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第31話、えっくすかりば?

コロタンの無茶な要望で真夜中に森の中に宝探しに行って来た。


もし行った事がバレたら大目玉をくらうので心配だったが、

何とか誰にも気付かれずに寝床まで戻ってこれた。


ゆえに今日のファルナは大層寝不足なのです。



昨晩訪れた場所は昔の城跡らしい。


城と言うか要塞化した邸宅と言ったほうが正解だろうね。



それが廃墟になった経緯は知らないけど、無事にお宝は手に入った。


聖剣えっくすかりば?という恥ずかしいギャグのような名前の短剣である。


素直に厨二らしくエクスカリバーと名付ければ良いものを『X狩場』と

無理やり捻(ひね)った命名がされている。


何故それが分かるのか・・・鞘(さや)にちゃんと日本語で名前が記されていた。


ボケをかましたのでは無く、意図的にX狩場と名付けたようだ。


昔の勇者はへそ曲がりな性格か、変人かのどちらかなのかもね。



あの時、金庫には聖剣?と共に少しの装身具、そして金貨が入っていた。


夜も遅かったので全てアイテム袋に入れて急いで帰って来たのだ。


だから聖剣X狩場がどんな性能を持った剣なのか今も分からない。


幼女体形の私でも丁度良い長さの短剣でしかも軽い・・・


リーチが短く紙のように軽い剣・・・


これって剣としてはダメダメなんじゃないの。


戦場で使い物にならないお飾りの剣だよねこれ。



「姫様、いかがなされました?」


「トゥルゲルトさん、この剣なんだけど・・・」


「ほほう、これは珍しい。恐らくこれは魔法具の一つ、魔法剣ですな」


魔法剣?ときたか・・・ゲームみたいなアイテムだな。


おかげでどんな品物なのかおよその見当は付いたな。


「この手の魔道具は使って確かめるのが一番です。

ただし、中には邪悪な能力を宿した魔剣もございますので注意も必要です」


「どうやって使うの?」


「それはですね・・」


「ちょっとまったーーっ」


折角使い方を教えてくれるのに話の腰を折る野太い声。


「リーア。剣の事を聞くなら何故父に聞かない?。俺は寂しいぞ」


あーウザイ。

私ファルナの名前をファルナリーアだと言い張り、

自分を父親と公言するロリコンのおっさん、アレクトレウスだ。


そもそも父親とか他の家族とか、その辺の記憶がまるで無いから困る。


だから幼女の自分が皇都まで行く今の状況は《《知らない人にノコノコと付いて行く》》

とても危険な行為と同じなのです。


私が祖父とされる皇王に顔を見せて安心させないと世界大戦に成りかねないとか、

不穏な事を言われたので何を措いても行くしか無いんだけどね。


あの死にぞこないだった臭い浮浪児が 今度は傾国の幼女とか落差が激しすぎだ。



「魔法剣の話だったな、ほとんどの魔剣は魔力を持ち手から流すとそれぞれ記録されている特性を発揮してくれるのさ。こんな風に・・・あれっ反応が無いな」


「殿下、腕が落ちましたわね。私がやりますよ、貸してくださいな」


今度は幼女大好きの変態女騎士アデリーナが実演するらしい。


「えーっ、魔力流してるのに何の反応もしませんわ。壊れていますの?」


アデリーナはションボリしながら剣を返してくれた。


カッコいい所を見せたかったのね。



《ファルナよ、その聖剣はお主が手にした時よりファルナ専用の武器になった。

他の誰が使ってもガラクタにしかならぬぞ》


と、私の中に憑依しているコロタンが教えてくれる。


私専用という事は使うなら自分で試してみないとダメなんだね。


《上級の魔道具は使用する魔力の量とイメージで効果が変わるのだ。

であるから、最初は誰も居ない場所に向けて少ない魔力を流して使うが良い》


りょうかーい。じゃあ、そこの一本の木に向けて使ってみるね。


その向こうは森になってるし誰もいないからね。


離れた木のそばまでテクテク歩いて行く。



私は魔法の才能が皆無らしいのに使えるのかな?


