テケテケの正体
世間を恐怖に陥れたテケテケ事件が今宵終結する…!
山形は悩んでいた。事件についてだ。
「どうした。そんな顔して。」
「いや、ちょっと事件について考えていただけです。」
フランス人形が話しかける。そこに母が声をかける
「健人ー!お風呂入りなさい!」
「はーい。」
「では、俺は風呂入ってきます。」
「じゃあわたしも入る。」
「え?入るんですか。」
「だめなの?」
フランス人形が問いかける。
「いや、ダメっていうか人形って水に弱いんじゃないんですか?」
「わたしの素材は水がいけるやつなの。じゃあ行きましょう。」
「え?なんで一緒に入ることになってるんですか。」
「わたしだって入りたいわよ。それと、一緒に入った方が楽でしょ?」
「まあ…?じゃあいいですよ。入りましょう。」
山形は諦めて一緒に入ることにした。
「あんた、その人形と一緒に入んの?」
「ああ。なんか一緒に入りたいって。」
「へえ〜。綺麗好きなのねメリーさんも。」
そういうと母は去っていった。
「楽観的ね。あんたの母親。」
「あはは…そうですよね。」
山形とフランス人形は一緒に風呂に入った。山形はフランス人形の服を脱がして桶に入れた。
「どう思いますか?この事件。」
山形は桶にお湯を溜めながら聞いた。
「野崎の母がどうとかってやつでしょ?私は野崎の母が犯人だと思うけど?」
「俺もそれは思います。でもその人は自殺したんですよ?」
「じゃあそいつが霊になったんじゃない?その霊が殺し回ってる。」
フランス人形は核心をついたように言った。山形はフランス人形が入った桶ごと一緒に風呂に浸かった。
「でも、なんでその霊は殺し回ってるんですかね?」
「多分、あの掲示板が関係しているんじゃない?」
「まさか、批判的なことを書いた人物を殺して回ってるとか?」
「それは調べたいとわからない。でも、その可能性は十二分にあると思うけど?」
「そうですか…じゃあ明日にならないとわからないっすね。」
そんな山形の背後に何かの気配がした気がした。その気配を消すように山形はフランス人形に話しかけた。
「そう言えば、メリーさんは髪は洗えるんですか?」
「私の髪の毛は人の髪の毛だから洗えるわよ。」
「え?それって怖い話?」
その夜も山形は事件について考えながら眠りについた。
ー翌日、死んだ男子生徒の情報が支部にも回ってきた。
「また被害者がでたか…」
「しかも今度は男子生徒なんて…」
「だ、男子生徒だって…!?」
柊哉は衝撃を受けた。
「そうだ。なおさら共通点がないな。」
「それなんだけど、昨日健人くんとこれを見つけてね。」
喜多方はみんなにスレッドを見せつけた。
「なにこれ?」
「Aさんのいじめ事件についてのスレッドだよ。このスレッドは荒れに荒れてるよね。」
「そうだな。住所や氏名まで晒されてる。」
「それについてなんですが、昨日考えたことがあるんです。」
「わたしが考えたんだけどな…」
フランス人形は口を挟む。それに興味を持った黒霧島は催促する。
「なんだ。言ってみろ。」
「はい、この事件の犯人は資料にもあった通り、野崎の母であるということです。」
「おお。」
「あんたもそう思うわけ?」
黒霧島と雲井は同時に言った。
「なんだお前、考えが変わったか?」
「そうよ、何か?」
「いや?別になにも。」
黒霧島はだるそうに雲井に話しかける。
「野崎の母はなんらかの手段でこのスレッドで住所や氏名を晒した人を特定した。その後、晒した人たちを恨みながら自殺し、霊となってその人たちを殺し回った。これです。」
「でも、その人たちはどうやって特定したの?」
雲井が疑問を投げかける。
「実はこの掲示板はここを押すと発信しているIPアドレスが見れるんだ。」
そういうと喜多方はマウスを操作してレスの右上を押した。
「へぇ。こんなことが出来るんですね。」
山形は感心した。
「じゃあ誰が書いたかは簡単にわかるってわけね。」
「これで次の被害者は大体見当がつくな。」
「このスレッドで住所、氏名、電話番号を晒した人は後3人ですね。」
柊哉が被害者となる可能性のある人数を確認した。
「ああ。そいつらの家に張り付く。そこにやつが来る可能性があるだろう。」
