第34話、夜な夜な話し合いは錯乱する
「なにやら城全体で急に掃除が始まりましたが・・・姫様が原因でしたか。
帰る早々やらかしますね」
などと嫌味を言っているのは精霊 アミュリーア。
この子、可愛い見た目のビジュアルに反してかなりの毒舌だ。
「やらかすって何だよ、ちょっと城が臭いと不満を言っただけだよ」
「ファルナリーア皇女殿下はご自分の立場をもう少し理解した方が良いでしょうね。
貴方の一言が多くの人に影響するのですよ」
それはそれで困るかな・・・早々にこんな不潔な街から出て行きたい。
コンコン☆
カチャッ☆
「姫様、皇王陛下がお呼びです。
お疲れの事とは思いますが至急陛下の執務室にお越しください。
ご案内いたします」
お爺さんからの呼び出しか・・・何だろ。
今までの事とか色々聞かれるのかな。
下手な事言うと また戦争とか言いそうだし、うーーん・・・。
執務室に備えられたソファーに座っている皇王は
先ほどの重苦しい衣装を着替え、簡素だがセンスの良い服装をしていた。
「来たか・・・。リーア、本当に良くぞ無事でいてくれた」
本当の事を言えば少しも無事では無かったけどね。
それを言ったら、本気で戦争に成りそうだから言わない。
「色々あったようですが記憶が曖昧なので良く分かりません」
ここは下手な事は言わずに知らない体でごまかす。
「うむ、聞いておる。記憶を失っている事は残念ではあるが、
むしろ つらい思い出ならば忘れていた方が良かろう」
笑顔なんだけど何やら迫力が有る・・・怖いよ、何処まで知ってるんだ?。
「すぐに助けてやれず辛い思いをさせたな・・・何か望みは無いか?。
リーアが望むなら全ての貴族共を呼び出してリーアの聖眼の前に
立たせてやるぞ。犯人共を見つけ出し火あぶりにしてやろう」
あー・・・暴君まっしぐらだよ。
孫娘の為に大量殺人とか平気で実行しそう。
「えっと・・・今 私が望むのは城と城下町の不快な臭いが無くなる事です。
すでにお爺様が手をまわして下さっているので願いは時機に適う事でしょう」
「ふむ・・・、確かに以前のファルナリーアとは違うのぅ。
以前ならビシバシと腹黒共を引きずり出していたぞ。
それで王家に逆らう者は大いに減って助かったのだからな」
えーっ、自分はそんな事してたのか?。
「それなら さぞや恨まれていた事でしょうね・・・」
大国の王の前でも何とか体裁を保てるのは助かる。
自然な会話が成り立つのはセルシニアの世話役として丁寧な言葉使いをすべく
矯正されたおかげだ。
でも、そのうちにボロが出そう。
「気に病む事は無い。
これからは危ない事に手を出すのは控えるが良かろう。
政治の汚れ仕事はもう何もせんで良い。
そんなものは大人にまかせれば良いのだ。
再びリーアを失うなど耐え難い事じゃからな」
「はい・・・」
うっ、こんな風に優しく言われたら城を出る言い訳が思い付かない・・・。
コンコン☆
「陛下。トゥルゲルト様がお越しです。いかがなされますでしょうか?」
ノックの後、入って来たのは一見すると静かな見た目の人。
だが醸し出す雰囲気はカミソリのような鋭いイメージを伝えて来る。
きっと今の部屋に入った一瞬だけで様々な情報を得て分析をして、
色々な可能性を想定した事だろう。
立場は服装からして執事?だろうか。
「丁度良い、通せ」
軽く一礼し部屋を出ていく執事さん・・・やはり所作に無駄が無い。
ビジュアル的にはアニメの悪魔な執事を茶髪にしたイメージだ。
聖眼を通さなくても分かる。
アレは一癖も二癖も有る敵に回したくない男だ。
あれは執事などでは無い、王を裏からあやつる侍従だ。
怖いよ。
「失礼いたしますぞ。
おや、姫様もご一緒でございましたか。
またこうして三人でこの部屋に集まれるのは嬉しゅうございますな」
「そうなの?」
「そうだな、リーアは良くこの部屋に遊びに来てくれたものじゃ。
わしが長時間 仕事攻めにされているのをリーアが邪魔してくれたのだ。
助かったぞ、あれは。はははは」
うわーっ・・・その仕事を持って来たのは たぶん今の侍従だよね。
アレの反感買ってたなんて、以前のファルナリーアは良い度胸してるよ。
「して魔導士長、この時間に顔を出すなど珍しいな。いかがいたした?」
「姫様が要望されておられた城内の清掃でございますが
魔導士団の魔法を主軸に騎士団を始め文官も総出となって行っております。
・・・ですが」
「この場はわしらしか居らん。遠回しな話は不要だぞ」
「・・・では、恐れながら
城内の使用人の中には貴族家の子弟も多く清掃作業に公然と不満を持ち、
作業が進みません。
さらに城下町の者どもは大人しく勅命に従ってはいるのですが・・・
掃除をしても汚物の捨て場所が無いらしく作業は遅々として進んでいないようです」
だよねー、インフラも無いのにいきなり清潔な街にしようとしても無理だった。
日本レベルの清潔な環境を望んだ自分がバカでした。
「ほほぅ・・・リーアの願いを無下にすると申すか、
ならば全員ひっとらえて公開処刑に処して見せしめとしてやろう」
