4.Cランク魔物の征伐
うーむ やはりこのスキルは転移スキルより上位スキルのような気がする、、
手前味噌と非難されようが彼には個人レベル上げにかなり有効なスキルの一つであると検めて再検証して判断する予定を組みながら満足そうに微笑んでいた。
「クラウドさん 転送お願いします、、」
レベル上げで不在していたが、近所の小売店の女店主が荷を持ち込んで来た。
「あっ クララさんこんにちは、、お待たせして申し訳なかったです。この荷はいつものトリム村の直営店ですか?」
「ええ 少しで申し訳ないけど至急の品が入ったのでお願いしたいの、、」
質の良くない紙製品や小道具類が詰め込まれた品が置かれていた。
「・・了解です あまり重くないですから、いつもより安い価格でOKですよ、、」
「助かります この品はそんなに利益率も良くないからね、、」
なんだかんだとその後も雑談が続き女店主はご機嫌で帰って行った。
「さぁーて 今日はこれで打ち止めかな?」
個人経営の店は出来るだけ利益を求めずに安価に対応していく、その代わり大店に関してはがっぽりと稼がしてもらうのが彼の流儀であった。どのみち消費するのは彼の魔力だけだし、それも一晩寝れば大概は回復するのだから、、
「よし ならば冒険者ギルドへ寄るか、、」
彼は元々冒険者にあこがれていたが、それに必要な有効なスキルに恵まれていなかった。精々体力強化のスキルを授かって懸命にこれまで戦ってきたが同年代の若者たちに差を付けられていたのが現実でもあったのだ。
冒険者としてクラスが上がる条件は2つある。1つはギルドによるクエストの規定回数とその等級に似合う個人レベルの上昇であった。彼は規定回数に於いて3年以上の経験から問題なく達成しているが問題は個人レベルであった。彼は今迄戦闘スキルに恵まれずに、仲間からも見放され個人でしか活動していない。よって単独行動では無理が出来ずになかなか個人レベルを上げきれなかったのだ。
それでもそう苦労せずに今迄生活して来れたのは彼の持つ転送スキルにて御用聞きのような生活を今迄してきたお陰だが、そのスキルの活用法に目覚めて急激にレベル上げに成功し、待ちに待ったDランクへとクラスを上げられる日が来たのだ。
「こんにちは、、ランク変更にお伺いしました、、」
ギルドの受付にて彼は嬉しそうに申請をする。
「あらクラウドさん そうなんだ個人レベルが到達したのね、オメデトウございます、、」
受付嬢は彼の申請を聞いて微笑んでくれる。
「ははは、、少し回り道をしましたがようやくこの日が来ました、、」
受付嬢からも祝福されてDランク申請の手続きに入っていく。
「はい これが新しいプレートです これからも頑張ってくださいね、、」
真新しいプレートを受け取り少し誇らしげに仕舞い込む彼である。
「あっ それで少しご相談が、、、」
「はい? えっ?クラウドさんの個人護衛?の依頼ですか、、、、」
冒険者が冒険者を雇う、、考えれば不思議な依頼でもあった。
だが彼には考えがある。今迄必死にレベル上げに努力してきたが、その相手は自分の実力に合う魔物でしかなかった。上位クラスのいる場所には単独で動く彼はなるべく近寄らない様にしてきたのだ。
そんな彼が更に上位クラスのいる場所に行きたいのは、当然彼の持つスキルの活用の限界を知りたいのが直接的な思いで、其の為には上位クラスの冒険者と同行して万が一の場合には自分を守ってくれる腕利きが必要になる。
「・・はい ご希望は承りましたが、、誰か適任者がいるかな?」
疑問を感じながら受付嬢は適任者の目星を考えている、彼の希望は複数のいるパーティではなく彼と同じ出来れば単独で動いている冒険者を希望していたからだ。
腕の立つ単独冒険者となるとそうは居ないのが現実でもあった、そして更に彼が突きつけた要望は口の堅い人物であった。彼のスキルをペラペラしゃべる人物は御免被りたいと考えて居たからだ。
個人スキルはある意味皆が隠しておきたい事項である、特にある意味特殊なスキル持ちは万一情報が漏れる事を極端に嫌う傾向があるのも事実。
「・・報酬に関してははずみます しかも秘密の守れそうな人物の紹介を、、、」
受付嬢は数日期間を欲しいと彼にお願いする、探す時間が欲しいのであろう。
彼はギルドからの連絡待ち待機と言う事でギルドから出ていく。
「おう 失礼するぞ、、、」
ギルド依頼から数日後に一人の逞しい中年冒険者が彼の粗末な事務所兼倉庫へと尋ねてきた。
「いらっしゃいませ、、あれ?もしかしてギャンドさん?!」