黒霧島が説明すると八尺瓊が割り込んで言う。
「そこで待ち伏せしてその霊を迎え撃つ。ですね?」
「そうだ。その作戦でいいか?」
「いいですか部長?」
「OK。じゃあどうする?」
蛭間が許可を出した。
「そう言うのは大体夜に出るだろ。夜まで待機だ。」
「仮眠をとるんですか?」
「ああ、夕方までな。」
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みんなは仮眠室へ向かった。
「やあ彰くん。ちょっと部屋使わせてよ。」
そこにはいかつい顔をして白衣を着た男性がいた。坊主頭に剃り込みの入っている。唇と目の切り傷には長年の戦闘経験を感じさせるものがある。
「おう。何人だ?」
「全員だよ。」
「は?まじ?」
「まじまじ。夕方までね。」
「しょうがないな。貸してやるよ。」
みんなはそれぞれのベッドに寝転んだ。
「あの人って誰ですか?」
柊哉は喜多方に問いかけた。
「あの人は五十嵐彰。ここの医療班だよ。」
「医療班なんているんですね。」
「それほど危険な仕事なんだよ。浄霊師ってのは。」
そう言うと、喜多方は眠りについた。それから少しして、柊哉も眠りについた。
ー夕方。みんなは五十嵐によって起こされた。
「おいお前たち。夕方だぞ。」
「うーん…もう?」
「もうだ。起きろ。」
五十嵐は喜多方を叩き起こした。
「はい、これでも飲め。」
五十嵐は缶コーヒーを手渡した。喜多方はすぐに飲み干した。
「ありがとう。」
「みんな起きたか。」
「喜多方さん起きるの遅いっすよ。」
「ごめんごめん。班分けはどうなってんの?
「俺と喜多方、八尺瓊と山形、部長と雲井だ。」
「OK。じゃあIPアドレスを調べるよ。」
そういうとノートパソコンを持ってきて操作した。
「まず1人目はここ、2人目はここ、3人目はここね。」
喜多方は地図に場所を記した。
「よし、じゃあみんなそれぞれの配置につけ。部長、よろしくお願いします。」
「OK任せて〜。」
蛭間がそういうと黒霧島と喜多方の足元に大きな隙間ができた。その深い闇にに2人は飲まれた。黒霧島の髪の金髪のインナーカラーだけが明るく光っていた。
「「「「え?なにこれ…。」」」」
「ごめんね〜。私が契約している霊の力だよ。」
「落ちたら死ぬの…?」
雲井が恐怖している。
「大丈夫、地図に記したところに落ちるだけだよ。」
「落ちはするんだ…」
「じゃあ行くよ〜?」
そういうと柊哉と山形の床がいきなり裂け、2人は叫び声を上げながら闇に消えた。
「「うわ〜!!」」
「じゃあ、私達も行こうか。」
そういうと蛭間は雲井の腕を掴んで大きな隙間に落ちていった。
「はあ〜怖かった…」
しゃくちゃんは足を震わせながら柊哉にしがみついている。
「よし、位置につけ。」
「なんでそんなに冷静なんだよ…」
「あんたたちとは格が違うのよ格が。」
フランス人形が口を挟んできた。
「そう言えばいたなあんた。」
「なによその口の利き方!」
「まあまあ落ち着いてください。」
「ん?なにかが来るよ!静かにして!」
しゃくちゃんは何かを感じ取った。2人も何かを感じ取った。それは音。過大解釈すれば足音とも取れる音だ。
「テケ…テケ…テケ…」
「なんだこの音…?」
「さあ?」
明らかに人とは違うオーラを放つ何かが近づいているのが全員にわかった。白い腕が見えた時、全員に悪寒が走った。それは身体が上半身しかない女性だった。音の正体もこれだった。その女性は腕で道路を這いずり回っている。
「なんだこいつは…!?」
「こいつはテケテケだ。事故で下半身を亡くした女性の霊だ。」
フランス人形が解説した。
「でもこいつ、顔が…!」
その顔は資料にあった野崎の母だった。
「テケテケ事件によって深い傷を負った女性が死後実際にテケテケになるなんて皮肉だな…」
テケテケは3人が隠れている方向に曲がっていった。それは誹謗中傷をした人が住んでいる家の方向である。
「どうする?いくか?」
「待て、俺が霊体を崩す。いくぞしゃくちゃん。」
「任せて!」
ゆっくり動くテケテケの背後に回り込みしゃくちゃんはテケテケの肩を持ち上げた。テケテケは驚きの表情を見せた。その前に柊哉が飛び降りる。
