憑霊使い
憑依霊。
それは人間を狂わせる霊。
しかしそんな霊をコントロールした時、人間は強力な力を得る。
隠された祠の前についた3人。そこで柊哉としゃくちゃんは憑霊使いとしての基礎を学ぶことにした。
「では、よろしくお願いします!」
「よし。じゃあちょっと呼んでくるから待っとけ。」
そうすると教官は祠の方に行った。
「だら姉、用があるから来て〜。」
そういうと祠の前にある木の棒でできた図形を少し動かした。突如として柊哉としゃくちゃんは全身を這いずり回るような感覚に襲われた。
(なんだ…この感じ…!)
しかし、祠の奥から出てきたのはただの巫女だった。
しかも、見た目は二十代ほどだった。
(………なんか思ってたのと違う。)
「どしたん寛ちゃん。」
「ほら、だら姉が気になっていた憑霊使いだよ。」
(寛ちゃん…)
(だら姉…?)
「ああ、あの子達ね。よろしくね、八尺瓊柊哉くんにしゃくちゃん。」
「「よ、よろしくお願いします…」」
確かに普通の巫女だが、瞳の奥には計り知れない狂気が見えた。それを感じ取ったしゃくちゃんは底知れない恐怖を味わった。
「で、寛ちゃん。用事ってなあに?」
「こいつらが憑霊使いの基礎を学びたいって。」
「なるほど。見たところ、確かに基礎ができてない感じだね。」
「すごい…!一目見ただけでそこまでわかるんですね!」
しゃくちゃんは目を輝かせながら言った。
「てか寛ちゃん。今更基礎を学びたいって言ってきたってことは、基礎を教えなかったの?」
「………ん」
「どうなの?」
「….…じゃあこれから教えていくから、しっかり聞けよ。」
教官は誤魔化すように説明を始める。
「ちょっと!どうなのって!」
「……教えてません…」
「はぁ…後でお仕置きだからね。」
「えぇ〜…勘弁してよ。」
「無理だから。無理!」
「早く教えてくださいよ。」
待ちきれなくなった柊哉は教官を急かした。
「ああ、ごめん。じゃあ今度こそ始めるぞ。」
「よろしくお願いします。」
2人は一定の距離をとって立っている。
「まず、憑霊使いの特徴として、霊と一心同体だということがあるが、知っているか?」
「はい、それは知ってます。」
「そうか。それを利用することでこういうこともできる。見ておけ。」
そういうと教官は腕を前に突き出した。そしてその腕は8匹の蛇へと変化した。
「おお!!どうなってるんだ?」
「これはわたしの体に姦姦陀螺を部分的に憑依させて行った。」
「部分的は憑依?」
「ちょっと。その名前で呼ばないでよ。」
「なんだよ。邪魔すんなよ。」
姦姦陀螺が突っかかってきた。
「あんたがその名前で呼ぶからでしょ。」
「じゃあなんで言えばいいんだよ。」
「"だらねえ"って呼んでよ。」
「なんで。」
「呼ばないんだったら手伝わないから。」
「あーあー呼べばいいんだろ呼べば。」
こんなにめんどくさそうな教官は初めて見た。柊哉は割り込んで話しかける。
「部分的に憑依ってなんですか。」
「あ?ああ、それな。"部分憑依"といってな。」
「そうだな。お前らは全身に均等に一体化している。つまり、均等に霊の死のエネルギーが流れている状態だ。それを体の一部分だけに集約させて流すことを言うんだ。」
「なんか難しそうですね。」
「そうだな。この技術は憑依霊だけが行うのではなく憑霊使い本人も行う必要がある共同作業だ。」
「「共同作業…!」」
2人は顔を見合わせた。
「具体的に何をすれば?」
「そうだな、お前たちはまず第一段階をクリアしているから…」
「え?いつのまに?」
柊哉はピンときてないようだ。
「お前、憑依霊が能力を使って体に影響が出ただろ。それは憑依霊が完全に憑霊使いと一体化していないと起こらない現象だ。それを起こすのが第一段階だ。」
「ああ…あの時のか…」
柊哉は嫌な記憶を思い出した。
「次に第二段階。これが"部分憑依"だ。」
「でた!どうやるんですか。」
「まずはお前の体で憑依霊を感じるんだ。」
