第6話 四神集う
故郷の赤都を離れ、四神の朱雀として旅立ったトゥイは、新たな四神会談が行われる場所へ前進していた。
四神会談が行われる際には毎年場所が変わり、ローテーションで回されていく。
今回は北の黒の黒区で行われる。
「えーと。地図だとここをまっすぐ…って遠すぎんだろ⁉どう考えても俺が一番不利じゃねぇか⁉」
トゥイが一人で悶絶していると、どこからか地鳴りが聞こえてきた。
「何だ⁉敵か⁉」
トゥイは首飾りを構え、いつでも力を解放できるように準備した。次第に音は大きくなっていき姿を現した。
「朱雀様。お迎えに上がりました。」
「何だ迎えか!敵かと思ったぞ…⁉」
気の抜けた表情で迎えの亀車に乗り腰を深く降ろした。
「申し訳ありません。本来なら闘技後すぐに出発するだったのですが、亀車の整備に少々手間取ってしまいました。」
「そうか。そりゃあしゃーなし。しかしよくオレの居場所が分かったな。」
「四神様や使いの者を運ぶ黒区の者で結成されている我々『亀肌』は、微かな音、僅かな気配に敏感なのです。人一人みつけることなどたやすいことです。」
「へぇ=!すっげんだなぁ~お前ら!
なぁ!オレにもその技教えてくれよ!」
「お言葉ですが、朱雀様…亀肌が使えるものは相当な訓練が必要で御座います。」
「なるほどねぇ~。そうやすやすと会得出来ないってワケか…まぁそんなことより、黒にはあとどれくらいで着きそうなんだ?」
「おおよそ七刻あれば着くかと。」
「そかそか!そんじゃあ着いたら起こしてくれ。」
「招致仕りました。」
一方その頃、会談が行われる場所黒区には玄武はもちろん、既に白の白虎到着していた。
そしてたった今、青青龍が到着したところであった。
「これで残るは朱雀だけだね。」
「おっせェなぁ…。もうとっと始めちまおうぜ…。」
「一つがい遠方から参るのです。赤の朱雀が到着次第、四神会談を始めるとしましょう。」
…様 朱雀様。
「…んっ?」
トゥイが寝ている間に亀者はいつの間にか黒区に着いていた。
しかし空は暗く、トゥイはとても到着したとは思えなかったのだ。
「おいおい!着いてから起こせって言ったろ!」
「ここが黒区で御座います。」
「え⁉でも空はまだ暗いじゃねェかよ⁉」
「黒区は日が入りません。なので一日中夜なのです。」
「へぇ~。道理で寝た気がしねーワケだ。んだよ調子くるうなー。」
「朱雀様、こちらです。」
トゥイは諸々に亀肌のあとを追う。道中では貧困極まる人々とすれ違う。
(何だこいつら…。目つきが滅茶苦茶悪りィ…今すぐにでもとびついてきそうなそんなヤバさだ。)
「朱雀様。黒の人々は気性が荒く少々厄介な者ばかりです。お気を付けください。」
「あぁ…。どうやらそうみてーだな。」
黒区は限界緯度の関係で極夜国であった。
黒区に住む人々は、傲慢で強情。独立心が強い故に四大国の中で最も貧富の差が激しい国であった。
権力争いは絶えず、荒々しい連中ばかりがこの国に暮らしている。
トゥイは警戒しながら道を進んでいった。
そして新たな四神たちが集う場所にようやく到達したのであった。
「ここか。よしっ。」
トゥイは建物を見つめ、中に入る。
円卓の机にはそれぞれの方角の位置に代表する色が書かれており、四神と思われるトゥイ以外の代表者三人が腰を据えて座っていた。
「てめェ待ちくたびれたぞ!!何分待ったと思ってんだ!あ⁉」
黒の玄武が机に足を乗せ、ご立腹な様子でトゥイに物申した。
「仕方ねーだろ。全速前進でこの時間だっつ~の!むしろ感謝してほしいくらいだぜ。」
「あ?…んだとてめェ。口の利き方がなってねェな。玄武様に向かってその態度はよぉ…」
「へっ!何が玄武様だ。自分を様づけして堂々としてるおれカッケーとでも思ってんの?」
「…てめェ…まじで殺してやろうか?」
「…言っとくけどオレは強えーぜ。」
両者は睨み合い、互いに首飾りを構えた。
「コホンッ!おやめなさい!ここは会談が行われる神聖な場所。厭わしい戦いをする場ではありませぬ。」
白虎が二人の争いを止めた。両者は首飾りを納め、互いに納得の行かない様子で大人しく席に座った。
(…それにしても白の国の代表がまさかの女?四神の代表に?そういうもんなのか?まだまだ分からないことだらけだな…。)
トゥイの疑問も束の間、いよいよ会談がはじまる。
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