落下地点
不可解な落下死事件が起こった。
ー屋上、会議室に現れた落下死体。
不可解な謎が蔓延るこの事件に東京支部はある結論を出した…!
黒霧島と柊哉は2番目の現場に現場検証に向かった。
「"月島商事"、ここか。」
月島商事、ここの会議室で2番目の事件が起こった。
2人はビルに入った。
「すみません。ここのビルを調査しにきたものですが。」
「え…?警察?」
「まあ…そんなところです。」
黒霧島は流れるように嘘をついた。
「はい、ではどうぞ。」
「失礼します。」
柊哉は黒霧島の後をついていった。
会議室に着いた。その扉には黄色のテープが張り巡らされていた。
「ここか…なにか変わった様子はあるか?」
「今のところ霊跡はないですね…」
「窓のところも見てみろ。」
「はい。」
柊哉は窓のフチをみた。そこにはびっしり霊跡が付いていた。
「先輩、えげつない量の霊跡です。」
「これは…」
「なんですか?」
「ここで長い時間待機しているな。この下には何がある?」
「マンホールがありますね。」
「………なるほど?」
黒霧島は何か閃いたようだ。
「どうしたんですか?」
「ここを出るぞ。」
「え?」
黒霧島と柊哉はビルの外に出た。そして、電話をかけた。
「誰に電話を掛けてるんですか?」
「長宗我部警部だ。」
「警部に?」
長宗我部が電話に出た。
「"もしもし、どうした?"」
「俺です。2番目に亡くなった男性の死亡推定時刻って何時か分かりますか?」
「"13時半過ぎだが?"」
「ありがとうございます。」
そういうと黒霧島は電話を切った。そしてすぐさま違うところに電話をかけた。
「今度はどこに掛かるんですか?」
「マンホール工事の会社。このマンホールはおそらく
"株式会社杉下"だろう。そこに掛ける。」
黒霧島の突飛な行動に柊哉は理解が追いつかない。
「"もしもし、こちら株式会社杉下です"」
「すみません。突然ですが、今日の13時半頃に月島商事の近くのマンホールって工事しましたか?」
「"はい、そのマンホールでしたら10時から14時まで工事をしておりました"」
「分かりました。ありがとうございます。」
黒霧島は電話を切った。そして、黙り込んだ。
「ど…どうしたんですか?」
「この会議室の上は屋上だよな?」
「はい…それがどうしました?」
「………2個目の事件の仕組みがわかった。」
「え?」
「まあ歩きながら話そう。」
黒霧島と柊哉は支部に向かって歩いていった。
その途中、ビルの屋上に不穏な人影が見えた。その人影は赤く、髪を靡かせていた。
「…どうした?」
「いや…なんでも…!!」
柊哉は目の前で起こったことに驚愕した。その人影が地面に向かって飛び降りたのだ。人生に絶望した飛び降りではなく、その後が楽しみな、まるでおもちゃを買いに行く子供のように無邪気な飛び込みだった。
「先輩!アクロバティックさらさらです!」
「なに!?どこだ?」
「アレです!」
柊哉は指を指す、しかしそこには何もいない。
「くそ、もう移動したか!」
「急ぐぞ。あそこにはおそらく人がいる。」
「はい!」
2人はそのビルの下に急いだ。そこで柊哉はまたも衝撃的な出会いをした。そのビルの下にいる人物を知っているのである。
「あ、藍里…!」
そこには八咫藍里がいた。アクロバティックさらさらは藍里の目の前に落ちてきた。
「きゃっ!!」
藍里はアクロバティックさらさらに反応した。次にアクロバティックさらさらはまた屋上に移動した。次は藍里目掛けて落下するだろう。
「藍里!耳塞いでろ!」
「え?なに!?なんでいんの!?」
柊哉はライフルを藍里目掛けて落下するアクロバティックさらさらに撃った。
命中した。アクロバティックさらさらの軌道は右に逸れた。しかし、すぐにアクロバティックさらさらは消えた。また藍里の頭上に現れた。
「八尺瓊!リロードまだか!」
「まだ…やばい!」
