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3.スキルレベル3の検討

「ま 待ってくれ、俺を置いて行かないでくれ!」


クラウドは必死に彼等を追いながら、走りつつ自分に体力強化の魔法をかけて彼等を懸命に追いかけるのであった。



「契約違反だと判断します よって罰金が発生するぞ!今後は絶対に君達のパーティの依頼は受けないつもりだ!」


必死に逃げ終えたその日の野営場にて彼等4名はクラウドの前にて正座して首を項垂れていた。

彼はあまりの展開に恐怖の震えが今だ収まらずに彼等を追及していた。彼等のパーティの全員が深く反省しながら許しを請うた。


尚も興奮状態が続く彼の怒声に全員が困り果てた顔で彼の説教を聞きいっていく。結果として反則金を支払う事でようやく彼は怒りを収め始めていた。

結果的に当初5パーセントの売り上げマージンを15パーセントにして商談は成立した模様だ。それでも命あっての物種であり、彼としても依頼先からの検討を今後は更に強化して吟味すべき対応策を練っていくのであった。


翌日は一日かけて森からの脱出に時間を割いて、魔物の谷から逃げ出すことに成功する。

予定の5日間で無事に都市に帰りついた全員は安堵の声をあげる。今回の経験を真摯に受け止めて彼は自己レベルの向上に暫くは時間を割いていく。




「ふぅ ようやく自己レベルが24か、、、」


あの恐怖の森?事件以降彼は懸命に自己レベルを上げる事に没頭していた。

その間に受けた依頼は馴染みの商人による書類と大量の金貨を支店へと転送する業務一件だけであった。


 あっ そうだ、、スキルレベルも3に上がったんだ、、内容確認しなければ。


スキルレベル1の時は物に直接手を触れなければスキルは発動しなかった、レベル2の時は少し離れて1メートルの位置からでも物の転送は可能になったのだ。それが視線さえしっかり物を見つめればレベル3では5メートル先からでも転送が可能になった。


「・・考えればこれは何のメリットが?」


消費する魔力もレベル1に比べればかなりの省力化となり、当然動かせる物体の重量も大幅に増えてはいたが、距離を離れて転送できるメリットはあまりない様に思えた。


 まぁ、、、近寄らなくても良くはなったのがメリットか?


いまいちそのメリットについて特記する判断がつかずに悩む彼であった、それがどんなメリットを展開するのかが判明したのは後日の話であった。


それは偶然が生んだ産物でもあったのだ、彼は定期的に魔物を退治していき個人レベルを上げていく事に没頭していたが、下級魔物であるゴブリンを退治した時に今迄はそのままギルドの解体部署迄運んでいたが、ゴブリンは体内にある小さな魔石以外は活用が無かった。


つまり労力の程にあまり成果のない作業とも言える、当然冒険者になった当時はそれなりにゴブリン退治に情熱を向けた時期もあったが、実入りが少なくある時期からそのまま死骸を放置してしまうパターンが多くなる。


解体場所に運ぶとその手間賃も発生するので、一時期は持参したナイフでゴブリンの魔石だけを回収する時期もあったが今では労力の無駄と割り切りいつの間にかそのまま放置へと変わっていく。

何故なら彼は二足の草鞋を履いているからだ、冒険者としての顔と転送屋としても生きていた。低ランク冒険者ではあったが日々の暮らしは贅沢しなければ過ごしていける。


またゴブリンを放置しても他の魔物がその死骸を綺麗に消化してくれるのでそれで良しと判断していたのだ。そしてこの日も倒したゴブリンの死体の上から彼は迷惑そうに視線を落としていた。


 まったく、、ゴブリンの死骸だけは本当に困る。せめて勝手に魔石だけが取り出せればどれだけ助かるものか、、、


そんな事を考えていた時に不意に彼は思い当たる事があった。


 待てよ、、もしかしてこのスキルを活用すればゴブリンの魔石を回収できないのか?


突然の閃きにも近い発想でもあった、暫く考え込んでいた彼は徐に手を翳してゴブリンの死骸の胸の奥にある魔石を思い出して念じる。


「魔石 転送回収!」


そう言って片手を広げてると何とその手の中にゴブリンの魔石が転送してきたのだ。


 やはりだ、、このスキルで魔石を回収する事が可能だ!


この一連の出来事に彼は大いに驚きそしてスキルの持つ凄さに感心の視線を向けていた。


 凄い 何故に今迄これに誰も注目していなかったんだ?


