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2.日々の奮闘記2

「・・さて 少し早いが俺はここまでにして帰るとするか、、」


彼は草原から一路ギルドへ向けて彼等と反対の方角へと歩み始める。



彼はギルドにて魔物の清算を終えるとギルド内の酒場にて一休憩を兼ねてエールを飲み干していた。


「・・おい クラウド、明日から遠征に向かうのだが、5日ばかり予定を都合出来ないか?」


突然彼に近寄り依頼をしてきた。


「・・Cランクの皆さんとですか?場所は何処になります?」


訊ねるとここからほぼ一日かかる魔物の谷 と呼ばれる場所が今回の依頼先となる。


「・・魔物の谷 ですか?」


悪名高い魔物の谷は奥に入れば入る程手強い魔物達が出没するので有名だ。


「うーん、、魔王の森まで行かない約束は守れますか?」


別にこの谷に魔王がいるわけではない、いやその昔は魔王らしき者がいたらしいのだが、その魔王も何百年も前に勇者一行により征伐されたが、その魔王が住んでいたと言われる場所辺りが別名魔王の森と呼ばれている場所であった。この地区は特に強い魔物が出ることで有名で、本来ならば最低Bランク以上が必要とされていた。Cランクの彼等では近寄ってはいけない場所でもあった。


彼は正直気乗りがしなかった、このメンバーはそこそこ腕はたつが少し無謀すぎると言う悪評があったのだ。万一魔王の森に入り込み活動した場合、それを理由に彼は引き返そうとしても魔物の谷を彼一人で引き返す自信が無く、仕方なく彼等に引きづられて同行するしか手がない状態になる。


「・・あの谷は以前死にそうになったので、あまり行きたくない場所なんですよ、、」

「「そう言うな 俺達はもう直ぐBランクになる予定だ。俺達を信じろ、魔王の森の地区には入らないからな、、、」」


嫌がる彼を説き伏せて彼等は頻りに彼を誘おうとしていた。


「うーん、、危険手当は弾んでくれますよね?」


とうとう彼は説得されて同行する事になる、彼等にしたら手強い魔物達を倒し高額の金を手に入れられるチャンスでもある、其の為にはなるべく倒した魔物の部材等を持ち歩きたくはないのだ。身軽になって魔物退治に没頭したいのであろう。


基本日当料金プラス危険手当として倒して売りさばいた魔物の金額の5%を報酬として受け取る事で彼等と渋々同行の約束をした彼であった。




「「「おうおう こんなに身軽になっての移動は楽でいいもんだ、、ガハハハ」」」


クラウドのスキルによって彼等の荷はギルドの別室に置いたままになり、最低の荷で身軽になった彼等は楽しそうに街道を魔物の谷に向けて歩き出した。


「なぁ クラウド、お前のスキルは将来転移に発展しないのか?それが可能になればもっと楽が出来るぜ  

 ガハハ、、、」


 ・・・何を馬鹿な事を、俺のスキルは収納スキルや転移スキルの下級スキルと設定されている。どんなに逆立ちしても上位スキルへは無理と言うものだ。


彼は苦笑いをしながらこのメンバーの依頼は今後は受けたくはないと考えていた。口約束は谷の魔王の森には入らないと交わしたが、彼は信用していなかった。このメンバーは場合によってはその約束を破る可能性があると彼は考えていたからだ。


