第5話 卓才(たくさい)
「グゥオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
『うわぁぁぁああ!!!』
会場はパニックに陥り、事態は混乱した。人々は妖魔を恐れ怯え会場を出ていく。
「でけーな。」
トゥイは何尺もの巨大な妖魔を見上げ、事態の混乱に緊迫が走る。トゥイはこの状況をどうにかできないかと考えていた。
「何してるの⁉早く逃げなさい!」
ミンリンはトゥイの考えを読み取り、慌てて忠告する。
「でも…このままじゃ赤都が…!」「朱雀!!」
後の高台からかかった長の声に咄嗟に振り向くと、「受け取るのじゃ!」高台から投げられた矮小な何かと、鞘に収まった剣をしっかりと掴んだ。
「本来なら儀式を行うが緊急事態のため、省略する!その剣は代々の朱雀が使用してきた名を『赤霄剑』!そして選ばれし者が力を解放できる魂石首飾!それを胸の前に突き出しこう叫ぶのじゃ!『无限灵魂』と!!それであやつを倒せ!」
トゥイは黙って深く頷き、魂石首飾に祈り、首飾りをかけた。
(たのむ…。オレに力を…。)
『无限灵魂』!!
トゥイの叫び声に呼応し首飾りのまばゆいほどの光が、トゥイの体全体を覆っていく。さらに、猛烈な旋風がトゥイを取り込む。
「あれが…!」「三十二代目の…」
「朱雀!!!!」
一瞬だけ七色の翼が光り、旋風の中から滴る朱色の翼に堅牢な赤霄剑を握りしめ、孔雀の如く颯爽と顕現した。
「…これが…朱雀の力…」
トゥイはひしひしと伝わる力の目覚めに浸っていた。
「…グオオオオオオ!!」「⁉」
美しさに浸るヒマもなく、妖魔は容赦なく巨大な手でトゥイに襲い掛かる。
「…っぶねー!!」それを紙一重で空中を滑空し躱す。
そして、勢いそのまま、妖魔の懐にうまく入り赤霄剑を両手いっぱいに振りかざした。
「喰ぅっらいやがれぇぇぇぇぇぇ!!」
振り下ろされた剣閃は妖魔を真っ二つに切り裂いた。
それは、まさに、四神にふさわしい堂々たる戦いぶりであった。
こうして赤都は、三十二代目の朱雀によって無事守られたのであった…。
「もう…行くの…?」
「あぁ。早いに越したことねェから。」
トゥイは四神の一人朱雀として、三十二代目の四神会談が行われる約束場所へと旅立とうとしていた。見送りにはミンリンと兄弟たちが駆け付けていた。
「…お兄ちゃん…う~っ…!!」
我慢できず兄弟たちは涙を流した。
「バカヤロウ!泣くな!すぐに帰ってきてやるから!四神になったらお金も沢山貰える!そしたら学校にも行けるし、今よりずっといい暮らしができるっ!だから!泣くんじゃねェ…!!」
その言葉に必死にこらえようとするが、それでも兄弟たちの涙は止まらなかった。
「ミンリン。兄弟たちを頼んだ。」
「まっかせなさい!」
ミンリンは自分の胸をポンッと叩き、自信満々でトゥイを見送った。
「みんな…元気でな…ふんじゃあ… あばよっ!」
トゥイは去り際に別れの一言を告げて前を向きゆっくりと歩き始める。
ーこれから強力な妖魔たちと戦う日々が彼を待ち受けているだろう しかし 手に入れた朱雀の力で幾度の困難を切り抜けていくはずだ 彼の物語は まだ 始まったばかりであるー




