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浄霊討魔譚  作者: 雷鳥
東京編
14/57

テケテケ事件

連続殺人事件について調べていた柊哉と山形。柊哉は当時事件を調べていた人の元へ尋ねに行った。

柊哉と山形は調査を終えて支部に帰ってきた。


「おつかれ〜。」


雲井が出迎えた。フランス人形は不機嫌そうに山形の服の中に隠れた。


「君たち、何か収穫はあったかな?」


蛭間が2人に問いかけた。


「わかったことは、今回の事件の被害者に共通点がないということです。」

「共通点がない…?」

「そうです。性格や学年など、被害者に共通する何かがなかった。少なくとも、いじめなどによる復讐のようには思えない。つまりこれは無差別殺人です。」


柊哉は結論を出した。


「お前、ちゃんと調査したのか?」


そう問いかけたのは黒霧島だった。


「え?」

「少なくとも共通点はあるだろ。桜雪高校。これが共通点だ。」

「はぁ…?そんなんは既に知ってますよ。」

「だからその桜雪高校に関わる何かがあるんだろ。お前がまだ知らない何かがな。」

「そうでした。それについて聞きたいことがあるんですけど。」


山形が口を挟んできた。


「なんだ?」

「皆さんは"テケテケ事件"について調べてましたか?」

「ああ。そんなんもあったね。あれは怖かったな。」

「テケテケ事件?なんだそれ?」


柊哉が山形に聞いた。


「さっき竹内先生が仰っていたAさんの弟の事件だよ。一部の怪談好きな界隈でそう呼ばれてたらしい。」

「テケテケ事件か…」

「その事件で最後に亡くなった弟についてなにか変わったことはありましたか?」

「変わったことなんてあったかな?」


喜多方は腕を組んで考え出した。


「あれだろ。遺体の損壊部位が変だっていう話。」

「ああ、あったね。自殺なのに何故か上半身しかないって話だよね。」

「やっぱりそこは疑問に思いましたよね?」

「お、お前もそこに気づいたか。」


黒霧島はすこし口角を上げた。


「その資料ってどこにありますか?」

「さあ?部長知ってます?」

「いや?わたしは何も知らない。…でも、当時の部長なら何か知ってるかもね。」

「その人は今どこに?」


山形が追い討ちをかけるように問いかける


「確かどっかで教官やってるはず。その人、結構有名人だし誰かに聞いてみたら場所くらいはわかると思うよ。」

「ちなみにその人の名前は?」

「"早乙女寛太"さんだね。」

「「「「え?」」」」


4人は顔を見合わせた。


「その人知ってます。俺たちの専門学校で教官をやっていた人でした。」

「そうなの?じゃあ聞いてきたら?」

「そうですね。聞いてきます。」


山形は早速専門学校に行こうとした。


「待って。ほんとに行くの?」


フランス人形が山形の袖を掴んだ。袖口は小刻みに震えていた。


「大切な情報ですよ。聞かないとダメでしょう。」

「…………わたし行かないから。」


その声は確かに震えていた。


「どうしてですか。」

「行かないったら行かないの!」

「しょうがないですね。じゃあここでお留守番ですよ?」

「それはやだ。」


フランス人形は山形の服に顔を擦り付けていった。そこには恐怖心が感じられた。


「じゃあどうすればいいんすか。」

「いかないで。」

「ええ?普通のおっさんですよ。警戒することないですよ。」

「いや、メリーさんが警戒するのも無理ないよ。」


蛭間が口を挟む


「早乙女さんがメリーさんを捕まえたんだから。あそこにあるコトリバコの中身も全部そうだよ。」


そのことを聞いた時、柊哉にある決心がついた。それは早乙女教官にあう決心だった。


「山形、俺がいく。」

「いいのか八尺瓊。」

「ああ。俺にも会う理由ができた。」


そういうと柊哉はしゃくちゃんを連れて専門学校に向かった。


「なんか懐かしいね。」

「そうだな。確かこれをこうだよな…?」


トイレの掃除用具入れにある水道の蛇口を回してエレベーターを出した。2人はそれに乗った。


「相変わらず薄暗いところだね。」

「………そうだな。」


柊哉にはこの場所の空気が少し重く感じた。前には感じなかったことだ。


「教官?居ますかー。」


声をあげて探した。しかしどこを探しても教官の姿はない。


「どこにも居ないね。」

「あと探してないところといったらなんだ?」

「あそこは?私たちが入学手続きを受け取った場所。」

「あそこ?どうやっていくんだよそんなの。エレベーターにはそんなボタンなんかなかったぜ。」


そう。この学校に繋がるエレベーターには階数ボタンが二個しかないのだ。


「え〜でもあそこしか考えられないよ。」

「じゃあエレベーターを調べてみる?」

「そうしようよ。」


2人はエレベーターに戻って調べ始めた。


「調べるっていっても、ただのエレベーターだよ?」

「ええ〜。もう問い合わせるしかないんじゃない?」

「確かに。このエレベーターを作った人ならわかるかもね。」


しゃくちゃんは非常電話のボタンを押して問い合わせようとした。


「ん?動き出したぞ?」

「え?まさかこのボタンが階数ボタンだったの?」

「おそらくそういうことだろうな。」


エレベーターが到着した。その先には祠があった。入学手続きの書類をもらったところだ。その先には教官がいた。


「やっと見つけた…!」

「…………なんだ八尺瓊。俺になんかようか。」

「早乙女教官。俺に憑霊使いの基礎を教えてくれ!」


柊哉は真剣な眼差しを教官に向けた。


「なぜわたしに聞くんだ。」

「教官。俺は知ってるぜ。あんた、姦姦陀螺を憑依させてるんだろ?」

「………そうか、知っているか。そうだ。わたしは姦姦陀螺を憑依させている。」


教官は諦めたように言った。祠は不穏なオーラを放っている。しゃくちゃんは身震いした。