うわぁぁぁっ ‼、
とんでもない暴君だぁ、ヤバいだろそれ。
「お爺様、ダメです。そんな事をしたら国が滅びます」
「しかしのぅリーア・・・こうでもしないと皆は何もせんぞ」
いやいや、いきなり完璧に掃除しろと言ってもムリだよ。
反感を買いまくってクーデターが起こるぞ。
「むしろ掃除に注力した人たちを褒め称えて賞金を出す方が良いです。
その方が町の人達もハリキッテくれると思います」
「「ほほぅ・・・」」
「特に子供のうちから清潔にする事を教えて褒め称えていれば以後は命令しなくとも
自然と町は清潔に成ると思います」(ソースは日本
一瞬 静かになる室内。
あれっ、何かマズイ事でも言ったのだろうか?(汗
「驚きましたな、姫様は他国で国政を学ばれたのですかな?」
「国政かは知りませんが、部屋で遊んでいるよりは色々と学んだと思います」
可愛い子には旅をさせろ・・・昔の人の格言は的を得ている。
ただし、この教えが使えるのは日本を含め、ごく少数の国に限るとの事。
多くの国は子供を一人で冒険させる事など不可能なほど治安が悪いらしいからね。
コンコン☆
「失礼いたします。
陛下が呼ばれた フラスコンナ・ランドレイクという者が参上致しております。
ですが、お通ししても宜しいのでしょうか?。
その・・・私でも彼の者から陛下を御守りする自信がございません」
傭兵団だった「闇夜のカラス」の団長フラスコンナ・ランドレイク・・・。
この切れ者の執事が恐れるほど強かったんだね。
そう言えば皇都に入ってから闇夜のカラスの人達とは会って無いけど彼らはどうしてるのかな?。
来る途中で手に入れた資金や敵兵の装備を処分すれば軍資金には成るだろうけど、
この手の首都は物価が高いのがデフォだし・・・。
「リーアに忠誠を誓った騎士なのだろう。人を見る目も、先見の明も有る人物だ。
顔を見てみたかったのだ。丁度ファルナリーアもここに居る。心配はいらん、通せ」
「はっ・・・」
侍従?の人、こちらをチラ見して去っていく。意味深な目・・・
何を考えてるのか全く分からない。
聖眼を使えば何か分かるかも知れないけど、
向こうも私が聖眼を使えると知っているだろうし、使った事を見破られそうだ。
バレたら何されるか分からなくて怖い。
今度、機会が有ったら憑依で乗り込んで頭の中 覗いてみた方が良いかも。
「フラスコンナ・ランドレイク殿をお連れしました」
「失礼いたします、皇王陛下。
傭兵団『闇夜のカラス』を率いていましたフラスコンナ・ランドレイクと申します。
今はご縁がありましてファルナリーア皇女殿下の下に参じております」
「ふむ・・・予想以上の人物のようだの。
お主、以前は何処かの騎士団を率いておったであろう。
ファルナリーアに仕えるのを許すかは出自を明かさねば決める事は出来ぬぞ」
「やはりバレますか・・・私の故国は北方のフラカニア公国にございます。
国を守りきれず生き恥を晒す身なれば仕官したいなどとは申しません。
ですが初めて従軍したいと思えたのはファルナリーア皇女殿下にございます。
どうか傭兵団として殿下の下に就く事はお許しいただきたく願います」
「傭兵団として?、バカを言うな。
もったいないであろう。
お主らは今日よりファルナリーア直属の第三騎士団を名乗るが良い。
本当は国軍に迎えたいのだがの、その様子では不本意であろう。
ただし、リーアは記憶を失っておるでの。
他の者共から利用されぬように気を使ってやってくれ」
「ははっ、あり難き幸せ。
しかし記憶を失ってなお、あれほどの采配をされるとは・・・
すばらしい限りですな」
「お待ちください、陛下」
えっ、何事?、
いきなり発言したのは例の怖い執事さん。
「もう我慢できません。
ファルナリーア皇女殿下がお戻りになられたのですから
一番に私を皇女殿下の侍従に復帰させていただきたい。
皇女殿下に関する重要案件を私抜きで決める事には納得いきません」
ええーーっ、この人、私の侍従だったの?
「はーーっ、
相変わらずリーアの事となると礼節すら忘れるのだな。
リーアよ・・・この者はアルベルト・クレナンス。
聞いての通り、以前はそなたの右腕だった者だ」
「ううっ、姫様。私の事も忘れる程とは・・・
本当に記憶を失われたのですね。御労しい
今も私こそが姫様の右腕、姫様に不自由はさせません」
何ですコレ、激動の展開なんですけど。
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もうしわけありません。書き溜めたストックが尽きました。
これより更新は不定期となります。お許しください。
何せ、何度も読み直して修正し、時間を空けてまた読み直して修正、の繰り返しをしてやっとこの程度の文章なので時間がかかるのです。
ああ、文才が欲しい。
PCだから可能な修正の嵐です。
紙に手書きしてたら発狂するレベルかも。
というわけで亀のごとき更新スピードのゴミクズナメクジでした。
見捨てないでね。