 ・・はぁー 早く約束の日々が過ぎないかな、、


ため息を吐きながら彼は彼等に遅れまいと、必死に足を動かすのであった。



「おうおう やはり荷が無いと動ける速度が違うぜ、もう谷に到着したぞ、、」


彼等のメンバー4名に遅れまいと必死に歩き続けたクラウドは息が上がり、汗まみれになって彼等の後を追っていたのだ。


「・・はあはぁ 着いたか。ならば少し早いが野営の準備を、、、」

「早く着いたから森に入るぞ!」


クラウドの目算と違い彼等は元気にまだ野営には早いと森の中へと進み始める。


 ・・勘弁してくれ


一人残されそうになり彼は懸命に彼等の後へと続き森に入り始める。

流石に腐ってもBランク目前のメンバー達は押し寄せる魔物達を次々に退治して奥へと入り始めた。


「おい クラウド、この魔物達も転送してくれ」


無残に倒された魔物達を懸命に彼は転送していくが、次第に疲れが見え始める。

彼等の歩く速度に遅れまいとずっと体力強化の魔法をかけていた彼は魔力の低下が始まっていた。


「・・・済まんが魔力が尽きそうだ ここらで野営の準備をしないか?」


彼等は楽しそうに魔物を倒して行くが、もう直ぐ日が暮れそうな時間帯であった。


「あん?仕方ないか、、、おい野営の準備をするぞ、、、」


最後の魔力を絞り出して彼等の荷を現場へと送り込む。


「「おうおう ガハハ、、便利なスキルだな、、」」


各自の荷を手に彼等は野営へと準備を始めて行く。


「済まんが この森は不安だ、俺を中心に寝かせてくれ、、、」


四方を彼等に守ってもらい今夜の寝床作りをしていく彼であった。

残念ながらこの森ではこうしなければもし夜間の襲撃から身を守れないと彼は訴えたのだ。

ぶつぶつ文句を言いながら彼等は位置を変更していく、これで今夜は安心して寝れるとほっと一息つくクラウドであった。


彼の今の個人レベルは19しかない、パーティメンバー達は最低でも50近くの者達であった。残念ながら彼等に守ってもらわねばこの森で朝を迎えることは困難であった。


 もっと力を付けなくてはこの谷では足手纏いになるか、、、


自分の身を守れないレベルで他力本願に縋るしかない自分を情けなく思う。この世界に入り3年が過ぎたが今だDランクに達していない自分が少し情けなく思う。


 帰ったらもう一段階自己レベルを上げる努力をしよう。


スキルは順調に伸びてもうすぐスキルレベル3も見えてきたが、基本の個人レベルに不安を抱える彼は真剣に今後を考え始めていく。




「・・ひっ ひぃー 助けてくれ!」


次の日は進む度に強い魔物達が押し寄せてきた、彼の実力ではとうに限界を超えて必死に魔物達から逃げ惑う彼であり、必死に木の陰に逃げ込みながら魔物に発見されない様に隠れていた。


「おい 終わったぞ、早く魔物達を転送してくれ!」


大量の魔物の死骸があちこちに転がっている、必死にその魔物達をギルドの一室へ送り始める彼であった。


「おい しっかりしろ!少しは魔物を倒してレベルを上げろ!」


見兼ねたメンバーたちが呆れたように言うが、レベルを上げる前に此方が倒されて死亡する。そんな未来が見えてレベル上げなどとんでもないと顔を左右に振り無理だと伝える。


「・・物を転送するしかないスキルか、、残念な奴だ」


そう言われても物には手順がある、レベルを上げるならそれなりの魔物に対して行うしかない。この森では彼の出番はとうてい考えられないと肩を落として落ち込む。


「まぁ 俺達が守ると言った手前 そうするつもりだが、、もう少し個人のレベルを上げておけ!」


彼等の冷たい視線を受けながらも彼はとても無理とため息を吐く。

その日も大量の魔物の死骸を転送し続ける、魔力切れにも高価なマナポーションを飲みながら懸命に作業を続けていた。



「・・まだこの先に進むのか?」


その日の野営場所にて彼は皆に泣きつくのだが、まだ先に行く と言う一言に打ちしがれる彼であった。


「・・しょうがないなぁ 俺が倒すからお前が最後の止めを刺せ」


彼のガード役に指名されたジョンがぶつぶつ言いながら、対処策を話す。


「・・済まんが 宜しくお願いする」


このままでは一向に彼のレベルが上がらずに皆の足をひっぱる原因ともなる。


「まぁ お前のお蔭でかなりの魔物を回収が出来たのは事実だ。少しは協力してやるぜ、、」


パーティのリーダーが苦笑いを浮かべ提案を承諾する。




「クソ魔物 くたばれ!」


彼のガード役のジョンが死にかけの魔物を彼の前に放り投げて、彼が最後の止めを刺す。

そんな彼が必死に魔物の首元へと剣先を何度も切り付けて絶命させていく。何とかレベルが数レベル上がった3日目であった。


「まだ奥へ入るのか?そろそろ魔王の森なんだが、、、」


辺りの木々の様子が色濃くなり始めていた、魔王の森に入り始めた証拠であった。


「け 契約は魔王の森内には入らぬ筈だぞ、、、」


「うーん、、調子がいいんだよな、どうする皆な?もう少し入って見るか?」

「カカカ、、実は俺もそうだ もう少し入ろうぜ?」

「「おう 以下同文だ!」」


その発言に顔を蒼ざめる彼であった。


「ま まってくれ、、約束と違う、、俺は行かんぞ!」

「あん?ならばここで待っているか?」


冗談ではない 此処で一人にされたら魔物の餌は間違いない。


「ははは 付いてこい 少しだけですぐ戻るから、、、」


その言葉を信じた彼が馬鹿であった、彼等はどんどん突き進み魔物達を倒していたが、、、



「おい リーダー、、何かヤバイ雰囲気が前方から、、」


何やらおかしな雰囲気が奥の森から漂っているのを目ざとく見つけた者がリーダーに告げる。


「・・あっ ああ、不思議だな俺も何か不穏な雰囲気がひしひしと、、、」


全員が前方を不安そうに眺めていたが、突然に、、、、


 ドーン バキ バキバキ ドスーン!


木を押し倒しながら何か巨大な影が近寄って来るではないか、、、


「い いかん、、ジャイアントオーガーだぞ!」

「リーダー 俺達の手に追う相手では、、、」

「も もっともだ 全員逃げるぞ!」


流石にリーダーの判断は素早かった、Aランクの魔物は手に負えぬ相手で戦うべきではないと判断すると全員が脱兎の如く元来た道を全速力で走りだす。


「ま 待ってくれ、俺を置いて行かないでくれ!」


クラウドは必死に彼等を追いながら、走りつつ自分に体力強化の魔法をかけて彼等を懸命に追いかけるのであった。


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