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前略、目が覚めたら、なぜかRPG世界にいたんだが……。  作者: 書仙凡人
第二章 前略、辺境の地ガルテナへ……

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Lv.78 雑魚掃討

   [Ⅰ]



 ヴァイロン達兄妹はリレニスタを唱えて脱出してしまった。

 これはハッキリ言って想定外の出来事だったので、俺は悔やんだ。

 だが、今更そんな事をいったところで、もうどうしようもない。

 その為、俺は今しなければならない事へと、無理やり、意識を切り替えた。

 奥の空洞へと続く通路入口に視線を向けると、リレニスタでヴァイロン兄妹が脱出したにもかかわらず、大量の魔物が、今も尚、この空洞内へと入って来ようとしていた。

 そして、俺とリジャールさんを除いた他の者達は、それらの魔物を倒すべく、今まさに、戦闘をしている真っ最中だ。

 武器を振るう度に発せられる掛け声や、呪文の詠唱が空洞内に響き渡る。


「でやッ」

「ヤァッ」

「ギルラーナ」

「ハッ」

「ブレズナン」

「セイン」

「パサート」

「セイッ」

「ベルレア」


 また、それが聞こえる度に、振るわれた剣や槍に斧が魔物達の身体を引き裂き、そして魔法が襲いかかる。

 だがしかし、今の戦況はあまり良いとは言えない状況であった。

 なぜなら、魔物達を幾ら倒しても、新たな魔物が次々と奥から現れ、休む間もなく、襲い掛かってくるからだ。 

 流石のカディスさん達も疲れてきたのか、武器を振るう鋭さが鈍くなってきていた。

 その所為か、次第に討ち漏らす魔物も少しづつ出始めており、その討ち漏らした魔物は包囲網を抜けて、空洞内へと入ってきていたのである。

 それらの魔物は全て竜牙兵であったが、次第に数も増え、既に6体となっていた。

 しかも不味い事に、後方支援しているアーシャさんやイアちゃんの所に、そいつ等が迫っていたのである。


(チッ、嫌な所に出てきやがった……流石に数が多いから、リジャールさんにも少し手伝ってもらうか……)

「リジャールさん、グローラム以外の魔法って何が使えますか?」

「儂が使えるのはファーラとギルアとオラムと、それからヌニェスとウィザレスに、ペルミラとレアとスートラじゃな。まぁこんだけじゃ。ヴァルのように強力な魔法は使えぬから、期待はするなよ」

「それだけ使えれば十分です。ではまず、ペルミラをお願いします」

「わかった。ペルミラ」


 その直後、俺達の周囲に緑色の霧が纏わりついてくる。

 俺はそこで、魔力を両手に分散させ、スートラを自分とリジャールさんに掛けた。


「スートラ」


 俺達の周りに今度は青い霧が纏わりつく。


「ほう……お主、魔力分散が出来るという事は、相当、ヴァルに仕込まれておるの」

「そうですか? まぁそれはともかく、今から俺は彼女達に加勢をしますんで、援護をお願いします」

「うむ、わかった」


 と、その時であった。

 竜牙兵達がアーシャさんやイアちゃんに視線を向け、移動を開始したのである。

 それに気付いたアーシャさんとイアちゃんは、険しい表情で後退った。


(どうやら、2人をロックオンしたみたいだ……早くなんとかしないと……)


 俺は咄嗟にギルラーナを使おうと魔導師の杖を前に向けた。

 だが、ここで頭の痛い事が出てきたのだ。

 それは、魔物達の位置であった。

 都合の悪い事に竜牙兵達は、バラけながら移動しているので、ギルラーナを放っても精々2体くらいにしか効果が見込めないのである。

 つまり、ゲームでいう3グループに分かれている状態であった。

 それもあり、俺は一瞬オライアを使おうかとも思ったが、落盤の危険があるので流石に思いとどまった。


(何かいい方法はないか……ア!?)