彼は驚いたように目を見開いた、元Bランクの冒険者で魔物との戦いで深手が原因で冒険者をリタイヤした彼を良く知っていたのだ。
「おう 元気にしていたか?ギルドの受付嬢マリちゃんからの依頼でお前の護衛を頼まれた。孫への小遣い稼ぎにいい話があるんだって?はははは、、」
愉快そうに豪快に彼が笑う。彼なら人物も腕も申し分ないと彼も納得する。
「・・はい 手当ははずみます その代わりに、、、」
彼は商談へと入るのであった。
「・・ふむ その話から察すると、余程いいスキルを授かったんだな?了解だ 秘密は守るぞ」
彼は新たにクラウドにスキルが授かったと勘違いしている様だが、それは敢えて否定しないでおく。
秘密は今後の為に最低限の方がいいに決まっている。
「・・ところで痛めた左手のその後の回復は如何です?」
「ああ、、まだ少し痺れはあるが、その辺の魔物には問題は無いぞ、、」
元々はパーティでAランク魔物に挑戦していた人物だ、当然俺はそんなクラスの魔物に挑戦する気もない。あくまで慎重に現在の今のスキルの限界を知りたいだけだ。
「・・よし それで明日から3日間の予定を組めばいいんだな?」
彼が現役をリタイヤしていた為に今回はギルドへの仲介費用は発生せずに個人間の契約となって対応していく。
「おう おはよー、いい天気だな 魔物退治日和かな? がははは、、、」
翌日彼の到着を待って二人はここから半日で行ける北の山方面に出かける事となった。北の山地区はDランクの魔物が主で時々Cランクの魔物が出る可能性がある場所である。彼としてはCランク以上の魔物の出現は流石にパスしたい相手であったのだ。
「荷物はそれだけでいいのか?」
3日間を過ごす行程に比べて彼の持つ荷は余りにも少なすぎた、彼の背負うリュックはごく小さい物でまともな食料等は含まれていない様に見られたのだ。
それに比べて元冒険者のギャンドはそれなりの荷を背負っていたのだ。
「・・実はスキルレベルが2に上がった時に、、、」
彼は小声でレベル1は一方通行であった荷がレベル2に上がった彼が念じると指定された場所から自分の手元に届けられる仕様に変更された事を説明する。ただこれはあまり公にしていない事だという。
「・・なんと便利なスキルに、、、」
使い方によれば収納スキルと同程度の意味合いになるからだ。
「ははは確かに、、そうだギャンドさんも持つ荷を整理しません?必要最低限にすれば移動や魔物の対処時にも楽になりますよ」
勿論彼は大喜びでそれに甘える事にした、特に移動時の荷など体力の消費にしかならないからだ。彼等はギルドの借りていた個室へと移動して行く。
「カカカ、、こんな楽な移動は久しぶりだぞ、、、」
荷を選別した彼はあまりの背の重量の変化を喜び、二人は足取りも軽く目的地へと歩き出すのであった。
やがて二人は都市地区から離れ山岳地帯へと足を進ませていく。
「・・ふむ そろそろロック蜥蜴等が出現するぞ、、用意はいいか?」
話し合いでCランク以下の魔物の出現時にはクラウドがまず単独で対処する事に決定していた。それ以上の魔物か魔物が多数で手こずるケース時にギャンドの出番となる。尚も進んでいく二人の前に現れたのはDランクである灰色ウルフが目の前へと出現する。
「・・灰色ウルフか、、気を付けろよ」
レベルはDランクではあるが、その俊敏性と噛む力は定評がある、下手に噛まれると大怪我をする可能性があるからだ。
「・・はい もしかの時は宜しくです」
彼はゆっくりと魔物の前に手を翳して近寄り始める。
ギャンドは興味深く彼の動きに注視していく、魔物を前にソードを抜くことのない彼の姿に驚嘆しながらも彼が隠し持つスキルに興味を向けられたのだ。
魔物は低く唸りながら直ぐにでも跳躍して彼を襲うべき姿勢へと準備を開始していた。
ギャンドは息を殺しどんなスキルが発動するのかと一連の動きから目を離さずに見つめていく。無論彼はいつでも加勢が出来るように片手にはソードが握られている。
「・・もう少し近くに寄ってくれ、、いいぞ もう少しだ、、、」
魔物が一気に勝負を付けようと彼にじわじわと近寄って来るのが見える。そして距離は良しと判断したのか魔物は突然に大きくジャンプして彼に向かいその口を大きく広げ襲い掛かってきた。
「・・・よし 今だ! 魔石 転送!」
魔物は今にも彼の喉元に到達するやにも見えギャンドは思わず足を動かし近くに寄ろうとしたその時であった、突然に魔物は空中で苦しみだし地表へと落下するではないか。




