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5.スキルの正体

「・・・よし 今だ! 魔石 転送!」


魔物は今にも彼の喉元に到達するやにも見えギャンドは思わず足を動かし近くに寄ろうとしたその時であった、突然に魔物は空中で苦しみだし地表へと落下したのであった。



「何だ! 何が起こったのだ?!」


救援に向かおうとしたその足を思わず止めて目の前で起きた現象をギャンドは呆然と眺めていた。


「・・よし Dランク魔物にも通用する、、」


彼は額から流れていた汗をぬぐいながら微笑んでいる。

彼の目の前では魔物が苦しそうに暴れ出し地面の上をのたうち回っていく。


「・・おいクラウド、何が起きたのだ説明してくれ、、、」


ギャンドは彼に近寄り苦しみ暴れている魔物を注意深く見ながら彼に問う。


「ギャンドさん これです、、、」


彼はギャンドの目の前にゆっくりと掌にある魔石を突き出す。


「・・魔石? この魔石をどう使うと魔物があの様に苦しみだすのだ?」


彼は勘違いしていた、彼はこの魔石を使い何かのスキルを発動して魔物が苦しみだしたと判断したのだ。


「いえ、、この魔石はあの魔物の魔石なんです、、、」


ギャンドは途端に何か聞き違いかと、困惑した顔で思考が混乱し始めた。


「ま まて、、言っている意味が不明だ もっと分かりやすく説明してくれ、、」

「その前に魔物の止めを刺しましょう、、、」


その時になり彼はようやくソードを抜いて暴れている魔物に対して剣を振るい止めを刺す。


「・・ふう 終わりました」


にこやかな顔で彼はギャンドに向かい笑いかける。


「教えてくれ、、どうやってあの魔物を?」


ギャンドは初めて見る彼のスキルに興奮しながら尋ねるのであった。



「な なんと!お前の転送スキルの発展型であの魔物の魔石を抜き取った?!」


今度はそう言ったきり固まり呆然していた。

彼としてはもしそんな便利な事が可能であれば、冒険者家業から今だ脱落せずに働けていたと話し出す。


「・・・そうか 転送スキル持ちでなければ出来ぬ荒業なんだな、、、」


最後には何回目かの説明に納得して残念そうな顔で苦笑した。


「そうですね 残念ながらそんなスキルです、、、」

「そうか、、これ程のスキルなら秘密保持は当然かもな、、、」


彼はようやく高額の報酬を出して自分を採用した理由に納得する。当然口封じの費用持ちも含まれての報酬だと納得したのだ。


「凄すぎるな、、これはどの程度の魔物にも発揮できるんだ?」


それを確認したいための今回の同行であるとクラウドは笑いながら答える。


「そうか だよな、、だからこその同行依頼なんだな、、そうだ ひとついいか?お前のスキルの凄さは理解したが、何故に剣も持たずに近寄る?万一スキル発動に失敗したらお前の命はなかったぞ?!」


彼にしては無防備に近寄るクラウドを見て、冷汗が流れたと怒り出す。


「た 確かに、、少しスキルを過信過ぎていたかもしれません、、、」


これまで彼はEランク以下の魔物にしか対応していなかった、決して油断していたわけではないがそのクラスの魔物は最悪多少の怪我で済むかもしれないとつい警戒心が希薄になっていた様だ。それに片手に剣を握りながらの行為は何となく注意が散漫となり、いつしか何も持たずにこれまで対応してきてしまった。