「やっぱりそうだったか。やけに憑霊使いに詳しいと思ったぜ。」

「そうだな。では…」

「その前に、もうひとつ教官に頼みたいことがあるんだ。」


柊哉は思い出したかのように言った。


「なんだ。」

「テケテケ事件の資料を見せてくれないか。」

「テケテケ事件か…いいだろう。着いてきなさい。」


柊哉としゃくちゃんは言われるがままに着いて行った。


「このパソコンの中に入っている。ちょっと待っとけ。」


そういうと教官はパソコンにUSBメモリを差し込んだ。


「これを持っていけ。」

「こんな簡単に渡していいんですか?」

「仕事に使うんだろ。いくらでもやるさ。教え子のこれからを見守るのが教官ってもんだろ?」

「教官…!ほんとに大丈夫なんですか?」

「大丈夫。わたしも東京支部の人間だ。」


読み込みが終わったUSBメモリを柊哉に託した。柊哉はそれに専用のプラグを差し込みスマホにデータを移した。


「で、なんだったっけ?」

「そうだった。教官に憑霊使いの基礎を教えてもらいにきたんだった。」

「そうそう。じゃあさっきのとこ行くぞ。」


3人は祠の前についた。


「さて、やるか。」

「その前に、今の資料を山形に送っていいですか?」

「間の悪いやつだな。はやくしろ。」


柊哉は山形に資料のデータを送った。


「すいません。では、よろしくお願いします!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

東京支部


「それにしても、難しい事件ですね。」

「そうだねぇ…標的が予測できないとなると、対策を打とうとしても運次第だよ。」


喜多方は紅茶を飲みながらこういった。


「そういえば、八尺瓊から資料は届いたの?」


雲井が急かすように問いかける。


「いや、まだだ…」

「まったくもう、遅いんだから。」


そんなとき山形のスマホに一通の通知が届いた。


「あ、今来たわ。」

「お、どんなことが書かれているの?」

「どれ、ちょっと見せろ。」

「ちょっと近いっすみんな。」


そういうとみんなは適当な距離をとった。


「で、何が書いてあんの?」

「今読みます。桜雪生連続殺人事件。通称テケテケ事件。被害者のうち4人は同一犯である。そしてその犯人は電車に飛び込み自殺した。」

「しかし、遺体の損傷が不可解だったこと、電車に脚から飛び込むという行動の不可解性から犯人の自殺と思われていたものは他殺であると推測できる。」

「やっぱりな…」


黒霧島はコーヒーを飲みながら頷いた。


「最後の殺人事件の犯人はまだわかっていない。ここからはわたしの推測になるが、犯人殺害の犯人は被害者の1人、野崎の母ではないかと思う。」

「野崎の母?」

「え…?でもその人って…」

「ああ…先月自殺した。」


山形と雲井は顔を見合わせた。


「ちょっと、その推測はどういうことから来てるわけ?」

「読むから待っとけ…」

「そう考えられるのは、野崎の母はとても過保護であったとされていることからだ。実際いじめが発覚した時もこの母親だけは学校に猛抗議しに行ったらしい。」

「なによそれ。流石にこじつけじゃない。」


雲井はあまりに拍子抜けな推理にガッカリした。


「いや、案外間違っていないかもな。親心から来る愛というものは時に人を傷つける凶器になる。」

「つまりどういうこと?」


雲井が黒霧島を追い詰めるように質問する


「野崎の母は娘を殺した弟のことが許せなくて殺した。簡単なことだ。それだけ娘のことが好きだったんだ。」

「そんなの証拠がないわよ。」

「証拠ならその内出る…その内な。」

「なによそれ。見苦しいわよ。」


雲井はまだ納得がいっていないようだ。しかし、黒霧島は余裕のある態度をとっている。


「そう言えばさ。学校には"裏サイト"っていうのがあるよね?」

「いや、今はもうそんなものはないらしいですよ。」

「ええ?でもありそうじゃない?」

「探してみます?」

「探してみて。そこになんかがあるかも。」


口論している雲井と黒霧島を横目に着実に調査をする山形と喜多方。そんな2人は桜雪高校について書かれているネット掲示板を探していた。


「これですかね?」

「"【速報】桜雪高校、いじめか。"…なるほど。これ開いてみて。」


山形はそのスレッドを開いた。そこには凄惨な内容が記されていた。


「うわぁ…これはひどいですね。」


そこにはいじめ加害者を叩くような内容ばかりが記されていた。それどころか、加害者の家族構成、本名、住所まで晒されていたのだ。そこには野崎の名前もあった。


「ここに何かがあるかもしれない。探しましょう。」

「君たちごめんね〜。もう定時なんだ。帰ってくれないか?」


蛭間が水を刺すように言った。


「え?今いいところなのに…」

「ごめんね〜。この職場は基本残業ないの。」

「ええ…じゃあ帰ります。メリーさんはここに置いておいていいですか?」

「やだ。」


フランス人形は服の中に隠れながら言った。


「しょうがないっすね〜。」

「じゃあ俺たちも帰る?」

「ああ…」

「じゃあわたしも〜。」


みんな帰ってしまうようだ。


「そう言えば八尺瓊はどうする?」

「そのまま直帰してって伝えといて。」

「わかりました。」


蛭間は山形に指示を出した。みんなはそれぞれの帰路についた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日、遺体が発見された。桜雪高校の制服を着たその遺体は下半身がなかった。前回と同じである。

しかし唯一違う点が存在する。

ーそれは遺体の性別は男であるということだ。




どうやったらみんなに見てもらえるんかな。なんか広告とかあったほうがいいんかな?

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