「あんたは桜雪高校のいじめ事件の犯人の1人、"野崎"の母親だ。そんなあんたは桜雪高校生連続殺人事件、通称"テケテケ事件"で娘を失った。この事件でいじめのことが明るみになり、、あんたの娘を含むいじめ加害者への誹謗中傷が始まった。そんな中で住所、氏名などの個人情報が晒された。娘を深く愛してたあんたは娘を誹謗中傷され、個人情報が晒されることに耐えきれなくなって自殺した。その前に個人情報を晒した奴の住所を控えてそいつらを呪いながら死んでいった。そうだろ?」
「……」
テケテケは黙っている。だが確実に力が強くなっている。しゃくちゃんに限界が来ているように感じた。
「ドケ!」
「きゃっ!」
「しゃくちゃん!」
テケテケはしゃくちゃんを振り払い柊哉に向かってくる。
「マズハオマエカラコロシテヤル!」
猛スピードで襲いかかってきた。テケテケの爪が柊哉の顔に掠った。
「っ!」
テケテケの下を潜って柊哉は道路のほうに出る。
「マテ!」
テケテケが追いかけてくる。柊哉は右側に逃げた。
「俺もでる!」
山形が飛び降りた。テケテケと対峙する山形。
「ドケ!」
「どくかよ。」
「ジャアオマエカラコロス!」
「メリーさん、力を貸してください。」
「しょうがないわね…」
メリーさんは赤面しながら山形に力を貸した。山形の両手にエネルギーが湧き出た。飛びかかるテケテケを山形は迎え撃つ。
「くっ!こいつの爪が強い!」
「山形よせ!」
柊哉は山形に近づこうと走る。しかし、テケテケの引っ掻き傷で思うように動けない。
「ユルサナイ…!コロシテヤル!ゼッタイニ!」
山形はどうにかして一発テケテケに当てようとするが、動きの速いテケテケに当てるのは難しい。山形はテケテケに猫騙しをかました。
「チッ!」
「怯んだな!」
山形の拳に青白いオーラが迸る。山形はテケテケの顔面に拳をぶつけた。攻撃をモロに受けたテケテケは吹き飛びアスファルトに上半身を打ちつけた。しかし、テケテケは素早く爪で山形の横腹に傷を与える。
「ぐっ!」
柊哉は集中している。そんな柊哉にテケテケが飛びかかる。
「アノコヲカエセ!」
テケテケが飛びかかってくる寸前、柊哉は前に手を出した。柊哉の身体に気持ちの悪いあの感覚が走る。もうテケテケは腕の前まで来ている。柊哉は深呼吸をした。
…
「部分憑依!」
柊哉の腕から生えてきたしゃくちゃんの腕がテケテケの首を掴む。
「ア…ガ…ガ…」
「怨念と共に還れ…」
しゃくちゃんはエネルギーを流し込んだ。テケテケは塵となって消えた…
「アノコヲカエシテ…」
塵になる寸前、そんなことが聞こえた気がした。
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「よし、帰ろうか。」
「そうだね。」
「あー…痛い痛い。」
「大丈夫か?」
「心配かけてすいません。」
フランス人形は山形を心配している。
「もう少しで部長が来る。」
「よかった…やっと帰れるのか。」
突然アスファルトに亀裂が入った。
「やあ君たち、よくやったね。」
「それより山形を早く。」
「わかった、それじゃ行くよ。」
4人はアスファルトの亀裂に飲まれた。
「はあ…これ本当に怖いわ。」
「おつかれ〜。はいこれ、君たちに。」
喜多方が缶コーヒーを差し出した。
「ありがとうございます。」
「いいのいいの。今日は疲れたでしょ。」
「疲れたっす。」
「おれは仮眠室に行きますわ。」
一方で雲井と黒霧島も話していた。
「やっぱり母親だったか…」
「そうでしたね…」
「お前、あんなに俺に言ってたのに結局俺の方が正しかったな。」
雲井を嘲笑うように黒霧島は言った。
「うるさい!」
「なんだ。俺は先輩だぞ?」
「うるさいうるさい!あんたなんか先輩じゃないから!」
「まあまあそんなに感情を出すな。お前も霊になっちまうぞ。結局霊の出現も人間が原因だからな。」
「誰のせいで感情が出てると思ってんの?」
「まあまあ、悪かったな。」
黒霧島は適当に流した。この2人の関係が良くなるのはまだまだ先のようだ。
テケテケ事件編が終わりましたが、東京編はまだまだ終わりません。