これはギャンドが言う様に最悪のケースをもう一度再認識して初心に帰るべきだと彼のアドバイスを受け入れるのであった。




「うん この辺りでキャンプにするか?」


夕暮れも近づいてギャンドの指示で二人は今夜の宿地を決定する。


「さて 俺の荷物を頼む、、」


興味深く彼はクラウドに微笑みかけた、本当に自分の荷が届くのか興味津々の目であった。

それに笑いながらクラウドは答えて彼の前に荷を出現させる。


「うぉーー 本当に現れたぞ?!」


届いた荷に驚愕の目で喜ぶ彼であった。続けて自分本人の荷も出現させて二人はテント張りと晩飯の用意へと忙しく動き出す。


「うーん 本当に便利なスキルだな、、俺も欲しい、、」


荷の軽減は無論 先ほどまで何頭も現れた魔物の対応も出来るスキルとなれば冒険者達からかなりの評判になるのは目に見えている。


「ははは、、そうですね。私自身もここまでのスキルとは当初は予想もしていなかったです」

「ああ、、ましては倒した魔物の後処理もせずに倉庫へ直送できる、、これを便利と言わず何を便利と言うべきなのかな?」


食事をとりながら二人はこのスキルについて話は止まらなかった。

今回スキルについてまともに他人に話したのはギャンドが初めての事だった、つい二人は夜中までこのスキルについて話し込んでいく。



「・・注意しろ Cランクのロック蜥蜴だ、、、」


翌日更に岩山の上に上る時に今回の目的であった上位魔物に遭遇する事となった。

全身硬い岩に包まれてなまじの攻撃が通用しない相手の出現になったのだ。


 ・・・はい


クラウドも気持ちを整理して格上の相手へと向かい合う。

片手に剣を握っているがその掌は汗が出始めていた、大きく深呼吸をして気合を入れ直す。

上手く魔石を回収が出来れば彼の勝ちだが、相手は格上でありどう転ぶかは相手次第であった。


「・・心配するな 俺が必ずサポートする」


クラウドに並びギャンドが微笑む、その笑顔に少し緊張が解れる。

そもそも冒険者はパーティを組む、同ランクの魔物でも1対1は普通でも無謀として扱われる。それが通用するのは下級の魔物の話であり、このクラスから上の魔物は個体の力が飛び抜けているのだ。それを格上相手に挑むクラウドはよく知っている事でもあった。緊張するのは当然であり、普段通りの力をなかなか人は出せないものであった。


「・・ふぅ 大丈夫です、行きます、、、」


二人はゆっくりと歩き出して魔物へと歩き出す。


 しゃぁぁぁぁぁぁぁぁー


魔物は独特の警戒音を出しながら二人の冒険者を睨んでいた、来るなら食い殺すと言いたげな魔物の警戒音とも言える。


「奴は瞬間的に動き出す、決して油断するなよ、、」


ギャンドのアドバイスにしっかりと頷きながら二人は次第に距離を詰めて行った。

いつ襲われても良い様に片手は常に魔物に向けて臨戦態勢をとる、ロック蜥蜴の瞬発性は冒険者仲間で散々聞かされている。先ずはスキル発動範囲の5m以内に入らねばならないが、その距離は魔物にとっても攻撃範囲に含まれる。

体長3mのロック蜥蜴にとっては正に5mの距離など一瞬で到達して襲ってくるからだ。いつ襲われても対応がとれる様に彼は全神経を集中して、じわじわとその距離を縮めて行った。そしてその瞬間が訪れる、、、、、


突然に魔物が敵意を諸出しにして動き始めたからだ。


「・・魔石 転送!」


早口になりながらスキルを必死に発動するクラウドであった。

同時にギャンドも万一に備えて剣を繰り出していく、その剣が魔物に届く瞬間に魔物の姿が変化する。魔石を抜かれた痛さに魔物が姿勢を崩し横転して転がり始めたからだ。


「・・成功した」


流れる汗をぬぐう事もなく彼は小さく呟く。


「おう 成功したぞ!奴が転げ捲っている!」


彼に返事する様にギャンドは魔物を見つめて大きく息を吐く。

クラウドの掌にはこれまで彼が手にしたことのない見事な大きな魔石が握られていたのだ。


「おい 止めを刺せ、背中は固いので奴が腹を見せた時が良いぞ」


その言葉に我に返ったクラウドは指示の通りに魔物を攻めて絶命させる。


「ふぅーむ ひとつ上のランクまでスキルが通用するみたいだな、、」


この上のBランクで更に確認したかったが、ギャンドは冷たく言い放つ。


「・・止めた方が良い この上の魔物は体力も機敏性も更に上がる魔物が多い。スキルを信用しない訳ではないが、第一に5メートル程度の安全距離はこの上のクラスは無いも同然でもある」


ギャンドがカバー出来れば良いが、彼が怪我をする前でも同クラスのBランク魔物には1対1では手こずっていたのだ、ましては体調が十分ではない今の現状ではここまでが支援の限界だという。


もっともな説明にクラウドもある意味ホッとしていた、Cランクの魔物の恐ろしさを肌身に感じて居たからだ。魔物の持つ何とも言えぬ恐怖心をしみじみと感じた一戦であった。


ロック蜥蜴は魔石を抜かれ猛烈な痛さと苦しみながらも近くに寄る彼に襲い掛かろうとその視線を向けていた、隙あらば食らいつこうするその執念に震えながらも対処していたのだ。


「・・そうですね 今の自分には完全に力不足だと感じています」


更にレベルを上げて上のクラスは実力を上げてからでも遅くないと判断したのだ。


「ははは そうしてもらえれば俺も助かる、、焦らなくとも努力すれば時間が解決してくれる、、」


確かにここで蛮勇を振っても仕方ない事であった、またのチャンスを狙うだけでいい。

結果的にこの日は更に3体のロック蜥蜴の征伐に成功して、山を下りて麓で野営する事となった。


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