アクロバティックさらさらは素早く藍里を掴んだ。
「え…?なんで空飛んでるの…?」
アクロバティックさらさらと藍里は路地裏の上空に移動した。落下して行くアクロバティックさらさら目掛けて黒霧島は印を結んだ。その時黒霧島の手から羽根のようなオーラが見えた。
「鴉!!」
黒霧島の手から空を裂く勢いでカラスが放出された。カラスに突撃されたアクロバティックさらさらは藍里を放した。
「まずい…!」
黒霧島は藍里の落下地点に全力で走り、体全体で藍里を受け止めた。
「はあ…はあ…」
「あ…あなたは…?」
藍里が問いかける。そこに柊哉が割り込む。
「先輩!大丈夫でしたか?」
「俺の心配はいい。それよりアクロバティックさらさらは…?」
「先輩のカラスに襲撃された後姿を消しました。」
「そうか…」
「藍里も無事で良かったよ。」
「ほんと…てかなんであんたいんの?」
「仕事だよ仕事。」
「ああ、そうなの。この人は誰なの?」
「おい、言うなよ。浄霊師は秘密主義なことを忘れるな。」
「そうでした。てことで名前は教えられない。」
「それよりお前、俺たちと一緒に来てもらおうか。」
「え?」
2人は藍里を連れて東京支部に戻った。
「早かったね。彼女は?」
「アクロバティックさらさらに襲われているところ助けてた。」
「おお。なかなかやるじゃん。」
「で、先輩。さっきのわかったってなんですか?」
「ああ、それを今から説明する。貴女はこの先のベッドで休んでおきなさい。」
「ど、どうもありがとう…」
藍里は流されるまま仮眠室へ向かった。
「説明するぞ。1つ目の事件でアクロバティックさらさらは屋上から飛び降りて地上の人を捕まえてまた屋上に戻って飛び降りた。」
「ほうほう。」
喜多方は相槌を打つ。
「その時屋上から落ちた時の速度は保ったまま屋上の上に出現した。落ちた勢いのまま屋上に人をぶつけて殺した。」
黒霧島は1つ目の事件の仕組みを話す。
「でも、それが室内ではできないって話ですよね。」
柊哉が指摘した。
「いや、そうとも言えない。最初の事件はビルから地面までの高さだったから屋上に出現した。この"ビルから地面までの高さ"を変えたのが2個目の事件だ。」
「つまりどう言うことですか?」
柊哉は分かりやすい説明を黒霧島に求めた。
「2個目の事件は13時半頃行われた。アクロバティックさらさらは会議室の窓のフチでマンホールの工事が始まるまで待った。そのうちマンホールの工事が始まった。そしてマンホールの工事中に被害者が会議室に入る。それを確認したアクロバティックさらさらは窓から飛び降り、今度は屋上に出現して、そこから飛び降りた。それを見た被害者は窓の下を覗くはずだ。」
「そこをアクロバティックさらさらは被害者を捕まえてマンホールの下に一緒に落ちていった。」
「でも、それじゃ室内に死体ができることにはなりませんよね?」
柊哉が疑問を提示した。
「アクロバティックさらさらの出現する地点はある法則性がある。沢渡ビルの屋上から地面まで落下した時の次の出現地点は屋上の少し上だった。しかし、さっきのビルから飛び降りた時、沢渡ビルより低いビルだったから屋上の柵くらいに出現しただろ。」
「つまり、アクロバティックさらさらの出現地点は落下距離に応じて変わるんだ。だから、落下距離を操作すれば出現地点を室内にすることも可能だ。そこで役立つのが"マンホール"だ。」
「なるほどね…」
「マンホールに落ちることで落下距離を自在に変えることができる。それで会議室に落下するように計算した。これが2番目の事件の仕組みだ。」
「おお!すごいです!
柊哉は目を輝かせた。黒霧島は落ち着いて言う。
「さて、次はアクロバティックさらさらの出現条件だ。彼女は何か秘密を握っているかもしれない。聞こう。」
黒霧島は仮眠室へ向かった。
アクロバティックさらさら。高所恐怖症の私にとっては絶対になりたくない怪異ですね…