 と、そこで、俺はある事を思い出した。

 それは、俺がベルナ峡谷で魔物と実戦訓練していた時に使っていた、雑魚掃討用の剣技の事であった。

 しかしその技には1つ難点があって、周囲に味方がいると同士討ちになる危険性があるのである。

 俺は悩んだ。が、今はお誂え向きにも骸骨の周囲に味方はいない状況である。

 その為、俺はその剣技を使う事を決めた。


「ではリジャールさん、援護をお願いしますッ」


 俺は急いで駆け出した。

 ペルミラでスピードを増した俺は、全力疾走で前方にいる竜牙兵達を追い抜くと、素早く奴等の進行方向に回り込み、腰に備えた魔光の剣を手に取った。

 俺はコイツ等を一撃で葬る為に、やや強めに魔力を籠めて光の刃を出現させる。

 そして、まず先頭の骸骨からそれを見舞ったのだ。

 右手の魔光の剣を竜牙兵の脳天に真っ直ぐ振り降ろして両断すると、その勢いを利用して、身体をコマのようにクルリと回転させながら、前方へと移動する。

 そこで後ろ手に魔光の剣を持ち替え、且つ、剣自体も回転させながら、迫り来る骸骨共を切り刻んだのだ。

 不規則な弧を描きながら容赦なく襲いかかる光の刃は、骸骨の頭や胴や手足を次々と切断してゆく。

 そして6体目の骸骨を斬って捨てたところで、俺は光の刃を仕舞い、彼女達の元へと急いで駆け寄ったのである。


(よし、うまくいった。名付けて……魔光剣、乱れ斬りの巻!)


 舞うように斬りつけるので結構優雅な剣技だが、俺の中では雑魚掃討用という位置づけになっている。

 なので、強大な敵が出てきた場合は、あまり使う事はなさそうな剣技の1つであった。

 しかも今の未熟な俺では、敵味方関係なく斬りつける可能性がある為、使用場所が非常に難しい技なのである。

 俺がベルナ峡谷で戦闘訓練をしていた時は1人だったので、周囲を気にする必要はなかったが、流石に仲間がいる状況では使用を控えざるを得ないという、禁断の剣技なのだ。

 おまけに雑魚掃討用とはいえ、魔物によっては魔力消費も凄い。

 今のでもギルラーナ3発分くらいの魔力を籠めたと思うので、魔力消費を考えると、そうそう乱用できる技でもないのである。

 それはさておき、俺が駆けよると、2人は安堵の息を吐いた。


「流石ですわ、コタローさん。助かりました」

「ありがとうございます、コタローさん」


 アーシャさんはそこで、魔光の剣に視線を向けた。


「それにしても……この間もそうでしたが、その光の剣て凄い切れ味ですね。どういう魔導器なのか興味があります」


 アーシャさんは、興味津々といった感じであった。


「まぁ確かに強力なんですが、その分、燃費は悪いんですよ……って!?」


 と、その時である。

 なんと、イアちゃんの横に、首の無い竜牙兵が突然現れ、剣を振り上げたのだ。

 勿論、イアちゃんは竜牙兵に気付いていなかった。


(先程の攻撃で仕留めきれなかった奴に違いない……) 


 俺は慌てて、イアちゃんを左手で抱き寄せた。


「キャッ!」


 イアちゃんはビックリしてたが、今はそんな事を言ってる場合じゃない。

 俺はそこで魔光の剣をもう一度発動させ、止めの逆袈裟斬りを竜牙兵に放った。

 その刹那、光の刃が斜めに一閃し、竜牙兵の胴体は崩れ落ちたのだ。

 魔物が動かないのを確認したところで、俺はホッと一息吐いた。


「ふぅ……危なかった。まだ動けたとはね……俺も油断してたよ。怪我はないかい、イアちゃん?」


 俺はそう言って、イアちゃんに視線を向けた。

 するとイアちゃんは、頬を赤く染めながら俺を見上げていた。


「あ、ありがとうございます……コタローさん。また、助けてもらいました……」

「いいよ。気にしない、気にしない」


 そこで、リジャールさんがこちらにやって来た。


「コタロー……お主、中々やるのぅ。儂が援護するまでもなかったわい。しかし、コタローのその武器、もしや……って、今はこんな事言っとる場合じゃない! まずは魔物じゃ!」


 リジャールさんは慌てて、通路入口で戦闘をしているカディスさん達に視線を向けた。


「ええ、話は後ですッ。今は魔法で皆を援護しないと。じゃあ行くよ、アーシャさんにイアちゃん」

「は、はい」

「ですね」――

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