確かにこのスキル自体が上位スキルである転移や収納スキルと比べても驚くほどに発生率が低いのがその原因でもあろう。このスキルに対して研究も進まずにましては転送は単に物の移動にしか役立たないという偏見もあった。


 もしかして、、このスキルは上位スキルである収納スキル等の更に上に位置する存在なのでは?


ふと思いつく推測に彼は体が震えるほどの興奮を覚えた。


 でも、、今回はゴブリンの死体で検証したが、生きた生物からでは転送は不可なのかもしれない。


次の疑問も同時に浮かんでくる彼であった。


 まてよ、、そもそも魔石は生物か?


それは違うだろうと彼は判断する。つまり魔石は生物に発生してどんな原理なのかそれが発生した事により各種の特別な魔法等を生み出す原動力になる。しかし魔石自体は単なる鉱物の一種と考えて良い筈だ。ならば生きた生物から転送回収にて取り出す事も可能ではないか と考えつく。


 うーん、、実際に他の生きたゴブリンでテストすべきだな、、、


幸いに?この地ではいたる場所にゴブリンは生存する、テストする場所としては申し分ない土地でもあるのだ。注意深く辺りを見渡すとゴブリンの姿を見つける。これ幸いと彼はゴブリンへと近寄っていく。彼の視線を感づいたのかゴブリンが此方に視線を移して奇声を発しながら攻撃態勢に入り走り込んで来た。


 まだよ まだまだ、もう少し近く迄は、、、よし今だ 魔石転送!


転送に必要な5メートル以内に魔物が近寄ると彼は集中してゴブリンの胸の中にある魔石を想像しながらスキルを発生する。その結果は予想した通り彼の掌に前方のゴブリンから魔石が転送された。


 よし 大成功だ!


彼は小躍りして成功を祝い魔石を見つめていた、その魔石は今迄目の前のゴブリンの胸の中にあった魔石であろうと確信した。その魔石は今だ体温の暖かさを保っていたからだ。

そんな成功に喜んでいた彼はふと 何とも声ともつかぬ叫びに気付かされた、目の前にはゴブリンが転げまわり叫びに近い声で苦しみのたうち回っていたのに気づく。


 あっと 魔石の回収成功に夢中になりゴブリン自体を忘れてしまっていた、何事も被害が無くて、、まてこの有様は何なんだ。何故にこのゴブリンは苦しそうに大地に転げまくっているのだ?


そのゴブリンの有様を呆然と眺めている彼であった。そしてある魔法学者が記した本の一頁を.ぼんやりと思い出し始めていた。


 そうかその学者は生きたままの魔物から魔石を取り出すと、途端にその生物は魔石を抜かれた苦しさからか暴れ出すが直ぐに死にはつながらないと書いてあった。そしていつの日か魔石はまた生まれ成長して元の大きさに戻るとも、、、


どんなテストで魔石を抜いたのか、考えれば少し怖くなる事が書かれていた。


 えーと 流石にこの苦しさは見ていらないな、、苦しみから解放させてあげねば。


彼は剣を抜いて暴れている魔物の首元に突き刺して苦しみから解放したのであった。


 ふうー とんでもない現場に立ち会ったのかも知れない、、


今見た現場での起きた現象を彼は何度も思い出しながら、更に次の疑問が発生してくる。


 ならば、、これが他の魔物でも同様ならば、、、


つまりそのあまりの痛さ?に魔物達は攻撃するのを忘れ、ひたすら転げまわり一人暴れている事になる、それは相手の攻撃は受けずに確実に魔物を倒せる一つの方法が成立したのではないかと そしてそれに間違いが無ければほぼ人への攻撃が無い分、かなり上位クラスの魔物でも大した苦労もなく止めを刺していけるのでは?


つまりはほぼ危険がないレベリングが何時でも可能になる可能性があるのだ。無論絶対とは言えないがゴブリンクラスではそんな可能性があると断言できそうであった。後はどの程度の上位のクラスまで適用可能かを見極めることが必要になるだけだ。

もしかして前回の魔物の谷で出会ったとんでもない魔物も倒せぬ迄も魔石を回収しつつ安全に逃亡できる可能性まで考えられるからだ。


 これってとんでもない発見じゃないか?


なれど問題はある、これは転送スキル持ちでないと出来ない個人レベルの上達方法である事だから、、それでもこのスキル持ちが同行すればかなり安全に個人レベル上げに利用できそうであった。


 うーむ やはりこのスキルは転移スキルより上位スキルのような気がする、、


手前味噌と非難されようが彼には個人レベル上げにかなり有効なスキルの一つであると検めて再検証して判断する予定を組みながら微笑んでいた。

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