「俺の体でしゃくちゃんを感じる…!」
「そうやってから、意識を憑依させたい部位に寄せる。」
「意識を寄せる…!」
「最後に憑依霊をその部位に持っていく!」
「持っていく!」
「………あれ?」
失敗した。
「憑依霊。お前やってなかっただろ。」
「………ああ、わたしもやるんですか。」
「そうだ。共同作業だと言っただろ。」
「憑霊使いと逆のことをするのよ。」
姦姦陀螺が肩を触りながらしゃくちゃんに教える。
しゃくちゃんに謎の緊張感が走る
「私が柊哉を感じる…?」
「そう、そして意識を寄せて、最後に持っていく。」
「持っていく!」
「…………あれ?」
失敗した。
「あんたも同時にすんの!」
「ああ俺もか。」
「はあ…もう一回だ。タイミングを合わせてやるぞ。」
教官はため息を吐きながら言った。
「意識する部位は腕だ。いいな。」
「「はい!」」
2人の準備は整ったようだ。
教官は深呼吸をした。
「まずはお互いを感じる。」
「次に腕に意識を寄せる。」
「最後にお互いを腕に持っていく。」
すると柊哉の背中から肩にかけて何かが這い上がる感触が走った。その感触は腕にまで至り、指先まで到達した瞬間。
柊哉の腕からしゃくちゃんの白い腕が伸びてきた。
「おお!」
「すごい…!」
「やったね!成功だ!」
姦姦陀螺がしゃくちゃんの頭を撫でて喜んだ。
「ありがとうございます!」
「それを応用すればいろんな部位を憑依させることができる。そしてこんなことも可能だ。みとけ。」
教官は深呼吸をした。すると、教官の服のボタンの隙間が何かが動き出した。そこから蛇が生えてきた。
「うわ!」
あまりにも異様な光景に柊哉は驚き恐れた。
「これはまあ使わないだろう。でも原理的には同じだ。俺が腹部を、だら姉が手を意識しただけだ。」
「た…多分使わないよな。」
絶対これは使わないでおこうと柊哉は誓った。
「とりあえず、やり方は覚えたか?」
「はい。困ったらこれをやってみます。」
「まあ慣れるまで練習することだな。実戦はその次だ。」
「はい。では、今日はありがとうございました。」
「もう帰るのか?」
「なんか山形から帰れってメールが来たので帰ります。」
「そうか。じゃあな。」
「また来ます。」
柊哉は手を振ってエレベーターに向かった。
「ふーん。あの子達なかなかやるんじゃない?」
「そうだな。まだ憑霊させて一年も経ってないのに部分憑依ができるとは。」
「やっぱりわたしの睨んだ通り。あいつら"アレ"だ。」
「やっぱりか。憑霊使いは力を使うと代償が発生するがアレだとほぼ発生しない。だからあの時八尺瓊の身体が崩壊しなかったのか。」
「あいつの体が崩壊しなかった時、悔しかった?」
「バカ言うな。教え子に嫉妬する俺じゃない。」
「まあ寛ちゃんはそう言う性格だもんね。」
「今度会った時ちょっとあの憑依霊に聞いてみるわ。」
「何をだ?」
「あいつとの出会いだよ。それではっきりする。あの2人が"崩壊する"か"しないか"が。」
怪しげな風が吹き荒れる。祠の軋む音が響いた。
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その頃2人は帰宅していた。
「よし!ちょっと練習しよう。」
「うん…!」
2人は深呼吸をした。標的は机の上の空き缶。
「「…………!」」
柊哉は這い回るような感覚に侵される。そして腕からしゃくちゃんの白い腕が伸びてくる。成功である。
「やったね!」
「うげ〜気持ち悪い…」
「どうしたの?」
「アレを使った後に体が気持ち悪くなるんだ。」
「大丈夫なの?」
「まあ大丈夫だと思う。特に体調面が悪くなっているわけではないから。」
「それならいいけど…。」
気持ちの悪い感覚に侵されながら柊哉は眠りについた。一瞬外で何かの生き物のようなものが走り回るような音が聞こえた。
次は事件解決です。どうなるのでしょうか。




