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前略、目が覚めたら、なぜかRPG世界にいたんだが……。  作者: 書仙凡人
第三章 前略、王都へ

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Lv.103 潜入調査

   [Ⅰ]



 外に出た俺とラティは、仄かに辺りを照らす月光を頼りに、今回のミッションを行なう決戦の地へと向かった。

 ちなみに今日のミッション内容は、『神殿の敷地内にあるという、神秘の泉を調査せよ!』である。

 ラティの話によると、この巡礼地には女性神官が沐浴をする泉があるらしいのだ。

 つまり俺達は、その沐浴の様子を見学しようというわけなのである。

 まぁそんなわけで、一歩間違えれば、イシュラナ教団を敵に回す可能性がある非常に危険な調査なのだが、俺はこれも勉強だと自分自身に言い聞かせ、作戦を実行する事にしたのであった。

 そう……これは、その土地の風習を知る為の社会勉強なのである。

 決して煩悩に身を任せただけの行為ではないのだ。9:1の割合でだが……。

 それはさておき、以上の事から、俺達は女体の神秘に迫るわけだが、そうなると1つ問題が出てくる。

 それは勿論、昨日のような事があるのかどうかという事である。

 断っておくが、建物の強度的な事ではない。

 男湯と女湯が入れ替わっているのかどうかという事だ。

 これは非常に重要な事である。

 もし仮に、今の勢いで男性神官の沐浴してる姿を見たならば、俺はその場で爆裂魔法のオライアを唱えて、見なかった事にしてしまう可能性も否定できないからだ。

 そんな悲劇は絶対に避けねばならない!

 というわけで、俺はついさっき、それについて念入りに確認をしたのであった。

 一応、その時のやり取りはこんな感じだ――


「おい、ラティ……今回は本当に大丈夫なんだろうな。言っとくけど、俺は男の入浴なんて見たかないぞ」

「へへへ、コタロー、今回は安心してええで。ワイが言ってる沐浴の泉は男子禁制やさかい、女の神官しかおらん。しかも、この神殿の神官は若くて別嬪揃いで有名なんや。どや? 見たいやろ? 行くしかないで、ホンマ」

「ほう、沐浴とな……しかも男子禁制な上に、神に仕える乙女と申すか」 

「そうや。で、どないする? 行ってみるか?」


 今の言い方に引っ掛かりを覚えた俺は、遥か彼方の銀河系における偉大な賢者の言葉を引用して、ラティに告げたのであった。


「待て、ラティ……行くか、行かぬかだ。行ってみるなどという、試しなどはない」

「おお、さすがコタローや。なんや知らんけど、深い言い回しに聞こえるわ。でも、なんとなく、今使うような言い回しやない気もするけどな。まぁそれはともかくや。で、どないする? 行くか?」


 俺は首を縦に振る。

 というわけで……。


「ゆこう」

「ゆこう」


 そういう事になったのである――


 これが経緯だ。

 穢れなき美しき乙女の裸体……これはもう行くしかないだろう。

 つーわけで、コタロー行きます!

 とまぁそんなわけで、俺達はすぐに行動を開始し、今しがたミッションのスタート地点へとやって来たところであった。

 ラティに案内されて辿り着いた先は、滝のけたたましい音が鳴り響く湖の畔であった。

 滝と湖の影響か、周囲は少し肌寒い。

 日中ならともかく、夜である今は、あまり長居したくない所である。

 俺はそこで、ピュレナ神殿までの距離を確認する事にした。

 見た感じだと、神殿はここから直線にして約100mといったところだろうか。

 薄暗いのでハッキリとはわからないが、大体そのくらいであった。

 以上の事から、ここはピュレナ神殿から少し離れた位置なのだが、俺はそれよりも少し気掛かりな事があった。

 それは何かと言うと、ここには神殿の敷地内に入る為の道といったものが、どこにも見当たらないという事だ。

 それだけではない。

 緩やかなカーブを描く断崖が邪魔をしている為、敷地内へはそう簡単に入れそうにないのである。

 つまり、普通に今来た道を戻るか、断崖をロッククライミングをしながら横に伝って行く以外、神殿への道は無いのだった。


(うへぇ……どうやって神殿の敷地内に忍び込むんだ……)


