十嵐は顔を渋くした。


「なあ2人とも。何があったんだ?」


五十嵐が心配して聞いた。


「火災に巻き込まれた。」

「火災?なんか火でも使ったのか?」

「いや?なんか外から火が。」

「外から火?それ何階の話だ?」


五十嵐は不思議そうに話を聞いている。


「八階だよ。」

「八階?なんで外から火が来るんだよ。」

「僕が発見したんだけど、なんかその火の先に大きな翼を持った何かが飛んでるように見えたんだよね。」

「まじ?それって"ファイアドラゴン"じゃん。」

「ファイアドラゴンが飛びながら僕たちの部屋に"ファイアブレス"を放ったってこと?」

「そんな、ファンタジーじゃないんだから。」


黒霧島が呆れるように言う。


「いや、一概にファンタジーとも言い切れないぞ。」

「どういうことだ?」


黒霧島は質問する。


「人たちがその存在を本当だと信じ、それに恐怖する感情が肥大化したら形を成すなんて全然ある話だ。」

「確かにそうか…理論上はそうだな。」

「でも、誰がファイアドラゴンなんてバカな話信じるんだって感じだけどね。」


バカみたいな話をしながら2人は眠りについた。


東京支部には部長の蛭間、さっき任務から帰ってきた雲井、そして仮眠室の3人だけだった。


「ねえ雲井ちゃん。ちょっとお昼食べに行かない?」


現在時刻は正午。お昼時である。


「いいですね!行きましょう!」


2人はお昼を食べに行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

五十嵐は考え事をしていた。この火災についてである。

(窓の外から火が来た?その火の中で大きな翼を持った何かが飛んでる?にわかには信じられんな。)


明らかに現実的な話ではないのに理論上は可能であることが五十嵐をさらに悩ませる。そんな時、来客が来た。長宗我部警部である。


「蛭間はいるか?」

「あいにく、俺しかいません。」

「五十嵐くんか。君に話しておく。蛭間に伝えてくれ。」

「わかりました。」


長宗我部警部は資料を広げて説明した。


「今回のヤマは火災だ。ここ最近連続で火災が発生していてな。これが事件であるか霊によるものかがわかっていない。」

「火災…」

「だから一応資料のコピーを民俗怪異対策課に持っていこうと言うわけだ。」


長宗我部警部は資料を五十嵐に託した。


「わかりました。部長に伝えておきます。」

「任せたよ五十嵐くん。」


そういうと長宗我部警部は帰って行った。

五十嵐はすぐに資料を確認した。


(1件目は雁屋法律事務所、発火元は不明…)

(2件目はファミリーレストラン"ロイヤルストレートフラッシュ八王子店"、発火元はまたもや不明…)

(3件目は雀荘"紅孔雀"、発火元は不明…タバコの火の不始末の可能性有り。)

(4件目はビジネスホテル"エルバ"…ここは黒霧島と喜多方が泊まっていたホテルだな…発火元は不明…)



(共通しているのは、全て発火元は不明であると言うこと。そして、会話が起こる建物から発火しているということ。つまり、会話で火災が起こる…?喜多方から会話内容を聞く必要があるな…)


…ガチャ、



資料を見ていると突然扉が開く音がした。


(………誰だ?)



扉から長宗我部警部が出てきた。


「ごめんごめん。ちょっと警察手帳を忘れたもんで。」


そういうと長宗我部警部は机の上の警察手帳を持って去っていった。

この話はどのくらい長くなるかな?パッパと終わりそうだけどな。

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