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第30話、古城跡にて

元傭兵団 闇夜のカラスは皇女ファルナリーア旗下 直属の騎士団となり、

皇都までの護衛任務が最初の仕事なのです。


彼らが同行するようになり刺客による襲撃は殆ど無くなり

順調に旅は進んでいたのです。ホント怪我の功名ですね。


今はとある森の近くの草原で野営しますよ。


100人以上の集団ともなれば兵站、

いわゆる水や食料などの命を繋ぐ物資が大問題なのです。


「うおっ、何だこれは?、うめぇーっ」


「これで酒でも有ったら最高なんだがな」


この世界の常識として、移動途中で襲ってきた魔物の肉も貴重な食料になる。


この世界の魔物は大型が多く食材としては重宝する。


ただし、野生の生き物の肉は癖が強くて臭いのでした。


塩の味付けだけで食べるのは正直言えば苦行。それほどに不味い食材なのよ。


そんな常識を吹き飛ばしたのは幼女ファルナが持っていた魅惑の香辛料だ。



「リーアには驚かされる事ばかりだな。

この粉を肉に掛けただけで極上の料理のようだぞ」


「これは私がお世話になっていた領地に自生していた植物のタネですよ。

イガラシと呼んでいます。いずれは彼の地の名産品になるかもです」


そう、ファルナが侍女をしていた時に偶然見つけた香辛料なのだよ。


嬉々として集めていたイガラシはアイテム袋に山ほど保管されていたけど、

その殆どは今回の旅の間に消えてしまいそうだね。とほほ


ただまぁ、美味しい食事を食べたせいなのか我が軍の忠誠心は爆上がりだ。


なので損はしていないのかな?



