第7話 自己紹介
「それでは!これより四神会談を始めます!司会を務めさせていただくテビです。以後お見知りおきを…。ではまずは自己紹介を南の朱雀様からお願いします。」
「俺はトゥイ。特技は烹 饪[料理]。趣味は小偷[泥棒]。オレにはまだ小さい六人の兄弟たちがいいる。四神として稼いだ金でそいつらに真面な暮らしをさせてやりたい。以上。」
「続いては玄武様。」
「俺様はハオ。とにかく強いヤツと戦えりゃなんだっていい。この世界で一番の強者になりたい。それがオレの野望だ。特技は暗 杀[暗殺]。趣味はまぁ…寝ることだ。」
ハオは荒々しくかなり攻撃的な性格ではあるが、肝が据わっており頑丈な肉体と屈強な精神力を持ち合わせ、身体能力は四神の中では随一と言っていいほど。
更に抜群の攻撃センス。
この男が世界で最強になるのもそう遠くないのかもしれない。
「次は青龍様。」
「僕はシュエン。僕はとにかくお金を稼ぎたい。お金が欲しい。いっぱいいっぱい稼いで幸せになりたい。得意なことは相手の心を読むこと。好きなことはたくさんあるけど…读书[読書]かな。」
シュエンはか細い体に筋力も人並みより少なく、体重も非常に軽い。
余り戦闘向きではないと思われがちだが、見た目からは想像もつかない華麗な身のこなしや驚くべき神速を持っている。
少々向上心に欠けていて何事も楽観視する癖があるが、冷静な判断力と何事にも動じないクールさを持っている。だが金銭面になると目の色を変える一面がある。
しかし彼の戦闘力が四神を助ける手助けとなるはずだ。
「最後に白虎様。」
「私はリーウ。この遺憾なる世の中を|尠なくも良き世の中に為したい。そうして私共の才幹で一人でも万斛の人々を鎮める事を誰よりも懇請しております。それのみです。」
リーウは戦闘力は低いが思慮深く、頭脳明晰な戦術家であり、治癒能力に非常に長けている唯一無二の存在であった。
他の誰よりよりも清らかな心と正義感を持ち合わす。
安寧を与えてくれる四神のリーダー的存在になるだろう。
「み、皆さま…素晴らしい自己紹介をありがとうござました。三十二代目のふ、ふふふさわ…ゴホン!失礼…。相応しいご立派な自己紹介でありました。」
4人ともども個性溢れる自己紹介でははあったが、四神の歴史の中でこれほどまでに統一感のない会談が存在したであろうか。
四神全員が司会者の動揺に気づいていた。
トゥイでさえ、そうかんじるように。
(無理もねェ。行ってることの意思がバラバラにもほどがあるぜ…。黒のいかついヤツは世界で一番強くなりたいと言い、青のヒョロヤロウはカネが欲しくてしょうがねーみてーだし、白の女は俺と同じ意見っぽいけど、難しくて何言ってるか全然わかんねーし…大丈夫なのかよおい。ホントにこの先、4人でやっていけるのか?)
トゥイが思い浮かべていることは無論、この会談にいる誰もが思っていた。
更にこの険悪なムードのなかで、四神として最初の役儀が課せられる。
「では!本題に入ります!皆様には最初の役儀をこなしてもらいます。『鳥肌』によると西方に前四神を壊滅させた巨妖魔が潜んでいるといの情報が…。そこで!皆様にはこの巨妖魔を協力して滅ぼしていただきたい。それが最初の役儀です!」
その役儀にトゥイは驚いた様子で椅子から立ち上がり、司会者に物申す。
「おいおいおいちょっと待ってくれよ⁉前の四神でも倒せなかったヤツを最初のヤクギで倒さなくちゃならねーのはいきなり酷じゃねェのか⁉」
「確かにおっしゃる通りです。ですが朱雀様がおっしゃるのは少々疑問を抱いてしまいますが…。」
「?」
「朱雀様は以前闘技場決着後、突如出現した巨妖魔を一振りで粉砕したとの報告が。」
「⁉」
テビの言葉にハオ、シュエン、リーウの三人全員が一斉にトゥイの方を凝視した。
トゥイはその目線に気が付かず、ぽんっと手を鳴らし目を丸くさせた。
「あぁ~!あんのデッケェヤツかぁ!んならなんとかなりそうだ!」
その驚愕の事実に、ハオはたまらずトゥイを指差しテビに問いただした。
「おいウソをつくな!こんなどんくさそうなヤツにあの巨妖魔をたった一人で倒せる訳がねェだろうが!」
「いいえ。報告書に書かれている内容はその国のトップたちが話し合い書かれて提出されたもの。ですので!嘘偽りはこざいません!報告書によれば、歴代で最も色鮮やかな羽であり、その力は過去最高傑作だと…。」
「けっ!オレ様は信じねェからな!」
(報告書に書いたやつら誰だかしんねーけど分かってんじゃねェか!流石にここまで褒めらると気持ちがいいぜ!)
ハオは気に食わない様子だったが、トゥイは鼻をすすりご満悦だった。
「ですが四神ともあろう者たちがいかようにして壊滅させられたのでしょうか?いくら巨妖魔だったとしても一斉にかかれば倒せない敵ではないはずです。…私の推測では呪妖魔である可能性を示唆し、対処するべきだと考えています。」
「流石は白虎様。白虎様のおっしゃる通り呪妖魔である可能性が高いです。」
「なるほどねー。」「殺しゃあ同じだろ。」
シュエンとハオはすぐさまその意味を理解した。が、トゥイはまたまた話についていけず、口を挟んだ。
「まてまて!^今度はなんだよそのジュヨウマってのは?」
ハオはため息をつき呆れながらトゥイに教えた。
「呪妖魔ってのは呪いが強くかかった妖魔を意味するんだよ。だから普通の妖魔よりも頭が良かったり、気性が荒かったりする。それが呪妖魔だ。てめェ…そんなことも知らずによく朱雀に選ばれたな。」
「う、うるせーよ!こ、これから分かるようになりゃいいだろ!」
ハオは失笑した。会場はキョトンとした空気に包まれる。
その空気を断ち切るようにリーウは銀杖を手に取って指揮を執り四神を従えた。
「四神一様!これより最初の役儀を執り行う!四神として!迅速に役儀を全うするべし!では!あてど西の住む巨妖魔へ!いざいかん!!」
その掛け声と共に四神は一斉に立ち上がり、颯爽と会場を後にした。
その姿はこれまでの一抹の不安を帳消しのするような見事な迫力であった。
「トゥイ…って言ったけ?君があの巨妖魔を倒す実力がホントにあるのか…僕たちにもみせてよね。」
「へっ!望むところだ!お前ら力なんか借りなくってな!一瞬んで倒してやんよ!」
自信満々のトゥイに少し疑いをかけたシュエンであったが、それはハオもリーウも感じていることであった。
そして、後に苦難が訪れることをトゥイは知る由もなかった…。