 謎は尽きないが、今はここの状況確認が先決だ。


「ラティ、とりあえず、周囲に誰もいないか確認をしよう。行動に移すのはそれからだ」

「せやな」


 というわけで、まずは周囲の確認から始める事にした。


 ―― それから約10分後 ――


 一通り確認したところで、俺とラティはミーティングを始める事にしたのである。


「今のところ、誰もいないみたいだな。多分、暗い上に滝の音が五月蠅いから、ここでは誰も休まないんだろう」

「せやろな。これだけ五月蠅いと、馬も流石に寝られへんと思うわ」


 ある意味、好都合である。


「さて、それじゃあラティ、ここからの説明を頼む」


 ラティは頷くと、滝が流れ落ちる断崖に視線を向けた。


「ここからは、断崖の岩壁を飛び移っていくか、空を飛んでいくかの二択になんねんけど、コタローはどっちがええ?」

「どっちがええって……。言っとくけどな、俺は空を飛べんぞ。一時的に道具の力で浮くことくらいはできるけど」


 妙な事を訊いてくる奴だ。


「え? そうなんか? 昨日、温泉の屋根が崩れた時に飛んでたさかい、てっきり飛べるもんやと思ってたわ」


 どうやら、魔導の手を使って飛んだのを見て、そう思ったようだ。

 誤解されるのもアレなので、一応言っておこう。


「ああ、あれはな、魔力を使って強引に飛んだんだよ。だから、ラティみたいには飛べんぞ、俺は」

「なんや、そうやったんか。ほんなら、あとはもう、断崖の岩壁を飛び移って行くしか方法はないな」

「岩壁を飛び移る、か……。で、具体的にどうするんだ?」


 ラティは神殿へと続く断崖に目を向ける。


「壁の至る所に岩が飛び出てるのが見えるやろ。あれを飛び移っていくんや。飛べん奴には厳しいけど、コタローなら魔力で飛ぶという選択もある見たいやし、行けると思うで」


 俺はラティの視線の先を追う。

 すると、ラティの言う通りであった。

 断崖の壁は月明かりが当たらないのでわかりにくかったが、よく見ると、ひょっこりと飛び出た岩が幾つも見えるのである。

 どうやら、あれを飛び移って移動をするという事のようだ。

 ちなみにだが、それらの岩と岩の距離を言うと、短いので3mほど、長いので10mほどといったところだろうか。

 とりあえずそんな感じなので、俺のように魔導の手を使える奴なら、何とかなりそうであった。

 おまけに、月明かりが断崖の壁に当たらないという事も、よくよく考えると結構な好条件といえた。

 なぜなら、闇に紛れて移動ができるからである。

 つまり、これらを総合すると、行くのなら今でしょって事になるのだ。


「なるほどな、あのくらいなら俺でも行けるかもしれん」

「多分、大丈夫やろ。で、話を戻すけど、岩壁をある程度進むとやな、当然、神殿の敷地内に辿り着くわけやけど、入ってすぐの所に1つだけポツンと神殿が建っとるところがあんねん。その中が泉になっとるんや。目的地はそこやで」


 大まかな流れはわかったが、少し気になる点があった為、俺はそれを訊ねる事にした。


「ラティ、泉までの道順はわかったが、その前に訊いておきたい事がある」

「何やろ?」

「ここはイシュマリアでも、特別な巡礼地といわれる場所だ。となると、当然、神殿の警備というものも視野に入れなければならない。そこでだ。ラティに訊いておきたいのは、神殿の警備体制はどうなっているのかという事なんだよ。特に、その泉付近の情報を知りたい。どんな感じかわかるか?」


 ラティは空を見上げ、暫し考える仕草をする。


「う~ん……ワイがいつも見ている時は、警備はしてへんかった気がするな」

「王族が来ている時はどうなんだ?」

「実はワイ、王族が来てるの見たん初めてなんや。せやから、ちょっとわからんなぁ……」


 予想外にも、ラティは王族が来ているこの状況は初めてのようだ。

 これは気を引き締めた方が良さそうである。


「そうか。なら、今日はかなり慎重にいったほうがいいぞ。何があるかわからんからな」

「確かに、コタローの言う通りやな……。今日は慎重にいっとこか」

「ああ、そのほうがいい。さて、それじゃあ、そろそろ行くか。あまり遅いとアーシャさん達に、何をしてたのか突っ込まれるからな」

「せやな」


 さて、ミッション開始だ。


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