大好評な食事を終えて就寝のお時間。


子供の私はハンモックのように作られた寝床で一人眠る。


変態女騎士のアデリーナが「護衛する」、とか言いながら同じテントに入ってこようとしたけど邪(よこしま)な考えが見え見えなので拒否した。




そんな感じで一人テントで寝ていた夜更けの事・・・


『ファルナ起きろ、出かけるぞ』


「ふにゃ・・・コロタン?どしたの・・・」


『この地の匂いには覚えが有るのだ。大事な用が出来た、行くぞ』


「えぇーーっ、・・・なら・・・コロタンだけで行って来てよ」


『良いのか?この場で吾輩が実体化すれば大騒ぎで大混乱になるぞ』


「あー・・・・・、うん。分かったよ。行けば良いんでしょ」


『うむ、森の中に入ったら吾輩も姿を顕現するから危険は無いぞ。

それまでは気配を完全に消す結界を張るから誰にも見つからんだろう』


「幼女を真夜中に森に行かせるなんて鬼畜だよ・・・」


『高貴な吾輩は断じて鬼畜では無い』



こっそりテントから顔を出して夜番の様子を確認。


気配を完全に消すという結界は本当らしく、テントと夜警の合間を縫って

難なく宿営地から脱出。


この時間帯に森の中に入るなんて暴挙には大人でも許可が出ないのに、

まして幼女な自分では尚更許されるはずがない。


私も強者であろう謎生物(コロタン)が同伴でなければ行くなんて考えないよ。


森の中に入ってしばらくしてコロタンが実体化した。


美しい毛並みが闇の中でも薄っすらと光り輝き幻想的な姿だ。


周囲の森から小動物が恐れて走り去る気配が感じられた。


感覚が鋭く成ってる・・・

こんな所でもコロタンと能力のリンクしている事を思い知らされる。


何匹かは大型の動物が逃げて行く音も聞こえて来た。


確かにこれなら安心して森の中に進めるだろう。


『夜は短い・・・乗るがいい』


身をかがめて低くしくれる。やさしい・・・


しばらく行動を共にしていて少しは気を許してくれたようだね。


そんな相棒の背中にポーンと飛び乗る。


身体能力のリンクは半端ではないのよ。


3メートルのジャンプだよ。凄いよね。


今なら私一人で大型の獣を倒せるかも・・・ワクワク。




そんな感じで真っ暗な森の中を背にゆられて進んで行く。


ちなみに夜目が利くのである程度は周囲の状況も見えている。




「あれっ?」


何か違和感が有ったと思ったら急に景色が変わった。


『今のが結界を通り抜けた時の感覚なのだ。以前もあっただろ覚えてないか?』


ああ、思い出したくない恐怖体験の時ね・・・焼き鳥にされた時だよ。


せっかく忘れようとしていたのに・・・


目の前には明らかに人工的な建築物の廃墟らしい光景が広がっている。


石造りの建物だからか足の踏み場も無いほどに瓦礫が転がっていた。


「ここがコロタンの来たかった場所なの?」


『ああ、うっすらとした古い記憶なのだ。この場所が本当に有ったのだな』


何やら懐かしそうに話すコロタンは口調まで変わっている気がする。


『吾輩はかつて・・・そう、あの岩場に封印されて眠りにつく前の話だが、

友とこの場所で暮らしていたのだ」


ほうほう・・コロタンの知られざる過去とな。


『やはり此処だ。懐かしきものよ』


其処は特に念入りに破壊されたであろう大きな建物跡。


『ファルナよ。ここからは吾輩の大きな体では不都合だ。

其方に憑依するから此処からは吾輩の指示で動いてほしい』


「うん、良いよ。」


コロタンのでかい体が消えて自分の中に憑依(ひょうい)する。


あの大きさが何故?という疑問は考えないようにしたまえ。


体ごと憑依する自体が意味不明なのだし正しい答え何て出ないのだよ。



『ここが友の部屋であったな・・・間違いない。

そのあたりに地下に行くための入り口があるはずなのだ。

床をよく見て 取っ手を探すのだ』


「ええーっ、この暗がりでゴミだらけなのに、そんなの捜せないよ」


『匂いで分からぬのか・・・不便な奴め』


私はイヌじゃないぞ。


コロタンを犬呼びするとメチャ怒るから言わないけどさ。



『これしきの事で手が掛かる・・・ほれっ、明かりの魔法。

これで良かろう。こんな場所で明かりを灯せば思わぬ敵が集まるからな。

長くは使えぬのだ、早く捜すが良い』


いやいや、これ自体がコロタンの用事だよね、何で偉そうにしてるかな・・・



「おっ、コレかな?ホントに在ったよ」


瓦礫を薙ぎ払いボロボロのジュータンらしき物をひっぺがすと色違いの床が有り、

入り口らしき地下へ続くハッチ?が姿を現した。


「おもっ・・・とんでもない入り口だね。10センチ位の厚さの石板で出来てるよ」


『吾輩の力を共有しておるのだ、何ほどもあるまい』


ドドォーーン☆


やっと開いた・・・およそ入り口とは思えない重たい作りのドアである。


以前の持ち主はどうやって使っていたんだろうか。



お約束の階段が地下室へと誘っている。


このままダンジョンアタックとか言うオチは止めて欲しいのですが・・・


階段はしばらく続き地下室の重要性を教えている。


何やら秘密基地みたいな雰囲気がする。正直言えば行きたくない。


この先にモニターがズラッと並んだ指令室が有っても驚かないよ。


階段が終わると細い廊下が続き、やがて目的であろうドアに行き当たる。


ドアの真ん中には小さなボタンみたいな○が三つ、それが三段に並んでいる。


まるで暗証番号を打ち込むアレみたいだ。


『このボタンの順番を間違えると危ない事になるから吾輩の言う通りに押すのだぞ』


えーっ、トラップ付きのデジタルキーかよ・・・危ないって何よ?。


『吾輩の体ではこんな小さな作業は出来ないから拒否は認めぬぞ』


コロタンがいつも以上に我がままだ。


そしてしばらくの悪戦苦闘の後


「やったー、開いた。やっと終わったよ。死ぬかと思った」


『何を大げさな、無事に終わったであろう』


「落とし穴に落ちそうになったし、槍が飛んで来たり、色々危険だったよね」


コロタンの記憶が曖昧なので何度も間違えて色々なトラップが作動した。


丈夫な体と身体能力で乗り越えたのだ。




苦労して入った部屋には・・・武器や防具の朽ちたガラクタが散乱していた。


その現実に徒労させられたファルナは崩れ落ちそうになる。


『ああ、勘違いするな。元々これらは盗人を欺(あざむ)くためのフェイクだ。

最初から安物の武器や防具なのだ』


ほうほう・・・お宝は別なんですね。元気が出ました。


向こうの壁際に先ほどと同じくタッチパネルとか言うものが有る。後は分かるな』


「ええーっ、またぁ」


『安心しろ。答えは伝えられている。暗号だが今度は分かりやすいかも知れぬ』


「暗号?それって・・・秘密を教えたくない時に使うものだよ」


『サルでも分かる、とか言っていたぞ』


「古いネタだな。何処のオッサンだよ・・・ちょっと待って。その暗号を教えて」


『意味は分からんから聞いたそのまま言うぞ「オニイサンゴローサン」だったな。

確かに秘密の言葉だな、優秀な吾輩ですら一言も分からぬ』


「まさか、0235963かな?。暗号の言葉だけ日本語だったし。

ボタンに番号は無いけど一般的な並びだとすると・・・」


これは・・・ドアに付いていたソレとは違い、

ボタンの部分だけ材質の違う赤い石が嵌(は)め込まれている。


しかも魔力を流しながらボタンに触れると薄っすらと発光するハイテク仕様だ。


何となく日本人が作りそうな変な拘(こだわ)りが感じられる。


ガコン☆


『おおっ、金庫が開いたではないか。サトシは嘘を言って無かったな』


友達の名前って サトシ?・・・コロタンの昔の名前○カチュウだったりして・・。


「コロタンの友達ってば何者なの?こんな仕掛け作るなんて普通じゃ無いよね」


『人間の肩書には興味無かったから記憶が曖昧であるな・・・うーむ。

そうそう、意味は分からぬが確か・・・異世界から来た勇者、だな』


えっ、ここに来て勇者?


『そして、その開いた金庫に有るのがサトシが使っていた聖剣エックスカリバだ。

もし、吾輩と友となれるほどの人間が出来たら譲ってくれと言われていたのだ』


えっくすかりば??・・・エクスカリバーじゃねぇのかよ。




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