魔力を手から剣に流すイメージで・・・流れてるのは分かるけど何も変化が無い。


本当に壊れてるんじゃないの?コレ。


まぁ良いか・・・試してみないと



一歩前に出て直径で10センチ程度の若木に向けて剣を横に振り切る。スパッと


「えいっ」・・・・・・・・・


アレッ、幹に剣を当てたつもりだったのに何の変化も手ごたえも無かった。


目測を間違って空振りしたのかな?…恥かしい。


後ろを振り返ると過保護な三人は微笑ましい目で私を見ている。


別に皆の癒しの為に「幼女あるある」をしでかした訳では無いからね。




ギギイィィィィィッ・・・ドドーン、バササーッドーン、バキバキバキッドーン


後ろから派手な音がして足元に振動が伝わって来る。


過保護の三人は唖然とした顔で私の後ろを見ている。


振り返ると手前から向こう50メートルくらいに立っていた木々が全て私の腰くらいの高さで切り倒されていた。


どう考えても手元にあるコイツ(聖剣)のやった事に違いない。


《聖剣X狩場は不可視の魔力剣。

使いこなせれば自在に長さを変え、山さえも両断出来る最強の剣なのだぞ》


つまり孫悟空が使う如意棒(にょいぼう)の剣バージョンなんだね。


《こんな危ない物を幼女に持たせるなよ》


《そう心配するな。慣れれば自分の望んだ物だけ切る事が出来るぞ。

適当に振り回しても敵だけ切る事ができる。

むしろ一番強くて一番安全な剣と言っても良いほどだ》


コロタンから伝わるこの感情は・・・私の事、心配してるの?


真夜中に子供の私を連れ出してコレを手に入れさせたのは心配しての事なの?


《お主が死んでしまうと中に居る我輩まで死ぬからな。しっかり身を守るのだぞ》


私の感動を返せバカ。



その後は立場的に面倒なので領主が住む領都などは素通りして大き目の町で物資を調達し急ピッチで皇都を目指していく。




***********その頃、とある屋敷の一室


「して・・・どうであった?。見つかったと言われている聖女姫の様子は?

当初の報告では聖眼は失われていたと聞いているのだが」


「私の口からは報告したくありません・・・別の者から聞いて下さい」


「はぁっ?、意味が分からん。報告出来ない理由は何だ」


「話をしても信じてもらえないでしょうし、笑われるだけです」


「埒が明かんな・・・よい、ならば他の者が申してみよ」


・・・・・・・


「それほどに異様な事があったのか・・・分かった信じよう。

お主ら影の者がそれほど心を乱すのだ、こちらも心して聞こう」


そして語られるファルナの異常な行動。


・僅かな時間で名の知れた傭兵団を掌握した。

・3千の敵にたった一人で相対し、何もせずに敵軍を壊滅状態にした。

・長旅の野営中に一度たりとも魔物や獣が襲わないどころか近寄らなかった。

・そして何より明らかに両方の目はまともであり、聖眼も健在だろう事。


「私も影の役目ゆえ何人もの大聖女候補の護衛を果たし見てまいりましたが、

あれほどに膝を屈したく思える御方は記憶に御座いませぬ」


「うぬぬ、それほどか・・・しかもその上に《陰謀を見通す》聖眼まで

持っておるのだぞ。アレが政治に直接関わったなら大多数の貴族諸氏が破滅する」


面布で素顔を隠しているその場の面々の思いは一つだった。


「皇都に入ったなら二度と手を出す機会など無いだろう。どうすれば良いのじゃ」



彼らは以前、皇女ファルナリーアを誘拐し、皇太子妃を惨殺した首謀者である。


完璧に思われた計画だったが誤算は、悪質な宗教団体と手を組んでいた事だろう。


聖女候補を手に入れた団体は欲を出しファルナを殺さずに利用しようと画策した。


あまつさえ担当の大司教は自分の変質的趣味を優先し、事の重大さを軽視していた。


最後は聖眼を潰しただけで安心し、ファルナを生かしたまま安易に路上に捨ててしまった。


これらの偶然が重なって生き残った皇女ファルナリーアは何倍も強力になって戻って来たのだ。


その事実は犯人たちを絶望させるには充分だった。



「お歴々の方々もまだ絶望するのは早いですぞ。古来より女性は男に執着すると正常な判断を失うものです。まぁこれは逆もまたしかりなのですがね」


「皇家の姫に色仕掛けされるおつもりですかな?まだ幼い子供ですぞ」


「だからこそです。色恋を意識せず純粋に遊べるからこそ疑念を持たれない。

それに、姫と釣り合うような年齢の者で今回の計画に加担した者はおりますまい。

そこから陰謀が読み取られる恐れは無いのです。子供、孫、あるいは曾孫でしょう

彼等には全力で姫を篭絡するように嗾(けしか)けましょう。我々はその間、姫と出会う事無く、関わりなきよう細心の注意が必要になりますな」


「姫を誑(たぶら)かす野心は知られるかも知れませんが?」


「ははは、そのような色恋の謀(はかりごと)は貴族の社交界に於いて至極当然の事。

その事を咎めていては皇家すら咎(とが)めなくてはなりますまい」


「いささか雲を掴むような危うい計画ではあるが・・・上手く行くものだろうか?」


「何としても姫を我々の意に従わせるのですよ。

そうしなければ一族郎党処刑されましょう」


「ああ、そうだな。やるしか無いか」


幼女のファルナリーアを恋心で支配しようとするバカな計画はここに成立した。



これが最大の悪手だと彼らは知らない。



男を差し向けてチヤホヤするなどファルナにとっては暗殺よりも不快で多大な迷惑でしかない。


犯人たちは意図せずに 彼女の逆燐に触れる事となる。








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